共産主義者同盟(統一委員会)


1376号(2011年7月20日) 政治主張






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 東日本大震災と福島第一原発事故が起きた3・11以来、日本帝国主義の階級支配は一段と動揺の度を強めている。この危機を、支配階級は、資本の利害を貫きながらなんとしても突破しようとしている。
 原発再稼動の画策や、被災地に対する新自由主義的「復興」計画、日米軍事同盟の強化と排外主義扇動をもって、この危機を乗り越えようと躍起になっている。
 こうした支配階級の攻撃に対して、日帝足下の労働者人民が、プロレタリア国際主義の内容をもって、断固として反撃していくことを強く訴えたい。日帝ブルジョアジーどもが叫んでいる方針のどれもが、労働者人民の生活を再建するどころか、ますます破壊するものであることが明らかとなっている。帝国主義独占資本の利害に対して、労働者階級自身の利害を、今こそ前面に押し出して反撃していこうではないか。自国帝国主義打倒こそが、日帝足下の労働者人民の利益であることを鮮明にしてたたかいの前進をかちとっていこう。


  ●第1章 反原発運動をおしすすめよう
 

 3・11東日本大震災から三カ月以上が経過した。一万五千人以上もの人々が亡くなり、それに加えて、七千人以上の人々の安否が確認できない状態が現在も続いている。このような状況の中で、被災現地の住民自身による生活再建にむけた活動が粘り強くとりくまれている。また、それを支援するために全国の労働者階級人民の取り組みが行われている。
 日帝―菅政権は、六月二十五日に決定された「復興構想会議」(議長・五百頭真防衛大学校長)による提言を受け、七月中に復興指針を策定しようとしている。この提言は、復興財源を理由にした消費税増税と所得税の定率増税、水産業の規制緩和、農地の集約による大規模化などを要求している。この復興会議の会合で、経団連など日帝ブルジョアジーが新自由主義政策による「復興」を主張していたことが、そのまま盛り込まれている。被災現地の労働者人民の要求よりも、日帝ブルジョアジーが被災現地の「復興」を足がかりに資本を蓄積することが第一の目的にされているのだ。そして、その根拠となる資金を作り出すために、労働者人民に増税を押しつけようとしている。このように、日帝政府がおしすすめる「復興」において、独占資本の利害を何よりも優先させるのだという悪辣な方針が明らかとなっている。
 このような日帝―菅政権による「復興」政策を断固弾劾し、被災現地の労働者人民自身による生活再建を対置して、これを支援していくことが強く求められているのだ。  一方、福島第一原発の崩壊事故はまったく収束のめどが立っていない。深刻な放射能汚染が拡大し、福島県民をはじめ多くの労働者人民、とりわけ子供や女性の被曝を防がなければならない事態が続いている。しかし、日帝政府も東電も、放射能除染作業を福島県ですら行うことなく、三カ月以上も放置し続けている。放射線量の測定も全く不十分で、なかには地上十八メートルでの空間線量値を出すなど、欺瞞的な数値を出すことまでやっている。政府―東電は、人民をできるだけ被曝から守ろうという対応すらしないのだ。こうした政府―東電の住民無視に対して、全人民の怒りが巻き起こっている。同時に、福島県では、住民みずから放射線量を測定し、子供たちが毎日行き来する通学路をはじめとして、全住民あげての除染作業が計画され、実行されようとしている。  福島原発の二号炉・三号炉では、強烈な放射線のために、いまだに原子炉の状態がどのようになっているのか把握することすらできていない。そのために、闇雲な冷却水注入が続けられ、放射能による高濃度汚染水が総量十一万トンにまで膨れ上がっている。この汚染水からの放射線が、現場作業員の被曝をさらにひどいものにしているが、政府―東電は、汚染水の除去を一向に進めることができていない。
 一号炉について、東電は、炉心がすべて溶融し圧力容器の底を溶かし落下しているという認識を明らかにした。しかし、溶融した核燃料は格納容器内に収まっているという。この時点で、核燃料が圧力容器内に収まっていることを前提とする「冷温停止」は全く不可能である。しかし、「冷温停止」を一つの目標にしている東電の工程表はそのままにして作業が進められている。まったく欺瞞に満ちた見通しをもって、労働者人民に被曝を押し付けてくる姿勢が変わらず続いている。全く許しがたいことだ。
 くわえて、東電が意識的に事態を過小評価している点を見逃してはならない。溶融した核燃料が圧力容器を破って漏れたなら、格納容器も溶かしてしまうだろう。さらに原子炉建屋の基礎であるコンクリート構造物も溶かし、核燃料は地中に沈み込んでゆく。そうなれば、いくら原子炉建屋の上部から注水しても、溶融した核燃料を冷やすことはほとんど不可能になるだろう。もちろん、核燃料の回収、密閉も不可能になる。そして、核燃料が地中に沈み込めば、地下水を通じて周辺土壌に拡散し、それが海へ流出すれば深刻な海洋汚染が引き起こされる。これに加えて、大量の高濃度汚染水がどこから漏れているかまったく把握できない状況も続いている。だからこそ、原子炉建屋を包囲するような形の「地中ダム」と呼ばれる遮水壁の設置が急務だと指摘され続けてきた。
 しかし東電は、福島原発事故による放射能汚染の拡大をできる限り押さえ込むことよりも、目の前の株主総会を乗り切ることを選択した。すなわち、株主総会を前に遮水壁の工費一千億円を計上すれば、株価の下落を招き、株主総会が混乱するから、すぐに遮水壁を設置する工事はできないというのだ。
 ここにも独占資本の本質、みずからの利害のためには労働者人民を犠牲にすることも平気でやってのける許しがたい姿が明らかとなっている。このような独占資本の延命を目的にした、日帝―菅政権による損害賠償支払のスキームを断固として粉砕しなければならない。原発事故による労働者人民の生活破壊を断固として許さず、まず第一に東電の全資産をもって補償させなければならない。
 日帝足下における原発事故に対して、全世界の人民が注視し続けている。そして、スイスやドイツに続いてイタリア人民も国民投票で脱原発を選択した。六月十二日から十三日にかけて行われた原発再開の是非を問うイタリア国民投票は、54・79%の投票率で成立し、94・05%が原発凍結を選択した。脱原発派の圧勝である。まさに今、原子力発電を社会から排除していくという政策の転換が大きく進もうとしている。
 これに対する日帝ブルジョアジーの反応を代表しているのが、自民党幹事長の石原伸晃だ。このイタリアの国民投票結果を「集団ヒステリー状態」などという差別的言辞でもって評しているのだ。絶対に許すことはできない。原発建設を推進してきた自民党議員には、この人民の憤激を理解することができない。原発の海外輸出をもって独占資本の海外進出を推進しようとしてきた、そしてこのような原発事故を引き起こした東電すら延命させようとする民主党も同罪である。
 日帝独占資本の利害が、労働者人民の利害と全く相容れないことが、3・11東日本大震災と福島原発事故によって、まったく許しがたい事態を現出しながら、われわれの眼前で明らかとなっている。そして労働者人民の怒りがさまざまな決起を生み出している。 6・11百万人アクションは全国百四十カ所で取り組まれ、労働者人民の生命―生活と核エネルギーは共存できないことが鮮明に打ち出された。その後も、六月二十六日の「グッバイ!原発 福島一万人集会」をはじめ、反原発集会が全国で繰り広げられている。 全国各地で取り組まれた六月アジア共同行動も、国際連帯や基地反対の内容とともに、原発反対をかかげて取り組まれた。全世界の反原発闘争と連帯し、原発をすべて廃炉にするまでたたかい抜いていこう。


