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『戦旗』第1364号(2011年1月20日)



  ■二〇一一年 第二新年号

 朝鮮戦争阻止の反戦闘争を!

 反貧困・反失業、排外主義粉砕!

 労働者階級人民の未来を拓く労働運動・青年運動の前進を




 ■第4章―政治運動方針


 労働者階級被抑圧人民の闘い推進し

 反動化強める日帝―菅政権打倒へ



 ●1 階級闘争情勢と日帝打倒の任務


 世界恐慌が深化した二〇一〇年、世界資本主義の不均等発展は明らかである。米国、欧州の経済金融危機・高失業が続き、日帝も財政危機・デフレ・長期不況に低迷する一方、「高成長」する中国、ブラジル、インドなど新興資本主義大国へのパワー・シフトが生まれている。帝国主義・大国諸国はG20に端的な金融資本・大企業を救済するための国際協調をとっている。同時に、国益重視・保護主義による資源・市場の争奪戦は激烈化している。
 世界史の大転換期が始まった。国際階級闘争は次の特徴を示している。イラク・アフガン戦争の負担にあえぎ経済危機に陥った米帝は歴史的な没落過程に突入した。中南米では、キューバの反帝民族解放―社会主義のたたかいを先頭として、ベネズエラ・ボリビアなど反米民族左派政権がつづき、総じて反帝民族解放闘争が前進している。欧州では財政再建・IMF融資の下で、雇用・福祉・賃金の破壊や民営化・失業・貧困化に対する労働者人民・大学生高校生・労働運動の広範な統一行動・ゼネストがたたかわれている。中国や東南アジア各地では、「高度成長」のもとで、貧富の格差拡大と人民闘争がはげしい。要するに、階級闘争が高揚し激化している。金融資本・独占資本による搾取、抑圧、ならびに排外主義・人種差別主義勢力の攻撃、これと対決する労働者人民の抵抗闘争と統一行動の巨大な発生、これらがはっきりと進んでいる。かつて、マルクス・エンゲルスは「フランスにおける階級闘争」において、一八四八年当時の二月革命はその前年の世界的商業恐慌が押し上げたと言っている。その教訓は、今日でも生きている。現在、二年前に勃発した世界恐慌が長引き、プロレタリア社会主義革命運動の復活が各地で始まっている。
 周知のように、バブル崩壊以降、日帝ブルジョアジーは、その危機突破の戦略を模索してきた。それは、新自由主義の諸政策の推進、労働者人民への搾取、抑圧の強化、アジア太平洋経済支配の拡大である。そのために日帝ブルジョアジーは、帝国主義的権益を軍事力で支配する九条改憲―戦争国家化を不可欠と考え、大転換を狙ってきた。ところが二〇〇九年に歴史的政権交代が起こった。新自由主義が生み出す格差と貧困に辟易した日本労働者人民は自民党長期政権の退陣をかちとった。民主党政権の登場である。その政権公約は、内部に労働者人民・中小零細・地方・農民などの変革要求を抱え、同時に独占ブルジョアジー・労働貴族による保守二大政党支配・九条改憲―戦争国家化の要求に立とうとした。この間の民主党政権は、このジレンマを噴出させた。沖縄人民を先頭として岩国、神奈川など全国的な反基地闘争の高揚が、普天間基地撤去、「米軍再編・米軍地位協定の見直し」を強く迫った。労働者人民は新自由主義反対・雇用確保・派遣法廃止の反貧困・反失業をたたかった。結局、鳩山首相・小沢幹事長の辞任後、菅政権は帝国主義ブルジョアジーの利害に純化し、公約破りと路線転換へ到った。
 当然、菅民主党政権は基軸政策を失い、米帝に追随し、財界に屈従し、官僚の主導と支配を横行させ、ボロボロである。求心力を低下させながら保守野党との連合によって、次の反動的反人民的政策を強行しようとしている。すなわち、米帝の要求する米軍再編・日米軍事一体化、新日米同盟による九条実質改憲―戦争国家化の攻撃である。新自由主義へ回帰した新成長戦略とアジア太平洋経済圏の支配、そのための「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)やTPPの推進。許しがたい法人税5%減税と消費税大増税策動である。さらに朝鮮戦争危機や、釣魚諸島・「北方四島」の帝国主義的領土拡張主義を激化させ、右翼ファシスト・排外主義勢力を活発化させ、日米韓による臨戦態勢、新防衛大綱・中期防を推進しようとしているのだ。
 二〇一一年を迎え、反動化を強める日帝・菅民主党政権の打倒は、労働者階級・被抑圧人民のたたかいによってこそ実現しなければならない。我々は、日帝・菅政権打倒の全人民政治闘争を総力で組織し、その先頭に立つ。アジアや世界各地で発展する国際階級闘争と結合し、日帝本国の新たな階級闘争構造を飛躍的に前進させ、日帝打倒―プロレタリア社会主義革命のたたかいをしっかりと組織する決意である。以下、二〇一〇年の闘争成果と二〇一一年の政治闘争方針を提起する。同志、友人がともにたたかうことを訴える。


 ●2 米軍再編・APEC粉砕闘い抜いた二〇一〇年

 まず、二〇一〇年のたたかいの成果を確認しよう。
 第一には、反戦平和・反基地・米軍再編粉砕闘争の前進と、日米帝による差別軍事支配と対決する沖縄人民の解放闘争の大勝利と成長である。また岩国市民の基地強大化に屈しない闘争主体の力量も飛躍し成長した。神奈川反基地闘争も粘り強くたたかった。総じて反戦平和・反基地・米軍再編粉砕の労働者人民の闘争力量は強まり、安保五十年に際し、新日米安保共同宣言を許さなかった。一月の名護市長選勝利、4・25沖縄県民大会の九万人を超える総決起、5・16の一万七千人による普天間基地包囲、5・28辺野古回帰の日米合意に対する怒りの沸騰、九月名護市議選では辺野古新基地反対派=稲嶺市長派の圧勝、十一月沖縄知事選で伊波候補の善戦と仲井真に「県外移設」を強制したことなどである。岩国では、厚木艦載機移転阻止・愛宕山米軍住宅反対をかかげ、爆音・公有水面埋め立て反対・愛宕山米軍住宅阻止などの裁判闘争(裁判の略名称は岩国爆音訴訟、公有水面埋立事業認可取消訴訟、愛宕山開発事業取消処分取消訴訟、および公文書非開示決定取消訴訟)、五月の四千人集会、沖縄・岩国・神奈川の相互連帯の強化、八月から「愛宕山跡地を見守る集い」(座り込み)の展開、そしてアジア共同行動(AWC)日本連と岩国労働者反戦交流集会実による十二月「二〇一〇岩国行動」などである。神奈川でも米核空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化阻止、座間基地強化反対、厚木爆音訴訟などがたたかわれた。とくに沖縄人民の自己決定権を要求する巨大なマグマが爆発した。岩国市民も、政府と対決する主体力量を高めている。継続して取り組まれてきた岩国国際集会においては、韓国・フィリピンなどとの反米軍国際連帯行動が蓄積されてきた。そして、左派労働運動勢力と岩国住民との相互交流からの団結が進み、平和的生存権・生活権に立脚した反戦平和・反安保のたたかいが構造的に推進されてきている。画期的である。
 第二には、昨年十一月のソウルG20―横浜APEC反対のたたかいでは、反帝国際共同闘争の国際的隊列が組織されたことである。AWC国際部隊は、戒厳弾圧をうちやぶり、フォーラム・集会・デモの実力抗議闘争を展開した。ソウルG20には、AWC日本連の現地派遣団が組織され、李明博政権の入国拒否策動を打ち破り、一万規模の反G20国際闘争に合流した。直後の横浜APEC粉砕闘争では、二万数千名の警察権力をはじめ海上保安庁・消防・自衛隊・米軍などによるAPEC会場防衛・要人警備の戒厳弾圧と真っ向から対決し、反帝国際主義派の「横浜APEC反対国際行動」実行委がたたかった。海外ゲストのAWC韓国委員会、フィリピン・バヤン、台湾労働人権協会、インドネシア労組連盟会議(KASBI)は、日帝の入国拒否策動を突破した。AWCの国際隊列は、日米帝国主義打倒・米軍アジア総撤収・新自由主義グローバリゼーション粉砕をかかげ、改良派・日和見派の国際的潮流と分岐し、広範な統一デモに合流し、かつ独自展開をくりひろげた。その二日間の朝から夜までの連日の抗議行動に続いて、三日目の横須賀では反米軍基地デモとAWC・CCB(「日米のアジア侵略支配に反対するアジアキャンペーン」・国際キャンペーン調整委員会)が開催された。すなわち、反グローンバリゼーション・反戦の国際共同闘争を進め、排外主義勢力とたたかい、反帝・プロレタリア社会主義革命を内包する大衆的国際隊列が組織されたのである。この意義と成果は大きい。
 第三には、右翼ファシスト・排外主義勢力の台頭・差別襲撃を許さず、その社会的包囲と解体のたたかいを推進したことである。今日、階級矛盾と対立が激化する中で、在特会・主権回復を目指す会など排外主義勢力が台頭し、京都朝鮮初級学校への悪質な襲撃事件、在日朝鮮人や滞日外国人・移住労働者への差別・排除を狙った強襲が横行している。朝鮮学校の無償化反対や、「尖閣防衛」をかかげ、反基地闘争を「売国行為」と罵倒するなど、やつらは民族排外主義攻撃を激化させている。これに対して、「排外主義とたたかうネットワーク関西」や首都圏など各地でのファシスト・排外主義勢力粉砕の大衆的たたかいが推進されてきた。このたたかいは、一時代をめぐる重要なたたかいである。その攻防は、若者の組織化を革命的左翼が主導するのか、それとも排外主義集団に渡すのかを問う熾烈なものである。我々は、ファシスト・排外主義勢力とのたたかいにおいて、大衆的かつ広範な社会的なたたかいへとこれを押し上げ、その先頭で断固として担ってきた。
 第四には、左派労働運動の建設、青年学生の組織化、被差別大衆の自己解放運動、反帝闘争拠点の三里塚闘争を断固進め、新たな階級闘争構造の建設に奮闘した。歴史的政権交代後、国鉄闘争の政治解決が一気呵成に進められ、派遣法廃止にむけた抜本的改正・雇用破壊阻止の国会闘争、最賃千円など賃上げ闘争、解雇・失業攻撃とのたたかい、労働相談・未組織労働者の組織化が全労協など左派労働運動において取り組まれた。これを推進した。教育労働者に対する「日の丸・君が代」強制・新自由主義攻撃に反対するたたかいもまた担った。全国数大学の拠点化、反戦・新自由主義反対の政治サークル活動への青年の組織化を進めた。女性解放運動、部落解放運動、障害者解放運動、反戦反核反原発被爆者解放運動、反入管闘争を展開してきた。そして農地強奪・軍事空港建設に実力で反対する三里塚反対同盟農民とともに現地闘争をたたかい、市東さんの営農と生活を破壊する攻撃をはね返してきた。
 二〇一〇年の闘争総括として、とくに強調しておくことがある。一つは、沖縄―岩国―神奈川のたたかいを結合し、アジア人民と連帯して、米軍再編粉砕闘争を牽引したこと。二つは、横浜APEC粉砕闘争において、日米帝などの新自由主義的略奪支配と「対テロ」戦争協力を根底から批判し、戒厳態勢を打ち破る反帝国際共同闘争の隊伍をもって戦闘的な街頭行動を組織したことである。我々は、共産同の党派性である「プロレタリア国際主義と組織された暴力」と階級的労働運動建設を実際に継承し、安保粉砕―日帝打倒の今日的課題を総力で推進したのである。これは他の追随をまったく許さない、わが同盟の政治闘争組織化の核心である。


