共産主義者同盟(統一委員会)


1394号(2012年5月20日) 政治主張






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   消費税増税、原発再稼動に突き進む日帝―野田政権打倒!

 6月アジア共同行動の成功を

 大飯原発再稼動阻止!

 オスプレイ沖縄配備阻止






 日帝―野田政権は、民主党が政権についた当時の公約を完全に投げ捨て、日帝ブルジョアジーの基本路線である親米保守の政治路線へと完全に回帰した。それは大飯原発の再稼動、消費税の増税、自衛隊の東アジア常駐化など、労働者人民の声を完全に無視した反動的諸政策の強行としてわれわれの前に立ち現れている。われわれは拡大する階級矛盾を階級闘争へと転化し、新しい階級闘争を組織するために奮闘しようではないか。


 ●第1章 日米首脳会談―米軍再編中間報告弾劾!

 ▼①日米同盟基軸路線に回帰する野田政権


 野田首相とオバマ大統領は四月三十日、ホワイトハウスで日米首脳会談を開催し、翌日、日米共同声明「未来に向けた共同のビジョン」を発表した。このような包括的な共同声明の発表は、二〇〇六年小泉・ブッシュ会談以来となる。
 日帝―野田政権にとって今回の首脳会談の最大の目的は、鳩山政権以降、普天間基地移設をめぐってもたらされた日米間の「足並みの乱れ」を正し、民主党政権の軍事外交戦略を再び日米同盟基軸へと確実に「軌道修正」することに置かれた。そのために両首脳は沖縄人民の抵抗と国内世論の批判の前に頓挫している普天間移設問題について、首脳会談のなかで協議することを避けながら、一方で共同声明では「両国の安全保障・防衛協力のさらなる強化を目指す」ことを確認した。とりわけ重大なことは、共同声明が「アジア太平洋地域と世界の平和、繁栄、安全保障を推進するためあらゆる能力を駆使し、役割と責任を果たすことを誓う」と述べて、海外での日米共同での軍事展開の実施を公然と宣言したことにある。今回の首脳会談では、中国に対する牽制、軍事的包囲の強化を意図して、「南西諸島」などでの日米の共同訓練、警戒監視、偵察活動、施設の共同使用の促進などが確認された。さらに共同声明は、首脳会談に先立って発表された在日米軍再編見直しの中間報告に新たに盛り込まれたグアム、北マリアナ諸島での日米共同訓練場整備などについて「地域の多様な緊急事態に日米同盟が対応する能力をさらに高める」としている。防衛省幹部は、こうした自衛隊の海外展開によって「島嶼部での作戦能力を向上」させるなどと述べている。このように今回の日米首脳会談は、日米共同での東アジア地域における共同軍事作戦を画歴史的に拡大するものとなった。われわれはこの日米両軍による東アジアにおける軍事展開の強化を断固阻止していかなければならない。

 ▼②対中軍事包囲網を目論む中間報告

 日米両政府は首脳会談に先立つ四月二十七日、在日米軍再編見直しの中間報告を発表した。在沖縄米海兵隊約九千人の国外移転が明記される一方、沖縄には約一万人が残留することが確認された。さらに今回の中間報告の最大の特徴は、米国の対中国戦略のなかに自衛隊を取り込むための具体計画が盛り込まれたことである。中間報告には、常に即応態勢にある海兵空陸任務部隊(MAGTF)を沖縄だけでなくグアム、ハワイに分散配備すること、グアムおよび北マリアナ諸島(テニアン島が候補地とされている)に日米共同訓練場を整備することが明記された。これは中国が軍事展開上の目標ラインとしている対米防衛線(第一列島線、第二列島線)上に、日米軍の展開を恒常化させ対中軍事包囲網を構築するためのものである。
 米軍高官は「自衛隊が頻繁にグアムなどで訓練すれば、海兵隊のローテーション派遣と同様、地域に存在を誇示することができる」と述べており、訓練を常態化させることで日米両軍の実質「駐留」を目指していることを表明している。さらに米軍筋は「テニアンで海兵隊と陸自が敵対勢力から離島を奪還する共同訓練を実施すれば、島嶼防衛の抑止力を顕示できる」とも語っている。テニアン島では今年五月から六月にかけて、岩国基地所属の米海兵隊が軍事訓練を行う予定であり、米軍による対中軍事包囲網の構築はすでに実行されつつある。
 今回の中間報告のもうひとつの特徴は、米軍再編の最大課題であったはずの普天間基地問題を他の議題から切り離し、米国の意図に沿った再編を先行的に実施することを改めて宣言したことにある。キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は四月二十六日の講演のなかで、在沖縄海兵隊の移転や沖縄の嘉手納基地以南の施設・区域の返還を先行実施することで沖縄側から「支持と評価を得られる」と語っている。今回の中間報告は、米軍再編の最大の焦点であった普天間基地問題に関して辺野古移設案を「これまでに特定された唯一の有効な解決策」とした上で、切り離した。普天間基地の即時撤去という沖縄人民の積年の叫びを封殺し、他方で嘉手納基地以南の基地・施設の部分的な返還を実施することで沖縄内部の分断を図ろうとするものだ。日米政府は、これをもって米軍再編問題の論点を「沖縄基地の整理・縮小」から、対中国包囲網の構築と日米軍の東アジアにおける共同展開へと移行させ、米軍再編を攻勢的に実現しようとしている。この米軍再編中間報告を断固として粉砕していかなければならない。

