共産主義者同盟(統一委員会)


1382号(2011年11月5日) 政治主張






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   全世界の反貧困・反資本主義の決起と結び、闘おう

 岩国行動2011の成功を

 愛宕山・米軍住宅建設阻止!

 普天間基地撤去!辺野古新基地建設粉砕






 全世界の資本家階級たちが、労働者人民の反乱に恐怖している。特定の国・地域をでなく、全ての地を揺るがす地鳴りに恐怖している。
 曲がりなりにも糊塗して来たように見えた、資本主義体制の反人民的本質をもはや彼らの手でおおい隠し、ごまかし通すことができなくなりつつある。支配を維持することが出来なくなりつつある。三年前のリーマンショック=金融恐慌に始まった世界恐慌の第二幕が、欧州から始まりかねない状況に、彼らはまったく打つ手を持っていない。とめどなく進行する事態に、帝国主義も、新興国資本も、弱々しく声明を出し、かろうじての「期待」やままならぬいらだちを表明するのでせいいっぱいである。
 このような中でわれわれは、アジア共同行動呼びかけの、岩国行動2011の十一月を迎える。岩国地基地の強化=米軍住宅建設に反対し、阻止する決意を新たにたたかう愛宕山地域住民・岩国市民と連帯し、また米軍基地建設に抗してたたかう韓国民衆と連帯し、米軍再編計画に巨大な風穴を開けるのだ。日本「本土」においても、米軍再編への反撃は可能なのだし、また反撃しなければならない。反基地、反米軍のたたかいを沖縄におしつけてはならない。海外におしつけてはならない。日本「本土」でのたたかいが常に問われているのだ。
 野田政権は増税や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加の意図をもはや隠そうともせず、加えて武器輸出三原則の「緩和」、原発輸出の継続を表明するなど、自民党以上の反人民性をあらわにし始めている。反原発闘争の継続と高揚を受け、それと一体のものとして、労働者人民の利害を今こそかけて、十一月岩国現地に起とう。


 ●1章 全世界で開始された労働者人民の反乱

 年頭から今春にかけて、チュニジア、エジプトなどの独裁政権をあいついで崩壊に追い込んだ「アラブの春」は、その波及力を中東・アラブ世界にとどめてはおかなかった。それは一気に大西洋を飛び越えて、実に「アメリカの秋」として現出している。金融資本主義、帝国主義グローバリゼーションの発信地アメリカにおいて、ついに学生・若者たちが決起した。参加者たちはニューヨーク市街の一角を実力占拠し、「ウォール街を占拠せよ」と呼びかけて連日街頭行動を繰り広げている。カナダの非営利組織「アドバスターズ」の七月の呼びかけが発端だと言われる今回の抗議行動は、投機目的の金融取引に課税することや金融資本からの政治献金を規制することなどを具体的要求としては掲げている。だが、その影響は当初の呼びかけの水準を大きく超えたものとして、全世界を駆け巡っている。
 十月十五日から十六日にかけて、全世界を街頭行動のうねりが一周した。パリでのG20開催に合わせた今回の世界同時行動は、スペインのマドリード広場を今春より占拠し続けてきた「本当の民主主義を今すぐに!」が呼びかけ、全世界八十カ国、九百五十一都市で取り組まれた(ロンドン、香港、メルボルン、ソウル、マニラ、東京など)。
 「要求があいまい」「主張がバラバラ」など、帝国主義者やマスメディアはたたかいの高揚に罵倒を浴びせるのに必死だ。しかし彼らはついに現れた「妖怪」の姿に恐怖しているのに他ならない。米共和党の大統領候補ロムニー(前マサチューセッツ州知事)は、「階級闘争のようなもので危険だ」と発言し、同じくケイン(ピザチェーン経営者)は許しがたくも、「ウォール街を責めるな。職や金がないなら自分を責めろ」と言った。しかし、彼らが言い募らねばならないほどの影響と衝撃を、「占拠」行動は与えているということだ。「のようなもの」だと? これが「階級闘争」そのものであることを、お前たちこそが分かっているはずではないか。そして現職オバマは、「国民のいらだちの現れだ」と「共感」「同情」を表明するほかはなくなっている。
 八月の米国債格下げショック、ギリシャ危機の再燃をきっかけとして進行するユーロ暴落=EU崩壊の危機もまた、帝国主義者の世界支配が破綻にひんしていることをあからさまにしている。ギリシャでは十月十九日より、官民あげての四十八時間ストライキがたたかい抜かれている。財政破綻を避けんがために、緊縮財政=首切り、賃下げ、増税、年金カットなどを労働者人民に強制しようとするEU、ギリシャ政府への抗議行動である。ギリシャのデフォルト(債務不履行)を回避させるべく、EUは八十億ユーロ(八千四百億円)の融資を決めているが、その前提条件として強制されようとしているのがこれら緊縮策なのだ。しかしギリシャではすでに失業率が16・5%に達し、付加価値税(消費税)も23%に引き上げられ、労働者人民の生活を圧迫している。それ自体がなにかしらの展望を開くわけでもない、いっそうの緊縮策への反撃が始まったのは当然のことだ。


