共産主義者同盟(統一委員会)


1389号(2012年3月5日) 政治主張






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 労働運動の階級的総反撃を!

 12春闘に総決起しよう

 




 全国で闘う労働者の仲間のみなさん。12春闘の闘いが開始されている。この春闘は日本をふくめて世界的な資本主義の危機の激化と、労働者階級の階級的な流動のなかで闘われている。あのソ連邦崩壊をもって「共産主義の敗北と資本主義の勝利」を宣言したブルジョアジー自身が「資本主義の終わりの始まり」と「世界的な危機」を認めざるをえなくなっている。長期化し、ますます深刻化する資本主義の危機にのなかで、政策を提出できなくなっているのである。矛盾の一切を労働者人民におしつけることにおいてのみ延命しようとすることは同時に、自らの「墓堀人」たる労働者階級の歴史的な決起を呼びおこさざるをえない。実際、全世界で「われわれは99%だ」等をかかげた労働者のストライキや占拠、デモが連続的に開始されている。
 この歴史的な情勢のなかで12春闘は闘われている。労働者階級の歴史的な反撃と反乱として闘い抜き、労働運動の階級的反撃の本格的な時代を切り拓こう。


 ●1章 12春闘を取り巻く情勢

 世界史は今、新たな局面をむかえている。米帝を中心国とする世界体制そのものが大きくゆらぎ、歴史的な危機が世界をおおっている。米帝を中心として成立した戦後世界体制は、ニクソンの「二つの声明」で大きな転換をむかえ、レーガン、サッチャーによる巻き返しとして新自由主義グローバリゼーションという、金融独占資本の無制限の国際的な利益の追求が世界を支配したかに見えた。ソ連など「労働者国家」崩壊のなかで「資本主義の勝利」が謳歌されたのである。だが、それも長くは続かず、金融投機資本の「詐欺」的な手法による利益の拡大は〇八年、「リーマン・ショック」において行きづまり金融投機資本の無政府性と暴力性が破産した。米帝発の世界恐慌となり、世界的な危機が本格的に開始されたのである。中国をはじめとするBRICsの経済成長をも利用した資本主義の地球規模での拡大によって維持されてきた構造も縮小に転じ始めている。
 米帝は、イラク・アフガニスタン戦争による巻き返しの破産と、独占資本の救済を最大の要因として、巨額な財政赤字となり、完全にいきづまっている。EUにおいても、ギリシャ、スペインをはじめとした危機は全ヨーロッパを覆い、ドイツやフランスではそれを支えきれず、崩壊の危機をむかえている。まさに資本主義は「終わりの始まり」の渦中にいるのである。支配階級は、この危機をただただ労働者階級人民からのさらなる搾取と収奪によってひきのばす以外の方法をもっていない。失業の拡大のなかで、さらなる賃金の引き下げ、猛烈な増税、社会保障の解体等を進め、一方で独占資本の国家的保護をすすめている。
 このような情勢は、当然にも生きるための労働者人民の反撃を国際的にまきおこしている。ギリシャをはじめとしてヨーロッパ全体、アメリカにおいてもウォール街の占拠闘争をはじめとして闘いが続いている。また中国をはじめとして低賃金のもとに労働している労働者が権利をもとめてストライキをはじめとした闘いに決起している。国家が1パーセントの資本家のものであり、その利益のために99パーセントの労働者人民を搾取・収奪するものであることが、だれの目にも明らかな時代となっている。労働者人民にとっては、生きるためには資本主義の「発展」に希望を託すことはできず、展望は自らの社会をつくりだす以外にないことが明らかになってきている。この事実が歴史的、世界的に蓄積されているのである。