 ●3 朝鮮戦争阻止・排外主義粉砕の二〇一一年へ

 我々は、二〇一〇年の攻防戦・階級闘争の成果に立脚し、二〇一一年階級闘争の前進を総力で組織していかねばならない。菅民主党政権は政権交代時の公約を投げ捨て、その「階級融和」の仮面は完全に崩れている。変革への期待を裏切られた労働者人民の政治経験を、諦めや排外主義の側へ後退させてはならない。菅民主党政権のブルジョア的帝国主義的な階級的本質を全面暴露し、労働者人民の階級形成をいっそう促進する運動を展開することである。そのためにも、沖縄人民の解放闘争や岩国住民のたたかいなど、前進する反戦平和・基地撤去―安保破棄のたたかいをさらに大きく組織していかねばならない。右翼ファシスト・排外主義勢力を粉砕し、反帝国際主義のたたかいを進めなくてはならない。そうしたなかから、資本主義・帝国主義打倒―プロレタリア社会主義革命運動の希望をつくり出していこうではないか。以下、二〇一一年政治闘争方針を提起する。
 二〇一一年の政治闘争任務の第一は、雇用破壊・貧困・失業に困窮する労働者人民の抵抗と決起・団結を促進し、反貧困・反失業の怒りの要求を全人民闘争として、菅民主党政権と真正面から対決することである。これは、独占資本の新自由主義グローバリゼーション攻撃に反対する政治闘争の一環である。失業・貧困化はますます深まっている。菅政権は「雇用」を連呼しているが、実際は経団連・労働貴族などと親密化し、法人税5%減税―消費税の大増税を推し進めている。5%超の高失業率が続き、若者の就職難はこの上ない。職場や地域で、労働者人民が困苦を究めている。非正規職で低賃金・長時間労働で使い捨てされ、健康・いのち・教育・福祉が著しくそこなわれている事態の変革が政権交代で期待された。だが、現実はまったく変わらない。悪くなるばかりである。派遣法「抜本改正」は、抜け道だらけで、審議さえされなくなった。政治闘争は、労働者人民の経済闘争と結合することによって、大きな階級的意義を持つ。このマルクス・レーニン主義の重要な実践理論に立脚しなくてはならない。二〇一一年を通じて、労働者人民の反失業・反貧困のたたかい、生存権と労働基本権確立のたたかいを推進しようではないか。最賃千円の棚上げ策動を突き破り、派遣法・有期契約労働を規制するたたかいを強め、労働者・被抑圧人民の雇用・生活・権利の前進にむけて連帯・団結を組織化しよう。全労協など左派労働運動の11権利春闘は、全職場でスト権を確立し、「大幅賃上げをかちとり、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を!」を掲げている。これに断固勝利しよう。国鉄闘争で残された雇用問題の解決や、日航の不当労働行為と百七十名整理解雇に対する反対闘争など、あらゆる労働争議の勝利に向け、支援していこう。日帝―菅政権打倒にむけた労働者人民の階級闘争基盤を拡大し、打ち固めよう。
 第二には、日米韓による朝鮮戦争攻撃や釣魚諸島制圧、台湾海峡・中国への軍事介入策動に反対し、国際反戦闘争を全力で組織化することである。昨年、朝鮮半島・東アジアでは、米帝とその同盟国である日帝・韓国による朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国とする)への核戦争策動・軍事攻撃準備が極度に高まった。韓国哨戒艦・天安沈没事件、南北砲撃戦が発生し民間人の犠牲を生んだ延坪島事態、これらを共和国側に「原因」があるとする一方的なデマ・キャンペーンが流されている。事態の主要な責任は米帝と日帝にある。一九五〇年にぼっ発した朝鮮戦争は「停戦」として現在まで継続している。米帝は、米朝間の平和協定・国交正常化への転換を拒否し、共和国解体の戦争重圧を強め、米日韓は臨戦態勢を一貫して強化している。日帝は民族排外主義を組織し、共和国敵視・制裁・朝鮮戦争準備をもって、自衛隊・在日在沖米軍基地・日米軍事同盟の強化に利用している。昨年、米核空母ジョージ・ワシントンを中軸とした過去最大規模の日米韓による戦争演習が強行された。膨大な消費市場・天然資源・海洋権益が存在する北東アジア。日米帝はここにおける権益争奪戦の一環としても朝鮮戦争準備や釣魚諸島制圧を位置づけている。
 イラク・アフガンの反戦闘争とともに、朝鮮戦争阻止・排外主義粉砕の国際反戦闘争を総力で推進しようではないか。朝鮮半島の南北労働者人民による自主的平和統一を支持し、在日朝鮮人・韓国人のたたかいを支援し、アジア米軍総撤収、米朝平和協定・国交正常化、日朝国交正常化を要求してたたかおう。日帝が日清戦争の渦中で釣魚諸島を強奪した歴史的経緯を踏まえ、日本政府はその領有権を中国へ返還しなくてはならない。新防衛大綱の「動的防衛力」が日帝のアジア軍事侵略への転換であること、その「南西諸島防衛」は与那国島・宮古島・石垣島など沖縄への自衛隊(日本軍)配備増強にほかならない。沖縄人民、アジア人民と連帯し、排外主義を粉砕し、強まる日米韓の臨戦態勢・軍事演習―朝鮮戦争・中国攻撃の策動を阻止し、国際反戦闘争を断固組織していこう。
 そのためにも第三に、沖縄解放闘争、岩国や神奈川における基地強大化阻止のたたかいを結合し、米軍再編―新日米軍事同盟を粉砕するたたかいは決定的である。沖縄人民は、普天間基地撤去―辺野古新基地建設阻止のたたかいを確固として進めている。にもかかわらず、辺野古移設の押し付け等、日米帝による沖縄の差別軍事支配が強まっている。仙谷の「甘受」発言、前原外相の「辺野古移設まで普天間基地を継続使用する」という暴言、北沢防衛相にいたっては名護市への米軍再編交付金十六億八千万円の打ち切りをぶち上げた。高江ヘリパッドの昨年十二月二十三日の工事再開や、直後の米軍ヘリによる反対テント損壊事件がひき起こされている。先日の過去最大規模の日米軍事演習では、嘉手納基地で一日平均百二十七回の爆音被害、幹線ラッシュ時の軍事移送優先、民間機制限による郵便の遅れなど、沖縄人民の生活・環境の破壊が極限化している。来年度予算では「思いやり予算」千八百九十五億円、米軍再編関連予算千二百三十億円、グアムへの海兵隊司令官庁舎建設工事費や上下水道整備時に五百三十二億円、沖縄振興交付金三百二十一億円などが計上されている。断固阻止しなくてはならない。名護市や高江の攻防、与那国・宮古・石垣など自衛隊配備阻止など、沖縄差別軍事支配からの解放闘争をいっそう強めよう。同時に「本土」の反基地反安保の高揚をつくりだすことが求められている。日米の差別軍事支配を粉砕する沖縄人民の自己決定のたたかいを断固支持し、沖縄―「本土」を貫く基地撤去―安保粉砕の大衆的実力闘争を断固組織しようではないか。首都圏の沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックや「辺野古の基地建設を許さない実行委」など全国各地で沖縄解放闘争をたたかい、反基地・反安保の高揚をつくりだそう。
 岩国基地強大化をめぐる攻防も激しい。沖合拡張滑走路の5・29運用開始、愛宕山開発跡地の買取策動と米軍住宅建設計画が本格化した。厚木艦載機五十九機の岩国移転にむけ、来年度予算で駐機場・格納庫二百八十億円、基地内宿舎二百八十戸建設百三十九億円(契約ベース)、防音工事・防災センター・道路整備費など地域振興の四億五千万円、愛宕山跡地の買取費百九十九億円(一〇年度予算分)繰越のうえに米軍住宅設計費二億円など、総額三百六十三億円(歳出ベース)が計上されている。岩国市民住民のたたかいは新段階にいたっている。沖縄―神奈川のたたかいと岩国闘争の連帯と結合を進め、全国からの激励と支援の広範な組織化が要請されている。現地では、「愛宕山跡地を見守る集い」(座り込み)が一の付く日に定例化している。「海・山・空・机(原告一部勝訴にて終結)」の岩国基地訴訟が粘り強くくり広げられている。岩国現地のたたかいを激励し、支援を全国に広げなくてはならない。左派労働運動が結集した「岩国・労働者反戦交流集会実行委」の運動など、様々な現地支援の動きを推進しよう。年間を通し、かつ恒常的な岩国現地支援のたたかいを拡大し、今秋期の岩国現地国際集会の組織化を断固として支えていこう。
 神奈川の反基地闘争も重要である。米核空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化、キャンプ座間へ米陸軍第一軍団司令部の一部移転と陸自中央即応司令部移転、相模原補給廠への米軍戦闘指揮訓練センター設置、池子米軍住宅の拡張など、米軍再編強化への反対闘争を推進しよう。基地撤去をめざす神奈川県央共闘などの現地闘争に決起しよう。
 そして今春、菅訪米―日米首脳会談・新日米安保共同宣言を粉砕するたたかいがある。辺野古への強大な新基地建設を強要する米帝―オバマ政権は、米軍再編計画の進捗を点検し、日米同盟の深化を日帝―菅政権と固く合意しようとしている。日帝もまた、米軍再編・日米軍事一体化・集団的自衛権行使を基軸として、日米安保を東アジア支配の要にしようとしている。沖縄人民、岩国・神奈川の反基地闘争やアジア人民と連帯し、反帝国際共同闘争を組織し、日米首脳会談・新日米軍事同盟を粉砕しようではないか。
 第四には、AWC運動の発展を支え、反帝国際統一戦線と国際共同闘争を推進することである。すでに触れたが、昨年の横浜APEC粉砕闘争に連続してAWC・CCBが横須賀で行われた。AWCの二〇一一年運動方針となる共同決議や、朝鮮戦争六十周年に際する朝鮮反戦闘争の特別決議が採択された。アジア太平洋や世界各地の労働者人民が国際共同闘争と相互支援を進め、国際階級闘争の前進を組織することは重要この上ない。スターリン主義が国際的な共産主義運動と階級闘争を抑圧した時代は遠い過去となった。今日、国際階級闘争の結合と相互支援・連帯はますます強く求められている。各種の国際フォーラムやシンポが活発におこなわれている。だが、各国地域に労働者人民運動や階級闘争に立脚し、反戦・反米軍基地・反グローバリゼーションの反帝国際共同闘争や相互支援という復権されねばならない原則的国際主義の実践は圧倒的に不十分である。AWC運動は、このような課題を推進するべく、先進的に、実際の国際連帯・共同闘争を推進してきた。AWC運動は反帝国際統一戦線として発展し、二〇一一年の国際階級闘争を牽引していくであろう。
 AWCの二〇一一年方針が、次のような内容で確認されている。①労働者人民の生存権を破壊する新自由主義グローバリゼーションに対するたたかいを強化しよう、②アジア太平洋地域における反戦平和闘争を推進しよう、③アジアから米軍の総撤収を実現するための共同闘争をさらに発展させよう、④抑圧・人権侵害とたたかう各国・地域人民のたたかいへの相互支援を推進しよう、と。さらに、朝鮮戦争六十周年の特別決議の採択に基づき、朝鮮反戦の国際共同闘争を推進しよう。フィリピン連帯では、五月ISA派遣、フィリピン・トヨタ労組支援など日系侵出企業の争議支援、政治的虐殺・弾圧への抗議、政治犯釈放などがあるが、七月反戦反米軍基地国際集会・ILPSフィリピン開催に代表を派遣すること。韓国民衆への連帯では、労働争議支援、武建里(ムゴンニ)、群山(クンサン)など在韓米軍基地の強化に反対する韓国人民のたたかいに連帯する運動を推進すること。以上の方針を全面的に支持し、支援していこう。
