共産主義者同盟(統一委員会)


1396号(2012年6月20日) 政治主張






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   原発再稼働撤回せよ

 増税反対! 野田政権打倒

 オスプレイ配備阻止





 野田佳彦首相は、欺瞞的にも関西電力大飯原発三・四号機の再稼働を表明した。また、六月十六日に関係閣僚らによる会合を開き、運転再開を正式に決定した。原発再稼働、消費税増税、TPP推進、日米軍事同盟路線の継続といった野田政権の性格は、電力会社も含めた巨大資本とアメリカ帝国主義への追随政権であり、帝国主義および新自由主義を体現する悪の権化である。福島の民衆が自らの故郷を捨てざるをえない状況に陥っているなか、こうした民衆の苦しみをないがしろにし、自分たちの利潤追求のための政策を強行的に推し進めていく野田政権を即刻打倒しよう!大飯原発再稼働を、普天間基地へのオスプレイ配備を絶対阻止しよう!!


 ●第1章 オスプレイの岩国飛行・沖縄配備を阻止しよう!

 六月八日、国土交通省が岩国錦帯橋空港を今年十二月にも開港すると表明したその日、日米両政府は、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを七月下旬にも米海兵隊岩国基地に搬入する方針を固めた。これは、八月初旬に米軍普天間基地にオスプレイを配備するため、岩国で試験飛行させようとするものである。オスプレイは、一九八九年から二〇〇〇年までの約十二年間に重大な事故を四回も発生させている。今年四月にはモロッコで四人を死傷させる事故を起こし、六月十三日にも米国フロリダ州で墜落事故を起こしている。危険極まりない欠陥機である。しかし、米軍は「人為的なミスであり、機体に不具合はなかった」として、配備を強行しようとしている。こうした調査はあくまで途中経過であり、年内いっぱいまで最終報告はまとまりそうにもないのにもかかわらず、配備を強行しようというのだ。
 この欠陥機を普天間や岩国といった市街地に隣接する米軍基地に配備し飛行させようとする日米両政府の暴挙を、われわれは許してはならない。そればかりでなく、岩国市民に飛行場の「軍民共用化」という「アメ」をぶら下げながら、市民には全く知らせずにオスプレイの飛行を欺瞞的に決めてしまうという「ムチ」をふるう政府の態度は、岩国市民を侮辱している。こうした政府の対応に、福田良彦・岩国市長と二井関成・山口県知事は、市民・県民を代表して怒りを表明すべきであるのにもかかわらず、満面の笑みで岩国空港開港予定を喜んでいるばかりである。われわれは、労働者・市民の主張を無視し日米軍事同盟を強化しようとする野田政権と、それに加担する岩国市政および山口県政に断固抗議し、欠陥機オスプレイの岩国試験飛行および沖縄配備を絶対阻止しなくてはならない。
 さて、岩国市民は米軍基地をめぐる日米両政府の恫喝に対し、これまで毅然とした態度で臨んできた。特に、ここ数年については、岩国基地機能強化や愛宕山の米軍住宅化などに関し、市民は山口県や日本政府に対し法廷の場でも訴えを行っている。そのなかでも、岩国基地の滑走路沖合移設事業は、当初飛行機墜落事故の危険性や騒音軽減のためのものであったにもかかわらず、明らかにその目的を逸脱して基地の拡大が図られている、市民が県知事による公有水面埋め立て承認の取り消しを山口県に求めていた裁判の判決が、六月六日に行われた。しかし、山口地裁の山本善彦裁判長は「原告の訴えには利益がない」として原告の請求を却下した。判決内容には、埋め立ての違法性に関して全く言及されておらず、岩国市民の主張をないがしろにしたものであった。いまのところ控訴の見通しは立っていないが、このほかにも二つの関連裁判がたたかわれている。われわれは、岩国市民のたたかいを支援し、岩国基地機能強化と愛宕山の米軍住宅化を弾劾して、基地撤去を求めていこう!
 一方、沖縄人民は、在沖米軍基地の撤去および負担軽減を求め、普天間基地の即時無条件返還を長年断固として主張してきた。そもそも、沖縄人民は、戦後の米軍支配の時代から米軍基地の即時撤去を求めて、これまで気の遠くなるようなたたかいを続けてきた。それに対し、政府関係者は口では「沖縄の負担軽減」を繰り返している。例えば、今年五月十五日、野田首相の沖縄「本土復帰」四十年の式典に際しての「普天間の固定化は絶対にあってはならない」という発言を挙げることができるだろう。しかし、日米両政府は、今年二月、普天間基地問題を「辺野古移設」に固執しながら在日米軍再編全体から切り離すという「見直し」に合意したことを明らかにした。これは「普天間基地の固定化」をもって、沖縄人民を恫喝して「県内移設」を迫るという、政府による悪辣な攻撃以外のなにものでもない。普天間にオスプレイ配備を固定化することは「普天間基地の固定化」を意味する。それは、沖縄人民を踏みにじる行為である。
 われわれは、米軍再編「見直し」を徹底批判し、普天間基地の即時かつ無条件撤去を求める。オスプレイを岩国および沖縄に搬入し、普天間基地に配備するという、岩国市民―宜野湾市民―沖縄人民を直接危険にさらす攻撃を絶対に阻止しなければならない。われわれは、普天間基地そのものの即時閉鎖をかち取るため、米軍基地撤去をたたかいぬこう。


