共産主義者同盟(統一委員会)


1372号(2011年5月20日) 政治主張






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

     沖縄―岩国―神奈川貫き全国の反基地闘争を闘おう

   6・11反原発集会へ

   朝鮮学校の「高校無償化」の実現を

   6月アジア共同行動を成功させよう




 東日本大震災と福島原子力発電所事故から二カ月以上が経過したが、被災地の労働者人民は現在も困難な生活を強いられている。原発事故はいまだ収束のきざしをみせず、放射能被害は拡大し続けている。被災地の労働者人民の生きるためのたたかいを支持し、あらゆる領域での支援活動をおこなっていくこと、政府・東京電力に対する原発事故の責任を徹底的に追及し、すべての原発の停止・廃炉に向けた全人民的な決起をつくりだしていくこと、また反原発闘争と反戦・反基地闘争を結合し、米軍再編・日米軍事同盟強化に対するたたかいの発展をかちとっていくことが求められている。
 全国のたたかう労働者人民は、このようなたたかいを共に担いつつ、アジア共同行動日本連絡会議が呼びかけて各地でおこなわれる六月アジア共同行動集会に結集し、その成功を勝ち取るために奮闘しよう。


  ●第1章 反原発闘争に立ち上がろう

 東日本大震災の発生から二カ月以上が経過したが、福島第一原子力発電所の危機的状況は今も続いており、放射能被害は日々深刻化している。すでに現場で作業にあたる労働者をはじめ多くの人々が高レベルの放射能を浴びている。政府・厚生労働省は従来は百ミリシーベルトであった被曝線量上限を、事故の直後から二百五十ミリシーベルトに引き上げることで、労働者の命と健康を危険にさらしている。「ただちに健康に影響はない」などという言辞を決して許すことはできない。農漁業の打撃も深刻である。さらに、このかん政府・東電は漁民にも知らせず放射性物質を含む大量の汚染水を海洋に放出するなどの暴挙に出ている。
 東京電力は四月十七日、事故収束に向けた二段階からなる「工程表」を発表した。それによれば、今後三カ月をかけて「放射線量が着実に減少傾向となっている」状態を実現し、さらにその後三~六カ月程度をかけて「放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている」状態にすることを目指して作業をおこなうという。
 海江田経済産業大臣はこれを「道筋が示されたことは大事な一歩」などと評価した。しかし、事態が「工程表」通りに進む保証はなく、具体的な根拠に乏しい希望的観測に過ぎないという批判が多くの専門家から寄せられている。記者会見をした東電の勝俣恒久会長さえ「工程表は目標として掲げたので、計画通りにいくように努力をする」と述べているのだ。さらに、事故の最終的な収束については「長期的な展望はたっていない」(同記者会見)という状況だ。被災地をはじめ国内外で原発事故への批判と不安が広がり、反原発運動も急激に高揚している。この状況に対して、「工程表」を示すことで、事態の鎮静化を図ろうとする政治的意図が透けて見える。
 現在の状況は「放射線量が着実に減少傾向」に向かっているとはとてもいえない状況である。仮にひとつの原子炉が制御不能に陥れば、周囲には立ち入れなくなり、他の原子炉を含めすべての作業が遮断される。もしもう一度原子炉の格納容器内で水素爆発が起こればさらに大量の放射能が拡散することになる。事態は危機の瀬戸際にあり続けているのだ。
 これ以上「想定外」などと言って責任を回避することは許されない。政府―経済産業省、東京電力の責任を徹底的に追及しよう。
 同時に、すべての原発の即時停止・廃炉に向けて先頭に立ってたたかおう。福島原発事故を徹底的に弾劾し、政府・東電の責任を追及するとともに、すべての原発の停止・廃炉へという要求が一挙に拡大している。原発の「安全神話」が崩壊するなかで、原子力発電に依存しないエネルギー政策への抜本的な転換を求める声が高まっている。集会・デモ、講演会など各地でさまざまな取り組みがおこなわれている。東京では四月十日の芝公園での三千人の集会・デモ、高円寺での一万五千人の集会・デモ、四月二十四日の芝公園での四千五百人の集会・デモなど大規模な反原発行動が連続しておこなわれてきた。また東京電力本社前での抗議行動も回を重ねる度に拡大している。関西でも、四月十六日に長年反原発運動に取り組んできた諸団体の呼びかけによって三千人規模の集会・デモが取り組まれてきた。中部電力、関西電力、中国電力など電力各社に対する抗議行動が各地で取り組まれている。反原発の声は国際的な高まりを見せている。ドイツ人民の反原発のうねりは、四月のドイツ地方選挙で反原発派の緑の党を躍進させ、一年前に国内の原発の稼動機関を延長させる法律を成立させたメルケル政権は逆に脱原発へと舵を切ることを余儀なくされた。また、チェルノブイリ原発事故の二十五周年にあたる四月二十六日を前後してヨーロッパをはじめ世界各地で原発の廃止を求める行動が世界各地で取り組まれた。このような全国的・全世界的な反原発のうねりをさらにおし広げ、すべての原発の停止・廃炉に向けて全力でたたかおう。
 政府・電力資本、さらに連合指導部はあくまでも原発にしがみつこうとしている。中部電力は四月二十八日、あろうことか定期検査中だった浜岡原発三号機(静岡県御前崎市)について、七月に運転再開の予定と発表した。浜岡原発は、東海地震の想定震源域の真上にあり、最も地震の危険度が高い原発とされている。福島原発の事故の収束の目処がまったく立っておらず、余震もいまだ続く状況のなかでのこの暴挙を徹底的に弾劾しなければならない。