 ●第2章 激化する排外主義攻撃を打ち破れ

 大震災下において、資本主義社会の矛盾が噴出している中、それを取り繕うとする権力と資本による国家統制策動と排外主義攻撃が激化している。それに乗じた排外主義集団による在日外国人・滞日外国人に対する襲撃が起きている。
 大阪府においては、府知事・橋下が「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国家の斉唱に関する条例」を提出し、六月三日、大阪維新の会とみんなの党の賛成によって府議会が可決を強行した。われわれは、この暴挙を弾劾しなければならない。橋下は条例をもって起立―斉唱を強制し、従わなければ懲戒免職処分にするという攻撃に踏み込んできたのだ。これまで、九九年の「国旗・国家法」、〇三年の都教委による「10・23通達」、そして〇六年の教育基本法改悪によって、教育現場への排外主義攻撃は激化してきた。それが、ここに至って、現場の教職員を直接の対象として「君が代」の斉唱を強制しようというのだ。橋下は、ファシスト石原すら乗り越える民族排外主義政策を実行しようというのだ。われわれは断固として、この橋下の差別排外主義攻撃を粉砕し、「日の丸・君が代」強制を打ち砕かねばならない。
 くわえて、天皇を先頭にした皇族による「慰問」を軸にした天皇制イデオロギーによる国家統制や排外主義集団による襲撃に対する反撃のたたかいを推進していかなければならない。六月二十三日には、東京と大阪で朝鮮高校「無償化」実現に向けた集会が同時開催されている。日帝政府は、昨年四月の高校無償化の制度発足に際し、朝鮮学校を排除した。その結果、今年三月には、無償化対象にならないまま約六百人の朝鮮学校の生徒が卒業している。菅政権は、その民族排外主義政策を維持したまま、在日朝鮮人民の要求をふみにじっているのだ。さらに震災で被災した仙台市と福島県郡山市にある朝鮮学校の子供たちは、新潟県内に避難して授業を受けている。こうした中で、宮城県などは朝鮮学校への補助金を今年度から廃止するということまで行っている。日本人と同じように被災している被抑圧民族人民に対して、まったく反人民的な差別政策がまかり通っていることを、われわれは絶対に許してはならない。日帝足下の労働者人民こそが、こうした民族排外主義政策と断固対決して打ち砕いていかなければならない。在特会などファシスト・排外主義集団を社会的に包囲し解体するたたかいをおし進めていこう。粘り強くたたかいぬいている在日朝鮮人民と固く結合して、朝鮮学校「無償化」実現のたたかいを前進させて行こうではないか。


  ●第3章 2+2弾劾!日米軍事同盟粉砕!

