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『戦旗』第1349号(2010年5月5日)





    沖縄人民の怒りに連帯し、基地撤去! 日米安保粉砕!

    5・16普天間へ

    5・16三里塚現地に決起しよう

    排外主義集団解体! 5・30集会へ
  




 すべての闘う労働者人民の皆さん!鳩山政権は、いよいよその新たな帝国主義政権としての性格をむきだしにして、普天間基地の「県内移設」に反対する沖縄人民の「島ぐるみ」の闘いを踏みにじり、「県内移設」を強行しようとしている。他方において、朝鮮民主主義人民共和国への制裁延長や高校無償化制度からの朝鮮学校の排除の動きなど、かつての自公政権と何ら変わるところのない排外主義的性格を明確にしてきた。五月十六日の普天間基地包囲行動の大成功をかちとり、普天間基地の「県内移設」を粉砕し、即時閉鎖・無条件返還を実現するために、鳩山政権に対する闘いを全力で組織していこう。また、在特会ら排外主義・差別者集団との闘いを全国・各地において、断固として推進していこうではないか。



  ●【1章】普天間基地即時閉鎖・撤去 「県内移設」阻止


  ▼① 「県内移設」を絶対に許すな

 鳩山政権は四月二日、鳩山首相、平野官房長官、岡田外相、北澤防衛相、前原沖縄担当相らによる関係閣僚会議を開催し、普天間基地の移設についての政府案を検討した。そこでの合意内容は公表されていないが、報道によれば以下のようなものであった。①普天間基地に駐留する米海兵隊ヘリ部隊の多くをまず徳之島に移設する、②並行して名護市辺野古のキャンプ・シュワブ陸上部に新たに六百メートルのヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)を建設し、そこにヘリ部隊を移設する、③将来的には、勝連半島沖(ホワイトビーチ沖)を埋め立てて、三千六百メートルの滑走路二本、三千メートルの滑走路一本をもつ新たな基地を建設し、そこに普天間基地や航空自衛隊那覇基地などの機能を移設するというものである。マスコミ各社によって多少の違いがあるが、このような二段階あるいは三段階の移設案で合意したと見てよいであろう。
 昨年の衆議院選挙で「最低でも県外移設」を唱え、「米軍再編の見直し」を掲げて出発した鳩山政権は、こうして「県内移設」に突き進もうとしている。これまでの日米政府間の合意であった辺野古沿岸部へのV字型滑走路建設という現行案とくらべても、これは最悪の「県内移設」案と言うべきものである。キャンプ・シュワブ陸上部への移設は、住宅地の上をヘリ部隊が飛び交うことになり、世界で最も危険な米軍基地と呼ばれる普天間基地の危険性をそのまま辺野古に移すことになる。また、新たなヘリパッド建設などによる土砂の海への流出、環境破壊も避けられない。さらに勝連半島沖(ホワイトビーチ沖)の埋立による新たな米軍基地建設は、現行案よりはるかに巨大な最新鋭の軍事基地を建設しようとするもので、埋立によるすさまじい環境破壊も必至である。
 鳩山政権は、何のために普天間基地の辺野古沿岸部への移設という現行案を見直すのか、もはやその目的を完全に見失っているとしか言えない。十四年をかけた辺野古新基地建設が地元の住民を先頭にした闘いによって破綻し、全国の米軍基地の75%が集中する沖縄にこれ以上の基地負担を要求することが困難になる中で、「県民の基地負担の軽減」をはかることがそもそもの鳩山政権にとっての出発点ではなかったのか。衆院選挙から半年以上たって作成された政府案なるものは、沖縄をさらに米軍の出撃拠点として強化し、沖縄人民にますます過酷な犠牲を要求する最悪の案に他ならない。このような「県内移設」案を何としても粉砕していかねばならない。
 また、鳩山政権が優先しようとしている徳之島への移設もまた許しがたいものである。徳之島を含む奄美群島は、沖縄などとともに琉球弧を形成するもので、沖縄とも異なる独自の歴史と文化をもつ地域である。奄美群島は、琉球王国の最盛期にはその版図に含まれ、一六〇九年には薩摩によって武力で併合された。そして、琉球処分が断行された一八七九年の廃藩置県時に、奄美群島は鹿児島県に編入された。第二次大戦では二万人の日本軍が駐留し、沖縄戦の過程では激しい米軍による爆撃を受けた。そして、戦後には沖縄とともに日本「本土」から切り離されて米軍政のもとに置かれ、一九五三年十二月に日本に返還されるという経過をたどっていったのである。奄美群島もまた、沖縄とともに日本政府にとってはいつでも切り捨て可能な地域として扱われ、歴史的に差別分断支配の下に置かれてきた。
 鳩山首相は、徳之島移設案をもって普天間基地の「県外移設」だと強弁しようとしている。鳩山政権による徳之島移設案は、このような歴史をもつ奄美群島の人民に犠牲を強要し、奄美群島を含む琉球弧の人民に何ら変わることなく基地負担を集中しようとするものであって、絶対に許すことができないものなのだ。