 まさに、金融独占資本主義そのものが危機になり、自然や人間の社会的な生活を破壊しつづけ、もはや打倒すべきものとしてあることが明確になった。そして同時に、搾取され収奪される労働者人民の、没落の淵にある資本主義に代わる主体としての登場が確実に開始されているのである。資本主義はどんなに危機になっても自動崩壊しない。戦争や奴隷的収奪等の手段で生き残ろうとする。資本主義を打倒しうるのは労働者階級人民だけである。
 このような、世界的現実は日本においてもまた同様である。今や戦後的な「経済成長」の構造は崩壊して久しい。米帝の相対的な後退のなかでの「バブル」とその崩壊に際して、資本の一層の集中と、国家による保護と救済によって事態をのりきろうとしたが、それすらかなわず、いまや長期の不況として国際的な危機の中にある。日本のブルジョアジーは、崩壊しつつあった戦後支配体制を中曽根「戦後政治の総決算」による戦後階級闘争構造の解体によって右から再編し、また新自由主義グローバリゼーションを小泉「構造改革」経団連「新時代の日本的経営」を通じておし進め、労働運動の解体のうえに下層労働者の「流動化」・非正規化(34・3%、女性労働者は53・8%)をすすめてきた。賃下げや社会保障の切り下げ等をおこない、「規制緩和」として労働法制の改悪を強行し、労働者の生活と権利を破壊し、文字どおりの奴隷労働を強いているのである。
 そのなかで、今回の福島原発事故で満天下にあきらかになったように、国家(政府・官僚)・独占資本・マスコミ・学者が「原子力村」を形成し、人民の犠牲の上に自らの利益と利権をむさぼるという構造が、全社会的に形成されているのである。
 当然にも激化する階級矛盾によって支配階級の危機が醸成されるなかで、戦後の自民党支配をうちやぶるものとして「国民の生活が第一」をかかげた民主党政権が登場し、変化の幻想を与えた。だが、米軍再編において辺野古新基地建設、岩国・愛宕山米軍住宅建設をはじめとした米軍基地強化を労働者人民の反対を踏みにじって強行しようとし、それのみならず「武器輸出三原則」の解体、「PKO派兵」の拡大等の政策を次々とおこなおうとしている。
 また、TPPへの参加を推進し、第一次産業の解体や保険制度の改悪等、独占資本と米帝資本の利益の一層の追求につごうのよいものへと社会構造を転換させようとしている。そして人民からの収奪を決定的に拡大しようとして「消費税」の引き上げを強行しようとしている。「財政赤字の解消」、「ギリシャのようになる」とマスコミをあげてキャンペーンし、また、増税分は社会保障にあてるとしている。しかし、これはまったくの嘘であることはあきらかである。そもそも、日本の国債はそのほとんどが国内で購入されており、他国とは異なる。今までと同様に官僚の利権と独占資本の保護と救済が目的なのである。実際、「輸出戻し税」でトヨタの約二千二百億円、ソニー千百億円をはじめとして上位十社で約八千七百億円が還付されるのである。下請けや労働者の消費税が独占資本につぎこまれるのである。日本経団連が「消費税増税」を推進するわけである。また、おおくの労働者人民の反原発の声をふみにじり、「収束宣言」のペテンをもって、原発再稼働をなし崩し的に行おうとしている。
 民主党政権は、まさに反人民的な政権であり、独占資本の利益の追求に国家を奉仕させるものにほかならない。ブルジョア独裁国家の性格を露骨なまでに全面化しているのである。また、「保守二大政党」が同質であることが明確になるなかで、拡大する不満を、労働運動への敵対を全面化した橋下等によって、より反動的な方向へと集約し、労働者人民の怒りが労働運動と結合し、階級的な反撃となることを阻止しようとしている。
 まさに、支配階級はほんの一握りの自らの利害を全面化しながら、その利益の追求のみをおこない、圧倒的多数の労働者人民の生存権を根こそぎ奪おうとしているのである。
 このような情勢がだれの目にもあきらかになるなかで、12春闘はたたかわれているのである。


