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『戦旗』第1367号(2011年3月5日)



 北アフリカ・中東人民の決起断固支持

 3・27三里塚に総結集を

 階級的労働運動の前進に向け11春闘を闘い抜こう





 全国でたたかう労働者の仲間のみなさん。本年二月一日に11けんり春闘全国実行委員会が発足し、いよいよ11春闘のたたかいが開始された。11春闘は、今後の労働運動の前進にとって重要な意味をもつたたかいである。それは、菅民主党政権がその本性を全面化し、労働者階級に対して全面的な抑圧と収奪を激化せんとしている中で、そして労働者の生活と権利がぎりぎりの段階にいたっている中でたたかわれる。
 11春闘は、労働運動が全面的な反撃を開始し、新たな高揚を実現していく導水路をつくりだせるかどうかが問われるたたかいである。菅民主党政権・独占資本と総対決し、中小・零細、非正規労働者の生活と権利を防衛・前進させるたたかいを全国でたたかいぬき、労働者階級の階級的な団結と運動の歴史的な前進を実現するためにただちにたたかいを開始しよう。


 ●1章 11春闘をとりまく情勢

 米帝を中心とする戦後体制は新たな再編を必然化している。米帝の新たな「巻き返し」としての新自由主義グローバリゼーションは、いわゆる「リーマン・ショック」といわれる金融世界恐慌をもたらし破綻した。「金融工学」なる「詐欺」的な手法による金融資本による世界の支配という構造は破綻し、現在も危機は持続している。米帝の後退による世界の再編成が進行している。帝国主義は、もはや安定した構造はつくりだせず「争闘」をくりかえしながら統一的世界市場の再編を展望なくおこなっていくしかない。
 このなかで戦争の継続と「領土」等をめぐる対立が激化している。各国内的には金融資本と大独占の救済のための国家財政の投入による「財政危機」のつけを労働者人民に押しつけ、賃金や社会保障の切り下げと、増税をおこない、さらなる生活の破壊を進行させている。当然にもこの攻撃に対する労働者人民の反撃が全世界的にたたかわれている。
 ヨーロッパでは労働者のたたかいが持続的に高揚し、現在は北アフリカ・中東で米帝と結合した独裁政権に対して、貧困層・青年層を中心に生活をかけたたたかいが拡大している。
 九〇年代に叫ばれた「資本主義の永遠の発展」の幻想は崩壊し、剥き出しの独占資本の利益の防衛のために国家が前面化している。だが、ブルジョア国家の側は現実の生活と将来の展望をうちだすことはできず、階級対立は深く広く拡大している。まさに資本主義そのものの危機の拡大なのである。
 日本国内においても、戦後における自民党支配に「代わる」ものとして「国民生活が第一」をかかげ、「新自由主義」政策に代わるかの「幻想」を与えながら登場した民主党政権も、この危機のなかで、独占資本の防衛と労働者人民からの収奪を行う政権としての本質的性格を全面化している。菅政権の政策のすべてがこのことをあきらかにしている。
 菅政権は、日米新安保体制の堅持と、米軍再編の推進、普天間基地の辺野古への移設を強行決定、「領土」をめぐる軍事的緊張の拡大と排外主義を激化させ、米帝の軍事戦略との一体化を強めている。また、米帝との対立を回避し、TPPを選択しようとしている。これは、日帝の危機をさらに深めるものでしかない。
 国内政策としてはより露骨である。「国民生活が第一」(それ自体が欺瞞であるが)とした「マニフェスト」を根本から解体し、独占資本の救済のための「金融支援」や「法人税減税」等をおこない、独占資本の「内部留保」の拡大を推進すると同時に、社会保障の切り下げや「消費税増税」という収奪を拡大している。官僚・独占資本は、このなかで「新時代の日本的経営」という路線を拡大し、「総人件費の抑制」と「労働力流動化」という攻撃を一層激化させているのである。
 そしてこれと結合しているのが「買収されたプロレタリア上層」としての連合指導部である。連合は早くも、ベアの取下げをおこない、自らの利益のみを追求し、圧倒的多数の労働者を切り捨てることに全面的に手をかしているのである。
 資本主義の歴史的な危機ゆえに、支配階級の攻撃は激烈である。労働者階級は、この攻撃との総対決を不可避としている。それなしには自らの生存権すら解体されるのである。
 11春闘は、このような情勢のなかで死活をかけたたたかいとしてある。


