共産主義者同盟(統一委員会)


1381号(2011年10月20日) 政治主張






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   沖縄―「本土」貫く闘いで普天間基地撤去!新基地建設阻止!

  岩国行動2011に結集しよう!

  フランスG20粉砕! TPP阻止!

  米軍・自衛隊参加の防災訓練反対!






 3・11東日本大震災と福島第一原発の大爆発から七カ月が経過した。「3・11ですべてが変わった」といわれるほどに情勢が激動し、われわれ労働者階級人民の生活基盤そのものが問い直された七カ月であった。同時に、未曾有の原発事故は階級支配・差別抑圧支配がまん延するこの社会の現実を、われわれにまざまざと見せつけた。被災地の「復旧・復興」が遅れるなかで、原発事故による放射能汚染が、東北地方ばかりか関東地方・首都圏を含む広範な地域に広がっている。今後、長い期間にわたって土壌汚染や海洋汚染、健康被害が問題になってくるだろう。
 被災地・福島をはじめ各地で、原発事故で職を失った労働者、田畑を奪われた農民、海を奪われた漁民、故郷を追われた人々が、事故の責任者たちの責任を追及するたたかいに起ち上がっている。原発を推進してきた歴代政権や東電幹部、大メディア、御用学者たちの責任を追及し、今ここで責任をとらせなければならない。政府・東電に、すべての被害者への長期的な補償や放射能汚染地域の除染作業を行わせよう。新たな原発建設を撤回させ、すべての原発の停止―廃炉をかちとろう。
 われわれ労働者人民に対して、反動性をむき出しにする野田政権と対決する力をつくっていこう。アジア共同行動(AWC)日本連絡会議は、十一月二十六~二十七日に「岩国行動二〇一一」を呼びかけている。各地域・各領域の運動の成果や課題を持ち寄って十一月山口県岩国現地に総結集しよう。