 ▼③アジア人民と連帯し日米同盟を粉砕せよ

 歴代自民党政権の日米同盟基軸路線に対する広範な人民の反対世論を基盤に、「米軍再編の見直し」を公約とすることで成立した民主党政権は、野田政権の下で明確な日米同盟基軸路線へと舵を切った。今回の米軍再編中間報告は、対中軍事包囲への自衛隊の参加という東アジア地域への侵略派兵へと踏み込むものであり、断じて許すことはできない。日帝―野田政権は、米軍再編をめぐる最大課題としてあった各地住民と反基地闘争を論議の中心から外すことで、日米同盟の実質的な強化を先行実施しようとしている。われわれはまずもって九六年SACO(日米特別行動委員会)合意の最大の要因が九五年「県民大会」に象徴された沖縄人民の巨万の反基地の闘いであったこと、そして労働者階級人民にとっての最大の課題が普天間基地の即時無条件の撤去にあったことを再度明確にし、民主党―野田政権の公約違反を断固批判して、反基地運動の大衆的な広がりを組織していかなければならない。また同時に、対中軍事包囲網への自衛隊の参加、東アジアでの恒常的軍事展開が集団的自衛権の行使に他ならず、明らかな憲法違反であることを批判し、日米の帝国主義的な軍事支配を打ち破るために、東アジアにおける労働者人民の国際連帯運動を一層強化していかなければならない。 反革命的統合四十年糾弾をたたかう沖縄人民と結び、辺野古新基地建設絶対阻止―普天間基地の即時無条件撤去を、断固たたかいぬこう。六月アジア共同行動において、沖縄―岩国―神奈川、そして、韓国・済州島カンジョン海軍基地建設阻止闘争、フィリピンでの米比合同軍事演習反対闘争などを結び、「アジアから米軍総撤収」を改めて強力に推し進めていこうではないか。


