共産主義者同盟(統一委員会)


1375号(2011年7月5日) 政治主張






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   反戦―反核、反原発、8・6広島へ結集しよう

 日米安保粉砕!反帝国際連帯の前進を

 高江ヘリパッド建設阻止!オスプレイ配備粉砕

 国際民衆闘争同盟第4回総会に連帯しよう





 東日本大震災と福島第一原発事故から三カ月以上が経ち、被災地の復興と原発の冷温停止の目途がつかぬまま、被災者の多くはいまだに困難な避難生活を強いられている。また、こうした混迷の時期にあって、国政に携わる政治家たちは政局の読みに明け暮れ、菅政権崩壊を企むことに躍起になっている。
 そうしたなか、司法権力・警察権力の暴挙がわれわれに対して行われた。五月二十日、天神峰現闘本部裁判控訴審判決において、東京高裁第十五民事部(井上繁規裁判長)は、控訴棄却の上、天神峰現闘本部の撤去執行を可能にする「仮執行宣言」を付するという、原審を上回る超反動判決を出した。かつ、井上裁判長は、東京高裁庁舎内に警視庁機動隊を招き入れ、反対同盟八名を含む五十名に対して、「不退去罪」をデッチ上げて逮捕した。六月十一日、逮捕者は全員釈放されたが、不当な弾圧によって同志たちは獄中生活を余儀なくされた。われわれは、反対同盟とともに、現闘本部破壊撤去絶対阻止の現地攻防をたたかいぬき、三里塚闘争の勝利をかちとっていこう。
 さらに、こうした国家権力の暴挙をはねのけ、労働者・民衆の生命と生活を破壊へと導く戦争や核開発に断固反対の立場をとり、反戦・反核・反基地・反原発の声をさらに大きく挙げ、国際連帯で大きな大衆運動のうねりをかちとっていこう。