 第五には、反帝・人民闘争拠点―三里塚闘争の前進をかちとり、農地強奪・軍事空港建設を粉砕することである。二〇一一年の三里塚闘争は、昨年二月の現闘本部裁判において成田空港会社が執拗に要求した仮執行宣言付き判決を阻止した勝利、ならびに昨年五月に市東さんの実力決起を頂点とする団結街道廃止粉砕闘争の爆発という勝利的地平をしっかりと引き継がなくてはならない。第三誘導路建設阻止と市東さんの農地強奪を許さない現地攻防・裁判闘争に断固として立ち上がっていかなくてはならない。
 羽田の本格的な国際化の開始によって国際空港としての地盤沈下に直面する空港会社は、市東さんのたたき出し―農地強奪と現闘本部の解体に生き残りをかけて打って出てきている。追い詰められているのは空港会社であり、日帝―国交省なのである。現闘―行動隊を先頭に現地攻防をたたかい抜かねばならない。市東さんはじめ反対同盟のたたかいにしっかりと連帯し、空港会社の攻撃を真正面から粉砕するならば、三里塚闘争の勝利は必ず切り拓くことができる。3・27全国総決起集会に全力で結集しよう。
 第六には、排外主義勢力を粉砕するたたかいである。すでに昨年のたたかいで報告したが、在特会、主権回復を目指す会など右翼ファシスト・排外主義集団の台頭が著しい。先の12・4京都朝鮮初級学校襲撃事件一ヵ年には、京都、東京などで在特会など排外主義集団による「領土奪還・朝鮮総連解体」デモがくり広げられた。これに対しては逮捕者を出すほどの抗議行動が取り組まれた。在特会など排外主義集団のあまりにむごい暴力的差別襲撃事件・反人権行為に対して、この間、被害当事者が告発し、司法権力が損害賠償や接近禁止の仮処分を出すほどとなった。だが、排外主義集団への国家権力の「弾圧」「裁判」を通じて、排外主義集団の一部がいっそう凝り固まったファシスト・排外主義勢力へと自己純化を強めている。ますますファシスト・排外主義集団への社会的包囲・解体のたたかいを強めなくてはならない。関西では「排外主義とたたかうネットワーク関西」のたたかいなど排外主義勢力を社会的に包囲・解体する広範な運動連絡会が組織されている。首都圏でも、朝鮮学校無償化実現の大衆的たたかいを組織するなど、活動家諸団体の現場共闘がたたかわれている。菅政権の朝鮮学校無償化手続きの中断、石原都政などの補助金留保の動きなどを許してはならない。排外主義集団からの差別・襲撃の対象となる被抑圧人民・被差別大衆のたたかい、解放運動をいっそう支援し、やつらの攻撃を断固阻止しなくてはならない。反差別排外主義の広範な社会運動を強め、ファシスト・排外主義集団を解体するたたかいを断固推進しよう。
 あわせて、教科書問題―今年は新学習指導要領に基づく中学校教科書採択年であり、「つくる会」「教科書改善の会」の「歴史」「公民」教科書採択阻止をめぐる攻防がある。各地で断固闘おうではないか。
 第七には、新自由主義グローバリゼーションの反対闘争を強め、WTO・FTA、APEC、TPP、G8、G20を粉砕するたたかいである。再び、市場原理主義・新自由主義・規制緩和が国際規模で強まっている。新自由主意グローバリゼーションの激化は、低賃金・長時間労働・非正規の「使い捨て労働者」・失業者を激増させ、アグリ・ビジネスの多国籍企業による遺伝子組み換え・農薬づけの危険で劣悪な農産物を拡大し、自給的農業生産を破壊し、「底辺への競争」として労働・農業・環境・健康の規制緩和を加速している。昨年の横浜APECで「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)の早期実現が合意された。その道筋は、ASEAN+3(日中韓)や+6(日中韓、豪、インド、ニュージーランド)、そしてTPP(環太平洋パートナー協定)によって統合するとした。激しい反対を踏みにじり、日帝―菅政権はTPP交渉への参加を表明した。日帝は自動車・電機・機械など多国籍企業とその関連部門、ならびに金融資本の利益を拡大し、膨大な利権となるインフラ・原発の輸出を強めている。農業では、企業化・大規模集約化への再編を進めようとしている。さらに低賃金の移住労働者の大規模導入を狙っている。これは、地産地消など自給的で安全な農業と農民生活を破壊し、移民労働者を沈め石とする全労働者への低賃金・長時間労働・非正規・貧困化を強め、郵政民営化など金融自由化、公共サービス・福祉・医療・教育の民営化と市場競争化、情報などの知的財産権の排他的独占化を強める。これが菅の言う日本「開国」なる歴史的な再編攻撃の実態である。格差・不平等と貧困化、環境・権利・生活の破壊を全社会的に構造化するものだ。日帝は五月に農業改革大綱の策定を画策し、十一月ハワイAPECにおいて、FTAAPの推進とTPP交渉締結を進めようとしている。また十一月のG20サミット・フランス会合では、金融資本・大企業の救済・淘汰とともに、各国の財政赤字削減にむけた増税・社会保障切捨て・低賃金攻撃の点検をおこなおうとしている。こうした新自由主義グローバリゼーションの攻撃に反対し、職場・地域で労働者・農民・市民の権利・雇用・生活・環境の破壊を阻止し、TPP・FTA、APEC、G8、G20への広範な反対運動をつくりだしていかねばならない。ハワイAPEC・TPPに対する反グローバリゼーション・反戦の国際共同闘争、G20フランスサミット粉砕闘争、これへの連帯と決起を推進しよう。
 最後に、被差別大衆の自己解放運動など各戦線のたたかいについて提起する。
 女性解放運動では、第一に、「基地と性暴力」の課題と運動を推進することである。沖縄をはじめ岩国、神奈川など米軍基地の存在地や近隣地域では、米兵による女性への性暴力事件が日常的に発生している。AWC日本連の岩国現地反基地集会の関連企画でも、この課題が取り組まれてきた。二〇〇七年の十月十四日、広島で岩国米兵による集団的性暴力事件が発生した。岩国反基地闘争と結合し、この事件の告発と抗議のたたかいが組織された。以降、広島事件の全国的な抗議キャンペーンが取り組まれている。こうした「基地と性暴力」の取り組みは、九〇年代以降、アジアの元日本軍「軍隊慰安婦」からの告発と戦後補償のたたかいを継承するたたかいでもある。第二に、女性労働者に対する労働条件差別・非正規・有期契約労働の使い捨てを告発し、均等待遇運動を推進することである。多くの女性労働者が、職場・地域において、資本のもとで基幹的な労働力に編成されながら、パート・有期契約・派遣など不安定雇用形態と低賃金で劣悪な差別的労働条件を強いられている。これを変革する均等待遇のたたかいは、女性労働者自らの労働運動・社会運動を形成し、活発化している。階級的労働運動発展の一環としても、きわめて重要である。またガブリエラ・ジャパンなど滞日フィリピン人女性団体から、反差別・DV被害救済・権利獲得・労働条件改善のたたかいへの支援が訴えられている。こうした滞日外国人女性(労働者)のたたかいもまた支援しなくてはならない。
 部落解放運動においては、狭山差別裁判を糾弾し、第三次再審闘争をかちとり、石川さんの無実をかちとるたたかいに勝利することである。この間、裁判所・検察・弁護士による三者協議が行われ、まったく不十分ながら、取り調べ段階の録音テープなどの新証拠の一部がようやく開示された。石川さん本人と支援による東京高裁に対する再審を求める直接の連週行動もくり返されてきた。足利事件や布川事件などの完全な冤罪の暴露・告発・再審の動きや、郵便不正事件における特捜検察官による証拠デッチあげ事件など検察批判・権力犯罪糾弾の追い風が吹いている。大衆運動を強め、全証拠を開示させ、狭山差別裁判の再審をかちとろうではないか。大不況・戦争国家化の強まるなか、差別排外主義事件の激発に対して、差別糾弾闘争の原則を堅持し、たたかおう。在特会など差別排外主義勢力の攻撃を許さず、朝鮮学校の無償化除外の差別攻撃を阻止する広範な反差別共同闘争をつくりあげよう。沖縄、岩国、神奈川の反基地闘争や労働運動と連帯し、反戦反差別・階級的共同闘争をすすめよう。
 障害者解放運動では、自立支援法廃止のたたかい、精神障害者への差別・隔離・保安処分攻撃を許さないたたかいを断固推進しなくてはならない。新自由主義に回帰した菅政権は、自立支援法廃止の公約を投げ捨て、障害者差別を助長し、障害者解放運動への敵対を強めている。この間、自立支援法延命の「障害者総合福祉法」「障害者差別禁止法」等の制定が狙われている。まさに日帝―菅政権は、障害者解放運動を国家権力の統制管理下に再編し、障害者を低賃金労働力として強搾取し、障害者の差別糾弾権や自己解放運動の根幹を解体しようとしている。それは、障害者への戦時下の抹殺攻撃である差別・隔離・保安処分の「心身喪失者医療観察法制度」の推進と一体のものである。新自由主義攻撃とたたかい、自立支援法即時廃止、保安処分・抹殺攻撃である「医療観察法制度」の撤廃を求め、障害者解放運動を推進しよう。
 反戦反核反原発被爆者解放のたたかいは、厳しい攻防にある。オバマによる欺瞞的な核兵器廃棄宣言は、昨年九月、米国の臨界前核実験によって、大嘘であることが暴露された。朝鮮半島では、核戦争危機が高まり続けている。米軍の核兵器を抱えた状況で戦争攻撃準備が強まり、これに対抗する共和国側の核実験がくり返されている。加えて温暖化対策を口実とした原発のグローバルな建設ラッシュが起こっている。とくに日帝は、原発をインフラ輸出戦略の要とし、ベトナムでの受注獲得や、核兵器保有国インドとの原子力協力協定などを通じて、莫大な利権確保を握ろうとし、核拡散化を率先して行なっている。8・6広島、8・9長崎のたたかいを強めよう。被爆者とその二世・三世・四世への国家責任を明確化した補償を実現すること、核兵器全廃・核戦争阻止、さらに原発などすべての核施設撤廃にむけ、たたかいは正念場にある。山口県上関原発の建設攻撃では、実力阻止をたたかう祝島島民や支援に対して、中国電力が数百万円の損害賠償請求の攻撃を強め、暴力的な工事着工を強行している。上関原発阻止をたたかう祝島島民や反原発運動への全国的支援を広げ強めよう。この間、韓国やフィリピン、米国などアジア太平洋の民衆運動が8・6広島青空集会への国際連帯アピールを寄せている。こうした国際連帯の力の加えて、反戦反核反原発被爆者解放のたたかいをすすめよう。
 入管闘争について訴えたい。恐慌、戦争国家化、貧困、排外主義の攻撃が強まる状況下、日帝は新自由主義政策の下、資本輸出の新たな展開をなしつつ、一方では移民労働力を導入する攻撃を進めてきた。二〇〇九年に成立が強行された改悪入管法の「研修・技能実習制度」などに関する部分は昨年から施行され、「在留カード」「特別永住者証明書」「外国人住民台帳制度」に関しては三年以内の施行ということになっている。二〇一二年までには、外国人の一元的な管理、日常的な監視が開始されようとしている。日帝は新たな入管体制をもって、資本のグローバルな展開と一体に、国家による外国人管理強化へと歩を進めようとしているのだ。われわれは、在日朝鮮人・韓国人のたたかいにしっかり連帯し、日帝の入管体制と対決していく。これは、帝国主義足下における排外主義とのたたかいの根幹であり、日本労働者階級人民の重要な任務である。
 以上、ともにたたかおう。




