共産主義者同盟(統一委員会)


1380号(2011年10月5日) 政治主張






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   日帝―野田政権打倒!

 沖縄への自衛隊配備・強化許すな

 11月岩国行動の成功に向け奮闘しよう





 欧州や米国で財政危機、通貨危機が煮つまり、国際的に〇八年恐慌の第二幕ともいうべき事態が繰り広げられるなかで、日本では菅前政権の後を継いで野田政権が新たに発足した。蓄積された財政危機、そして円の独歩高が輸出産業に大打撃を与え、それが産業空洞化と中小企業、労働者人民へのさらなる犠牲をもたらしていこうとするなど、日本の支配階級は極めて深刻な危機のなかにあり続けている。
 こうした状況のなかで、野田政権は日帝ブルジョアジー、巨大独占資本の利害に立ち、労働者人民に一切の犠牲を押し付けることでその生き残りを図ろうとしている。労働者人民は、新たに発足した野田政権の反動的諸政策と正面から対決する闘いを繰り広げていかなくてはならい。


 ●第一章 原発推進、増税、派兵にのめり込む日帝―野田政権

 菅の後を継いで出発した野田首相は、九月十三日に所信表明演説をおこなった。その内容は、日帝ブルジョアジー、巨大独占資本の利害に立ち、菅前政権の反動的諸政策を引き継ぎ、それをさらに強力に推進していこうとするものだ。マスコミ等では各省からあがってきた内容のパッチワークで新鮮味に欠けるとおしなべて評され、野田自身もそれを認めているが、とりにもなおさずそのことは、野田政権が財務省、外務省、防衛省など官僚主導の政権であることを物語っている。
 巨大独占資本の利害に立ち、労働者人民に犠牲を押しつける野田政権の反動的性格の第一は、その増税―大衆収奪路線である。野田は所信表明演説で、「日本の財政は、国の歳入の半分を国債に依存し、国の総債務残高は一千兆円に迫る危機的な状況」「大震災の発生により、こうした財政危機はさらに高まり、主要先進国の中で最悪の水準にあります」と叫びつつ、所得税や住民税、さらには消費税などの大衆増税に向かおうとしている。所信表明の直後に政府税制調査会は、「震災復興」を理由とした国税・地方税の時限的な増税案を提示した。所得税と法人税の増税を柱とし、さらにタバコ税など間接税の増税を含む複数の案が示されたが、法人税については先に実効税率の引き下げをおこなったうえで、そこに一定割合の上乗せするというかたちで実施され、実質的には減税となる。つまり、労働者人民にのみ一方的に犠牲を強いる政策だ。このような「震災復興」を口実にした増税―大衆収奪政策を許してはならない。
 第二に、その安保・沖縄政策である。米国大統領オバマは野田首相就任直後の電話会談で、普天間問題の「解決」を最優先課題とするよう要求し、九月二十一日の米国での日米首脳会談では「結果を出す時期が近づいている」と強く迫った。これに対して野田政権は、菅前政権を踏襲して日米軍事同盟を「アジア太平洋地域のみならず、世界の平和と安全のための公共財」(所信表明演説)とうたいつつ、米国に対して昨年の5・28日米合意の遵守を誓い、辺野古新基地建設にまい進しようとしている。初めから日米合意ありきで辺野古新基地建設に固執する野田政権の姿勢に仲井真沖縄県知事でさえ強く反発している。また、新たに民主党政調会長となった前原は、九月七日のニューヨークでの講演で、PKO参加五原則の見直し(武器使用基準の緩和)、武器輸出三原則の見直し、集団的自衛権行使容認のための憲法解釈の見直しなどを打ち上げた。野田政権はまた、南スーダンでのPKO部隊に司令部要員として陸上自衛隊を送り込もうとしている。野田政権がおし進めようとする米軍再編・日米軍事一体化と自衛隊海外派兵の強化を許さず闘おう。
 第三に、その原発政策である。野田は所信表明演説において、「原子力発電において『脱原発』と『推進』という二項対立で捉えるのは不毛です」などとうそぶき、あくまで原発を維持し、停止中の原発の再稼動を進めていこうとしている。「中長期的には原発への依存度を可能な限り引き下げていく」などという言葉は、具体的なプログラムをともなわなければ何の意味ももたない。停止中の原発の再稼動を許さず、あくまで原発維持に固執する野田政権に対する全人民的政治闘争をさらに強化・拡大し、すべての原発の停止・廃炉に向けた政策決定を強いる強力な闘いを展開していこう。
 第四に、TPP(環太平洋戦略パートナーシップ)参加推進をはじめとする新自由主義政策の推進である。野田政権は日韓、日豪、日EU、日中韓などの自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)締結交渉の推進やTPP交渉参加をあげ、「世界経済の成長を取り込み、産業空洞化を防止していくためにも欠かせない」(所信表明演説)としているが、それらは国内農業や中小企業に大打撃を与え、労働者人民に弱肉強食の「底辺への競争」を強いていくものだ。野田政権はまた、菅前政権のもとで策定されたアジアへのインフラ輸出などを柱にした「新成長戦略」の実現を加速するとしているが、それは原発輸出の推進をも内包するのだ。
 野田政権の階級的性格は鮮明である。日帝ブルジョアジーの利害を推進し、労働者人民にさらなる犠牲をおしつけようとする野田政権と総対決する労働者人民の闘いの発展を勝ちとっていこう。