  ●第1章 日米軍事同盟強化、増税に突き進む日帝―野田政権

 野田佳彦首相は、国連総会出席と日米首脳会談のため九月二十日~二十四日に訪米し、「外交デビュー」を果たした。二十一日、ニューヨークの国連本部で行われた米帝オバマ大統領との初の首脳会談で野田首相は、普天間問題について「日米合意にのっとり、沖縄への負担軽減を図りながら、沖縄の理解を得られるように全力を尽くしていく」と表明した。これに対してオバマ大統領は「結果を出す時だ。これからの進展に期待している」と応じた。日米首脳は昨年の5・28日米合意にしたがって、普天間基地の辺野古移設をあくまで強行することを確認したのだ。普天間基地撤去を求めて島ぐるみでたたかっている沖縄人民の意思を完全に無視しながら、日米合意をゴリ押しして沖縄に「理解」させるというのである。さらに野田首相は、在日米軍が戦争訓練・治安出動訓練の一環として被災地に展開した「トモダチ作戦」に謝意を示し、「日米同盟の深化」を確認した。沖縄人民を裏切り続ける一方で、「日米同盟の深化」を語る野田首相を弾劾する。
 他方、首相より一足先にアメリカ入りした沖縄の仲井真弘多知事は、九月十九日のワシントンでの講演で「(普天間基地の)辺野古移設は難しい」とクギをさした。仲井真知事はその理由に県議会の全党派と沖縄の全四十一市町村長が県内移設に反対していることをあげ、「銃剣とブルドーザーで基地をつくるのか」と民主党政権の対応を批判している。二〇〇六年一期目の知事選で「条件付きで県内移設」すなわち辺野古移設容認を公約に掲げていた仲井真知事に、辺野古移設でも嘉手納統合でもなく「県外移設しかない」とまで表明させた根拠は、一昨年の11・8県民大会、昨年二月の名護市長選での勝利、4・25県民大会、5・16普天間包囲行動、九月の名護市議選の圧倒的勝利へと続いた沖縄人民の「怒」のマグマの爆発であり、なにより辺野古や高江で継続されている現地実力攻防の成果にほかならない。沖縄の世論が、普天間基地の「県外移設」を主張していることの意味を野田政権は真摯に捉えるべきだ。「最低でも県外」は鳩山由紀夫元首相個人の意見ではない。〇九年「政権交代」時の民主党の選挙公約である。民主党政権は最後までこの責任をとらなければならない。われわれは日米帝国主義の差別軍事支配と不屈にたたかう沖縄人民の解放闘争を支持し、各地で反戦・反基地運動の高揚をつくりだすために奮闘する。普天間基地の即時無条件撤去の階級決戦に勝利できるかどうかが根本から問われている。
 福島第一原発の大爆発から七カ月以上が経過したが、いまだに事故収束のめどは立っていない。大量の放射性物質が撒き散らされ、各地に土壌汚染、海洋汚染をもたらし、将来にわたって健康被害が問題になることが予想されている。全国的に高揚している反原発世論に押されて、七月十三日に菅直人前首相が「脱原発依存」を明言した。しかし、野田首相は就任直後の記者会見で「長期的には脱原発」とあいまいに語りつつ、停止中の原発を再稼動させる方針を進めてきた。そして、九月二十二日の国連・原子力ハイレベル会合では「原発の必要性」をアピールし、「来年の春以降に再稼動できるものはさせていく」と主張した。また、藤村修官房長官は関西電力会長でもある森詳介関西経済連合会会長の要請を受けて、再稼動の時期を来年二月に前倒しする可能性すら示唆している。さらに、前原誠司政調会長は「日本の原発の安全性への信頼は揺らいでいない。原発輸出は推進する」と語り、ベトナムなどへの原発輸出を推進する意志を示した。未曾有の原発事故を招いた張本人たちがなにも責任をとらずにいる。「脱原発依存」を撤回し、原発の再稼動と海外への輸出・拡散に突き進む野田政権は徹底的に批判されなければならない。
 東日本大震災による死者は一万五千名を超えている。いまなお四千名以上が行方不明のままである。避難者は八万人を超え、その八割以上が福島県民である。瓦礫の撤去は進まず、労働者人民の生活の復旧・復興への道はきびしい。雇用と住居、生活の破壊は深刻である。かけがえのない肉親・友人を失い、甚大なストレスを抱えるなかで、被災者の間で精神的・肉体的な疾病、孤独死、自死などが増加している。あらためて、被災地のみなさんに心からの哀悼とお見舞いの気持ちを表明する。
 岩手県では避難所から仮設住宅にすべての避難者が移ったと宣伝されているが、プレハブの仮設住宅には二年間の入居期限があり、食費や光熱費は自己負担である。多くの労働者、農民、漁民、中小零細経営者が震災で職場、田畑、漁港、会社に壊滅的な打撃を受け失業状態にある。とりわけ、在日・滞日外国人、障害者、病者、高齢者など被差別大衆人民に差別・抑圧が拡大強化されている。国家予算・資源の大規模な投入と長期的なサポートが求められている。われわれは労働者人民の運動のあらゆるルートを通じて、長期的な被災地支援に取り組んでいく。現地被災者の自己決定権とヘゲモニーによる復旧・復興を継続的に支援していこう。階級支配と差別抑圧支配を再生産していく日帝―独占資本の新自由主義的な「復興計画」を粉砕しよう(『戦旗』一三七八号の三面論文『政府・財界の震災復興計画批判』を参照されたい)。「復興財源」の名による大増税をゆるすな。労働者人民の力で大企業の内部留保(約二百五十兆円)を吐き出させ、在日米軍支援費(年間千八百五十億円の「思いやり予算」と約三兆円の米軍再編費)や軍事予算(約五兆円)の巨額支出を復興支援に転用させよう。
 自公旧政権勢力に接近し保守大連立を志向する野田政権を打倒しよう。二年前の「政権交代」時、人々に「変革」を期待させた民主党の社会民主主義的な政権公約は、いまやほとんど破棄ないし見直しとなっている。米帝追随の戦争政策と米軍再編、大増税と新自由主義政策による格差拡大・貧困化攻撃がふたたび労働者人民を襲おうとしている。われわれは街頭や闘争拠点から、人々の様々な要求を結合させ、反政府闘争の発展に力を尽くしていく。