 ●2章 12春闘勝利を闘い取ろう

 日本経団連は一二年度「経営労働政策委員会報告」で「定期昇給制度」の見直しをうちだした。従来の賃金構造を解体し、徹底した成績給型へと転換する策動を決定的なものとしている。この間の公務員における「勧告制度」の解体とあわせて、戦後的な賃金構造からの転換である。まさに労働者は闘わなければ賃下げがあるのみである。
 12春闘で勝ち取るべき第一は、このような攻撃と全面的に対決し、「人間らしく生きられる」大幅賃上げを勝ち取ることである。この要求は多くの相対的下層の労働者の切実な要求である。全労協は「一万七千四百円/月、百円/時の賃金引上げ、全ての労働者に十七万円/月、千二百円/時の最低賃金保障」を要求している。この要求は絶対に勝ち取らなければならない。年収二百万円以下の労働者が一千百万人を超え、非正規労働者の四分の三は年収二百万円以下である。この数は拡大しており、二百万円以下の状態が固定化されるのである。
 まさに、「人間らしい生活や未来」を奪われ、生存権すら剥奪されているのである。この層の労働条件の引き上げこそが実現されなければならない。労働時間や公契約についての闘いを進め、非正規労働者の雇用や労働条件の引き上げの闘いを決定的に強化していくことは、全ての労働者の必須の課題である。この闘いなしに労働運動の前進はないといえる。
 独占資本は、すでに二百六十六兆円(二〇一〇年度)という膨大な「内部留保」をため込み、さらに増大させている。これは労働者に支払われるべきものである。下請け、中小に還元され、労働者の賃上げに使われるべきものなのである。
 第二は、大幅な賃上げと同時に、非正規雇用労働者の権利の獲得、労働者保護の労働法制の実現のために闘うことが必要である。「労働者派遣法」の抜本改正をはじめとして、「有期労働契約法」「パート労働法」などを労働者の権利の保護の拡大として実現していくことが必要である。民主党政権は「派遣法改正」の「骨抜き」を独占資本の利益の防衛のためにおこなっている。労働分野の「規制緩和」という新自由主義攻撃と対決し、労働者とりわけ非正規労働者の権利のために闘おう。
 これらの闘いは、貧困と格差のなかで、圧倒的多数の、とりわけ青年労働者の権利と均等待遇を実現する闘いであり、階級的活性化を組織していく闘いである。
 第三は、東日本大震災と福島原発事故による労働者人民の被害からの復興とむすびついて闘うことである。大震災以降、労働者の解雇があいついでいる。失業給付をうけているが再就職できないでいる人が被災三県で一万二千七百人にのぼっている。農業・漁業を再建し、仕事をつくり出すことは、緊急の課題である。政府・資本は労働者人民の切実な要求を無視している。被災地の労働者人民と連帯し、切実な要求の実現のために闘おう。そして、福島原発による放射能汚染の拡大のなかで、地元福島をはじめとした被災地の人々を防衛し、各地で被曝労働を強いられている労働者の闘いと結合し、全面的な保障を実現させよう。
 第四は、全国的に反原発闘争のさらなる前進を闘いとっていくことである。政府・独占資本をはじめとした「原子力村」勢力は、歴史的な大事故にもかかわらず、「収束宣言」のペテンをもって原発の再稼働から更なる原発建設を策動している。破産した原子力政策を放棄するどころか、その維持をねらっているのである。労働者人民にその地で生きること自体を否定する原発事故をおこしていながらである。原発は、人間生活と自然の存続とあいいれないものであることが、今回の事故で明らかになった。すべての原発の停止と廃炉はすべての労働者人民の要求である。核兵器保有と一体の原子力政策を廃絶しなければならない。昨年9・19六万人の決起をはじめとした闘いを拡大し、3・11福島現地をはじめとして全国で総決起し、3・24日比谷集会に結集し、経産省前の闘いや「もんじゅ」に対する闘いと結合し、反原発闘争の全人民的拡大にむけて闘おう。