 ●第2章 全人民的政治闘争へと発展した9月反原発闘争

 福島第一原子力発電所の事故から六ヵ月目を迎えた九月十一日から十九日にかけて、全国各地で反原発闘争が闘われた。九月十一日、東京では三ヶ所で反原発行動がおこなわれ、東京電力本社や経済産業省への抗議・包囲行動が取り組まれた。新宿でのデモとアルタ前広場の集会に対しては、反原発運動の高まりに脅える警察が十二人を逮捕する不当弾圧に打って出た。大阪では五百人の結集で、原発の停止・廃炉を訴えるサウンドデモがおこなわれた。京都では、「バイバイ原発9・11」と銘打たれたデモにこれまでを上回る千六百人が参加した。さらにこの日、全国の様々な都市で大小いくつもの反原発デモが取り組まれた。
 そして九月十九日には、鎌田慧さんや大江健三郎さんらが呼びかけ人となった明治公園集会には六万人が結集した。これは福島第一原発での事故の発生以来、最大の反原発行動となった。九月十一日から十九日にかけて全国各地でおこなわれた反原発行動への参加者は、あわせて十万人を超える規模となった。
 明治公園で六万人集会は、「脱原発一〇〇〇万人署名」とともに平和フォーラムなどが中心となって準備されてきたが、全労協や全労連などナショナルセンターの違いを超えて多くの労働組合が参加した。また東京のみならず、福島を含むさまざまな地域からの参加が広がり、主催者の当初の目標を上回る六万人の結集が実現された。
 われわれはこのような反原発運動のナショナルセンターの違いを超えた広がりを支持し、原発の停止・廃炉に向けた全人民政治闘争のさらなる前進・発展のために闘う。同時に、この闘いを反政府闘争として発展させていかなくてはならない。すでに述べてきたように、野田政権は福島第一原発での放射能漏れがいまだ続き、予測もできないほどの深刻な放射能被害が今後何十年にもわたって続くことを知りながら、「『脱原発』と『推進』という二項対立で捉えるのは不毛」などと言いなし、原発の維持に固執し、停止中の原発の再稼動に向かおうとしている。このような政権を決して許してはならない。「再生可能エネルギーへの転換の必要性」「長期的には脱原発をめざす」といったことは、いまや原発推進派でさえも口にする。だがそれは原発を維持するためのごまかしでしかない。このようなごまかしを許さず、政府・国会に対してすべての原発の廃炉に向けた政策決定を強制していく労働者人民の強力な闘いが必要だ。逆にそのような原発の廃止と再生可能エネルギーへの転換に向けた具体的なプログラムを明確にしないような政権は労働者人民の手によって打倒していかなくてはならない。日帝ブルジョアジーの危機意識を反映して民主―自・公の総翼賛化が指向されるなかで、原発問題を媒介にして翼賛化の動向が急速に進んでいる。支配階級を揺るがすような闘いを組織することで、政府にすべての原発の廃止に向けた政策決定を強制していかねばならない。原発に反対する闘いを全国各地でおし広げるとともに、これを原発維持・推進に固執する政府に対する断固とした闘争として推進していこうではないか。