  ▼② 首相官邸包囲の連続行動を!普天間基地包囲を成功させよう!

 鳩山政権は、このような政府案をもって対米交渉に入ったが、四月九日の岡田外相とルース駐日米大使との会談において、ルースは日本政府案にもとづく実務者協議の開始を拒否した。さらに、オバマ政権は、日本側が要請した四月十二日から十四日の核安全保障サミット時の日米首脳会談についても拒否した。
 オバマ政権は、鳩山政権に対して日米間で協議できる移設案は①米海兵隊の一体的運用の維持、②代替施設建設の工期・移設時期などの具体案の提示、③連立政権内および移設先の地元の合意が前提だとして、現在でも辺野古沿岸部への移設という現行案が最善だと表明している。オバマ政権は、日本政府が協議に値する移設案を提示できないならば、普天間基地をそのまま維持し、米軍再編ロードマップによる沖縄の海兵隊八千人のグアム移設や中南部の基地の返還も白紙にもどすという姿勢をあからさまに示してきた。
 鳩山政権による移設案が最悪のものであることとは別に、このオバマ政権の姿勢はまさに居直りというべきものである。オバマ政権がただちになすべきことは、危険な普天間基地をただちに閉鎖し、沖縄人民に返還することなのだ。
 鳩山政権は五月中にアメリカと移設先の双方の合意を取りつけて普天間基地の移設先を決定するとしているが、このように対米交渉において行きづまっているだけではなく、何よりも沖縄人民、そして徳之島の人民のたたかいによって移設案は破綻寸前に追いこまれている。
 沖縄では、一月二十四日の名護市長選挙での画期的な勝利、二月二十四日の沖縄県議会における普天間基地の早期返還と県内移設に反対する意見書の全会一致による採択、そして四月二十五日の十万人規模の県民大会の開催から五月十六日の普天間基地包囲ヒューマンチェーンと、まさに普天間基地の「県内移設」に反対する「島ぐるみ」の闘いが巨大な高揚を示している。また、四月六日から九日にかけて、知花昌一さんや金城実さんらが、鳩山政権に抗議して首相官邸前での座り込みを貫徹した。
 徳之島においても、島にある三つの町(徳之島町・伊仙町・天城町)の町長と町議会がすべて徳之島への移設に反対することを表明し、三月二十八日には島の人口二万六千人のうち、実に四千二百人が結集して徳之島移設に反対する集会が開催された。
 さらに四月十八日には、一万五千人が結集して集会が開催され、「移設に断固反対する」ことを決議した。四月二十日には、政府の会談打診に対して、徳之島の三町長はこれを拒否した。
 鳩山政権がこれほどの沖縄人民、徳之島の人民の反対運動に直面しても、「県内移設」を強行しようとしている根拠は、鳩山政権が日米同盟の維持、米軍の抑止力の維持のためには米海兵隊の沖縄駐留が不可欠だという立場に立っているからである。このような立場からは、普天間基地の沖縄内でのたらい回し、移設場所探しの道しかありえない。だが、根幹にある課題は、普天間基地をどこに移設するのかにあるのではない。普天間基地の即時閉鎖と無条件の返還を闘いとり、移設のためのあらゆる新基地建設・基地強化を阻止し、沖縄からすべての米軍基地を撤去させていく道を断固として切りひらいていくことにあるのだ。沖縄人民が要求していることはそこにある。米軍基地はいらない、基地の無い平和な沖縄を返せという沖縄人民の血の出るような叫びと闘いに何としても応えていかねばならない。
 とりわけ、「本土」において沖縄人民、徳之島の人民に連帯し、全力で闘いを組織していくことが求められている。沖縄人民、徳之島の人民に連帯する最も広範な全人民政治闘争を推進し、首相官邸を包囲する大闘争をつくりだしていかねばならない。
 そして、このような全人民政治闘争のただなかで、反安保という課題をおしだしていかねばならない。日米同盟と米軍の抑止力維持を前提とする鳩山政権との闘いは、反帝国際主義の立場から日米同盟を真正面から批判し、米軍再編・日米軍事一体化と対決し、日米安保の廃棄とアジアからの米軍総撤収を要求する勢力こそが領導していかねばならないのだ。日本に駐留する米軍は、イラク侵略戦争やアフガン侵略戦争に出撃した米軍の主力部隊のひとつであり、日米安保・日米同盟は侵略戦争のための軍事同盟に他ならない。沖縄人民のたたかいに連帯しようとする労働者人民の闘いを反安保闘争と結合させ、安保改定五十年にあたる今年、沖縄・「本土」からのすべての米軍基地の撤去、日米安保の廃棄に向けた反安保闘争の新たな高揚を全力で切りひらいていこう。
 首都圏では、沖縄一坪反戦地主会・関東ブロックを先頭にした辺野古実が、毎週金曜日に首相官邸行動に取り組み、四月二十五日には沖縄県民大会に連帯する集会・デモが組織された。辺野古実の闘いを支持し、断固として闘いを推進していこう。また、全国・各地において、沖縄の闘いに連帯する全人民政治闘争を推進し、そのなかから反安保という課題をおしだしていくために奮闘しよう。そして、これらの「本土」における闘いを全力で組織しつつ、五月十六日の普天間基地包囲行動に全国から結集しようではないか。