 ●2章 中小・零細、非正規雇用労働者を中心とした11春闘を

 日本経団連は、「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」とした方針をうちだしている。その内容は、景気刺激策の剥落、行き過ぎた円高、デフレ圧力による先行き不安という認識にもとづいて、国際競争力強化のために、「重い税負担」の軽減を要求し、「賃金よりも雇用」「多様性に富む労働市場」を主張し、非正規雇用労働者の処遇は総合的観点が重要としている。つまり「総人件費抑制」と「労働力の流動化」という「新時代の日本的経営」路線の継続のもとに、賃上げの抑制、派遣法改正反対、有期労働契約の規制反対、均等待遇の拒否をうちだしているのである。
 そして連合に対して日本経団連は、労使パートナーシップ対話、春闘から「春討」へと、「日本的経営」の共同した推進をよびかけているのである。膨大な内部留保(二百五十七兆円)は賃金にはまわさず、「投資や研究開発」にまわすとしているのである。
 独占資本は、自らの利益のために労働者を使いすてることをやめはしない。労働者は自らのたたかいによって、政府・独占資本と対決する以外に、自らの生活と権利と平和を守ることはできないのである。
 現在の社会を根底から変革する、自らの社会を実現するたたかいを本格的に開始する以外に、自らの生存権は防衛できないのである。
 11春闘において勝ち取らなければならない要求は、第一に大幅な賃金の引き上げの要求である。新自由主義の攻撃のなかで、労働者の賃金は、「国際競争」や「不況」等を口実にしながら引下げられてきた。独占資本は「新時代の日本的経営」のなかで、なによりも戦後的な労働者支配の根拠となっていた「年功序列型賃金」「終身雇用」を解体し、「総人件費の抑制」と「労働力の流動化」を強行した。
 この結果、資本のみがこえふとり、労働者は厳しい賃下げや「成果主義」賃金のなかで分断と競争を強制されている。また、非正規雇用労働者の拡大のなかで生活すら困難な低賃金と不安定雇用にさらされている。まさに人間的な生存権すらおびやかされているのである。
 この攻撃に対してたたかうことなしに、労働者の賃金を引き上げ分断を突破していくことはできない。独占資本は膨大な「内部留保」を確保しているが、労働者のたたかいぬきにそれを分配することはない。
 全労協は、「月給制労働者は一律一万七千四百円、時間給労働者は時間百円の賃上げ、また、すべての労働者に月額十七万円、時間千二百円の最低保障を要求し、労働者は働けば最低限の生活が維持できる賃金として、誰でも何処でも、年収二百万円を下回ることのない保障」という要求をかかげている。
 この要求は、労働者が生活していく上での最低限の基準をしめしている。この要求の実現のためにたたかわなければならない。
 なによりも、中小・零細、非正規雇用労働者の賃金の引き上げの実現が必要である。このためには、独占資本の「内部留保」や利益を中小・零細に分配することが必要である。また、最低賃金の大幅な引き上げや公契約条例等によって下層の労働者総体の賃金の引き上げが必要である。正規雇用の労働者は、この引き上げのたたかいを自らの利益としてたたかうことが必要なのである。