 ■第5章―労働運動方針

 二〇一一年を労働運動の歴史的転換点としよう



 全国でたたかう労働者の仲間のみなさん。二〇一一年の年頭にあたり、われわれのたたかいの方向について明らかにし、共にたたかうことをよびかける。今年を、労働運動・労働者階級の歴史的な転換点とし、階級闘争の新たな前進を実現する年としよう。


 ●1 菅政権の反労働者的性格と反動攻撃

 日本帝国主義―独占資本は、中曽根政権以降本格化した戦後五五年体制の右からの解体攻撃の上に、いわゆる「保守二大政党」構造をつくりだした。そして、小泉政権を頂点として「新自由主義グローバリゼーション」攻撃を労働者に集中した。
 拡大する「格差」、低賃金化と不安定雇用の拡大という攻撃は労働者の生活と権利を根底から破壊しようとするものであった。
 だが、「新自由主義グローバリゼーション」は歴史的な矛盾を露呈し破綻した。アメリカを震源とする世界恐慌の危機のなかで新自由主義の「修正」を掲げ、「国民の生活が第一」を掲げた民主党政権が登場した。一旦はここに新自由主義の矛盾を吸収しようとした。だが、現在の危機はそれで矛盾を「解消」できるような簡単なものではなかった。鳩山から菅への交代のなかで民主党政権の反動的な性格と反労働者的政策が全面化してきている。基本的性格は自民党政権と変わらないもの、まさにブルジョア独占資本の利益を代表するものでしかないということである。
 菅政権は今日、その反動的性格を全面化している。その第一は、日米同盟の堅持と拡大として、米帝との結合を一層強化している。米軍再編の強行、普天間基地の辺野古への移設を沖縄人民をはじめとしたたたかいを圧殺して強行しようとしている。
 また、岩国の愛宕山に米軍住宅をつくるための予算を計上した。「思いやり予算」をはじめとして在日米軍への支援を拡大している。また、「朝鮮危機」「領土問題」によって米軍との軍事行動の東アジアにおける拡大にふみこんでいる。
 「黄海」に米空母ジョージ・ワシントンを投入しての米韓合同軍事演習とも連動しながらの日米合同軍事演習や、沖縄・宮古・八重山・与那国への自衛隊の配備強化として東アジアにおける軍事的緊張の激化を推進している。まさに、現下の危機を軍事的な緊張と排外主義への動員として乗り切ろうとする反動攻撃である。
 「非核三原則」「武器輸出三原則」「PKO参加五原則」等の「原則」を空洞化、解体する攻撃も激化している。菅政権は、まさに「戦争」にむかう危険な政権であるということである。
 第二は、統一的世界市場の危機の深化のなかで、米帝との結合をふかめ、展望のない、国内人民に破壊的作用をもたらすTPPをはじめとした「自由貿易」政策の推進によって、一層の金融資本と独占資本の利益の防衛者となり、労働者人民からの搾取と収奪の強化にふみこもうとしている。国内的にも法人税の引き下げや独占資本への金融・財政支援による財政危機の激化を、消費税の引き上げや社会福祉の切り下げによっておぎなう大衆収奪政策を拡大しようとしている。
 第三は、「新時代の日本的経営」以来の独占資本と買収されたプロレタリア上層の利益の防衛政策をさらに激化しようとしている。「雇用」をかかげながら、その実膨大な内部留保を抱える独占資本の低賃金化を推進し、「派遣法改正」をたなざらし廃案にしようとしている。
 失業の拡大、低賃金化、非正規の拡大という労働者の一層の貧困化を拡大しているのである。
 菅政権の基本的性格は、ブルジョア独裁を支える政権であり、独占資本とプロレタリア上層の利益の防衛者にほかならない。そのために労働者人民を徹底的に搾取・収奪する「生活破壊」政権である。このままでは労働者は一層苛酷な生活と排外主義への動員の攻撃にさらされていく。今こそ、菅政権に対する総反撃のたたかいに立ち上らなければならない。
 菅政権は朝鮮学校「無償化」の差し止めをおこない、一層排外主義をあおっている。この間「日の丸」をかかげた右翼勢力の街頭デモが拡大している。まさに大きな政治的分解が進行している。
 このような情勢において、先進的な労働者は、社会的な危機と閉塞の突破を労働者階級の国際的な利益に立ってたたかうこと、労働者自身の解放の社会的実現という未来を鮮明に掲げてたたかうことこそが要求されている。われわれ共産主義者は、共産主義の未来と労働者の自己解放運動の推進こそ訴えていかなければならない。
 一一年を菅政権の反労働者政策との総対決のたたかいの本格的開始の年としよう。


 ●2 階級的労働運動再生の現在的課題

 現在、労働者階級への搾取と収奪、抑圧の激化のなかで、この閉塞状況を突破していく階級的な胎動が開始されている。その細流を本格的な反撃としていくための労働運動の階級的な再生が問われている。このことは、先進的な労働運動の指導部・活動家の共通の認識であり、その実践的なたたかいも開始されている。
 ある意味では、九〇年代初頭からの闘争構造自体の継承と転換が問われている。一一年を労働運動の階級的な前進の年とするためにたたかいぬくことが必要である。
 そのための課題の第一は、「新時代の日本的経営」以来の労働者階級に対する「新自由主義」的攻撃との総対決を大きく前進させることである。独占資本の利益を全面化し、労働者に対する支配を究極的なものとするこの攻撃は、一部の上層をのぞいて、「中間層」といわれた層を解体し、賃金の切り下げのなかで下層へとおとしこめる。また、戦後的な賃金構造から徹底した競争型の賃金体系に転換することで労働者階級を分断する。多数をしめる下層は、「労働力の流動化」のもとに不安定雇用と低賃金に固定化される。
 まさに、流動する賃金奴隷とし、同時に社会保障の切り下げと消費税等の大衆収奪を強化することで、労働者の生活そのものを困難な状況におとしこめる。生存権自体の危機である。
 そして「個人責任論」と排外主義のもとで階級としての共同性の根拠を解体しながら、徹底的に分断した上で国家への統合、独占資本への隷属をおこなおうとするのである。国家・独占資本は自らの利益をむきだしにし、その力をもって徹底した屈服を強いるのであり、暴力装置とマスコミが動員されるのである。その総体に対する反撃こそが要求されている。
 このたたかいにおいて労働者が要求することは、賃金の引き上げであり、不安定雇用の廃止である。独占資本は膨大な「内部留保」をもつており、これをはきださせれば賃上げは可能であり、また中小・零細への賃上げ資金もある。独占資本が労働者から搾取し、ためこんでいる利益を労働者に分配させなければならない。
 また、「規制緩和」のもと強行された労働法の改悪、とりわけ不安定雇用の根拠ともなっている「派遣法」の抜本改正から、派遣労働の制度そのものの廃止をおしすすめることである。同時に、公契約条例や最低賃金の引き上げ、均等待遇の実施等の「流動化」と低賃金構造の根拠を解体し、「生存権」のもとに安心して生活できる賃金と権利を獲得していかなければならない。文字どおり労働者の生活をかけたたたかいである。
 第二は、中小・零細、非正規労働者を中心とする階級的な労働運動の拡大によって、たたかう労働者階級の結合と統合を推進していくことである。
 労働者階級の多数を構成する相対的下層の労働者は、中小・零細、非正規の労働者として存在している。戦後の労働運動は、この層の労働者について一部をのぞいて組織化そのものを放棄してきた。この結果、多数の未組織労働者を生み出したのである。
 だが、最も抑圧された労働者を組織することなしに労働運動の階級的な前進はありえない。労働組合が最も必要とする労働者の層なのである。
 低賃金と失業のなかに存在する労働者の組織化は労働運動の必須の課題である。いわゆる「近代的大工場」の本工の労働者が、御用指導部のもとで「買収」され、自分たちの「利益」のために、他国の労働者も含めた多数の労働者の犠牲をいとわないまでに腐敗しているなかで、階級闘争と階級的労働運動の根拠は下層の労働者にこそ存在している。
 現実には、その組織化は困難をきわめてきた。分散し、かつ流動する労働者を組織化するために中小の労組が全国的に組織され、日常的な組織化、日々の労働相談や争議がつみかさねられてきた。実際にそのようなたたかいぬきに組織化は不可能である。その結果、中小労働者を中心とする労働運動は全国的なものとして成立し、前進を実現している。
 そのたたかいは、非正規労働者の生活と権利の獲得のたたかいと結合し、労働者階級としての組織的な結合と団結、具体的な要求にもとづく運動としてある。この地平をさらに前進させることである。
 現在的に重要なことは、この層とりわけ非正規労働者のなかに青年労働者が多数存在していることである。就職難のなかで、多くの青年が非正規の仕事においやられている。低賃金と無権利の状態は将来にわたって継続されるというなかで、自らの生活と将来の展望をうばわれているのである。
 このなかで、労働運動に参加する青年労働者が拡大している。これは、自らへの社会的抑圧に対する反撃の開始である。労働運動をとおして社会的な、世代的な共同性を自ら獲得し、社会的な変革の主体として登場してきているのである。これは、「戦後民主主義」のなかからの運動とは相対的に異なる、「新自由主義」との本格的な対決の運動として評価しなければならない。労働運動はこの新たな流動と結合していくことが必要なのである。
 昨年においても、パナソニックの非正規の労働者のたたかいに結合する全国運動や、関西における中小生コン労働者の労組間の共闘によるゼネコンの「買い叩き」に対する共同した長期のストのたたかい等、中小・非正規の労働者の新たな質のたたかいが前進している。
 とりわけ、トラック、タクシーの運輸労働者は、長時間、低賃金労働のなかで「過労死」をも強制されるなかでのギリギリの決起をつづけている。文字どおり「命をかけたたたかい」である。
 このような地平を拡大し、中小・零細、非正規労働者の全国的・地域的・産別的結合を強化するためにたたかいぬくことが必要である。
 第三は、階級的な労働運動の推進において不可欠のたたかいである反戦・平和運動、労働者反戦闘争の前進を実現していくことである。このたたかいは、労働運動の社会的位置を高めると同時に、労働者階級自身が、自らの生活と生命そのものの犠牲を強制され、他国の労働者に銃をむけさせられることを拒否していくことである。戦争と、それに向かう一切の軍事体制とイデオロギーは労働者の階級性を否定するものである。この点を明確にすることなしに労働者の階級性は存在しない。まさに「他国の労働者に銃をむけることは犯罪」なのであり、自らの解放にも敵対することである。
 そして現在の日米安保同盟と、自衛隊をはじめとする暴力装置、排外主義イデオロギーの一切が、労働者の生活の破壊とむすびついている。労働運動は反戦闘争をたたかうことをぬきにして自らの要求を獲得することはできない。
 実際に国内の労働運動の歴史においても、戦前から労働者は反戦闘争をあらゆる弾圧のなかでたたかいぬいてきた。戦後においても、安保闘争、日韓条約反対闘争、新島・砂川、沖縄等の反基地闘争を流血・逮捕をおそれずたたかいぬいてきた。
 総評は「平和四原則」をかかげ、原水禁運動やベトナム反戦闘争を「10・21国際反戦デー」を提唱して闘って来た。そのなかで民同の制約をこえた青年労働者を先頭とする労働者のたたかいがあり、そのことが戦後の労働運動の背骨となってきたのである。
 だが、総評は既に解体されて存在しない。労働者階級は新たな質で労働運動としての反戦闘争を創造しなければならない。
 このために現在においても、沖縄・岩国・神奈川で現地の労働者や住民と固く結合したたたかいが実現されている。とりわけ岩国においては、現地の住民の日常的なたたかいと、その発展段階をふまえた結合をおこない、労働者階級が自らの課題として反戦闘争をたたかっている。そのたたかいは、労働現場での資本とのたたかいと結合したものである。そして、重要なことは、労働者自身が、反戦闘争を一からつくりだしてきていることである。
 菅政権が米帝と結合し、東アジアを始めとして世界的な戦争の拡大へと進んでいる今日、労働運動の階級的な反撃が必要である。実際、このような自覚をもって戦闘的な労働者・労組は反戦闘争に決起している。国際的な連帯を内包した労働者反戦闘争の全国的な結合と拡大を進めよう。
 第四は、階級的労働運動の復権において問われる、労働運動の先進的な活動家・指導部の全国的な結合の推進である。この構造なしには、労働運動は不断に細分化されていかざるをえない。菅政権と総対決し、労働者階級の生活と権利にもとづく要求、社会的要求を明確にし、かつそれを実際に獲得していくたたかいを決定的に拡大していくためには、その先進的な牽引力が不可欠である。
 連合結成による労働運動の産業報国会化の決定的な転換のなかで、左派の先進的な活動家・指導部は、それに対抗して階級的な労働運動を防衛してきた。そして、民間中小を中心とする労働運動への転換を実現してきた。この地平を、より全社会的に拡大していくことが、今問われている。。
 この前進のためには、現在の労働運動の構造をさらに転換していくことが不可欠である。この間問われている非正規労働者の組織化、地域と産別の課題等を全国的に推進していくことが必要である。個別単組の問題ではないし、またそれだけでは決定的な多数の労働者を結集させることはできない。問題意識の共有と深化、実践的な行動による解決の全体的な推進という構造をつくりださなければならない。さまざまな先進的活動家・指導部の結合構造を統一されたものにしていくために闘おう。
 第五は青年労働者の労組への結集を決定的に拡大していくことである。現在の労働者に対する苛酷な支配の凝縮された攻撃が青年労働者にかけられている。
 そもそも就職自体が、失業率の5%台での高止まりのなかで困難である。就職したとしても、新規採用は大幅な賃金引き下げとなっている。また、成績給という競争型賃金体系のなかで、昇給も将来的にフラット化されていく。戦後的な賃金体系とは異なり将来的展望が見出せない。
 より苛酷なのは、非正規の青年労働者である。不断の「雇い止め」の恐怖があり、低賃金と無権利状態におかれている。矛盾に対して反撃すれば、「雇い止め」が強行されるのである。現在から将来にわたって展望が見出せない。
 そしてより深刻なのは、世代的に個人への分解と「自己責任」というイデオロギー攻撃のなかにあったがゆえに、凄まじい共同性の破壊が進行していることである。全社会的な攻撃にさらされているのである。このこととのたたかいは容易ではない。
 青年労働者を労働運動に、労働組合に組織していくことは、この全社会的な状態とのたたかいとしてある。将来的な生活の展望、人間としての社会的展望を、自らが獲得していくたたかいである。逆にいえば、このようなたたかいを労働運動が実現していくことなしに、労働運動自体が前進していくことはできないということである。未来は青年のものだからである。
 歴史的に、それぞれの時代で青年労働者が労働運動の先頭を担い、戦闘的に闘ってきた。逆にいえば、このたたかいなしに、労働運動の階級的な再生は実現しえないといえる。
 労働運動、労働組合には青年労働者の組織化、そのたたかいへのあらゆる支援をおこなうことが要求されている。