  ●第2章 深まる世界的経済危機、世界規模で労働者が決起

 ギリシャ政府の債務不履行(デフォルト)の懸念やイタリア国債の格下げという事態のなかで、ユーロ安が急激に進んでいる。欧州の財政危機は深刻さを増している。これはEU各国政府の危機にとどまらない。ギリシャをはじめとする各国政府に貸し付けを行っている民間銀行の危機へと連動し、世界規模の金融危機、経済の縮小へと進むことになるだろう。〇八年九月のリーマン・ショックに端を発した二九年大恐慌を上回る規模の世界恐慌が、第二幕へと突き進むことになる。
 九月二十二日にワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議では、ギリシャ危機についての議論が中心に据えられた。ギリシャの国家財政破綻によって大打撃を受ける欧州民間銀行の破綻と、そのことが引き金となって起きる世界的な金融危機が現実味を帯びてきたのである。G20の財務相・中央銀行総裁たちは、急遽「共同声明」を発表し、「欧州金融安定化基金(EFSF)の役割強化」といった「対策」をとることを確認した。だが、これらは「危機の先送り」でしかない。
 金融危機を招いた責任は、新自由主義グローバリゼーションによってあくなき利潤を追求してきた巨大独占資本にある。そのツケを労働者人民に押し付けることに対して、欧州各地で労働者人民の怒りが頂点に達している。ギリシャでは官民一体となった労働者のストライキやデモがたたかいぬかれ、イタリア、スペイン、ポルトガルなど南欧諸国にも波及している。英国では若者による暴動が、フランスでは学生の反乱が起きている。九月中旬からは、高い失業率に苦しむアメリカの若者たちが「ウォール街を占拠せよ!」「税金は金持ちからとれ!」「敵は金融資本主義だ!」と大量の逮捕者を出しながら、ニューヨークのズコッティ公園を拠点にしてデモ行進やブルックリン橋占拠闘争をたたかった。デモは保守層の強いテキサスなど南部地域を含めて全米に広がっている。十一月三~四日には、フランスのカンヌでG20首脳会議が開催されようとしている。抗議の声をたたきつけていこう。