 六月二十一日、ワシントンにおいて日米外務防衛担当閣僚会合(2プラス2)が開催された。日米帝の外務防衛官僚は、大震災下で日本の政治情勢が流動化する中でも、日米同盟深化を進めようとたくらんでいる。
 今回の会合では、日米の共通戦略目標が全面的に改定された。朝鮮半島・台湾海峡・アジア太平洋に加えて、中東・北アフリカ・イラン・パキスタンを対象地域とした。米帝が支配しようとする地域を、そのまま日米同盟の対象としたのである。そして、日米韓や日米豪、ASEANとの軍事連携を強め、中国への包囲網を作り上げていくことが目指されている。
 さらに大震災において、災害・原発事故に対応した米軍・自衛隊が、地方公共団体や公共機関、民間施設などと「協力」し、戦時動員体制を実働させたことを強調している。また、市ヶ谷と横田、仙台に設置した日米調整所を「将来のあらゆる事態への対応モデルとなる」として、日米軍事一体化と有事動員を日米同盟深化の一つとして確認しているのだ。
 在日米軍再編計画については、辺野古新基地建設の二〇一四年実施完了は実現できないことを認めたが「早期実現」を宣言している。沖縄人民の反基地闘争に直面しながら、日米帝はあくまで辺野古案に固執し、V字の二本滑走路の計画を決定した。さらに、墜落事故を立て続けに起こしたオスプレイの沖縄配備も打ち出している。これは、辺野古新基地建設を進めないなら、普天間基地を固定化し、危険なオスプレイを配備するぞ、という沖縄人民に対する恫喝に他ならない。これを絶対に許してはならない。沖縄人民に敵対する日米帝の野望を打ち砕こうではないか。
 さらに岩国への艦載機移駐を推進するために、鹿児島県の馬毛島に離発着訓練施設を建設し、恒久的に使用することも盛り込まれている。
 われわれは、日米帝の差別軍事支配を打ち破る沖縄人民の反基地闘争と固く結合して、辺野古新基地建設・高江ヘリパッド建設を阻止していかなくてはならない。辺野古新基地建設阻止は、まさに全沖縄人民の意志となって、日米帝の利害に対決してたたかい抜かれている。そして、高江ヘリパッド建設に対してオスプレイ配備が公然化する中で、島ぐるみのたたかいとして高江ヘリパッド建設阻止闘争がすすめられようとしている。こうした沖縄人民の基地撤去闘争と結びつき、米軍基地総撤収を鮮明にしてたたかおうではないか。
 厚木からの艦載機移駐、基地強化に反対する岩国住民は、愛宕山開発跡地を米軍住宅ではなく「被災者支援住宅」に転換しようという運動をおしすすめている。震災下において、労働者人民が必要としているものを正面から打ち出し、日米帝の軍事同盟強化に対決している「愛宕山を守る市民連絡協議会」の運動を、全国の階級的労働運動と結合させて、推進していこうではないか。アジア共同行動は十一月岩国国際集会に向けて、その準備を進めている。今夏―今秋の反基地闘争をたたかいぬき、岩国への総結集を実現していこう。
 アジア共同行動は、六月国際連帯集会を全国各地で展開してきた。さらに七月フィリピンにおけるILPS(国際民衆闘争同盟)第四回総会と反基地フォーラムを全力で推進してきている。この取り組みの中で、反原発闘争、反戦―反基地闘争、階級的労働運動といった諸領域における、韓国やフィリピンをはじめとした労働者人民との国際的結合が実践的に強化されてきている。われわれは、こうしたアジア共同行動のたたかいを断固として支持したたかいぬいていく。六月からの国際連帯活動の成果を引きつぎ、十一月岩国国際集会へ総結集する陣形をつくりあげていこうではないか。


  ●第4章 8・6広島青空集会へ

 福島第一原発事故が現実に起こり、福島県の住民をはじめ多くの労働者人民が被曝するという重大な事態の中で、本年の8・6広島青空集会が取り組まれる。
 原発と核武装は切り離せない一体のものとしてある。日帝は「原子力の平和利用」の名の下に原発を乱立させ、プルトニウムを蓄積し核兵器製造の技術を維持してきた。原発建設の経緯から見ても、そもそもエネルギー供給の問題で原発が建設されはじめたのではないことは明らかだ。軍事力と一体となって海外侵出しようとする日帝の核武装を第一の目的として、原発の建設が開始されたのだ。
 核兵器が、どれほどの悲劇を労働者人民に強制する兵器なのか。われわれはヒロシマ・ナガサキの核爆発の記憶によって、そしてその後も現在に至るまで続いている被爆者解放のたたかいに結びつく中から、あらゆる核に反対していくことを学んできた。われわれは、被爆者・被爆二世とともに被爆者解放闘争を進める立場から、あらゆる核兵器、核施設―原発に反対する。全国のあらゆる階層、労働者人民は反核―反原発を鮮明に掲げて、全国で立ち上がろう。8・6広島集会に全国から結集しよう。



 

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