  ●【2章】鳩山政権の排外主義攻撃と対決し排外主義集団と闘おう


  ▼① 鳩山政権による排外主義弾劾

 鳩山政権は四月九日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)への制裁についてさらに一年間延長することを閣議決定した。延長する制裁措置は、共和国との全面的な輸出入禁止と、貨客船「万景峰」号を含むすべての共和国船舶の入港禁止、共和国への送金制限などである。二〇〇六年に発動された制裁の延長は通算六回目で、鳩山政権では初めてとなるものであった。さらに鳩山政権は、共和国の船舶に対する臨検を可能とする船舶臨検法案を国会に上程している。
 このような鳩山政権の対共和国政策は、かつての自公政権と何ら変わらないものである。共和国の核開発に対する国連安保理決議や日本による追加独自制裁は、東アジアにおける軍事的緊張について、朝鮮戦争が公式に終結しておらず、戦争当事者であるアメリカと共和国が本質的になお戦争状態にあるという歴史的構造を無視するもので、一方の当事者であるアメリカの核武装と共和国への軍事的包囲・戦争態勢を擁護し、他方の当事者である共和国の核開発・ミサイル開発については制裁を課すという何の正当性もないものである。
 そして、日本政府による制裁措置によって最も被害を被っているのは在日朝鮮人であり、「万景峰」号による朝鮮学校生徒たちの修学旅行、祖国との往来を不可能とし、共和国に住む親族への送金も制限されるなど、さまざまな人権侵害を生み出してきた。これらの制裁措置は、在日朝鮮人を言わば人質として共和国に圧力を加えるという、きわめて卑劣な措置なのだ。
 鳩山政権はさらに、四月から実施された高校無償化制度から朝鮮学校を除外し、第三者機関を設置して基準を作成したうえで、夏までに無償化制度の対象に朝鮮学校を含めるかどうかを決定するとしている。
 この高校無償化制度とは、公立高校の授業料を実質的に無償とするもので、私立高校の生徒についても同額程度の就学支援金を交付するものである。さらにその対象には、高校に対応する教育課程(授業時間数など)を持つ各種学校も対象となっている。現在の法制度のもとで、朝鮮学校は各種学校あつかいとされており、当然にも高校無償化制度の対象となるものである。
 しかし、中井洽拉致問題担当相が、無償化制度の対象から朝鮮学校を排除するように川端文部科学相に要求し、鳩山政権内で朝鮮学校排除の動きが一挙に進行した。中井は、共和国に経済制裁を続けても日本人拉致問題の前進が見られない状況で、高校無償化制度の対象に朝鮮学校を含めることは「国民の理解」が得られず、さらなる圧力を共和国に加えるために排除すべきだと主張したのである。