 第五は、沖縄・岩国・神奈川をはじめとする米軍再編に対する反戦闘争の前進のために闘うことである。激化する世界的な危機のなかで、帝国主義は戦争への道をさらにつきすすんでいる。米帝はイランへの攻撃を強め、同時にアジアにおける戦力を維持しながら、日帝への要求を拡大している。このなかで民主党政権は辺野古新基地建設に沖縄をはじめとする労働者人民の反対の闘いを圧殺して踏み込もうとしている。また、岩国においては山口県・岩国市による愛宕山の国への売渡し、米軍住宅建設の攻撃が具体的に開始されている。そして新たに、沖縄の海兵隊の岩国移駐の策動があきらかにされた。同時に、「武器輸出三原則」の解体、「PKO派兵」の拡大が進行している。このような攻撃に対して、沖縄・岩国をはじめとする実力的な闘いに連帯し闘いぬかなければならない。
 第六は、「消費税増税」「TPP参加」という、労働者人民への収奪の激化と闘うことである。野田政権は消費税増税につきすすんでいる。この結果、利益を得るのは独占資本であり、労働者人民とりわけ下層は更なる収奪によって生活が一層困難となる。
 またTPPは、新自由主義政策によって日本社会を一層過酷な「競争型社会」にし、医療をはじめとして、大衆収奪と社会保障の解体を導く。同時に第一次産業の解体への道である。東電の電気料金値上げもふくめて、一層露骨化する独占資本の利益のための政策、労働者人民からの収奪の激化を、絶対に阻止しなければならない。
 第七は、JALの不当解雇撤回闘争、整理解雇の判例法理の解体の攻撃を許さない闘いをはじめとして、すべての争議の勝利にむけて闘うことである。現場における闘いの前進ぬきに労働運動の前進はない。同時に、外国人「研修生・実習生」に対するすさまじい搾取と無権利に対して共に闘うこと、滞日外国人労働者の雇用と労働条件、権利のためにたたかわなければならない。
 第八は、これらの闘いを、今や本質を全面化し、国家官僚と独占資本の手先として登場している野田民主党政権や日本経団連に対する労働者の反撃の闘いとして12春闘において闘いぬくことである。敵支配階級は戦後的な労働者支配を全面的に再編し、少数の支配階級のために圧倒的多数の被支配階級からの搾取と収奪を極限にまで激化している。同時に、反対する者に対しては暴力的な弾圧体制を整えている。労働者にとっては、激化する階級矛盾のなかで階級として未来をつくるのか、賃金奴隷として生存権すら剥奪されるのかが問われてきている。とりわけ新たな政治勢力として登場している橋下―維新の会は、労働運動の全面的解体攻撃の先兵である。絶対に粉砕しなければならない。この勢力は、一旦は民主党政権に集中した「現状からの脱却」が全くの幻想であったことがあきらかになるなかで、矛盾と不満を「下から」吸収し、より右に、排外主義へと組織すること、労働運動を「敵対者」として措定し、それへの攻撃によって人民を組織しようとするものである。資本の利害に立脚した新自由主義の徹底した推進者である。
 12春闘の闘いを、野田政権・日本経団連・橋下―維新の会に対する労働運動の反撃として闘おう。四月初旬の中央闘争を中心として、全国の職場でストライキを闘い、労働運動の階級的な高揚を切り拓いていこう。


 ●3章 労働運動の階級的反撃を

 敵支配階級は今や一切の「幻想」をかなぐりすて、自らの利益のために、国家機構をはじめとして、あらゆる装置を動員して労働者からの搾取と収奪を激化させている。まさに、それほどの資本主義の危機なのである。戦後的支配形態からの全面的な転換の攻撃は、だれの目にも資本主義とは国家とはどのようなものなのかを明確にしている。
 このような情勢のなかで、労働運動の戦後的な闘いからの全面的・階級的な転換、階級的労働運動の新たな再構築の闘いは、残念ながらたちおくれているといわざるをえない。
 非正規雇用労働者をふくめた労働者下層の反撃は、いまだ端緒にあるといえる。だが、全国における労働者の反撃は確実に拡大しつつある。労働者の未来は労働者自身がつくりだすという自覚と運動は確実に拡大している。激化する矛盾が確実に労働者の反乱を準備していくことは歴史が証明している。労働運動の階級的前進のために階級的諸勢力の結集を推進し、新たな階級闘争の構造を創造していかねばならない。全力で闘おう。


 

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