 非正規雇用労働者、女性労働者、移住労働者の権利、均等待遇の実現を要求したたかうことが必要である。現在の労働運動を規定する激しい労働者分断の攻撃に対して、より下層の労働者の利益実現の要求を掲げて、すべての労働者がたたかうことによってこそ労働者の生活と権利が守られ、労働運動の階級的な再生の根拠としての労働者の団結と運動が形成されるのである。
 同時に、高止まりする失業率、失業者や就職先がない人たちが増加している。働くことを希望するすべての労働者に雇用を保障していくことが必要である。
 そして公務員労働者においては公務員制度の改悪、賃下げと首切りのための改悪、「争議権」をうばったうえでのこの改悪とたたかうことが必要である。公務員・民間一体となった11春闘をたたかおう。国労闘争団を中心として雇用問題を解決し、国鉄闘争の勝利のためにたたかおう。
 第二は、労働者の権利の解体をゆるさずたたかいぬくことである。菅民主党政権は、「労働者派遣法」の「改正案」をたなざらしにし、「派遣法の抜本改正」にむけたたたかいを圧殺せんとしている。もとより「改正案」が不充分なものであり、派遣労働者の現在の状況を根本的にかえるものではないことはあきらかである。だがそれは、「抜本改正」から「派遣労働」そのものをなくし、雇用の安定を実現していくうえにおいて位置をもつものである。菅政権は独占資本、日本経団連の利益の擁護のために「派遣法」の「改正案」を闇にほうむろうとしているのである。この攻撃を絶対にゆるしてはならない。
 さらに、有期雇用契約の規制強化、労働契約法の改正にむけたたたかいと結合しながら、労働法制の改悪の攻撃の総体を粉砕していかなければならない。
 11春闘の要求の第三は、反動をつよめる菅政権と総対決し、反戦平和のたたかいを決定的に拡大していくことである。
 菅政権は、米軍再編の全面的な推進を強行している。普天間基地の即時撤去・辺野古新基地建設阻止をたたかう沖縄人民に全面的に敵対し、辺野古移転を米帝と確認した。また、岩国においては、現地住民の反対にもかかわらず、愛宕山における米軍住宅建設を推進し、岩国基地の一大強化を強行している。
 そして、日米新安保体制の強化のなかで、「集団的自衛権」の容認や、「武器輸出三原則」「非核三原則」のみなおし、沖縄への自衛隊配備の強化等、米帝に追随した攻撃を決定的に拡大している。同時に「領土問題」等をとおして排外主義宣伝を拡大している。
 この菅政権と対決し、反戦闘争の前進を実現していくことは、労働者階級と労働運動にとって不可欠の課題である。
 アジアをはじめとした労働者の戦争に対するたたかいと連帯・結合し、労働者の反戦闘争を拡大していくことは日本労働者階級の重大な責務である。
 11春闘は、この間推進されてきた、中小・零細、非正規雇用労働者の要求を中心としたたたかいを更に前進させ、労働者階級の結合を実践的に拡大していく階級的なたたかいである。ストライキをはじめとした、地域・業種のたたかいをさらに拡大し、すべての争議の勝利にむけてたたかいぬかなければならない。国鉄闘争の雇用をめぐるたたかい、日航の指名解雇に対するたたかいをたたかおう。4・6中央総行動、日本経団連・菅政権に対するたたかいを頂点として全国でたたかい抜こう。