 ●1章 6・11百万人アクションから反原発運動の推進を

 日本全国で反原発・脱原発の運動が盛り上がりを見せている。東日本大震災から三ヵ月となる六月十一日、反原発・脱原発を主張する多くの民衆が連携して「6・11脱原発百万人アクション」を取り組み、全国各地でデモが行われた。特に五月以後、原発反対の世論が高まっており、「原子力発電の利用への賛否」を問う世論調査(『朝日新聞』五月二十六日付)によれば、原発賛成が34%、反対が42%という結果が発表されている。こうした世論は「原発いらないデモ」と相互に影響を与え合う関係になっているといえる。
 東京・新宿では、六月十一日午後、新宿中央公園で大きな集会が開かれた。学者や作家、俳優など、多くの著名人が登壇し、アピールを行った。当日は雨模様だったにもかかわらず、合羽に「反原発」と書いてアピールしたり、「原発いらない、今すぐとめろ、子どもを守れ」と叫ぶなどして、多くの民衆がデモに参加し、終着点の新宿アルタ前まで三時間かけて行進した。集会会場には、奇抜な格好をした人や、思い思いの言葉を書いたプラカードをもった人などが現われ、また、親子連れも多く見受けられた。 主催者によると、約二万人が参加したという。警視庁機動隊はデモを取り囲み、電光掲示板付きの指揮官車と護送車で威圧する物々しさではあったが、逮捕者は出なかった。アルタ前には出発時よりずっと多くの民衆が集まっており、エジプトの民衆が民主化を求めて結集したカイロ・タハリール広場を彷彿とさせる光景であった。都内では、芝公園、代々木公園、新宿中央公園の三つの行動が連携してたたかわれ、夜に新宿アルタ前で統一的な行動が行われたため、こうした大きな取り組みを行うことができた。また、そのほかにも高円寺周辺や横浜市内でも集会やデモが行われるなど、首都圏内の多くの場所で反原発・脱原発を訴える取り組みが行われた。
 大阪では、中之島にある剣先公園での集会のあと、デモが行われた。デモは午後三時に淀屋橋を出発し、終着点の難波に最後尾がたどり着くまでの三時間三十分、多くの民衆が行進に参加した。参加者の群れはカラフルで、子どもや若い人も多く、鳴り物もあって賑やかな雰囲気になった。大阪での参加者は四千人とされている。
 こうした取り組みは、首都圏・関西を中心にした都市圏のみで行われたわけではない。震災の影響をほとんど受けなかったとされる中四国・九州地方でも反原発・脱原発の取り組みが行われた。広島市や福岡市、松山市などで「6・11脱原発百万人アクション」の連帯行動が行われたが、特筆すべきは、山口県内での取り組みであろう。中国電力は、山口県上関町田ノ浦に上関原発一号機・二号機を建設し、それぞれ二〇一八年と二〇二二年に運転開始を目指しているが、それは、上関町祝島の住民をはじめとした多くの民衆の抗議活動を無視して強硬に推し進めているものである。しかし、震災後、建設を実質上容認してきた二井関也・山口県知事が、建設工事の一旦中止を求めたり、二〇一二年に期限切れとなる公有水面埋立免許を更新しないことを検討したりしている。また、周辺自治体が上関原発の計画中止あるいは凍結を求める決議案を次々に可決させている。その背景には、周辺の多くの民衆が、計画の白紙撤回を求めて大きく声を挙げていることにある。こうしたうねりを反映して、六月十日に山口県平生町田名埠頭から中国電力上関原発準備事務所までの十二キロメートルを行進する「上関ピースウォーク」が行われた。また、山口市内でも、道場門前商店街を中心に上関原発計画の中止を求める署名活動やデモ行進などが行われた。
 しかし、高まる反原発・脱原発の波を尻目に、日本の電力会社をはじめとする独占資本や政府は、原発からの脱却については一顧だにしない考えである。例えば、「上関ピースウォーク」の参加者は中国電力に申入書を渡そうとしたが、これには中電側はまったく応対しなかった。中国電力は、この六月中に開かれる株主総会で、これまで原子力強化プロジェクト長を務めてきた苅田智英副社長を社長に昇格させる方針で、一向に原発推進の路線から舵を切ろうとはしていない。むしろ、島根原発三号機の運転開始や上関原発の着工をこれまでよりもさらに強硬に進めてくるだろう。われわれは、こうした民衆の声を押しつぶそうとする中国電力の態度に決して屈してはならない。
 もちろん、これは中国電力に限ったことではない。震災直後に「計画停電」を実施して「原発がなくなれば生活が危機にさらされる」というイメージを民衆に刷り込もうとした東京電力の暴挙も許してはならない。また、電力会社各社や大手メディアによる節電の「呼びかけ」も根拠なく行われている。これは多くの専門家が主張していることであるが、例え日本全国の原発を停止させたとしても、日本中が大停電に陥るようなことはない。日本全国の電力供給量は、それほど余っているのだ。このような嘘とペテンで塗り固められた「原発の社会的必要性」という国家的な大宣伝に対し、われわれは毅然とした姿勢で臨まなければならない。
 このようにして、電力会社やメディア、政府が原子力発電にこだわるのは、いったいなぜだろうか。大きな理由として、二点挙げられるだろう。第一に、原発を維持することによって、日本は核武装こそ現実的には差し控えるけれども、核武装のための技術的・産業的な潜在力を保持しようとする、政府の安全保障体制が存在するからである。この体制は、もちろん、核兵器の保持を安全保障政策の基本に据える米国との軍事同盟がもつ主要な性格の一つである。ただし、これは、かつて数々の政治家たちが「核武装論」を展開してきたように、いつでも日本帝国主義が核武装できるようにするためのものであることを忘れてはならない。このように原発と核武装とは、政府の安全保障体制の重要な部分として、密接に関係しているのである。また、第二には、「核の四面体構造」とも呼ばれる複雑な利権関係が存在するからである。それは、原子力開発を推進する関係省庁の主導権のもとに群がる電力業界、政治家、地方自治体の利権関係である。さらに、原子炉メーカーや原子力関係研究者や建設業界なども含めると、この構造は非常に巨大で、複雑かつ閉鎖的な関係である。これらが、日本の原子力政策を強硬に推し進めてきた「原子力ムラ」の構成員である。こうした独占資本・政治権力・御用学者による談合によって、原子力政策のみならず、日本のエネルギー政策全体が長年改められることなく維持・形成されてきたのである。この体制のもとで、根拠のない「安全性」や「社会的必要性」という言葉で民衆は巧みに操られ、国家と独占資本のための情報操作や管理がなされてきたのである。その弊害が、今回の福島第一原発の大事故を引き起こしたことは言うまでもない。
 さて、連日メディアで放送されるように、福島第一原発から三十キロ圏内以外でも、広い範囲で大量の放射性物質が計測されている。文部科学省の機関である原子力安全委員会が四月に「年間二十ミリシーベルト」を許容範囲とする方針を決めたことに、福島県民をはじめとする多くの民衆から抗議の声が挙がった。その後、文科省の見解も二転三転しており、このことが周辺住民の不安につながっている。
 そもそも、原爆症認定訴訟でも懸念事項であったように、放射線の影響は「因果関係を証明することができない」ほど、被曝と健康被害の関係の立証には困難さが伴う。特に内部被曝がどれほど健康被害に影響するかは解明されていない。しかし、そうであるからと言って決して「放射線は人体に影響がない」ということにはならない。むしろ、放射能の人体への影響は晩発性であり、放射能は長い時間をかけてゆっくりと人体を蝕んでいく可能性があると考えなければならない。こうした放射能の影響を無視して原発政策を推し進め、恒常的に被曝労働者をつくりだし、数え切れぬ被曝事故を引き起こしながらそれらのほとんどを隠蔽し続けてきた電力会社や政府の態度に、われわれは憤りをもって抗議しつづけてきた。今回の事故による被害は、若年層や子どもたちの世代に大きく影響するとされている。日本帝国主義が強権的におし進めてきた原発政策のツケを次世代に負わせることは、あまりに不条理である。
 先述したとおり、六月十一日には、日本全国で連動した反原発大衆行動がたたかわれた。この日は日本国内のみならず、世界中の民衆が反原発・脱原発を掲げて声を挙げ、街頭で行動を起こした。われわれ日本の民衆は、全世界の民衆と連帯して反原発の行動をかちとったのである。われわれの運動は、政府に中部電力浜岡原発の運転を中断させるに至るまでになったが、ここで反原発の声を緩めるわけにはいかない。被爆者・被爆二世とともに被爆者解放闘争を進める立場から、あらゆる核兵器・核施設・原発に反対していこう。反核―反原発を鮮明に掲げて、全国で立ち上がろう。日本全国のすべての原発の運用停止と廃炉、そして今後原発の建設や運転が目論まれるすべての計画の白紙撤回をかちとるまで、われわれはこれからも反原発の声を挙げ、運動を推進していこう。