  ●第2章 震災下の治安弾圧攻撃を打ち破ろう

 東日本大震災は、大津波に襲われた東北地方沖や福島原発周辺地域をはじめとして未曾有の被害をもたらしている。死者・行方不明者は三万人近くに達し、いまも十万人以上の人々が避難所での生活を強いられている。同時に、労働者には失業・解雇の嵐が襲っている。岩手、宮城、福島の三県では震災後に失業給付を申請した労働者がすでに約七万人に上っている。実際の失業者数がこれをはるかに上回っているのは明らかである。さらに、震災の影響を理由にした解雇攻撃が東北から関東・全国へと広がっている。こうした状況はとりわけ非正規労働者や外国人移住労働者により過酷な状況をもたらしている。また、農漁民も放射能汚染とその影響による出荷制限や輸出禁止措置などによって生活と生活基盤に壊滅的な打撃を受けている。労働運動、住民運動、学生運動などあらゆる社会勢力は、被災地人民の生きるためのたたかいを支え、被災者救援に力を注いでいこう。また、被災地の人民への全面的な雇用保障、生活補償をかちとるためのたたかいを全国的な闘争として進めていこう。
 政府・民主党は、震災からの被災地の復興を口実にした消費税の増税策動に向かおうとしている。日本商工会議所もまた「復興税」として時限的な消費税の増税を提言している。ふざけるにも程がある。責任の所在をあいまいにし、低所得者・貧困層にますます大きな経済的犠牲を強い、さらに被災者からも「復興財源」を搾り取ろうとするこのような策動を絶対に許してはならない。政府はまた、復興財源確保を名目にした国家公務員の給料の一割カットをも打ち出した。労働者人民を犠牲にした政府・資本による「復興計画」なるものを許してはならない。復興財源は独占資本の巨額の内部留保を吐き出させることによって捻出すべきだ。菅政権は震災からの復興を「国民的」な課題とし、あたかも「超階級的」な問題であるかのように喧伝しているが、実際には労働者人民に一方的な犠牲を押しつけようとしているのだ。その陰で、ゼネコンなど独占資本は今回の震災とそこからの復興を自らの利潤拡大の場としようとしている。資本のための復興ではなく、被災地の人民の要求に根ざした労働者人民のための復興を勝ち取るために、生きるためにたたかう被災地の労働者人民と連帯してたたかってゆこう。
 菅政権は、震災と福島原発事故の事態のなかで、労働者人民の不安と怒りが政権に対する批判、これまでの社会のあり方、支配秩序への批判へと向かうことを恐れている。そのために一方では「国難」に対する「挙国一致」「国民の一体性」が演出され、他方では、さまざまな情報統制がおこなわれている。とりわけ福島原発事故をめぐる情報統制はすさまじい。御用学者が動員され、あたかも事故が次第に収束に向かっているかのような報道が続く一方で、放射能汚染のデータや原子炉内の状況は小出しにしか公開されず、批判的な指摘はマスメディアでは多くが封殺されている。菅政権はまた、「流言飛語への対応」などとしてインターネットの監視・規制の強化に踏み出している。
 このようななかで自衛隊と米軍に対する賛美が組織されている。今回の震災を利用して自衛隊の三軍統合運用、自衛隊と米軍の一体化、日米軍事同盟の強化が強力におし進められている。「トモダチ作戦」の名で自衛隊と米軍は日米共同調整所の下で配置され、指揮されている。確かに救援活動がおこなわれているが、そもそも自衛隊や米軍は災害救助隊ではなく軍事組織なのであり、その基本目的は支配秩序の軍事力による確保なのだ。今回の事態はまた、日米両政府にとって、在日米軍の存在と日米軍事同盟をアピールする絶好の機会であった。しかし、在日米軍の存在は、沖縄、岩国、神奈川などで現在も地域住民に犠牲を強いており、アフガニスタンやイラク、リビアでは人民を虐殺し続けている。被災地での活動によって帝国主義軍隊の性格が変わるわけではなく、われわれは日米政府のキャンペーンとたたかい、治安弾圧・階級支配の強化を許さず、米軍再編反対・日米軍事同盟粉砕のたたかいをさらに強化していかねばならない。
 また現在の事態のなかで、「国民統合」の演出として、アキヒトのビデオメッセージや被災地訪問など天皇・天皇制が前面に登場してきている。その一方では、震災下の地方自治体の予算編成のなかで、宮城県と埼玉県で朝鮮学校支への補助金の打ち切りがおこなわれるという事態になっている。震災下の「国民統合」キャンペーンを許さず、それと一体に進む排外主義と断固たたかっていこう。