 ●3章 階級的労働運動の前進を闘いとろう

 11春闘の戦闘的推進のなかで、階級的労働運動の再生のたたかいを一層拡大していかなければならない。
 その課題の第一は、青年労働者の広範な決起を実現していくことである。「新時代の日本的経営」路線による「総人件費抑制と労働力の流動化」は労働者の下層に決定的な打撃をあたえているが、そのなかで最も苛酷な状態にさらされているのが青年層である。
 二〇一一年秋の卒業予定者の就職内定率は、大学57・6%、高校40・6%であり、十五~二十四歳の失業率は8・7%と平均を大きくうわまわる。また十五~二十四歳の非正規雇用比率は男性で41・6%、女性では50%にもおよぶ。
 まさに青年労働者は失業と非正規化の只中にいるのである。この層の労働運動へのたちあがりを組織していくことは、階級的労働運動にとって不可欠の課題であるにとどまらず、階級闘争の未来を規定するものである。
 青年労働者は自らを規定する状況のなかで、今大きくたたかいを開始せんとしている。労働運動のなかに青年の数が確実に拡大してきている。また、現在の労働組合の現状を変革せんとする動きも開始されている。時代はつねに青年によって変革されてきたのである。
 この青年労働者の胎動を全面的に支援し拡大していくことこそ、プロレタリア下層、民間中小・零細、非正規雇用労働者を中心とする階級的労働運動の利益の根幹をなす。
 青年労働者の、とりわけ非正規雇用労働者の労組形成における独自性を保障しながら、全国で、また全国的な結合の推進にむけた運動の形成に全力をあげなければならない。
 第二は、プロレタリア下層、民間中小・零細、非正規を中心とする労働運動を、今春闘のなかでも前進させることである。そのためには、生活を規定する賃金や労働条件にかんする法制の内容を改善するたたかいを実現することが必要である。
 このたたかいと同時に、たたかいの武器としての労働組合の拡大を地域や業種において実現していくことである。戦後の労働運動を規定した企業内労組は結局企業の利益にもとづく労働者の「利益」に集約されるものであった。これをのりこえる労働組合を地域的に、産別的(業種的)につくりだすことが必要であり、またその結合構造をつくることが必要である。現在の階級的な労組においては、このような努力が積み重ねられている。地域における一般労組(合同労組)の形成と業種における横の結合の推進や、産別労組における中小労組による大手に対するたたかいなど創意にあふれるたたかいが開始されている。
 このような労働運動の蓄積を拡大し、独占資本・政府にたいする反撃の階級的な根拠を形成していくことがとわれている。
 第三は、戦後的な世界構造の崩壊、資本主義の危機の深化、独占資本の労働者支配の現実のなかで、労働者階級は生活と権利、生存権すらおびやかされ、閉塞状況のなかにいる。
 この状況の突破は、なによりも労働者階級自身によってしか実現しないこと、自らが現状の根底的な変革の主人公となり、新たな世界・社会を創造していくこと以外にないことを実践的にあきらかにしていくことである。
 まさにプロレタリア自己解放運動として現実の実践的な闘争を実践、蓄積していくことである。そして、かかる観点における運動の実践と蓄積を可能とする根拠を先進的な労働者、指導部において形成していく努力を前進させることである。
 現在進行する情勢のなかで、階級の分解は大きく進行せざるを得ないし、排外主義の拡大が進行している。先進的労働者階級は、労働者階級のたたかいとるべき道を鮮明にうちだしていくことが問われているのである。プロレタリアの解放運動を現実の矛盾のなかから実践的な闘争をとおして、現実的に蓄積していくことが必要であり、階級闘争として創造していくことが問われている。
 全てのたたかう労働者の仲間のみなさん。拡大する資本主義そのものの危機をみすえ、労働者階級の政府・独占資本に対する本格的な総反撃の開始として、本11春闘をたたかいぬこう。

全国の同志・友人諸君! そして『戦旗』読者の皆さん!
 わが共産主義者同盟(統一委員会)は二月二十日(中央)、二月二十七日(関西)、三月六日(九州・山口)に政治集会を開催する。〇八年恐慌以降の中で失業、貧困化はいっそう強まっており、労働者階級人民の利害を貫く階級的労働運動の前進が今ほど問われている時代はない。そして日米韓の支配層は自らの利害の為に、朝鮮戦争に向けた臨戦態勢を急激に強化している。大失業、戦争、排外主義との闘いが一刻を争う課題として浮上している。この攻撃と真っ向から対決し、労働者階級人民の解放と未来を切り開く政治運動方針が問われている。
 わが共産主義者同盟(統一委員会)は、かかる方針を政治集会で全人民の前に明らかにする。全国の同志・友人諸君は政治集会に結集し、ともに二〇一一年における日本階級闘争の方針を確認していこうではないか。


  


 

 

 

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