 ●第3章 カンジョン海軍基地建設強行弾劾

 同時に、反原発闘争と一体のものとして、反基地・反安保闘争を推進していこう。野田政権は沖縄の人々の要求を踏みにじり、あくまで普天間基地の辺野古移設を強行しようとしている。そしてまた、岩国基地強化をはじめとした米軍再編計画を推進し、日米軍事同盟と自衛隊の海外派兵体制の強化にまい進しようとしている。核武装した日米安保体制を粉砕し、アジアから米軍の総撤収を実現するための闘いのさらなる前進を勝ち取っていこう。
 アジアからの米軍総撤収に向けた闘いのなかで、いま韓国・済州島での海軍基地建設に対する闘いが国際的な課題として押し上げられてきている。米軍の艦船の利用を前提とし、中国に対する軍事的牽制・対決をにらんだこの済州島・カンジョン集落での海軍基地建設策動は、住民を無視した一方的な基地建設の決定、自然環境の破壊、住民共同体の破壊など多くの問題をはらみながら、韓国政府・韓国海軍によって推進されてきた。とりわけ八月以降は、済州島以外からの大量の警察部隊の投入、住民や支援者の逮捕・連行が相次ぎ、九月二日には警察部隊が前面に出た暴力的工事が強行された。このような策動を徹底的に弾劾しなければならない。
 アジア共同行動日本連は八月、韓国・済州への国際連帯行動を取り組んだ。この闘いに対して、韓国政府はAWC日本連のメンバーであり、通訳者である二名に対して入国禁止-強制退去という不当弾圧を打ち下ろした。日韓の労働者人民の反基地共同闘争に対する妨害であり、それを封殺しようとする攻撃だ。これは、沖縄や岩国をはじめとする反基地闘争の前進と、韓国の反基地闘争が結合し、国際共同闘争として発展していくことをに対する韓国政府と日本政府の恐怖と憎悪を端的に示すものだ。同時にこれは、アジア共同行動日本連のみならず、日本と韓国のすべての反基地運動、労働者人民の闘いに対する弾圧だ。このような不当弾圧に屈せず、済州島・カンジョン集落での海軍基地建設阻止のための闘い、アジアからの米軍総撤収に向けた日韓労働者人民の反基地共同闘争を推進していこう。
 日米軍事同盟を「世界の平和と安全のための公共財」とまで持ち上げる野田政権は、辺野古新基地建設、高江でのヘリパッド建設策動、二〇一二年からの普天間基地へのオスプレイ配備、神奈川、岩国、沖縄などでの米軍再編計画の全面的推進、さらに「新防衛大綱」にもとづく自衛隊の沖縄配備の強化や自衛隊のPKO派兵の推進に向かおうとしている。また、岩国基地への艦載機移転と一体となった鹿児島県・馬毛島での米軍機の離発着陸訓練の移転を推進していこうとしている。現地住民の抵抗と連帯し、これらの策動に対する闘いを全国各地で組織していこう。そして、この闘いの集約環として、アジア共同行動日本連が呼びかける十一月岩国現地闘争に全国から結集していこう。「愛宕山を米軍住宅ではなく被災者支援住宅へ!」という岩国住民の要求と運動を支援し、愛宕山米軍住宅化と厚木基地からの艦載機移転を阻止しよう。そして、沖縄、岩国、神奈川など各地での米軍再編に対する現地住民の闘いと連帯し、その結合を促進し、米軍再編を粉砕する闘いのうねりをさらに大きく発展させていこう。
 沖縄、岩国、神奈川をはじめとした反基地闘争の結合はますます強まり、日米政府を追いつめている。二〇一四年までの米軍再編計画の完成はすでに破綻に追い込まれ、巨額の財政赤字を背景にして、米国の議会や閣僚のなかからも計画の見直しの声があがっている。現地住民と結合した闘いをさらにおし進めることで、米軍再編計画を最終的に断念させ、日米帝国主義のアジア支配強化の野望を打ち砕こう。アジア共同行動日本連が呼びかける十一月岩国現地闘争は、そのための重要な闘いの一環だ。
 全国の闘う労働者・学生のみなさん、この秋、反原発、反基地・反安保闘争を推進し、野田政権と総対決する闘いをおし進めていこう。その闘いのなかから、十一月岩国現地闘争の成功をかちとろう。共に闘おう。

 

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