 それはまさに、国家権力による公然たる民族差別であり、憲法に保障された「学ぶ権利」を侵害する憲法違反の措置に他ならない。さらに中井の主張は、共和国に対して拉致問題を進展させなければ朝鮮学校の生徒が不利益を被るぞと宣告するもので、まさに朝鮮学校生徒を人質にとって共和国を恫喝しようとする許しがたいものである。

  ▼②在特会らの排外主義・差別者集団解体を

 われわれは、このような鳩山政権による排外主義攻撃と対決し、共和国への制裁をただちに解除すること、そして高校無償化制度を朝鮮学校に適用することを断固として要求する。
 他方で、このような鳩山政権による排外主義攻撃と連動するかのように、在特会や主権回復を目指す会などの排外主義・差別者集団による在日朝鮮人への直接的な襲撃が京都において集中的にくり返されてきた。
 昨年十二月四日に、在特会らは授業中の京都朝鮮第一初級学校を何の予告もなしに不意に襲撃した。そして、十二月二十日にはウトロ街づくりプランに反対してウトロでのデモを強行し、一月十四日には京都朝鮮第一初級学校の前の公園で集会を行い、朝鮮学校にデモをしかけるという形で朝鮮学校への二回目の襲撃を行った。さらに在特会は、三月六日には在日朝鮮人のコミュニティーが存在する東九条において、在日の高齢者のためのデイケアセンターがある在日コリアン生活センター・エルファと在日無年金問題の解決をめざす会を攻撃し、三月九日には朝鮮総聯京都府本部がある朝鮮会館を不意に襲撃した。
 さらに在特会らは、元「日本軍慰安婦」問題の解決のための取り組みを目の敵として、関西各地において攻撃をくり返してきた。とりわけ、韓国の被害女性たちの毎週水曜日の日本大使館前での行動に連帯する「水曜デモ」は、在特会らによって完全に粉砕すると宣言され、毎月第一水曜日の大阪・梅田陸橋での水曜デモは在特会との激しいたたかいとなってきた。また、宝塚市議会をはじめとして、元「日本軍慰安婦」問題の解決を求める地方議会決議に対して、在特会らは集中的に攻撃を加えてきたのである。
 在特会らは、かつてのアジア植民地支配と侵略戦争の歴史の歪曲・正当化を掲げた安倍政権の時代に、日本社会の排外主義的土壌の中から生みだされ、それを肥やしとして成長してきた。そして、貧困と将来への不安、生きづらさをいだく青年層の一部をも引きつけてきた。これらの排外主義・差別者集団は、支配階級の別働隊として在日への襲撃をくり返し、日本社会のなかに排外主義と民族差別をふりまき、日本人のたたかいにとっても脅威となりつつある。彼らによる襲撃から在日、そしてさまざまな日本人の運動を防衛し、彼らを社会的に包囲・孤立化させ、解体していかねばならない。



