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『戦旗』第1360号(2010年11月5日)



  戒厳態勢突破し、横浜現地に総決起しよう

 横浜APEC粉砕

 伊波洋一候補の知事選勝利を!

 12月岩国国際集会に結集しよう




 世界恐慌が深化する中で、十一月十一日―十二日にソウルG20、十三日―十四日に横浜APECの首脳会議が開かれようとしている。日帝―菅政権は、日帝資本がアジア太平洋における権益を握りなおすことで、この危機を脱する展望を見出そうとしている。それは、アジア太平洋地域の社会を破壊し、その労働者階級人民を犠牲にしていく上にしか見出せない展望である。われわれは、このブルジョアジーどもの利害に対して、アジア太平洋地域の労働者人民との共通の利害を対置し、国際共同闘争―横浜APEC粉砕闘争 に立ち上がることを強く訴える。
 日帝―菅政権はこの悪辣な展望を、日米軍事同盟の強化を前提にして描いている。そしてそのために、沖縄人民の反基地の固い意志を踏みにじって、辺野古への米軍新基地建設を強行しようとしているのだ。米軍再編・日米軍事一体化・自衛隊強化と対決し、沖縄・岩国・神奈川の住民のたたかいに対する支援を一層強めていこう。菅政権を打倒するたたかいに立ちあがろう。