 ●2章 沖縄―岩国―神奈川軸に反基地闘争を進めよう

 日本政府が東日本大震災に関する対応に追われ、また政局が混迷の状態にあっても、政府内では日米軍事同盟を強固なものにしようとする動きが進められている。日米首脳会談は九月に延期されたものの、外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)は六月二十一日に行われ、在日・在沖米軍基地の問題がひとつの山場を迎えている。確かに米上院軍事委員会では、普天間基地の「辺野古移設は非現実的で困難」という報告がなされてはいるが、日米政府当局者はあくまで「辺野古移設」に固執している。今月十三日、北沢防衛相は仲井真知事と会談し、普天間基地の移設案を、キャンプ・シュワブを埋め立てる辺野古案で決定するという方針を伝えた。北沢は実質的に基地機能拡張となるV字滑走路案を示し、さらには、普天間基地に実験段階で墜落事故が相次いでいる垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを二〇一二年に配備することを伝えた。これに対し、地元の宜野湾市長は断固反対を表明しており、仲井真知事ですら「辺野古移設」を認めず、北沢に「遺憾で残念だ」と反発している。これはもちろん、辺野古の住民をはじめ、沖縄の民衆が米軍基地撤去を強く要求して粘り強く抗議の声を上げ続けているからである。「復帰」から三十九年を迎えた五月十五日には、普天間基地の即時撤退を求めた平和行進が宜野湾市で行われた。宜野湾市役所から二コースに分かれてそれぞれが普天間基地を一周し、宜野湾市海浜公園野外劇場へと至る大規模なデモに、三千人を超える参加者が結集した。また、米上院軍事委員会が普天間基地の嘉手納統合案を提示したことに対して、六月十二日に五百四十人の住民が集まって抗議の声を挙げた。このようにして、沖縄の民衆は絶えず米軍基地に対して「NO」の声をつきつけてきたのである。今回の日米安保協議委員会は、日本の政局が不安定ななかで今後の実現性が乏しい会談である。なおかつ民衆が強く反対している合意内容であるが、日米両政府は、今後強引に計画を推し進めようとしてくるだろう。
 沖縄の基地問題は、普天間移設の問題だけではない。防衛庁―沖縄防衛局は東村高江にヘリパッドを強硬に建設しようとしている。三月から六月はノグチゲラの繁殖期間であるため、沖縄防衛局も大規模な工事は控えていたが、七月に入ってからの工事強行を狙っている。高江ヘリパッド建設は、東村の住民に爆音と危険を押しつける攻撃であり、絶対に阻止しなければならない。
 「辺野古移設」が非現実的であるのは当然の話である。また、嘉手納基地統合案も絶対に阻止しなければならない。高江でのヘリパット建設も阻止しなければならない。沖縄の民衆が日米両政府に突きつけていることは、米軍基地の無条件撤去である。これからも変わらず沖縄の民衆の運動に連帯し、沖縄から全ての米軍基地を撤去しよう。
 さらに、米軍基地は「沖縄」だけの問題ではない。「本土」においても、日米両政府は基地拡張を進めようとしている。米軍岩国基地を抱える岩国市の福田市長は、六月九日に北沢防衛相と非公開で会談を行った。福田市長は、米軍艦載機移駐といった岩国基地機能強化や愛宕山開発地域の米軍住宅化に反対し続ける岩国市民の意向とは異なり、愛宕山跡地にスポーツ施設を建設するなど四項目を政府に要請した。愛宕山地域の住民は、跡地を米軍住宅やスポーツ施設にするのではなく、市民のための住宅として、なおかつ東日本大震災で被災した人々のための「被災者復興支援住宅」として利用すべきだと声を挙げている。福田市長は、岩国市民の声を無視しながら市政を行っている。一方で、井原勝介・前岩国市長が来年一月に行われる岩国市長選挙に出馬の意向を六月十一日に示しており、選挙戦にむけてさらに岩国市民による基地拡張反対の声が高まりそうだ。
 米軍基地問題は、沖縄の民衆に計り知れぬ負担を強いているとはいえ、決して「本土」と「沖縄」の基地を切り離して考えてはならない。米軍再編は決して沖縄の負担軽減のためのものではなく、「本土」「沖縄」両者のあいだに違いを設けて計画されてはいないのだ。われわれは、沖縄の反基地闘争と結合しながら、「本土」における反基地闘争をさらに強化しなければならない。岩国での取り組みを軸とした反基地闘争を、全国的な結合、国際的な結合として強化していこう。沖縄―岩国―神奈川、そして、アジア各国の反基地闘争との結合を強めていこう。