 ●第2章 全原発の廃炉こそ全人民の要求だ

 六月八日、野田首相は「国民生活を守るため、大飯三・四号機を再起動すべき」と発言し、大飯原発の再稼動を表明した。福島第一原発事故の収束もままならないなか、政府や東京電力の責任を棚上げし、世論調査の結果や首相官邸前で連日行われた千人を超える抗議活動の声を無視した上での再稼働表明である。
 これまで、関西広域連合は大飯原発再稼働に否定的な態度を示してきた。もちろん、こうした態度は、四月から五月にかけ、福井県をはじめとする多くの民衆のたたかいが、原発推進・容認の福井県知事、福井県議会、また、おおい町長、おおい町議会を、強く揺さぶってきたことなどの反映であった。しかし、五月三十日、関西広域連合が政府に大飯原発再稼働の判断を事実上ゆだねる方針を決め、六月四日、細野豪志原発事故担当相との会談で西川一誠・福井県知事が「再稼働が必要だと首相が国民に直接表明することが安心につながる」と主張したことなどから流れは一転し、再稼働の動きが加速した。福島で決定的な大事故を起こしておきながら、大飯は「安全であることを確認した」とし、しかもその安全基準は大事故後の「暫定基準」に基づくものであるとする説明に、労働者・人民は納得するわけがない。こうした対応は、もちろん野田首相の「国民の生活を守るため」の措置ではなく、むしろ福島をはじめとする労働者・人民の生活をないがしろにし、電力会社を含む大企業の生産活動と利益のためのものである。また、福井県知事は、首相の対応に対して「強い思いを国民に向けてしっかりと語っていただいた」とコメントした。われわれは、このように論理破綻に陥る首相の態度と、大飯再稼働を政府に懇願し首相の決断を讃美する福井県知事の言動に対して、激しい怒りを覚えずにはいられない。
 こうしたなか、十日には、大飯原発の安全性を検証する福井県原子力安全専門委員会が開かれた。専門委員会は、政府が示した暫定的な安全基準を妥当と評価し、三、四号機の安全は確保できているとする内容の報告書案を了承した。この委員会には定員を大幅に超える市民が傍聴に駆けつけ、抗議の声が飛び交う中での開催となった。
 また、前号でも報告したように、五月二十六日に「もうひとつの住民説明会」がおおい町で開催され、おおい町の住民約三十人を含む約百五十人が参加した。この取り組みのなかで、福島の女性たち五人が3・11以後の福島の状況をそれぞれ自分たちの経験をもとに語った。それは原発事故によって引き起こされた生活や家族をめぐる葛藤を率直に、ときに涙ぐみながら語るものであり、あわせて政府・東電の対応を鋭く批判し、参加者の心に響くものであった。それとともに、専門家からの発言として、元京大原子炉研究所の小林圭二氏が、大飯原発の危険性(福島第一原発のような沸騰水型原発より事故に対する脆弱性をもつ加圧水型原発であること、ベント装置や水素爆発を防ぐ水素再結合器の設置がないなど安全対策がまったく不備なままに拙速に大飯原発の再稼動が狙われていることなど)について報告したり、朴勝俊氏(関西学院大学教員)が原発に依存しない地方経済の可能性に関する報告を行ったりした。企画後半で、あるおおい町民は、小林氏の報告を聞いておおい町住民説明会での政府の説明はまやかしであることが分かったとあらためて政府・関電への不信を表明した。また、別のおおい町民は、福島事故の賠償をめぐる問題について「賠償の支払いを少なくするために(政府・東電は放射能レベルの高い)福島内に今も人々を住まわせているのではないか」と鋭く指摘するとともに、「電気料金は電源開発促進税が上乗せされて設定されており、それがおおい町への交付金としてまわってくる構造にある。しかし、その電源開発促進税は原発事故の被害者である福島の人々からも徴収されている」との意見を表明した。再稼動問題の焦点であるおおい町の住民から、福島の住民への連帯や大飯再稼動および原発そのものに反対する意見表明が挙がった。地元・おおい町における反原発の声として重要な意義がある。
 このようにして、福井では、多くの市民や活動家によって、大飯原発再稼働反対の声が大きく挙げられている。こうした福井での大きなたたかいを受けて、六月十七日、福井県庁への抗議行動および全国集会が行われ、総勢二千二百人が結集した(詳細次号)。今月六日には、美浜原発の四十年超運転容認へと経産省原子力安全・保安院が動き出したという。美浜原発の動向も見据えながら、われわれは今後福井での反原発のたたかいを支援していこう。
 反原発運動は、全人民闘争として発展している。われわれは、6・17福井全国集会の勝利を確認し、今後も福井の活動家たちとの共同の努力を組織していこう! 「福井・全国集会」の勝利から、大飯原発再稼動絶対阻止、美浜原発四十年超容認弾劾、すべての原発の再稼動阻止と廃炉に向け、たたたかいに立ち上がろう! 福井現地での大飯原発再稼動阻止闘争の前進をうけ、7・16反原発十万人集会に総結集していこう。


