共産主義者同盟(統一委員会)


1395号(2012年6月5日) 政治主張






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   労働者人民の利害に立ち野田改造内閣打倒

 オスプレイ沖縄配備断固阻止!

 アジア共同行動各地集会の成功を






 最後まで稼働してきた北海道電力泊原発三号機が停止するまでに、大飯原発3号機・4号機を何としても再稼働しようとした野田政権のもくろみは、この数ヶ月にわたる大飯原発再稼働阻止闘争によって打ち砕かれた。五月五日深夜、ついにすべての原発が停止した。この全原発の停止を全原発の廃炉に向かう新たな闘いの出発点としていかねばならない。消費税増税、米軍再編―基地強化と原発再稼働に突き進もうとする野田政権を打倒しよう。沖縄―「本土」を貫いてたたかった五月沖縄解放闘争の連帯闘争の成果に立脚し、六月アジア共同行動各地集会の成功をかちとろう。


 ●1章 大飯原発再稼働阻止! すべての原発を廃炉に

 野田政権は、何としても電力需給が逼迫する夏までにできるだけ早く大飯原発再稼働を強行しようとしているが、再稼働に反対する世論の高まり、滋賀・京都・大阪などの近隣自治体、関西広域連合が早期再稼働に反対している状況のもとで、再稼働を強行できるかどうかは流動的になってきている。ここまで野田政権を追いつめたものこそ、この数ヶ月をかけた労働者人民の大飯原発再稼働阻止闘争であった。関西においては、三月二十五日の約七百人が結集した福井市での集会、四月七日の約六百人が結集した滋賀県・大津市での関西集会の開催、四月十四日の枝野福井訪問抗議闘争、四月二十一日の大阪の関電包囲集会・デモ、四月二十三日の牧野経産副大臣の滋賀・京都訪問への抗議闘争、おおい町のテント村開設と反戦共同行動(きょうと)を中心にしたSTOP★大飯原発再稼働現地アクション事務所の設置、四月二十六日の政府によるおおい町住民説明会をめぐる闘争、五月二十六日のおおい町での「もうひとつの住民説明会」の開催など、福井現地と関電本社を焦点にしてまさに息もつかせぬ闘いが展開されてきたのだ。
 この闘いは、おおい町の住民の中からも新たな流動を生みだしてきた。四月二十六日の政府によるおおい町住民説明会は、野田政権にとって「住民への説明を尽くした」という形をつくるためのセレモニーの場として設定され、そこでの再稼働を求める意見を受けて一気におおい町議会と町長による再稼働容認表明に至ろうとするものであった。しかし、発言した八人の住民のうち七人が再稼働に慎重な意見を述べ、明確に再稼働に反対する意見まで表明されるなど、野田政権の思惑は破綻した。そして、この過程でおおい町での闘いの新たな主体も登場してきたのだ。おおい町議会は、この住民説明会での意見表明を公然と無視し、五月十四日に町議会全員協議会で再稼働容認の決定を強行した。これを受けて、おおい町長は、六月初めまでに再稼働容認表明を行なおうとしている。大飯原発再稼働阻止闘争は、福井県議会と福井県知事による再稼働容認表明を阻止し、野田政権による再稼働の最終決定を阻止することを焦点とした第二ラウンドへと突入してきた。
 野田首相は五月十七日、大飯原発再稼働について「そろそろ判断の時期は近い。地方自治体に判断をおまかせしない」と述べ、福井県議会・県知事の態度表明を待たず、また滋賀県・京都府・大阪府など周辺自治体がいかに反対しようとも、関係閣僚会議で大飯原発再稼働を最終決定する可能性を示唆した。これまでの経過からすれば、それは余りに強権的で唐突なやり方であって、実行できるかどうかはわからない。この野田首相の表明は、それほどまでに野田政権が追いつめられていることを示すものだと言える。どの世論調査でも80%前後の圧倒的多数の労働者人民が政府による安全対策を信頼していないなかで、野田政権には電力不足キャンーペンで恫喝しつつ強権的に正面突破をはかるか、それともこの夏までの大飯原発再稼働を断念するか、もはやどちらかの道しか残されていない。