  ●【3章】3・28集会の成功から5・30集会へ突き進もう


 関西においては、在特会らによる十月十日の大阪での約三百人を動員したデモに対する対抗行動の実行委員会を基礎に、排外主義とたたかうネットワーク・関西が結成された。ネットワーク・関西は、在特会らとたたかう大衆的な陣形として、彼らによる襲撃からの共同防衛、監視行動などを展開し続けてきた。そして、このネットワーク・関西の形成を大きな条件として、五月三十日に排外主義とたたかう関西集会を開催する準備が開始され、そのための実行委員会も発足した。この集会は、在特会らとたたかう日本人側の中心主体を公然と登場させるものとなり、また彼らに対する社会的包囲を形成していくものとなるであろう。われわれは、この集会をぜひとも成功させていくために努力していきたい。
 この動きと並行して、京都においては昨年十二月四日の在特会らによる朝鮮学校への襲撃に反撃する闘いが組織されて続けてきた。十二月二十二日の六百人の結集による「朝鮮学校への攻撃を許さない!12・22緊急集会」の開催に続いて、二月には京都の知識人・弁護士・宗教者ら十六人の呼びかけによって、「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう 朝鮮学校への攻撃をゆるさない」という趣旨の共同アピール運動が開始され、京都から関西・全国へと発信されていった。
 三月二十八日に公表された第一次集約分において、この共同アピールへの賛同人は千百一人、賛同団体は二百十一団体に達し、北海道から鹿児島まで全国各地から賛同が寄せられている。
 そして、この共同アピール運動の最初の集約点という意味を含めて、三月二十八日午後、京都市円山公園野外音楽堂において「民族差別・外国人排斥に反対し、多民族共生社会をつくりだそう!朝鮮学校への攻撃をゆるさない!3・28集会」が開催され、日本人と在日朝鮮人の双方から約九百人が結集し、在特会らを圧倒するデモを貫徹した。
 この日、在特会らは部隊を二つに分け、その一隊は東九条で集会を行い、朝鮮学校前の公園までデモを行うという形で、三回目の朝鮮学校への攻撃をもくろんだ。しかし、この在特会らのデモは地元住民や在日青年たちによる激しい抗議に直面し、デモ解散地点まで行きつけないままに途中で解散せざるをえなかった。また、在特会らのもう一隊は、3・28集会のデモの沿道や解散地点で「抗議行動」を行おうとしたが、デモ隊に圧倒された。(『戦旗』本号の報告記事参照)
 京都でのこの3・28集会に至る四カ月の闘いは、大きな成果をもたらした。第一に、在特会らによる朝鮮学校への攻撃を許さず、とりわけ十二月四日のような不意の学校への襲撃を二度と許さないということにおいて、在特会らを確実においつめてきたということにある。
 在特会らは、すでに一月の段階でも、「自分たちは朝鮮学校を攻撃しているのではない。公園の不法占拠に抗議しただけだ」と弁明をくり返さざるをえないところにまで至っていた。その後も、一月十八日に朝鮮学校襲撃を非難する京都弁護士会声明が出され、二月から三月にかけて開催された国連人種差別撤廃委員会において、在特会らによる朝鮮学校襲撃が厳しく批判された。また三月二十四日には、朝鮮学校から半径二百メートル以内での在特会らの街宣を禁止するという京都地裁の仮処分決定がなされた。
 そして、共同アピール運動と3・28集会が大きく成功したことによって、在特会らはもはや十二月四日のような「朝鮮学校を襲撃した」と見られる行動をとることがきわめて困難になってきた。そして、三月二十八日の事態が示すように東九条でのデモすら困難になってきている。まさに大衆運動の力によって、在特会らをここまで追い込んだということである。