 ●第2章 大飯原発再稼動阻止! すべての原発を廃炉に

 ▼①政治的焦点となった大飯原発の再稼動

 今回の日米首脳会談において主要議題としては報道されなかったが、重大な問題がもうひとつある。民生用原子力協力に関する二国間委員会の設置が確認されたことだ。同員会は両政府の次官級をメンバーとし、原発再稼動を前提にして事故発生時の除染や「安全な」運用に関する研究を行うという。日本国内では大飯原発の再稼動に反対する民衆の声が渦巻き、政府自身が再稼動を強行できないという事態の一方で、野田政権は米国政府との間で原発再稼動を前提にした合意を行っているのだ。日米同盟強化を基軸とする野田政権のこのような暴挙を断じて許してはならない。
 日米合意に示されるように、野田政権はこれまでの政治構造、主要電力会社を含めた産業構造を基本的に踏襲する親米保守の政治姿勢を堅持している。リーマンショック以降、また3・ 以降、日本社会に蓄積し、噴出している階級矛盾や脱原発の声に対する政策的な態度表明はほとんどない。再稼動問題をめぐっても前例踏襲の政治姿勢は同様だ。福島での原発事故の収束状況さえ目処が立たず、地元への補償問題、住民への健康被害など未解決の課題が山積みのなか、民衆の間に原発のない社会を求め、これまでの社会のあり方を根本的に問い直そうとする声が広がっている。こうした声を背景に、各地の自治体首長の間からも再稼動に対する批判や疑問が挙がっている。だがこれらの声を完全に無視して枝野経済産業相も野田首相も官僚的な答弁を繰り返しながら、役所的な手続きによって再稼動を強行しようとしている。原子力政策の見直しという全人民的な要求を封殺し、電力独占資本の利害を貫徹して日帝独占資本の支配体制を固守することを、野田政権は自身の政治使命とし、居直っているのだ。大飯原発の再稼動問題は、このような野田政権と全人民的な反原発運動との激突の焦点であり、さらに噴出する階級矛盾を階級闘争へと転化し、日帝独占資本の支配体制の打倒へと向かう橋頭堡を築くための重大な政治決戦に他ならない。

 ▼②噴出する地元住民の批判の声

 四月二十六日、おおい町では柳沢経済産業副大臣が出席しての住民説明会が開催された。再稼働推進派にとって、この住民説明会は住民に説明したという形をつくり、再稼働を要請する意見を住民に表明させ、そこから一気に町議会および町長の再稼働容認表明に至るためのセレモニーとして設定されたものであった。しかし実際には、住民説明会で意見表明した人の大半が再稼働に反対あるいは不安を表明する結果となった。活断層などの実態調査を求める意見、大飯で事故が起きれば琵琶湖から関西圏全域が汚染されるとの指摘など、住民からの意見は具体的かつ切実なものであった。さらに続いて開催された小浜市での住民説明会でも、早期再稼働に反対する意見が噴出した。再稼働推進派は、住民説明会を開催すれば開催するだけ、再稼働への不安や反対の声が噴出するという泥沼にはまってきている。原発関連事業による補助金や雇用によって地域経済を支配されてきたその原発のお膝元で、住民たちの批判の声が次々と上がっている。これは歴史的な事態だ。われわれは住民の声を断固として支えつつ、また都市と地方との分断の上に強制されてきた社会構造を変革し、原発のない未来をともに実現するために奮闘しなければならない。
 地元住民の反発が噴出し、周辺府県の自治体からは再稼動の前に原子力規制庁の設置などが求められる事態のなかで、再稼動に向けた見通しは不透明になっている。だが政府は連休明け以降、経済産業省の政務三役を地元に派遣し、福井県とおおい町とともに再稼動に向けた形式的な手続きを次々と進めようとしている。県議会と町議会でそれぞれ全員協議会を開催し、関西電力および経済産業省からの説明を行い、政府に対する「要望」をまとめる。これを経て知事や町長が再稼動容認表明を出し、政府が「地元との調整ができた」と強弁するという茶番劇が始まろうとしているのだ。われわれはこのような欺瞞を断固粉砕しなければならない。地元住民のたたかいへの支援、関西-全国での再稼動反対の全人民的たたかいの高揚をもって、大飯原発の再稼動を絶対に阻止しよう。そしてこれを新しい人民運動の潮流建設にむけた橋頭堡としようではないか。