 ●第1章 ソウルG20―横浜APEC粉砕に総力決起しよう

 〇八年の米帝にはじまった世界金融恐慌に対して、各帝国主義は具体的な展望を見出せないままでいる。欧州帝も米帝も、日帝も財政赤字を拡大して、世界恐慌の連鎖回避をしているのであって、本質的に恐慌を脱したわけではない。各国資本の危機を先延ばしすることによって、常に大崩落の恐怖に直面している。各帝国主義や新興国はそれぞれ、金融資本を救済・保護するために巨額の財政投入、量的緩和や為替介入、外国資本流入規制など、あらゆる財政金融政策を実行している。しかし、そのために国家財政はますます逼迫していく。そして、各国の財政金融政策が限界に達しようとしていることは明らかである。
 米帝は二〇〇九年度に一兆四千億ドル以上の財政赤字を記録し、一兆ドルを超える財政赤字が二〇一一年まで続くことが確実視されている。アフガニスタンとイラクへ侵略していったブッシュ政権下では年間四千億ドルほどの赤字だったことを見れば、いかに巨額の資金を、金融資本を救済するためにつぎ込んだのか明らかだろう。それでも、米国経済は沈下したままであり、失業率は〇八年初頭の5%から〇九年の10%まで上昇を続け、一〇年現在も10%で高止まりしたままだ。日帝においても、財政危機が深化する一方で、自殺者数が年間三万人という事態が、九八年から〇九年で十二年間になるが、一貫して続いている。当初は五十歳代の自殺者数が突出していたが、近年は三十歳代の自殺者が増え続けている、三十歳代から七十歳以上までの各年齢層が年間自殺者五~六千人のラインに収束しつつある等、その内実が変化しつつも、この社会の異常さを明らかに示しているだろう。
 各国の財政危機に対して、ブルジョアジーどもは金融資本の蓄積をますます拡大していくために、法人税や社会保障負担を減らせといいながら、労働者階級人民に対する首切りや増税という収奪を、ますます強化しているのだ。
 金融政策においては、ブラジルの財務相が「国際的な通貨戦争」と表現するまでに、各国資本の利害対立が再び表面化し始めている。主要通貨に対する全面的なドル安を放置している米帝をはじめとして、円高に対して為替介入を行った日帝など、各帝国主義は自国資本の危機に対して、輸出の拡大をもって乗り切ろうとしている。十月前半にG7会合、IMF・世銀会合が行われているが、米帝や欧州帝は中国に人民元切り上げを要求し、これに対して中国は、〇八年金融恐慌後の世界経済やプラザ合意の事例を根拠に米帝の要求を拒否している。また、日帝―菅政権は自ら為替介入しておきながら、工業製品輸出で競合する韓国政府の為替介入を批判し、その韓国政府は米帝のドル安を批判している。各帝国主義による量的緩和・金利引き下げによって自国通貨高になり輸出の減少や投機資金の流入を招いている韓国やブラジルは、九七年のアジア通貨危機を教訓にして、流入する資本に対する直接課税を行い、自国資本と競合する中国に対しては通貨切り上げを求める動きをしている。
 これらの錯綜した動きをみれば、既存の枠組みでは、もはや根本的に対処することができないことが明らかだろう。だからこそ、各帝国主義が先を争って、国境という現在の枠組みを越えて権益を確保する「自由化」を推進しようとしている。それが、日帝においては「東アジア共同体」構想として現れているのだ。
 このような資本主義の危機の中で、横浜APECが行われようとしている。そこでの米帝・日帝の目的は明らかだろう。すなわち帝国主義的政策をもって乗り切ろうとしているのだ。横浜APECは具体的には、「貿易と投資の自由化」「地域経済統合や成長戦略」「感染症対策・対テロ協力など人間の安全保障」をテーマとして掲げ、さらに二〇二〇年までに「アジア太平洋自由貿易圏」構想を実現する「横浜目標」を策定しようとしている。これらはすべて、独占資本の競争を激化させ、労働者人民の搾取と使い捨てを強め、雇用破壊と貧困を拡大する。新自由主義的「規制緩和」によって、長時間労働・低賃金・非正規化を強める。これは、労働者の団結権・団体交渉権・スト権などの労働基本権を破壊するものだ。