 ●3 11けんり春闘から労働運動の再生と反撃へ

 東アジア・朝鮮半島における米日韓の支配層による軍事的な危機の拡大は、現在の帝国主義の歴史的な危機の表現である。菅政権は、自らの延命のために東アジアの「危機」を拡大しようとしている。一一年のたたかいはこのような情勢のなかで開始される。
 一一年のたたかいの課題の第一は、11けんり春闘の大爆発をたたかいとることである。すでに、11けんり春闘にむけたたたかいは準備されている。戦闘的な労組は、11けんり春闘の方針を固めたたかいを開始しようとしている。そのたたかいの中心は菅政権の反労働者政策の総体に対する労働運動の総反撃のたたかいである。
 菅政権は独占資本の「新時代の日本的経営」路線の保護者・推進者としての性格を鮮明にしている。独占資本の利益の拡大をねらう法人税減税(そのほとんどは内部留保となる)、消費税増税等、独占資本の利益になることは何でもやるという政権である。また、「派遣法の改正」をたなざらしにし、実質的に派遣法を維持しようとしている。菅政権の政策はなにひとつ労働者の利益とはならない。11春闘において、菅政権の反労働者的性格をあきらかにし、これとの総対決として闘わなければならない。大増税に反対し、「派遣法抜本改正」を実現し、派遣労働自体をなくさなければならない。
 11けんり春闘では、膨大な「内部留保」をかかえながら、更なる賃下げをもくろむ資本に対して大幅賃上げをかちとらなければならない。とりわけ非正規労働者の賃上げは是非とも必要である。中小・零細、非正規労働者の生活は破壊され、今や生存権すらおびやかされている。独占資本の利益を労働者のために吐き出させなければならない。
 最低賃金の引き上げ、公契約条例、均等待遇等のたたかいを前進させ、中小・零細、非正規の労働者の労働条件を前進させるためにこそ11春闘を闘わなければならない。
 このなかで中小・零細、非正規の労働者の組織化と連帯を全国的に拡大し、労働運動の階級的な再生の根拠を拡大していくことが必要である。
 11けんり春闘のただなかで、雇用問題の重大な局面にある国鉄闘争をはじめとした、すべての争議に勝利し、労働運動の反撃を拡大していこう。
 第二は、東アジアを中心とする日米韓による軍事的危機の拡大に対して、労働運動の反戦闘争の前進を実現していくことである。菅政権は、日米新安保体制の推進者となり、東アジアの危機を拡大する米軍再編を、沖縄をはじめとする労働者人民の反対を踏みにじって強行している。また、みずからも、宮古・八重山・与那国への自衛隊の配備をもって、危機を拡大している。
 このことを絶対に許さず、沖縄―「本土」を貫く労働者反戦闘争の拡大を実現しなければならない。軍事的危機の拡大と基地の存在そのものが労働者の生活と権利を破壊するものである。戦後、労働者は反戦闘争を断固として闘ってきた。現実に、普天間基地即時撤去、辺野古新基地建設阻止のたたかいをはじめとして、岩国・神奈川で多くの労働組合・労働者がたたかいに決起している。この現地におけるたたかいをさらに強固にするためにたたかおう。昨年の十二月の岩国闘争では、現地の住民の日常的なたたかいと結合し、全国からたたかう労働者が結集して闘った。そして韓国の戦闘的な労働者と結合・連帯し、国際的な連帯のもとで労働者反戦闘争の拡大を実現するためにともにたたかうことが確認された。この地平を拡大しよう。
 第三は、一一年のたたかいのなかに、多くの青年労働者の参加を実現し、青年労働者の階級的な労働運動への決起を拡大していくことである。就職の困難、低賃金構造、不安定雇用というなかで、青年労働者は生活と将来の展望を解体されてきている。この攻撃に対して自らたたかいにたちあがることなしに何も獲得することはできない。実際、青年労働者の労働運動は拡大を開始している。同時に、階級的な労働運動の再生は青年労働者の力ぬきには不可能である。
 全国でたたかう労働者の仲間のみなさん。ともに労働運動の階級的前進のために、一一年の激闘をたたかいぬこう。




 ■第6章―青年運動方針

 階級闘争・革命運動への青年労働者の結集を



 ●1 階級闘争と党建設における青年労働者の特別の位置


 今日、若者、青年労働者が世代として階級闘争に立ち上がり、革命運動・共産主義運動の主体となっていくことは、特別に重要な課題となっていると言える。
 それは第一に、青年労働者がおかれている現状そのものがそれを要求しているということにある。後述するが、いま、青年労働者は、今日の日本資本主義のもとで厳しい生活苦、労働苦のもとにおかれ、過酷な階級支配のもとで苦しんでいる。そして、こうした現状は一過性のものではなく、日本資本主義の構造的産物にほかならないものである。いま、青年労働者は、失業、不安定雇用、長時間労働、低賃金にあえいでいる。多くの若者が、将来への希望さえ持てないような社会のなかで生きていくことを強制されている。従って、今日の青年層が、階級闘争と革命運動・共産主義運動においてその主体として登場していくことは、階級支配のもとで苦しみ呻吟する青年労働者自身の現状が要求しているのであり、かつ、そのことは時代の要請となりつつある。
 第二に、革命運動・共産主義運動にとって、青年層は、特別に独自の重要な意味をもっている。日本階級闘争は、戦後革命期、六〇年安保闘争、六〇年代後半~七〇年代初頭と、数次にわたる階級闘争の高揚期を経験してきた。しかし、それ以降、日本階級闘争は長期の低迷期を経た。そして、九〇年代不況から、なによりも二〇〇〇年代に入っての新自由主義政策の全面化によって、階級矛盾が全面的に激化し、青年層をも直撃してきた。しかし、七〇年代以降の階級闘争の長期の低迷期を反映し、若者による階級闘争への組織化・決起は後退し、そのことによって世代を継いだ革命運動・共産主義運動は大きく寸断されてきた。こうした結果、革命運動・共産主義運動に結集し、これを推進する一世代の不在とでも言うべき現状がもたらされた。革命運動・共産主義運動は世代を継いで前進する。次の時代を担う若き革命家・共産主義運動の担い手たちが、一世代として登場することの意味は極めて重要である。資本主義のもとで呻吟する新たな若き世代こそ、革命運動・共産主義運動の新たな未来を握りしめることができる世代である。こうした若き世代、特に青年労働者層を革命運動・共産主義運動の主体へと押し上げていくことは、革命運動・共産主義運動の前進にとって、特別に重要な主体的な意味をもっている。
 そうだからこそ、われわれは、青年労働者の階級としての組織化に特別の比重をおき、その前進のために奮闘する。また、それは、階級闘争の前進を願うすべての先進的労働者・学生にとって共通の課題でもある。ゆえに、われわれは、すべてのたたかう仲間たちに、若者、青年労働者が世代として革命化していくための共同の努力を強く訴えるものである。