 ●3章 七~八月国際連帯運動 広島青空集会へ決起を

 この五月から六月にかけ、われわれは反戦反基地闘争・反原発闘争の全人民的政治決起をかちとってきた。また六月下旬には、アジア共同行動日本連絡会議が呼びかけた各地集会が開かれ、韓国のたたかう労働者が参加した。全国の労働運動と反基地闘争が韓国の労働運動・反基地闘争と連帯することで、われわれはさらに国際連帯関係を一歩前進させることができた。今後も訪韓運動をはじめとして、韓国民衆との直接的な連帯をさらに強化していこう。
 さて、今回の震災直前まで、菅政権は原子炉をアジアに輸出する計画を進めており、ベトナムやインドと協議を行っていた。これは、核技術・核産業を輸出することによって日本の経済的延命を図ろうとするものであり、いつでも核兵器開発に転用可能な原発をアジアへ輸出するという日本帝国主義の経済侵略であった。ここに政府や資本家たちの魂胆がある。つまり、日本国内で飽和状態となった原子力発電事業を海外で展開することで、日本の経済的地位を維持しようとするのである。この「戦略」は福島第一原発事故によって失墜したが、政府や資本家たちは手を変え品を変えして、アジアの経済侵略を進めてくるだろう。日本の労働者も含めたアジアの労働者を酷使しながら、独占資本は「内部留保」をため込んでいっそう肥大化しようとしている。東日本大震災は、大量の失業者で溢れ、就職できない若者が不安を抱き、生活保護受給者が二百万人を超える日本の混迷状態にさらに追い打ちをかけたが、それらはすべて日本帝国主義と独占資本によってつくりだされた状況を背景にして生まれたものであり、このなかで民衆は犠牲にされているのである。われわれは、七月六日にフィリピンBAYANとAWC日本連の共催で開かれる反基地国際フォーラムや、七月六日から九日まで開催されるILPS(国際民衆闘争同盟)第四回総会に参加し、フィリピン人民との連帯でこれらを成功させよう。そして、われわれは、震災や原発事故の被害拡大の責任は日本政府と独占資本にあると訴え、アジアや全世界の労働者・民衆と連帯して、この難局を乗り切ろう。
 われわれは、六月国際連帯集会を実践し成功させることで、韓国やフィリピンをはじめとするアジア各国の民衆との連帯を強化し、反核-反原発闘争を国際的な規模で進めよう。今後も運動の手をゆるめず、8・6広島青空集会を反核―反原発闘争の重要な環として全国から広島に決起しよう。全国の労働者・民衆・学生のみなさん、ともにたたかおう!



 

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