 ●2章 福井・全国集会の大成功をかちとろう

 ここにおいて、われわれはあらためて大飯原発再稼働阻止闘争の意義について確認しておきたい。日本経団連は、国際的な資本間競争のなかで生き残り、核武装の条件を維持するために、原発をあらためて基盤電源として位置づけ、中長期的に維持・推進することを要求してきた。野田首相は、この日本経団連の要求にそって大飯原発を突破口に全国各地の原発の再稼働を強行しようとしている。この状況において、大飯原発再稼働を阻止できるならば、伊方原発など他の原発の再稼働も困難になる。停止中の原発を再稼働できなければ、野田政権がいかに原発の維持・推進をめざそうとも、それは実質的に破綻する。その意味で、この闘争は全原発の廃炉に向けた大きな橋頭堡を闘い取ろうとするものである。大飯原発再稼働を何としても阻止し、政府に対してすべての原発の廃炉と再生可能エネルギーを基軸としたエネルギー政策への根本的な転換を迫る巨万の反政府闘争をつくりだしていくことが要求されている。七月十六日の東京における十万人集会の成功をかちとろう。また、原発立地自治体を対象に、原発に依存しない雇用と地域社会の再生に向けた政府としての援助を要求していかねばならない。このような労働者人民の要求に敵対する政権は、それがどの政党を中心としたものであれ、労働者人民の闘いによって打倒されるしかない。
 第一に大飯原発再稼働阻止闘争を全人民的な闘いへと発展させることである。われわれは、その闘いの一翼をしっかりと担う。この闘いは何かひとつの先鋭な戦術による闘争によって勝利できるという性格のものではない。福井現地と関電本社を大きな焦点としつつ、福井・京都・滋賀・大阪・兵庫などでの無数の団体・個人の闘い、そして全国的な再稼働阻止闘争の高揚によって世論をつき動かし、政府・関電を追いつめていくような全人民的な闘いによってしか勝利することはできない。とりわけ、われわれを含む反原発運動内の左派にとっては、集会・デモや非暴力直接行動によって、情勢を切り拓いていくことが要求されている。六月**日には、原子力発電に反対する福井県民会議の呼びかけで、福井県庁を包囲する福井・全国集会が開催される。大飯原発再稼働阻止闘争を全国闘争へとさらにおしあげ、この六月**日の集会の大成功をかちとろう。
 また、六月二十六日には、関電株主総会が開催される。これに対しても、再稼働反対・全原発の廃炉を求める株主提案が準備されており、関電株主総会を包囲する闘いが組織されようとしている。断固としてこの闘いに結集していこう。また、六月十日には、伊方原発再稼働に反対する愛媛県庁(松山市)包囲集会への結集が全国に呼びかけられている。この過程では、四月十四日の福井県庁前で機動隊と対峙した闘い、また四月二十六日のおおい町住民説明会をめぐる闘いがそうであったように、さまざまな局面で大衆自身が直接行動に立ちあがっていく。われわれは、これらの体を張ってでも再稼働を阻止しようとする労働者人民とともに闘う。
 第二の課題は、おおい町現地における新たな闘いの主体の登場に連帯し、福井の反原発運動の活動家たちとの共同闘争の構造を強化していくことにある。中嶌哲演さんら福井の反原発運動の活動家たちと反戦共同行動(きょうと)など関西の闘う労働者人民の共同の取り組みとして、五月二十六日に「もうひとつの住民説明会」がおおい町で開催され、おおい町の住民約三十人を含む約百五十人が参加した(詳報次号)。この住民説明会はまた、原発いらない福島の女たちの会やたんぽぽ舎、経産省前テントなどと連携した取り組みとして組織された。住民説明会には福島から椎名千恵子さんら四人の女性が参加し、福島原発事故の経験をもとに、絶対に大飯原発再稼働を許してはならないと訴えた。福島の女性たちやたんぽぽ舎は、準備過程のおおい町の全戸ビラ入れにも参加した。おおい町における新たな闘いの主体の登場に連帯し、福井の活動家たちと関西の活動家たちとの共同の事業として組織できたこと、そして福島の女性たちやたんぽぽ舎・経産省前テントなどと全国的に連携する構造を強化できたこと、ここにこの取り組みの意義と新たな地平がある。六月十七日の福井・全国集会をめぐっても、全国集会の成功のために福井の活動家たちとの共同の努力を組織していかねばならない。
 第三の課題は、全人民的な反原発運動を反資本主義・反帝国主義という立場から発展させ、橋下・大阪維新の会と対峙しつつ、大衆運動的には反原発運動を「基地も原発もない人らしく生きられる社会」の実現をめざす闘いへと発展させていくことにある。そのようななかで、橋下・大阪維新の会の危険性がいっそう明確になってきている。橋下・大阪維新の会は、徹底した新自由主義者であり、憲法九条改悪など日本の戦争国家化を推進しようとしており、教育基本条例・職員基本条例の制定などきわめて強権的・排外主義的な政治勢力である。橋下・大阪維新の会は、「脱原発」と「民主党政権の打倒」を掲げ、原発の廃止を願う広範な労働者人民、保守二大政党に絶望する労働者人民の前に新たな「改革者」として登場し、大阪維新の会の国政進出・政権獲得へと収れんさせようとしている、
 橋下らの「脱原発」はとことんまやかしである。橋下らの関電株主総会への提案が示すように、彼らは「脱原発」を掲げつつも、停止中の原発の再稼働を容認するという立場なのだ。彼らが大飯原発再稼働に反対しているのは、拙速だというレベルの批判にすぎない。事実、橋下は五月十九日の関西広域連合の会議において、電力需要が高まる夏の時期の大飯原発の「期間限定再稼働」を提案するなど、電力不足キャンペーンに屈服してきているのだ。橋下・大阪維新の会が政権を掌握したとき、彼らが原発の維持へと豹変することも十分ありうる。全人民的な大飯原発再稼働阻止闘争・反原発運動のただなかで、橋下・大阪維新の会のまやかしの「脱原発」を徹底して批判し、教育基本条例・職員基本条例の制定に示されるその本質を暴露し、いかなる社会をつくりだしていくべきなのかを正面から訴えていくことが必要となる。橋下・大阪維新の会の「脱原発」はぎまんであり、幻想である。