 横浜APECは、日帝、米帝、そして中国がアジア太平洋地域の権益をめぐって激しく争う場である。『戦旗』第一三五三号三面で示したように、各帝国主義や新興大国がそれぞれの利害をめぐって争いながらも、他方では、共同で労働者階級を徹底的に搾取し、他国への資本輸出を大規模に進めて搾取・収奪を拡大する競争である。ブルジョアジーどもが喧伝する自由貿易の「自由」は、われわれ労働者階級人民の自由ではない。資本の自由である。それも、資本が利潤を獲得するために労働者を押しつぶす=侵略する自由なのだ。フィリピンや中国で、日系企業が労働者人民に対して行っているのは、劣悪な労働条件の強制と、現地当局を利用した暴虐な弾圧ではないか。
 こうした帝国主義の策動に対する、われわれの任務は、第一に帝国主義のアジア太平洋支配に対して、断固として対決していくことである。日本経団連、日帝ブルジョアジーは、ASEAN+3(日・中・韓)を軸にしたFTA、EPA、東アジア共同体構築をもって、この経済危機から脱することを構想している。われわれは、労働者階級人民の国際共同闘争で、この日帝の野望を粉砕すべく、十一月をたたかう。
 その第二は、日米首脳会談―軍事同盟強化を粉砕するために、立ち上がることである。
 日帝―菅政権は十一月横浜APECに際して日米首脳会談を設定し、軍事同盟強化を進めようとしている。十月一日の所信表明演説では、「日米安保はアジア太平洋だけではなく世界の共有財産」などと強調し、アフガン対策、核拡散対策でも日米同盟で対処することを明らかにしている。国内では、辺野古新基地建設、岩国基地大強化、神奈川の基地再編強化を頂点に、思いやり予算などの米軍支援費の増額、集団的自衛権の行使などをもって、米軍再編・日米軍事一体化を強めようというのだ。このような策動のもとで行われる日米安保五十周年の式典など絶対に許してはならない。日米首脳会談―日米安保強化粉砕に断固立ち上がろう。
 さらに日帝―菅は、普天間基地撤去―名護新基地建設を許さない沖縄人民の怒りと決起に対して、国家的利害を前面に押し出し、米軍基地を沖縄―辺野古に押し付けようとしている。それは二〇一〇年防衛白書で露骨に示されているが、沖縄人民への敵対にほかならない。われわれは断固として、日帝―菅政権による沖縄差別軍事支配を打ち砕かねばならない。菅政権を打倒するたたかいに立ち上がろうではないか。名護市議選の圧倒的勝利から、十一月知事選へと立ち上がっている沖縄人民とともに、辺野古新基地建設阻止をたたかい抜いていこう。
 第三に、横浜APEC粉砕闘争を、国際共同闘争として現地実力決起でたたかうことである。われわれは十一月、全国から横浜現地に結集して、APEC粉砕をたたかう。
 韓国、フィリピン、台湾、アメリカなど、アジア太平洋諸国・地域の人民との国際共同闘争として、この反帝闘争をたたかう。APECは「対テロ」をかかげ、また日米首脳会談では「安保五十周年式典」が画策されていることから明らかなように、日米帝は日米軍事同盟を後ろ盾にしてアジア太平洋地域への経済進出を行おうとしている。それがアジア太平洋地域の労働者人民に何をもたらすのか。生活の破壊であり、権利の破壊、そして肉体そのものの破壊だ。われわれ日帝足下の労働者階級人民は、日帝資本と利害を共有しているのではない。われわれは資本に対して、アジア太平洋地域の労働者階級人民と利害を共有しているのだ。このことをはっきりと確認して、ソウルG20粉砕闘争、横浜APEC粉砕闘争を国際的な連続闘争としてたたかい抜く。われわれは、横浜APECに反対する労働者人民のさまざまな決起を支持する。アジア共同行動日本連などがよびかけている「戦争と貧困にNO!/金融資本・多国籍企業の支配を打ち破れ!/ソウルG20―横浜APECに反対する国際行動」では、韓国の民主労総、フィリピン・バヤン、台湾人権協会、インドネシア・YMB、米国・ANSWER連合などが連帯して、横浜APEC反対の反帝国際共同行動が取り組まれる。内外の反帝派は総結集し、横浜APEC粉砕のたたかいに決起しよう。
 われわれは国家権力のあらゆる弾圧を打ち破って、十一月の実力攻防に立ち上がっていく。ソウルG20での韓国政府、横浜APECでの日帝政府による、ともに軍・警察を動員した弾圧を許さず反帝国際共同闘争としてこのたたかいを貫徹していく。一昨年のG8―洞爺湖サミットに際してのでっち上げ弾圧を完黙非転向で打ち破った地平を継承し、公安警察、外事警察、法務省入管局のあらゆる弾圧を粉砕して、横浜APEC粉砕闘争に総決起していこう。