 ●2 青年労働者がおかれている現状とその特徴

 今日の若者、特に青年労働者は、いかなる現状におかれているか。青年労働者をとりまく状況は、歴史的に大きく変貌してきた。それは、また、今日の資本主義下における労働者階級の状態が大きく変貌してきたことの青年層における表れであった。
 二〇〇〇年代に入って、本格的に推進された新自由主義のもとで、階級矛盾は劇的に拡大し、労働者階級は生活苦のなかにたたきこまれてきた。労働力市場をめぐる全面的な自由化が進み、社会保障制度は解体され資本の利潤追求の草刈り場となった。非正規雇用は増大し、三人に一人は非正規雇用となった。年収二百万円未満の労働者は一千七百万人を越えているともいわれ、広範なワーキングプアが生み出された。いまや、労働者階級の相対的な下層が固定化され、世代を継いだ貧困の再生産が構造化されつつある。親が貧困状態に陥った結果、子どもも進学や就職の機会がせばまり、子どもの世代もまた貧困を強いられるということがあたりまえの社会になりつつある。そして、これが、新自由主義イデオロギーである「自己責任」論によって、正当化されている。
 こうした現状は、若者を直撃している。今日の若者、青年労働者は、世代としてまるごと、かつてない過酷な現実におかれている。、特に特徴的で重大な事態は、若者にとっての雇用環境が激変してきたことにある。製造業の落ち込みとサービス業の拡大という産業構造の変貌、非正規雇用の拡大という雇用構造の変貌、これらを背景に、この間の世界恐慌と世界同時不況は雇用をめぐる若者の過酷な現実に拍車をかけてきた。根本的には、もはや日本資本家階級は、ごく一部の「長期蓄積能力活用型グループ」(日経連「新時代の日本的経営」)をのぞけば、あとは、有期雇用、非正規雇用の徹底した「使い捨て」労働でいいと考えている。終身雇用、年功序列賃金は解体され、多くは、有期雇用、非正規雇用に置き換えられていく。これからの若い世代の労働者にとっては、もはや、その大半は不安定雇用の道しかないという時代が到来してきたのである。
 すでに、若年労働者の二人に一人は非正規雇用であり、青年労働者の多くは、不安定雇用と無権利状態を強制されているのが現状である。正規雇用の場合でも数年以内の若者の離職率は高まる一方であり、多くの若者が失業や不安定雇用に陥ることが一般化している。高校を卒業してもそもそも正規雇用の求人がない(最悪となった〇三年には二人に一人しか求人がなかった)、大卒者にとっても最悪の氷河期となった就職難のなかで、非正規雇用労働者への道が拡大している。しかも、義務教育から大学まで、教育そのものが資本の利潤追求の場へと変貌し、いまや親の経済的条件が学力と進学にとって決定的なものとなっている。だから、労働者階級の相対的下層であれば、そもそも進学をあきらめざるをえない。また、多くの学生にとっても、大学を卒業しても安定した職につくことができないという事態が拡大し、一般化しつつある。そればかりか、百社も面接しても内定がとれない、また、面接自体によって責められ傷つけられるということが横行している。そして、職場においては、派遣、請負、有期社員などの「使い捨て」労働が蔓延し、長時間労働やまったくの無権利状態が横行している。正規雇用でも、長時間労働と低賃金、無権利状態が蔓延し、それが当たり前のこととなっているのだ。
 若者をとりまく過酷な現状は、こうした雇用問題だけではない。新自由主義のもとであからさまとなった「弱肉強食」の社会という今日の資本主義社会そのものによって、若者たちはあらゆる意味で将来に希望をもてなくなってしまっているのである。親などの経済条件によって教育を受ける権利が決定され、自己を発展させる機会を奪われる現実。そもそも教育そのものが資本の利潤追求の場と変貌し、そのなかで他人との敵対関係を通した競争でしか生きることのできないという現実。徹底して資本の利潤追求に奉仕することへと自己形成を強制される現実。しかも、中卒、高卒、あるいは大卒であろうと、そのそれぞれの段階で待ち受ける不安定雇用への道。セーフティネットの不在とあいまって、若者に、「夢は正規職」ということまで言わせるこの現実。氾濫する情報化社会の一方で深まる孤独。「弱肉強食」社会と言うべき今日の資本主義社会のなかで、労働者階級の相対的下層に属する多くの若者が、「敗者」として、何の保障もない「使い捨て」労働の中で生きて行くしかない現実にたたき込まれている。
 さらに、こうしたすべてのことが、新自由主義イデオロギーである「自己責任」論のもとで、社会の問題ではなく、すべて自分のがんばり不足や能力不足のせいだと考えさせられ、自分を責め、自分に対する自信や誇りをずたずたにされていく。「生きづらい」「居場所がない」と感じる若者が広がり、孤独におちいり連帯感をもちようのない若者が増えている。こうした現実のなかで、もはや多くの若者にとって、安定した職と将来の生活設計という人生計画はたたなくなっており、逆に、不安定雇用と将来への不安や絶望こそが蔓延しつつある。
 だが、こうしたなかで、今日の若者のなかに、自分たちが直面する生活苦は、実は自分たちの責任ではなくて、むしろ今日の社会の側にこそ問題があるのではないかと自覚する若者が確実に拡大してきている。あるいは、そうした条件が拡大し、深く蓄積している。今日、そしてこれからの若者、青年労働者のなかに、歴史的にかつてなく、世代としてこうした条件が拡大しつつあるのだ。
 そうだからこそ、一方では、こうした現状に根拠をもって、若者、青年労働者の過酷な現状への不満を、資本主義社会への批判ではなくて、より社会的弱者への排斥へと向かわせることで満足させようとする動きも強まっている。特に、この間、こうした若者の抱く不満を、在日・滞日外国人の排斥、激しい他民族への憎悪と差別・排外主義へと転化させようとする動きが活発となり強まっている。ここ数年、急速に台頭してきた在日朝鮮人に対する差別・排外主義襲撃を繰り返す「在日特権を許さない市民の会」など、こうした動きを象徴するものに他ならない。階級矛盾の深まりは、こうした民間ファシズムとでも言うべき流れを新たに登場させてきている。こうした動きは、階級としての苦悩に直面する若者、青年労働者を、労働者階級の階級闘争と革命運動の側に組織するのか、それとも、新たなファシズム運動と言うべき差別・排外主義運動の側が組織するのか、こうしたことが問われる一時代の到来を予兆させるものである。


 ●3 青年労働者の組織化を全力でおし進めよう

 若者、青年労働者を組織し、階級闘争と革命運動・共産主義運動の新たな主体を形成していくことは第一級の課題である。それでは、今日の青年労働者の組織化をめぐる方向をどのようなものとして考えていくのか。
 政治的には、まず第一に、大衆的な反資本主義運動としてその性格を明確にした青年労働者の運動こそが求められているということである。
 今日の青年労働者が直面する生活苦・労働苦は、今日の資本主義そのものに原因がある。そのことがはっきりする一時代にある。かつて、バブルの頃を頂点に、階級や階級闘争という言葉さえ死語になったかのごとくに主張された。だが、いまや、新自由主義の結果として、資本主義と貧困、階級ということが、現実に根拠をもって語られるようにまでなった。かつて、若い世代が、マイホームを建てることを人生設計のなかに必ず入れていたような時代は跡形もなく消え失せ、いまや若い世代が直面する現実は、マイホームどころか、派遣切りで住居も失う野宿生活、ネットカフェでの生活である。こうしたなかで、反貧困運動が広がりをもち、資本主義の罪が公然と語られ、階級や階級闘争が語られるようになった。『蟹工船』が話題となり、新たな資本論解説本が漫画も含めて次々出版されだした。こうした背景には、「格差社会」の到来があった。
 それは、資本主義がもたらす労働者階級の貧困化が誰にも否定できなく明確となった社会ということである。青年労働者もこうした現実のなかで矛盾に直撃される新たな世代となった。
 だからこそ、いまや、青年労働者が直面する現実が、資本主義そのものに根拠を有することを正面から問題にし、反貧困・反資本主義運動を明確な旗印とした青年労働者の運動こそが必要であり、求められているのだ。資本主義に真正面からアンチを!だ。
 第二に、青年労働者こそが、全世界の労働者階級に連帯し、帝国主義による侵略戦争に反対し、反戦反基地闘争・反安保闘争などの全人民的政治闘争の先頭に立つということである。
 資本主義・帝国主義のグローバリゼーションのもとで、戦争が吹き荒れている。イラク、アフガニスタン、さらにはイラン、朝鮮民主主義人民共和国への戦争策動など、米帝国主義を先頭に襲いかかる戦火はやむことがない。日米安保・日米軍事同盟の再編強化、沖縄や岩国、神奈川などの基地強化が進む一方で、これに反対する多くの人々が必死でたたかっている。青年労働者こそが、こうしたたたかいに連帯し、全人民政治闘争のたたかいの先頭に立っていこう。同時に、民族差別、部落差別、女性差別、障害者差別、マイノリティ差別などとたたかい、あらゆる被差別大衆・被抑圧人民に連帯していこう。階級矛盾の激化の中で台頭する差別・排外主義潮流と対決する先頭に青年労働者こそが立とう。また、国際的な労働者階級のたたかいに連帯するプロレタリア国際主義の旗を、青年労働者こそが高々と掲げていくべきだ。アジア、世界の青年労働者のたたかいと連帯するたたかいをあくまで実践的に追求していくべきだ。
 第三に、資本主義にかわる新たな社会を問題にし、青年労働者が、どういう未来を切り開いていくのかを常に追求するたたかいを作り出していくことにある。
 反資本主義運動は、資本主義にかわる新たな社会をいかに展望していくかということと切り離せない。青年労働者が直面する生活苦・労働苦が資本主義そのものに根拠があり、資本主義にかわる新たな社会をどのように追求していくのか、若者、青年労働者こそがこうした創造性を内包した運動を必要不可欠なものとして作り上げることが必要である。日本共産党や社会民主主義者のように、新自由主義に反対し、「よりましな資本主義」を展望する道は、結局、今日の階級ゆえの苦しみを根本的に解決することにはならない。あるいは、国際的な反グローバリゼーション闘争のなかで語られる「もう一つの世界は可能だ」という曖昧な道、これは結局は、よりましな資本主義と同様なことしか意味していない。そうではなくて、資本主義そのものの打倒・廃絶と、労働者階級自身の社会を作り上げていくことを展望していくことである。二十世紀を通した、旧ソ連をはじめとしたスターリン主義の破産を教訓とし反面教師とすることで、逆に共産主義本来のより豊かな実現を創造していけるのである。資本主義への仮借なき実践的批判とたたかいのなかにこそ、資本主義にかわる新たな社会にむけた労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆の創造的生命力が豊かに発展していくのである。言い古された言葉ではあるが、やはり、未来は、若者、青年労働者のものだ。若者、青年労働者こそ、未来は自分たちのものだということを希求するたたかいを創造していこう。
 次に、では組織的にはどのようなたたかいを展望していくのか、
 第一に、まずなによりも、今日の青年労働者が強制されている生活苦、労働苦に立脚し、青年労働者自身の苦悩をともに分かち合い、そのあらゆる立ち上がりを促進し、青年自身の大衆的な団結組織の形成を全力で推進することにある。なかでも、青年労働者自身の政治組織・政治サークルを各地に建設することに奮闘しなければならない。
 われわれが、青年労働者の政治サークルをいたるところで形成することを重視して呼びかけるのは、今日の若者が強制されている過酷な現実が資本主義・帝国主義にこそその根拠があること、したがって、資本主義・帝国主義支配に抗する政治闘争に青年労働者自身が自ら立ち上がることを徹底して重視するからである。青年労働者こそが、今日の資本主義・帝国主義と最も非妥協に対決する社会的流れを作るべきなのだ。あらゆる地域で、青年労働者の政治サークルを形成し、労働者階級全体の先頭でたたかう青年労働者のたたかいを作るべきなのだ。そうだからこそ、若き労働者は、自らの生活と未来を守るために労働組合に結集し、あるいは、自ら労働組合を結成してたたかい、あるいはまた、NGOなどさまざまな社会運動に参加し、そして、そのなかから、これらのすべての大衆的な運動組織を貫き、これを越えた政治的な活動家組織・政治サークル、活動家の政治戦線を広範に形成していくことが必要である。資本主義・帝国主義に対する大衆的な政治闘争をたたかい牽引する青年労働者活動家の政治組織・政治サークル・政治戦線を、全国各地で形成していくことだ。あらゆる地域に青年労働者自身の政治サークルを!である。
 第二に、同時に重視すべきことは、青年労働者の過酷な現実に依拠して、その基礎から青年労働者を組織するという組織化路線をとっていくことにある。そのために、特に、青年労働者自身が自らの生活を防衛したたかうための武器として労働組合に結集し、あるいは、自ら労働組合を形成することであり、また、こうした努力を全面的に支持し推進することを重視することである。
 さまざまな形で青年労働者が労働組合に結集し、あるいは、自分たちの労働組合をつくりあげようとする試みも拡大してきた。こうした取り組みは、今日の青年労働者が直面する現状からすれば、その必要性も増大するし、現に増大している。たたかう労働組合・労働運動に参加しその前進のために先頭でたたかうこと、同時にそのなかで青年部活動を作り強めること、また、青年労働者自ら労働組合を形成すること、これらを強化していくことである。
 「生きづらい」「居場所がない」……、若者のための労働組合はこうした若者の思いを包摂する場でなければならない。従って、それはまた、経済要求のみならず、仲間づくり、社会的政治的運動の総体を大衆的に内包したものとして作られる必要があるということも意味している。もちろん、労働組合は、活動家の組織ではない。労働者自身のもっとも大衆的な組織であり、そのことは絶対に軽んじられてはならない。労働組合を活動家のみの組織に狭めることは、労働組合と先進的な活動家組織とを混同する誤りである。
 こうした点をしっかりとふまえながら、不安定雇用、失業、「使い捨て」労働にさらされ、こうした現実も自分のがんばりが足りないせいだと思いこまされる今日の青年労働者が、そうではなくて、これは資本主義社会に原因があるのであって、そうだからこそ、自らが、資本家階級の政府による反労働者的な政治・政策に対抗し、すべての社会的な被抑圧者被差別者に連帯する社会運動としての青年労働者運動を作っていくことこそが必要なのである。それはまた、こうした労働組合そのもの、あるいは青年部を、青年労働者自身の階級形成としての組織であり、青年労働者の団結組織であるということを最も重要な基準とするものとして作っていくことでもある。生活苦・労働苦に呻吟する青年労働者に、いまこそ労働組合を!労働組合を若者、青年労働者の拠り所・結集場所に!である。
 最後に、こうしたすべての努力を貫いて、共産主義青年同盟の建設を押し進めることである。
 青年労働者を軸とする若い世代を、階級闘争の新たな主体となる一世代として獲得していくことを通して、革命運動と共産主義運動を世代を継いで前進させなければならない。
 共産主義青年同盟を青年労働者と学生がともに結集する若い世代の革命家・共産主義者の組織として強固に建設していことである。若者、青年労働者自身の革命的組織、共産主義に結集し共産主義を新たに再生し創造していくための組織として、共産主義青年同盟を力強く建設していくことだ。今日の若者、青年労働者がこうむっている生活苦・労働苦、階級支配のもとにおける苦しみは、彼ら彼女らを世代として階級闘争と革命運動・共産主義運動の側へと結集させていく活動を強化することを全左翼勢力に新たに要請している。われわれも、そのために真正面から奮闘する決意である。二〇一一年、青年労働者の組織化をともに前進させていこう。