 ●3章 増税・軍事強化に突き進む野田政権を打倒せよ

 大飯原発再稼働を強行しようとする野田政権は、他方において消費税増税による大衆収奪を強化し、また日米同盟を基軸とした日本の戦争国家化をさらに推進しようとしている。
 野田政権は、今通常国会に消費税増税関連法案を提出し、五月八日からその審議が衆議院で開始された。「税と社会保障の一体改革」などと称してはいるが、野田政権は崩壊してきた社会保障の再生の展望を何ら示すことができていない。なぜ毎年三万人もの人々が自ら命を絶ち、生活保護世帯が増え続け、ますます多くの人々が将来への不安に苦悩しているのか。社会保障制度の崩壊は、決して少子高齢化がもたらす自然現象ではない。軍事費や思いやり予算に巨額の税金を投じ、また「小泉改革」の下で、富裕層の減税、法人税減税をすすめてきたことがある一方で、社会保障には十分な財政的措置を取ってこなかったこと、そして、新自由主義政策のもとで非正規雇用や貧困化が強制され、医療保険や年金の支払いすらできず、生活保護に頼らざるをえないような事態が拡大してきたことの結果なのだ。ブルジョアジーの利害を代表する野田政権には、このような事態を根本的に打開することなどできようはずもなく、消費税増税による大衆収奪の強化だけを強行しようとしているのだ。
 野田政権はまた、米軍再編・日米軍事一体化をおし進め、排外主義煽動と日本の戦争国家化を推進しようとしてきた。野田首相は五月十五日、「沖縄復帰四十周年記念式典」(沖縄・宜野湾市)に出席し、「普天間の固定化は絶対にあってはならない。米軍基地負担の早期軽減を誓う」と発言した。しかし、米軍の「抑止力」の維持を前提とする限り、この発言は普天間基地の辺野古移設を何としても実現するということ以外を意味しない。この日、沖縄の闘う労働者人民は、この政府・「県」主催の式典に断固たる抗議闘争を組織し、あらためて普天間基地即時撤去・辺野古新基地建設反対という要求を突きつけた。野田首相の発言を弾劾し、七月のオスプレイ沖縄配備を阻止する闘いに断固として決起していこう。また、高江ヘリパッド建設を何としても阻止しよう。
 さらに野田政権は、朝鮮民主主義人民共和国の四月十三日の人工衛星打ち上げに対して、これを「長距離弾道ミサイルの発射実験」だと決めつけ、迎撃のためのイージス艦の展開やPAC3の沖縄配備などを強行した。さらに、石原東京都知事の「尖閣列島」(釣魚諸島)買い取り発言を擁護し、領土問題を梃子に排外主義的ナショナリズムを煽りたて、それをもって日米同盟の強化と日本の戦争国家化へと労働者人民を統合しようとしてきた。
 民主党政権は、野田政権に至って、かつての自民党政権と何ら変わらないものにまで変貌した。その意味で、民主党と自民党の大連立政権が模索されてきたことには根拠がある。闘う労働者人民は、それがどの党を中心とした政権であれ、消費税増税と原発再稼働、米軍再編・日米軍事一体化を推進する政権は打倒する以外にない。


 ●4章 六月アジア共同行動各地集会に結集しよう

 このような情勢のもとで、アジア共同行動日本連絡会議とその各地実行委員会は、大飯原発再稼働阻止闘争や沖縄連帯闘争、岩国連帯の闘いを全力で推進してきた。そして、相次ぐ韓国・フィリピンへの入国拒否弾圧に抗して、アジア人民の連帯と国際反帝共同闘争の発展に貢献してきた。アジア太平洋地域における反帝国際統一戦線であるAWCは、結成から二十年を迎えた。この記念すべき年にあたって、アジア共同行動日本連は韓国からゲストを招き、六月十七日(日)の九州・山口集会から六月二十四日(日)の首都圏集会に至る六月アジア共同行動各地集会を開催する。われわれは、このような日本連および各地実行委員会の闘いを断固として支持し、その成功のために奮闘する。ともに闘わん!



 

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