 ●2章 反グローバリゼーション闘争に決起し日帝―野田政権打倒

 今次の恐慌は、いうまでもなく全世界に波及している。米帝が押し進めてきた金融グローバリゼーションは、たとえば米国内でITバブルや住宅バブルなど、いくたのバブル景気が湧いている間はうまく機能しているようにも思われたが、いったん破綻を見せるとその伝播もまたとどまるところなくグローバルなものとなる。中国やインドなど新興国の成長が、従来の帝国主義国発の危機を吸収するかのように一時は思われたもの、先の見通せぬままに長引くユーロ危機の影響で中国の成長ですらが鈍化は免れず、既に中小企業を中心に倒産があいついでいる。タイの洪水で工業団地が操業停止に追い込まれていることもまた、そうした状況に拍車をかけずにはおかないだろう。国際通貨基金(IMF)は十月十三日、アジア太平洋地域の二〇一一年経済見通しを下方修正せざるを得なかった。
 このような中で帝国主義日本の没落ぶりも鮮明だ。インド国内の経済紙が九月、インドのGDP(国内総生産)が購買力平価(PPP)ベースで、日本を抜いて世界第三位になると報じた。購買力平価はより物価の実態に即した指標であり、国や通貨の「実力」を反映しているとも言われる。日本はこれで見た場合に二〇二〇年までにはさらに順位を下げ、マレーシアと同程度になるという予測もある。
 先述の世界同時行動では、日本においても東京都内三カ所で、五百人が街頭に出た。東京電力や経済産業省にもデモは押し寄せた。日本もそうであるように、参加者の多くは若者たちである。世界中の参加者、特にいわゆる「先進国」の若者たちに共通して言えることは、彼らが前世紀末から今世紀にかけて初めて登場した、「親より貧しい世代」であるということだ。彼らはある意味で、先行する世代よりも資本主義体制の矛盾、反人民性をはるかに知っている。理屈や理論ではなく、「体で分かっている」世代であると言ってもいい。彼らは「アラブの春」に共感、というより共鳴、共振し、アラブ世界の若者たちと同様にインターネットを駆使し、あっという間に地球を一周する同時行動を実現させたのだ。われわれはこうした若者たちのたたかいに合流し、断固革命派の側へと獲得するのでなければならない。未分化なまま存在する資本主義・帝国主義打倒に向けた積極的憤激と、がっちりと結合を果たすのでなければならない。
 「アラブの春」として始まった独裁打倒の決起が、現下帝国主義足下のたたかいの高揚へと伝播することはしかし、考えてみるに不思議なことでは全くない。ともに打倒すべき敵は帝国主義による支配であり、経済格差であり、戦争と生活破壊なのだから。今こそプロレタリア国際主義の旗幟を鮮明にしてたたかおう。