 ■第7章―学生運動方針

 日帝国家権力―巨大独占資本と対決しぬく学生運動の構築を



 二〇一一年の年頭に立ち、共産主義青年同盟(学生班協議会)より本年のたたかいの方針と決意の表明を行いたい。
 歴史的な二〇〇九年総選挙による「政権交代」から一年数カ月が経った。二〇〇〇年代、小泉―安倍自公政権による新自由主義改革によって、多くの人々が仕事を奪われ、福祉から排除され、生活を破壊されていくなかで、野党時代の民主党は社会民主主義的なポーズをとって自民党への批判役を演じ、日々の生活に困窮する労働者民衆の「変化への期待」を組織し、政権を奪った。しかしながら、民主党政権はこのかん労働者派遣法改正ひとつできず、法人税減税や消費税増税を公然と主張するなど、独占資本の利害を代弁する第二ブルジョア政党という本性をあますところなく自己暴露してきた。
 また民主党政権は、普天間基地の「県外移設」の公約を公然と踏み破り、沖縄民衆の怒りを買った。そして沖縄民衆によって突きつけられた「怒」の声によって、昨年六月二日に鳩山内閣は倒された。続いて登場した菅直人内閣も5・28日米合意をタテにして、普天間基地の「県内移設」=辺野古新基地建設を新たな「振興策」をもぶら下げながら沖縄民衆に強制しようとしている。
 さらに昨年末、突如として「反民主党政権」を標榜している極右政党「たちあがれ日本」に連立をもちかけて拒否されるなど、民主党政権の迷走は続いている。「市民運動出身」をウリにしていた菅直人首相は、その思想も信念も理想も捨て去り、日本帝国主義の国家意思に奉仕する政治指導者に転落した。いまや、「友愛」(鳩山前首相)も「最少不幸社会」(菅首相)も、わたしたちの未来になんの希望も与えないし、むしろそれらの理念が階級融和を促す敵対物にまで成り果てたということがはっきりした。
 わたしたちに今問われていることは、保守二大政党制と体制内政治への幻想を断ち切り、街頭や諸々の闘争拠点から日帝国家権力や巨大独占資本と対決しぬく学生運動―民衆運動を構築することだ。


 ●1 諸闘争・戦線で決起し前進した二〇一〇年

 二〇一〇年、わたしたちは「戦争・差別・貧困とたたかう学生グループ あすじゃ」を支持し、新たに出会った学友たちとともに、反戦・反基地・反核・反差別・反新自由主義グローバリゼーションの諸闘争に決起してきた。
 十一月横浜APEC粉砕の現地闘争はその頂上決戦であった。昨年の十一月十三日~十四日に横浜市内で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会合は、菅首相が議長となり二十一の国と地域の代表が参加した。この首脳会合では「貿易と投資の自由化」「地域統合」「対テロ協力」が三本柱として掲げられ、二〇二〇年までにアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を目指すという「横浜ビジョン」が採択された。また、日米首脳会談も合わせて開催され、「地域の平和、安全のためには米国の存在、米軍のプレゼンスがより重要である」(菅首相)という認識のもとで、「日米同盟」の深化が確認された。格差と貧困をアジア太平洋規模で拡大させ、戦争の危機を高めるAPEC首脳会合に対して、わたしたちは断固として横浜現地に登場し、集会と会議場周辺でのデモ行進を貫徹した。日本政府は、九十八億円もの予算(税金)を使って警察、海上保安庁、自衛隊、さらに米軍をも動員した史上空前の厳戒態勢を敷いた。まさに「ソフトな戒厳令」ともいうべき弾圧体制を、若き学友たちを先頭に突き破ってたたかった。さらに、AWCや労闘・労活評など共闘団体の方々や韓国、フィリピン、インドネシア、台湾など海外の活動家やアイヌ先住民族、戦闘的な青年層らとの合流をかちとり、「反帝国主義・国際連帯」の実践によって横浜APEC粉砕の勝利的な地平を切り開いたのだった。
 反戦・反基地の領域においては、沖縄解放闘争への連帯を最重要課題に設定してたたかった。〇九年総選挙において、普天間基地の「県外移設」を公約にして発足した民主党政権がもののみごとに沖縄民衆の期待を裏切るなかで、〇九年の11・8県民大会、昨年一月の名護市長選や九月の名護市議選などによって沖縄民衆は「普天間基地撤去」「県内移設反対」の民意を民主党政府に突きつけてきた。わたしたちも沖縄民衆の決起に応えて「本土」各地域において集会やデモに参加し、街頭情宣や首相官邸・防衛省などへの抗議申し入れ行動を展開してきた。4・25県民大会に「あすじゃ」の代表団を派遣し、5・15沖縄解放闘争には沖縄派遣団を大衆的に組織して、5・16普天間基地包囲行動などを微力ながらも支えた。その後も沖縄への連続決起をつくりだした。
 また、神奈川の反基地闘争や十二月岩国国際集会にも決起し、現地住民に連帯してたたかった。岩国基地所属米兵による10・14広島レイプ事件三カ年に際しては、「あすじゃ」の女性会員が中心になって各地での行動がよびかけられた。「軍隊による性暴力」について、軍事基地がはらむ性暴力の問題とこの社会に蔓延する女性差別との闘争を関連させながら、米兵によるレイプ事件を厳しく糾弾してたたかった。
 日本共産党系の反核運動の幹部たちがオバマ大統領への幻想を煽るなかで、わたしたちは反帝国際主義の原則に貫かれた反戦・反核・被爆者解放を掲げて、8・6広島と8・9長崎で被爆者や被爆二世・三世のたたかいに支援・連帯した。一昨年四月のプラハ演説で「核なき世界」を訴えて注目されたオバマ大統領であったが、オバマ政権はアフガニスタンやイラクへの侵略戦争を続行し、アジア太平洋地域に駐留する米軍の増強を企図している。昨年十月には、四年ぶりに臨界前核実験を行い被爆者たちからの弾劾を受けた。また、六月に福井市で開催されたAPECエネルギー相会合では原発建設促進の声明が出された。日本政府はベトナムやインドに原発を輸出・拡散させようとしている。こうしたなかで、わたしたちは平和記念式典に参列した菅首相への直接抗議行動を行い、首相に対して反戦反核とすべての被爆者解放、反原発・祝島への原発建設阻止の声を叩きつけた。
 三里塚闘争では行動隊建設を進め、行動隊の同志を先頭にして、援農と現地攻防を担って農民に連帯した。援農隊の派遣や全国集会への決起を実現した。広く学友たちによびかけたスタディツアーとして、フィリピン派遣や韓国派遣を成功させ、海外のたたかう学生・青年や労働者、農民らと交流を深めて国際連帯運動を前進させてきた。勢いづく「在特会」ら極右の排外主義ファシスト勢力との街頭での攻防戦や反撃戦を各地で行った。その他にも、寄せ場支援、障害者解放運動支援、労働争議支援、地域運動支援、部落解放運動への連帯、在日韓国・朝鮮人青年との連帯運動などを各地域で精力的かつ献身的に担ってきた。わたしたちは力量的に小さいながらも諸戦線において活躍してきた。様々な問題や試練に直面しながらも前進してきたのだ。それらの足跡は、二〇一〇年の階級闘争のなかにきちんと刻印されているのだということを確認しておきたい。


 ●2 不安と絶望、新たな決起生み出している情況

 日本社会が「希望のない社会」として語られるようになって久しい。いまやバブル崩壊後の「失われた十年」から「失われた二十年」とまでいわれるようになっている。とりわけ、小泉構造改革を経て、二〇〇〇年代後半になると「格差」や「貧困」という言葉が日本社会においても実感をもって語られるようになってきた。そして、二〇〇八年のリーマン・ショックに端を発した金融危機と世界的な大不況のなかで、学生・青年を取り巻く環境も一段と厳しいものになっている。
 そもそも日本の文教政策は「教育の不平等」を再生産するものだった。国や地方自治体から教育機関に出される公的支出の割合は、GDP比3・3%(二〇〇六年)というわずかなものであり、昨年には教育への公的支出額がOECD(経済開発機構)加盟国でトルコを下回り最下位となった。大学の学費は国公立で年間平均五十五万円、私立文系で平均九十五万円、私立理系で平均百三十万円となっている。授業料が高く、奨学金などの支援体制が十分に整備されていない現状では、家庭の収入によって大学に進学できるかできないかが決定されてしまう。また世界的な大不況のなかで、保護者が失業するなど家計の急変によって学費が払いきれずに中途退学せざるをえない学生が急増している。とりわけ、母子家庭などはさらに厳しい状態だ。「仕送りゼロ」の学生はこの十年間で四倍に増えたという。他方、学生の就職難も続いている。文科省の「学校基本調査」によると、二〇〇九年度の大卒就職率は60・8%であった。前年度から7・6%も下落しているのだ。高卒者も含めて、わかっているだけで十五万人もの若者が、就職先が決まらないまま高校や大学、専門学校を卒業している。さらに、若年労働者の実に半数が非正規雇用である。
 そうした情況のなか、「大学の就職予備校化」はますます進展している。厳しい生活状況と将来への不安・焦りから、「学問の探求」やサークル活動よりも「バイトと資格取得」に明け暮れる学生が多い。無理もないことである。一方で「就活うつ」という言葉があるように、就職活動そのものが学生に対して心理的・肉体的な負担を強いている。百社近くの企業に応募しても面接前のエントリーシートではねられて消耗するという学生が、特殊な事例ではなくなっているのだ。「新卒」を保つためにあえて留年する学生も増えている。メンタルヘルスにかかる学生も急増している。少なくない学生たちが、大きな不安とストレスを抱えながら日々生活しているのである。
 他方、大学当局は学生への管理・抑圧を強化している。学内での自由なビラまきやポスター貼り、タテカンづくりなどが、ほとんどの大学で不可能になっている。大学闘争を鎮圧し、七〇年代以降吹き荒れた当局による学生の自治つぶしと管理強化の結果が今日の大学の現状なのである。当局が、すでに入学式の段階から新入生に「サークルには入るな」「資格を取れ」などと大号令をかけているという大学もある。まさに学生たちは、入学直後から「よりよい労働力商品」となるために自己を研鑽するよう背中を押されているのだ。個々の学生同士の分断はますます深刻となり、「底辺への競争」が煽られている。
 これらはもちろん「自然現象」でもなければ、ひところ流行った「自己責任」でもない。財界ブルジョアジーとその意向を受けた政治権力者らの政策によって、意図的・人為的に作り出された現実なのである。財界は九〇年代以降の政府への提言のなかで、増税や憲法九条改定や「愛国心」教育実施などとともに、派遣労働や請負労働の規制緩和を主張してきた。二〇〇一年に発足した小泉政権は竹中平蔵らをブレーンにした構造改革という名の新自由主義改革によって、その意思を忠実に実行してきたのだ。この流れは次の安倍内閣以降の自公政権にも引き継がれた。そして、二〇〇八年にはリーマン・ショックと世界同時不況の波が人々を襲ったのだった。
 この十年間で人々の生活は大きく破壊され、社会は荒廃した。際限のない新自由主義改革の結果、秋葉原事件や取手事件のような「犯罪事件」が起きることを多くの人たちが予感し、警鐘を鳴らしていた。予感は的中し、現在の日本社会を、とりわけ青年たちの多くを、不安と絶望が取り巻いている。しかし一方で、ギリシャやイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどの欧州諸国ではこのかん学生たちが大規模な実力決起を繰り返している。欧州各国の帝国主義政府が世界的な金融危機への対処として「教育改革」を打ち出し、学費値上げや大学の自治破壊を行おうとしている。こうした攻撃に対して、学生たちはデモやストなどの実力決起を繰り返している。同じような背景で苦しんでいるわたしたち日本の学生も、欧州の学生のようにたたかう必要がある。ますますエスカレートする競争にのめり込むのではなく、これらの情勢を規定している新自由主義グローバリゼーションと資本主義・帝国主義そのものへの批判と闘争に起ち上がっていこう。大学の拠点化を推し進め、大学拠点の拡大を実現しよう。現状に呻吟し苦悩する多くの学生とともに決起する根拠を、わが共青同(学班協)は粘り強く建設していく。