  ●第3章 全国から11岩国行動に総決起しょう

 アジア共同行動(AWC)日本連絡会議は、十一月二十六~二十七日に山口県岩国市で「アジアからすべての米軍基地を撤去しよう!岩国基地強化に反対する国際集会」を軸とした「岩国行動二〇一一」を準備している。われわれはAWC日本連の取り組みを全力で支援する。沖縄―岩国―神奈川をはじめ、各地の反基地住民運動の結合はますます強化されている。こうした住民の苦闘とつながり、韓国やフィリピンなどアジア太平洋地域の米軍基地撤去・米軍駐留反対の運動と連帯していこう。普天間基地の辺野古移設をあくまで強行しようとする野田政権の「日米同盟の深化」路線と対決し、米帝の東アジア覇権政策と固く結びついて進められる日米軍事同盟、韓米軍事同盟強化を根底から打破していくために十一月岩国現地行動に総結集しよう。
 米軍再編計画のもと、自公政権が厚木基地の空母艦載機部隊の岩国移駐を日米政府間で合意して以降、北東アジア最大規模の米軍基地に変貌する基地大強化に反対し、岩国市民は二〇〇六年三月の住民投票、二〇〇七年十二月の一万人集会、陸・海・空・テーブルの四件の裁判闘争などをたたかい続けてきた。艦載機移駐計画に伴って進められてきた愛宕山米軍住宅建設計画に対しても、二年間に渡って座り込み闘争を展開している。東日本大震災を受けて、愛宕山を守る市民連絡協議会の市民たちは、愛宕山開発跡地を米軍住宅ではなく「被災者支援住宅」に転換させようという運動をはじめた。これに全国から賛同・支援しよう。岩国基地への艦載機移駐と一体となった鹿児島県馬毛島への巨大滑走路建設と離着陸訓練を阻止しよう。
 韓国・済州島の江汀(カンジョン)村では、駐韓米軍が使用することを前提とした海軍基地建設が企まれている。これに対して住民たちは連日ロウソク集会を開き、実力阻止闘争を展開している。李明博政府は夏以降、闘争の中心を担う住民や活動家を不当に連行・拘束してきた。九月に入ってからは現地に公権力部隊が投入され、住民への弾圧が本格化したが住民たちは座り込み闘争を継続している。日韓反基地運動の連帯を進め、国際共同闘争で江汀海軍基地建設を阻止しよう。朝鮮半島の自主的平和統一を支持し、駐韓米軍を撤退させよう。
 沖縄現地では、普天間基地をめぐって「オール沖縄」での島ぐるみ闘争が高揚し、日米安保体制を根本から揺さぶっている。名護・辺野古新基地建設阻止や東村・高江ヘリパッド建設阻止の実力闘争が粘り強くたたかわれている。二〇一二年後半に欠陥機・オスプレイが普天間基地に配備されることが突如決定されたことに対して、沖縄の人々は猛反発している。沖縄―「本土」―アジアを貫く反基地闘争でアジア米軍総撤収をかちとろう。政府・防衛省の「新防衛大綱」に基づく与那国島への自衛隊配備への反撃もはじまっている。自衛隊誘致に依存しない島づくりを目指す住民たちは、与那国改革会議を結成して自衛隊配備に反対する署名活動を展開した。そして、二〇〇八年の自衛隊誘致署名を上回る数の署名を集めている。「本土」でも自衛隊の沖縄配備強化をゆるさないたたかいを進めよう。自衛隊配備攻撃と連動して、「つくる会」系の育鵬社版・公民教科書の採択策動が八重山三市町(石垣・竹富・与那国)で激化した。「自衛隊は日本の防衛に不可欠」と明記し、日本軍に強制された沖縄戦の「集団強制死」を歪曲した教科書が、釣魚諸島(尖閣諸島)をめぐる帝国主義的領土拡張キャンペーンのなかで、八重山地域の教育現場に持ち込まれようとしたのだ。日帝の歴史的な沖縄差別軍事支配を正当化するイデオロギー攻撃に対して、沖縄人民は採択阻止の運動に起ち上がり、教育委員会を動かして採択を撤回させ東京書籍版に変更させた。一連の動きのなかで、政府・文科省は八重山三市町の教育委員会に介入し育鵬社版の教科書採択を策動したのだ。徹底的に糾弾する。
 岩国基地は、日中全面戦争突入直後の一九三八年に、広島湾に面する川下地区での旧日本軍の飛行場建設としてはじまった歴史をもつ。水田と桑畑が広がっていた地域に、国が問答無用で住民の土地を接収して、住民を強制的に移転させて軍事基地を建設したのである。以来、岩国市民は基地による騒音、兵士が繰り返し起こす事件・事故、地方自治の破壊に苦しめられてきた。「国策」事業によって住民の生活と権利が踏みにじられ続けているのだ。沖縄の軍事基地や成田空港、そして原子力発電所の問題と同じ構造である。帝国主義・ブルジョアジーの利益のために労働者・被抑圧人民被差別大衆が抑圧され犠牲にされる政治・経済・社会のあり方を根本から覆すためにたたかおう。
 3・11以降、反原発運動への大弾圧をはじめ、各地で不当弾圧が吹き荒れている。未曾有の原発事故でブルジョア支配の正当性が揺らぐなかで支配階級は焦りにかられている。労働者階級人民は、団結し密集して反撃していこう! 大震災下の政治弾圧と差別排外主義を粉砕しよう! いまこそ、労働者階級・被抑圧人民の利害を前面に掲げよう! 十一月岩国現地に多くのみなさんが結集されんことを訴える!



 

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