 ●3章 岩国現地に総結集し、「日米同盟の深化」粉砕

 恥ずかしげもなく「保守政治家」を自称する野田佳彦は政権を発足させた早々から、その反人民性をあらわにしている。とりわけ「日米同盟基軸」の軍事外交政策に至っては、自民党政権時代でもやれなかったことを推進しようとしている。民主党政調会長前原がアメリカ国内でのシンポジウムにおいてわざわざぶち上げた、武器輸出三原則と、PKO参加時の自衛隊の武器使用基準の「緩和」はその最たるものである。もはや自民党を下野させた「政権交代」の意義はついえ去った。民主党政権自体が労働者人民からする打倒の対象となりつつある。
 現情勢下でたたかわれる十一月岩国闘争は、第一に、野田政権の押し進める「日米同盟の深化」を根底から打ち砕くたたかいである。
 野田は就任早々の米帝オバマとの首脳会談(九月二十二日)で、「日米同盟の深化・発展」を目指すことでの一致を見た。それはすなわち、二〇一四年までに実現するものとされる世界的な米軍再編計画を受けて、沖縄の差別軍事支配をいっそう強化し、中国、朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策を続けるということであり、「対テロ戦争」という名の侵略反革命戦争を、ともに推進しようということにほかならない。
 野田政権のもとで、岩国現地の情勢は急展開を見せている。十月十七日、防衛副大臣渡辺は山口県庁と岩国市役所を訪問した。愛宕山宅地開発跡地を、国が百六十八億九千万円で買い取ることと、米軍住宅とともにスポーツ施設を建設することなどを、山口県と岩国市に対して明らかにしたのである。当日、山口県庁と岩国市役所の前では、「愛宕山を守る会」、アジア共同行動をはじめとしたたたかう仲間が渡辺の訪問を迎え撃ち、弾劾した。渡辺は県庁到着時こそ玄関から入ったが、弾劾の声に恐怖して裏口から出て岩国へと向かうというありさまだった。県知事二井は既に、十一月末開会の十二月県議会で跡地を売却するかどうかを表明すると宣言している。岩国行動2011はまさに、その県議会の直前にたたかわれるのである。岩国市民は、米軍住宅建設計画撤回までたたかい抜くことを宣言している。岩国市民と連帯して、米軍住宅建設を阻止し、厚木からの艦載機の移駐を阻止し、岩国基地の強化を阻止しよう。
 また岩国基地に移転して来る艦載機の陸上離発着訓練(FCLP)の訓練場候補地とされている鹿児島県馬毛島についても野田政権は、県や地元住民の反対を押し切って買収してしまおうとしている。地元の訓練反対のたたかいは続いている。種子島・屋久島一市三町の、実に人口の54%に達した反対署名が、十月二十日、防衛省と外務省に突きつけられた。われわれは岩国のたたかいと一体のものとして、馬毛島での離発着訓練阻止をたたかわねばならない。
 岩国闘争は第二に、沖縄はじめ全国の反基地闘争とかたく連帯してたたかわれる。野田は沖縄についても攻勢を強めている。九月の日米首脳会談で、普天間基地の名護市辺野古への移転を具体的に進展させよと恫喝された野田は、なんの展望もないままに関係閣僚の沖縄訪問=襲撃を繰り返している。十月十一日の川端沖縄開発相に続き、渡辺の来山と同日の十月十七日、防衛大臣一川が訪沖し、知事や名護市長が揃って反対する中、辺野古沖への新基地建設の環境影響評価(アセスメント)の評価書を沖縄「県」に提出することを通告した。さらに十九日には外務大臣玄葉が名護市を訪れ、辺野古移設を進めるとこれまた名護市長に通告してみせた。十一月APECでの首脳会談、来年一月の訪米を控えて、「実績」(もしくはアリバイ)づくりになりふりかまわず突き進もうというのだ。これを許してはならない。普天間基地の即時閉鎖、返還を求めてたたかおう。辺野古新基地建設を阻止しよう。また、国頭村高江の、ヘリパッド建設を阻止しよう。新型機、NV22オスプレイの配備を阻止しよう(配備されれば、当然「本土」にも飛来するのだ)。また、「島嶼防衛」を口実とした自衛隊の増強を阻止しよう。八重山への、「つくる会」系教科書の強制は、これと一体の攻撃なのである。育鵬社版公民教科書の強制を許すな。神奈川、厚木とともにたたかおう。
 第三に、アジア連帯とりわけ韓国の反米軍、基地建設阻止のたたかいとの連帯である。韓国では済州島の江汀(カンジョン)海軍基地建設を阻止するたたかいがたたかわれている。九月に岩国においてかちとられたシンポジウムには、沖縄はじめ韓国の人士も参加した。国際共同闘争の陣形が形づくられつつある。岩国に参集する民衆の隊列を組織しよう!


 ●4章 反原発、反戦、反貧困、労働者の利害を貫く闘いを

 「3・11後」の情勢の中、反原発のたたかいはとりわけても重要である。事故発生から半年の九月十九日、「さよなら原発一〇〇〇万人アクション」が明治公園に六万人を集めて勝利的にかちとられた。
 福島第一原発の「事故」は今なお、全く収束を見せていない。メルトダウンした核燃料の状態も所在も、いまだに分かってはいないのが現実だ。首都圏のいたるところで今なおホットスポットが発見され、被災地域の「除染」には莫大な費用がかかり、しかも展望が見通せないことが明らかとなっている。東電と政府は十月十七日、原発の「冷温停止」段階を年内に達成すると発表したが、溜まる一方の使用済み燃料や核廃棄物、がれきの処理などには何のめども立っていない。何より、被曝労働者の列が途切れることがない、というのが現実だ。原発のみならず、原子力産業のある限り被曝労働者が生み出される。「原子力の平和利用」などというまやかしを、反原発闘争のいっそうの高揚で葬り去らなくてはならない。「やらせメール」の発覚など、世論の粉飾、ごまかし、ウソなしでは原発を推進して来れなかった、という現実があらためて明らかになっている。ウソにまみれた原発の再稼働を許すな。すべての原発を停止し、廃炉にせよ。原子力空母を横須賀からたたき出せ。
 反原発闘争の高揚こそは、支配階級を今最も震撼させている。それゆえ、各地での反原発闘争・デモへのでっち上げ弾圧があいついでいる。またインターネットで広まりを見せる民衆のたたかいに恐怖した民主党政権は六月に、ネットでの発信内容をチェックできる「コンピューター監視法」を成立させている。また十月一日をもって「暴力団排除条例」の全国化が完了した。次には、革命派、労働組合などに社会的排除の攻撃をなそうとするだろう。治安弾圧体制の強化を許さず、これを内側から食い破るたたかいをやり抜こう。民衆の利害をこそ掲げ、貫くたたかいをやり抜こう。


 

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