  ●第3章 6月アジア共同行動を成功させよう

 この五月から六月にかけて、震災被災者支援、福島原発事故弾劾―すべての原発の停止・廃炉へ!を掲げ、全国各地でたたかいの先頭に立とう。高まる原発に対する怒りと不安をすべての原発の停止・廃炉を実現するための全人民的政治決起として組織するために全力をあげよう。そして、反原発闘争と反戦・反基地闘争を固く結合してたたかおう。このようなたたかいの一環として、アジア共同行動日本連絡会議が呼びかける六月アジア共同行動の成功を共にかちとっていこう。
 アジア共同行動日本連絡会議は六月十九日から二十五日まで各地で連動した集会やデモを開催する。ここには韓国のたたかう労働運動家が参加する。この取り組みを反原発闘争と反戦・反基地闘争を結びつけるたたかいとして全国各地で推進していこう。同時に、この一連の取り組みを通して、日韓の労働者の階級的連帯、韓国および沖縄―「本土」からすべての米軍と米軍基地を一掃するための共同のたたかいをさらに発展させていくものとしてかちとろう。
 「トモダチ作戦」なる米軍の被災地での展開と日米同盟の必要性がキャンペーンされるなかで、これに対する反撃は、沖縄、岩国、神奈川などの住民によって担われている米軍再編攻撃との現場での対決を支え共に勝利していくための、そしてまた、アジア・世界で米軍の侵略戦争や米軍基地、日米帝国主義の支配からの解放をめざす労働者人民のたたかいに連帯するための、きわめて重要な課題となっている。
 日米両政府はこの機に乗じて日米軍事同盟のさらなる強化を狙っている。日米外務・防衛担当閣僚会議(2+2)の四月下旬開催は延期したものの、改めて2+2開催、そして日米首脳会談開催が狙われている。震災対策を利用した日米軍事同盟強化、辺野古新基地建設策動をはじめとする基地強化策動を阻止するためにたたかおう。京都では六月十二日に広範な統一戦線のもとで「危険な普天間基地の即時閉鎖・返還を!沖縄に連帯する6・12京都集会」が開催される。こうしたたたかいを支えつつ、アジアからの米軍総撤収!日米軍事同盟粉砕!を公然と掲げ、六月アジア共同行動の成功へと結実させよう。
 同時に、北アフリカ・中東人民の反独裁民主化闘争を断固支持し、日帝足下における反帝国際連帯運動を推し進めよう。米、英、仏など帝国主義諸国のリビア内戦への軍事介入を弾劾しよう!
 この五~六月、被災労働者人民への支援・連帯、反原発闘争、反戦・反基地闘争、国際連帯闘争を一体のものとしてたたかい、そのなかから日本階級闘争のさらなる前進をかちとっていこう。全国の労働者・学生のみなさん、共にたたかおう! 





 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.