 ▼③橋下・大阪維新の会「再稼動批判」のペテン

 この大飯原発の再稼動阻止闘争のなかでいまひとつ重要な問題は、橋下・維新の会による政治扇動の問題である。橋下はこの間の再稼動問題について「専門家の意見が公表されないまま、政治家が安全宣言するのはおかしい」として政府批判を繰り返してきた。さらに「次の選挙では絶対、(再稼働)反対でいきたい」「あとは国民が民主党政権を倒すしかない。次の総選挙で(政権を)代わってもらう」とまで発言してきた。
 だが、再稼動をめぐる情勢が煮詰まるなか、四月二十六日に橋下は「(需要の)ピーク時にみんなで我慢できるかどうか。府県民に厳しいライフスタイルの変更をお願いする。それが無理なら原発を再稼働するしかない」と述べ、大口需要者である企業に対しては節電のインセンティブを生み出すために奨励金を新設し、その財源確保のために関西の府県民に対する「節電税」を新設することを主張しはじめた。
 橋下の再稼動批判発言が国政進出のための政治的パフォーマンスであり、実際には脱原発を目指していないことは明らかだ。それは節電税をめぐる出鱈目な議論からも見て取れる。そもそも彼は政府による安全評価の杜撰さを批判していたのに、その論点はどこにいったのか。さらになぜ企業には奨励金で、個人には節電と増税の二重苦なのか。他の電力会社からの送電などもあわせた節電目標はどの程度なのか。電力会社が原発の必要性を主張するために、電力不足を過剰にアピールするような試算を出し続けてきたことは今や常識である。橋下の増税発言には、事実に切り込んで脱原発に向かって政治を進めようとする姿勢は微塵もない。彼は節電税を持ち出すことによって、「世論」に責任を押しつけて再稼動反対の看板を下ろすための準備を始めているのだ。
 われわれは反原発運動の全人民的な発展を組織するただ中で、排外主義的な政治扇動を行う橋下・大阪維新の会による「脱原発」の政治パフォーマンスを批判し、反原発運動の内部における左派的ヘゲモニーの拡大を進めなければならない。


 ●第3章 反基地、反原発闘争から6月アジア共同行動へ

 アジア共同行動日本連は、五月沖縄闘争の成果をもって、また、岩国・労働者反戦交流集会実行委員会と結合を強め、反基地闘争の全国的連続行動として六月共同行動をたたかいぬこうとしている。前述のとおり、野田政権は日米同盟基軸路線を明確にし、さらに自衛隊を米軍の対中軍事包囲網のなかに組み込もうとしている。自衛隊の海外派兵は画歴史的な段階へと突入しようとしている。この軍事再編に突き刺さっている棘こそ、他ならぬ沖縄―岩国における住民を先頭とした反基地運動に他ならない。各地における反基地運動を断固として推進しよう。さらにわれわれはあらためて、この軍事基地、軍事再編が日米のアジア侵略・支配を目的としたものであることを暴露し、東アジアにおける民衆の共同闘争として日米のアジア支配と闘う反帝国際統一戦線の建設を推し進めようではないか。
 大飯原発再稼動問題は重大な局面を迎えている。それは、日帝―野田政権にとっては、今後次々と原発の再稼動に踏み切っていくための試金石となっており、他方、反原発運動にとってはこの目論見を粉砕し、脱原発に向かう政治情勢を切り開いていくための重要局面である。さらにわれわれにとって大飯原発再稼動阻止闘争は、地元住民との対話と支援、都市と地方における民衆運動の結合、地方議会や自治体をめぐる政治情勢への民衆運動の影響力の行使など、原発を抱える各地での運動の発展のために、多くの経験と教訓を与えるたたかいとなりうる。大飯原発再稼動阻止の大衆的実力闘争を焦点として、反原発闘争を各地で発展させよう。
 日帝―野田政権はいよいよ親米保守へと純化し、民主党の政権公約を次々と投げ捨てている。拡大する貧困問題、社会的分断、放射能汚染など労働者階級の苦境はいよいよ深まっている。他方、野田政権は世論を無視して原発再稼動を強行しようとしており、さらに大増税の強行、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加、自衛隊のアジア展開の恒常化へと突き進もうとしている。われわれの喫緊の課題は、こうしたなかで苦悩する労働者人民と結びつき、個々の労働者人民の個人的たたかいを集団的たたかいへ、さらに集団から地域・地方へ、地域・地方から全国的闘争へと発展させていく努力を積み重ね、労働者人民の個人的苦悩を社会的要求へ、さらに政治的闘争へと解放することを通して、新たな階級闘争構造の建設を実現することに他ならない。職場、学園、地域などそれぞれの現場におけるそのようなたたかいを断固として推し進めようではないか。
 われわれは日本における階級闘争の発展を、常にアジア人民のたたかいと連帯するものとして建設していかなければならない。六月アジア共同行動では、労働運動、反基地闘争をはじめとして李明博政権と対決する韓国階級闘争との国際連帯を強化していこう。さらに吹き荒れる排外主義と対決し、朝鮮学校の「高校無償化」を実現させよう。


 

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