 ●第2章 沖縄知事選勝利に向けて闘おう

 日帝―菅政権は、釣魚台略奪―中国漁民の逮捕を強行した。
 これは第一に、菅政権が日本帝国主義として領土拡張主義を明確にした所業に踏み出したということである。政府―海上保安庁、そして、野党も一体になって、釣魚台を「日本固有の領土」などと主張している。日帝が中国領と認識しながら日清戦争を通じて強奪した、侵略戦争―植民地化の過程を全面的に肯定して、日本の「領土」と主張しているのだ。われわれは日帝の帝国主義的領土拡張主義に断固として反対し、民族排外主義キャンペーンと対決していく。中国人民やアジア人民と連帯して、日米帝のアジア侵略支配を許さずたたかいぬこう。
 第二に、中国との軍事的緊張を煽り立てて、沖縄への自衛隊配備強化を進める策動である。これは、沖縄知事選に向け普天間基地即時無条件撤去―名護新基地建設阻止の島ぐるみのたたかいが高揚するのに対して、全面的に敵対する攻撃でもあるということだ。
 反中国宣伝をもって、自衛隊、米軍の一体的強化、沖縄の軍事基地の「必要性」を煽り立て、米軍新基地建設を強行しようというのだ。また、十二月には西日本や沖縄海域で日米合同軍事演習が行われようとしている。これは日米帝が、東アジアでの戦争危機を積極的に強めていくものだ。軍事的緊張を作り出すことで、沖縄に日米安保を位置付けようとする攻撃にほかならない。
 さらに日帝―防衛省は、今年末に策定する「防衛計画の大綱」において、陸上自衛隊の定員を十五万五千人から十六万八千人へと一万三千人も増員する方針を打ち出そうとしている。沖縄本島の陸自部隊は現在約二千人だが、これを二〇二〇年までに南西諸島を含めて二万人規模まで拡大することまで策動しているのだ。
 これらは日帝による中国への戦争挑発にほかならない。そしてそれを利用して、沖縄への差別軍事支配を強めていこうとしている。このような悪辣な攻撃を断じて許すことはできない。
 沖縄人民・南西諸島住民は、こうした日帝の戦争策動を見抜き、自分たちの生活を守る方向をはっきりと見定めている。それは、日帝政府が動かす軍事力ではなく、東京よりもはるかに近い台湾・中国人民との経済的社会的なさまざまな交流こそが地域破壊を止める道だということだ。米軍と自衛隊の一体化や自衛隊配備の強化は、戦争危機を強める。一度戦争が引き起こされれば、地域一体が壊滅させられるのだ。この認識は、日本帝国主義―天皇制の「捨て石」とされた痛苦な経験と歴史が裏打ちしている。このことは何度でも確認しなければならない。このような沖縄人民・南西諸島住民に敵対する日帝―菅政権の悪辣な攻撃を絶対に許さず、日米帝による差別軍事支配を打ち破ることこそがわれわれの任務である。
 この菅政権の攻撃を後押しするように、反革命右翼どもが、沖縄への自衛隊配備強化を新たなファシズム運動とし始めている。この策謀を絶対に粉砕しよう! 十一月沖縄知事選勝利に向け奮闘しよう!


 ●第3章 12月岩国行動へ全国から結集しよう

 沖縄の反基地闘争とともに、「本土」における反基地闘争をさらに大きく拡大し、沖縄・岩国・神奈川の人民とともに日米安保を粉砕していこうではないか。その「本土」における反基地闘争の結集軸として、十二月四~五の2010岩国行動に全国からたちあがろう!
 岩国基地では五月に新滑走路の運用が開始され、市街地上空飛行が行われ、爆音による騒音被害が強まっている。さらに、防衛省は愛宕山跡地の買い取りをすすめ、四千名もの米軍人・軍属が占有する米軍住宅建設の攻撃を強めている。これに対し、岩国住民は米軍住宅建設反対の座り込み闘争を開始し、粘り強くたたかいぬいている。そうした中で、九月七日に岩国基地所属の米軍属が「愛宕山を守る会」メンバーの恩田さんを轢き殺す事故を起こした。米軍による地元住民への事件事故が、またしても繰り返されたのだ。これに対し、岩国地検は十月七日に不起訴処分としている。米軍属による恩田さん轢殺事件への法的責任、道義的責任を追及する道をふさいだのだ。満腔の怒りをもって岩国基地と岩国地検を弾劾する。
 そして、座り込みと並行して「海・陸・山・文書」という四つの裁判が大衆的にたたかいぬかれている。公有水面埋め立て訴訟、爆音訴訟であり、愛宕山米軍住宅化の裁判、行政文書の公開を求める裁判である。これら岩国住民のたたかいと連帯し、岩国における反基地運動を支援し強化していくことがわれわれに強く求められている。岩国闘争支援を各地で推進し、十二月岩国国際集会への高揚をつくりだしていこう。十二月岩国現地に結集し、沖縄、岩国、神奈川をはじめとする全国の反基地闘争を結合する運動を、反帝国際共同行動として大きく進めていこう。



 

 

 

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