 第二に、この闘いは在特会らによる朝鮮学校への襲撃を許さないということにとどまらず、在特会らを社会的に包囲し、封じこめていく闘いを大きく前進させたことにある。
 十二月四日の在特会らによる朝鮮学校への襲撃は、ターニングポイントであったと言える。それ以前の在特会らとの闘いは、言わば左翼の活動家の課題であった。しかし、十二月四日の朝鮮学校襲撃は社会的に大きな衝撃を与え、それは在特会らとの闘いをより広い社会的な課題としておしあげていく条件を形成した。
 共同アピール運動と3・28集会という車の両輪となる取り組みは、この新たに形成された条件を最大限に活用して、在特会らに対する大きな社会的包囲を形成しようとする闘いでもあった。そして、在特会らによってくり返されてきた朝鮮学校にとどまらない在日への直接的襲撃、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除に対する怒りを糾合していくことによって、それは見事に成功してきたと言うことができる。
 第三に、この四カ月間の闘いを通して、京都において在日朝鮮人、日朝友好運動・朝鮮学校支援運動、反戦運動・左派労働運動という三者の結合がしっかりと組織されてきたということにある。
 おそらくは、この三者の結合というたたかいの主体の編成において、京都において切りひらかれた地平は、全国的に見ても先進的なものであったと言える。その原型は、にっこりネット(東アジアの平和と朝鮮半島の自主的平和統一をめざす京都ヒューマンネット)の構造にあった。五年間におよぶにっこりネットの活動なしには、今回のたたかいの主体の編成はありえなかったであろう。
 また、この過程は在日との共同闘争という面で大きな経験となった。在日への直接的な襲撃がくり返される京都の現実から出発して、在日朝鮮人と日本人の間で状況の分析や方針の練り上げが共同で積み重ねられ、共同アピール運動と3・28集会が共同で推進されていった。われわれは、昨年十二月四日の朝鮮学校襲撃事件以降、このような在日朝鮮人と日本人の共同の闘いを断固として支持し、その発展のために全力をつくしてきた。
 関西においては、ネットワーク・関西に在特会らと闘う諸政治勢力、左派労働組合・市民団体などが総結集し、在特会らによる襲撃への共同防衛、監視活動がたゆむことなく組織され続けてきた。そして、今年に入って、関西における在特会らとの闘いは新たな局面を切りひらいてきた。共同アピール運動と3・28集会の大きな成功が示すように、在特会らを社会的に包囲し、封じ込めていくという闘いが大きく前進してきている。
 在特会らの襲撃に対して共同で反撃し、いかに暴力的な攻撃をしかけられても敢然と対決すること、いかに恫喝されようとも在特会らの排外主義・民族差別を許さないという自らの意思を公然と表明していくこと、そうして在特会らの排外主義・差別者集団を封じ込め、解体していくという経験を日本社会のなかにぜひとも蓄積していかねばならない。
 このたたかいは、さらに排外主義を許さない!5・30関西集会の開催へと引き継がれてきている。五月二十日を最終集約とする共同アピール運動をさらにおし広げつつ、5・30集会の圧倒的な成功をかちとっていかねばならない。そして、この関西において切りひらかれてきた新たな地平を全国へと発信し、在特会らとの全国的な闘いの前進へと転化していかねばならない。同時に、この在特会らとの闘いはまた、労働者人民の階級形成、活動家建設の闘いでもある。在特会らの排外主義・民族差別と対峙し、彼らの暴力的な襲撃と身体をはって対決し、警察の厳戒体制のもとで部隊として展開していく経験を通して、多くの労働者・学生・市民が鍛えられてきている。さらに闘いをおし進めよう。
 

 

 

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