 ●3 反帝国主義・国際連帯貫く二〇一一年の運動

 二〇一〇年のたたかいを継承して、二〇一一年も「反帝国主義・国際連帯」の原則に貫かれた運動を大衆的に進めていこう。
 第一に、沖縄解放闘争への支援・連帯である。普天間基地の「県外移設」の公約を踏み破った民主党政権への怒りは、日米帝国主義の差別軍事支配に長く苦しんできた沖縄民衆のなかに流れる「怒りのマグマ」にほかならない。十一月沖縄知事選では敗北してしまったが、「普天間基地撤去」「県外移設」という沖縄の世論が後退することはないだろう。再選された仲井真弘多知事は、自公政権時代には「県内移設」―辺野古新基地建設を容認していた。しかしながら、沖縄民衆の「マグマの爆発」をおそれるあまり、急遽公約を「県外移設」に転換したのだった。今年は、民主党政権が新たな「振興策」などあの手この手を使って仲井真知事に揺さぶりをかけることが予想される。様々な取り組みを通して沖縄民衆に連帯していこう。
 昨年末には、ヘリパッド建設を阻止するために住民の座り込みが続いている東村高江に許しがたい攻撃がなされた。十二月二十一日、沖縄防衛局はまだ住民が寝ている早朝六時に、百名もの人数で高江を急襲し、住民の抗議のなかで工事用のフェンスを建設した。また、二十三日には米軍ヘリが、座り込みテントの頭上十五メートルを一分間に渡ってホバリング(空中静止)してテントを破壊した。菅首相と前原外相が訪沖し、沖縄民衆の基地負担に「謝罪」した直後の暴挙であった。高江住民らはすぐさま二十八日に沖縄防衛局への抗議行動に起ち上がった。
 日米安保条約は、日米の巨大独占資本がアジア太平洋地域を経済的・軍事的に制圧していくための軍事同盟である。わたしたちは沖縄民衆の自己決定権を支持し、反戦・反基地・反安保のたたかいをもって連帯していく。5・15沖縄解放闘争に大衆的な派遣団を組織しよう。高江や辺野古などの闘争現場が緊迫したらすぐに駆けつける準備をしよう。
 第二に、日米帝国主義による朝鮮侵略反革命戦争絶対阻止の国際反戦闘争に決起することだ。十一月二十三日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国と略す)が韓国の延坪島を砲撃し、民間人を含む死傷者が出た。この事件をネタにして日本政府と大メディアは戦争態勢を演出し、「戦争前夜」でもあるかのようにいろめきだった。砲撃事件の起きた西海は休戦ラインが南北間で明確になっていない紛争地帯である。二〇〇七年の南北首脳会談で発表された10・4宣言では、この水域を共同漁労水域にしていくための協議をもつことが確認された。しかし、〇八年に李明博政権が発足して以降、協議は中断され、この水域に韓国軍が展開するようになり、共和国側は「重大措置をとる」と反発していた。ゆえに、この悲劇が起きた主要因は、冷戦回帰の対北政策をとる李明博政権とそれを支える日米帝国主義の東アジア政策にある。砲撃事件以降、物量で共和国の人民軍に勝る韓国軍は、文字通り挑発的な軍事演習を繰り返している。また、駐韓米軍との合同演習には自衛隊もオブザーバー参加している。菅首相は朝鮮有事=戦時の際の自衛隊派遣を公言し、韓国側の反発を買った。わたしたちは東北アジア地域の真の平和のためには、この地域の冷戦構造の解体が絶対不可欠だと考える。そのために朝鮮半島の自主的平和統一を支持する。
 朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換させよう。アジア全域から米軍を総撤収させよう。砲撃事件を口実にした朝鮮学校の無償化除外をゆるすな。わたしたちは韓国民衆や在日韓国・朝鮮民衆への血債にかけて、朝鮮侵略反革命戦争を阻止するための運動を各地で取り組む。
 第三に、「在特会」ら排外主義ファシスト勢力と対決する戦列を強化していくことだ。在日・滞日外国人や朝鮮学校への差別襲撃、戦後補償運動への敵対など、ここ数年、排外主義勢力が街頭において跳梁跋扈している。これらの勢力は魚釣台(尖閣列島)問題に乗じて、ますます勢力を拡大している。わたしたちは「領土問題」は「歴史問題」であり、「国益主義」や「領土拡張主義」に流されることは差別を煽り、戦争につながる道だということを広く訴えなければならない。「在特会」ら排外主義ファシスト勢力を社会的に包囲して解体しよう。街頭での肉弾戦も含めて徹底的に対決しよう。同時に、少なくない不安定な青年層が排外主義に組織されているという痛苦な現状のなかで、社会的連帯と相互扶助のなかにこそ未来の希望があるということを学生たちに伝えていかなければならない。
 第四に、三里塚闘争に大衆的に決起していくことである。四十五年目を迎える三里塚闘争は今、ふたたびみたびの決戦情勢である。昨年は、団結街道廃道と第三誘導路建設―市東孝雄さん追い出し攻撃がかけられた。法律を破り、なりふりかまわぬ行為に出てきた成田空港会社(NAA)に対して、昨年五月十七日に市東さんは実力決起でたたかった。そして、逮捕・投獄された市東さんを奪還するために、反対同盟と支援勢力が一丸となってたたかい、空港会社を完全に追い詰めてきたのである。昨年十月の羽田国際化によって、巨大国際空港としての成田空港の位置づけはいよいよ低下している。焦っているのは空港会社の方である。空港会社と地元利権集団は「二十四時間飛行・三十万回離着陸」などという漫画的な構想は捨てて、農民への抑圧をやめるべきだ。市東さんは「農業こそ公共ではないのか」「畑で野菜を作ることが実力闘争」と「用地内」でたたかう決意を固めている。また、市東さんへの攻撃はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などにみられる農業つぶしの一環でもある。成田空港の軍事使用に反対しよう。わたしたちは現闘・行動隊の同志を先頭に三里塚闘争をたたかう。三月と十月の全国集会に大衆的に決起し、三里塚農民のたたかいに連帯する。緊急闘争や日常的な援農などに学生こそが決起し、「農地死守・実力闘争」の三里塚闘争と農民の生き様から多くのことを学んでいこう。


 ●4 若い力で「階級闘争の先鋒隊」として活動を

 わが共青同(学班協)は、全国の学友たちに資本主義の廃絶とプロレタリア革命による社会主義―共産主義社会の建設こそ、様々な抑圧に苦悩するわたしたち民衆の希望の光であるということを大胆に提起したい。資本主義とは、生産手段(資本)を所有した資本家(階級)が、生産手段を所有しない労働者の労働力を「商品」として買って雇用し、経済活動を行うシステムである。そして、この労働力の商品化によって資本家階級は搾取を続けてきたのだ。資本は利潤を追求して増殖する。現在の日本のように、規制緩和や民営化といった巨大独占資本の自由の拡張によって資本に対する制約が失われている社会では、資本はあくなき利潤を求めて自由に運動する。常に「儲かる場所」へと巨大独占資本は移動するのだ。さらに国境を越えて、より「儲かる場所」へとかけめぐるのが新自由主義グローバリゼーションである。そして、大資本が移動するたびに生活破壊や地域破壊が進行する。大資本が撤退した地域では、産業の空洞化によって、失業や低賃金、雇用の非正規化が深刻化する。同じ原理によって、農業の破壊、雇用の破壊、地域の破壊、環境の破壊、社会保障の破壊が世界規模で進んでいく。とりわけ、犠牲になるのは途上国の民衆だ。また、現在日本で社会問題となっている保護者による子どもへの虐待や子ども同士のいじめの背景にも、格差や貧困の問題があるということが指摘されている。このようなシステムはもはや持続不可能ではないだろうか?
 先進工業国の巨大独占資本が、軍事力を背景にして、国境を越えた経済活動を行う資本主義の最高の発展段階が帝国主義である。近現代の戦争のほとんどが、帝国主義国の権益拡大や帝国主義間の対立の過程で引き起こされた。わたしたちは、アメリカや日本、欧州各国などの帝国主義が現代世界の根本矛盾を形成していると考えている。
 この資本制社会は歴史の一段階に過ぎない。資本制的な生産関係の廃止のためにわたしたちは革命運動をたたかう。とはいえ、「革命」が起きれば「全て解決」ということでは決してない。むしろ、「革命」に至るまでの過程そして、「革命」の過程こそが重要なのである。国際連帯と反差別ということにあくまでこだわって、様々な抑圧からの解放を求めてたたかっているあらゆる階層と有機的に結びついてたたかうことをわたしたちは活動のスタイルにしている。観念的に大言壮語する「革命」ではなく、実践的な「過程」のなかにこそ、未来を開く展望がある。「日米安保条約を破棄する」「天皇制を廃止する」という具体的課題を、多くの民衆とともに実現していくなかで、民衆から学びながら、未来への展望を見出していくのだ。自らを階級として形成していくのだ。
 階級闘争の復権に向けて学習・研究を進めよう。青年時代に学び血肉化された世界観は年齢を重ねていくなかで大きな意味を持ってくる。物事には〈原因〉―〈過程〉―〈結果〉がある。多角的に物事を分析して本質を見極める力を青年時代に培おう。「人の痛み」がわかる感性を持とう。そしてそのためには、多くを学びながら広く人々のなかへ入っていくことが肝要だ。民衆が生活する場所こそ、運動の場である。
 全国のたたかう学生は、共産主義青年同盟(学生班協議会)に結集しよう!
 わたしたちのたたかいは生涯続くものでなければならない。弾圧、裏切り、家族問題、人間関係、将来設計、かけがえのない同志・友人の死など、多くの困難と試練にぶつかりながらも団結し、「民衆の解放」という究極的な目標に向かって前進していくのだ。もちろん運動が前進していくなかでの喜びもたくさんある。
 キューバ革命の指導者のひとりであったチェ・ゲバラ(一九二八~六七年)は「キューバにおける社会主義と人間」(一九六五)という演説のなかで以下のように語っている。
 「われわれは全員、またひとりひとり、義務を遂行した満足感によって報われることを自覚し、地平線上にほのかに見える新しい人間を目指して、全員ともに前進していることを自覚し、割り当てられた犠牲を完全に果たそうとしているのである」
 まだまだ厳しい階級情勢が続く。われわれの若い力をもって、「階級闘争の先鋒隊」として、本年も広範な人々とともに献身的に活動していく。




 

 

 

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