 ●第3章 原発再稼働に突き進む日帝―野田政権打倒!

 野田政権下、各省庁などでは、福島第一原発事故の実態を無視し、原発推進に突き進む動きが目立っている。四月二十四日、内閣府原子力委員会は、経産省・資源エネルギー庁や電気事業者らを集めて秘密裏に会合を開き、再処理が有利になるように核燃サイクル原案の評価を書き換えていたことが、五月二十四日、明らかになった。この会合では使用済み核燃料について話し合われ、日本原燃幹部が六ケ所村再処理工場存続を要請し、小委員会座長の鈴木代理が「プロジェクト(再処理工場)に影響を与えない併存が一番良い」と応じたという。だが、当初、原案では全量直接処分のほうが「(全量再処理や、再処理と直接処分の併存より)総費用において優位」と言い切っていたのだが、変更後は「ウラン価格が現状のままなら」などと条件付きで「全量直接処分の方が優位になる可能性が高い」と後退する一方、併存について「全量再処理より経済的に多少有利」などと利点を強調する記述が増えていたという。
 秘密会議はこのときだけでなく、何度も繰り返されたと報じられている。メディアや議員からの追及を受け、細野原発事故担当相は、六月八日、この議論を進めてきた「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の検討過程を調査・検証し、七月までに報告書をまとめる考えを明らかにした。しかし、内閣府の委員会の秘密会合を内閣府が調査するというお粗末な実態に、疑問は深まるばかりである。
 一方で、原子力規制庁は未だ設置の目途が立っていない。そうしたなか、六月五日、原子力規制庁をめぐる与野党会談で、人事や予算に関して高い独立性を保つことのできる「原子力規制委員会」を設置する案で一致することがほぼ確実になったと報じられた。これは、政府案を自民・公明案をほぼ丸のみする方向で修正するものである。確かに、独立性の高い「三条委員会」のかたちで新しい原子力規制組織が制度化されることに一定の評価はできるかもしれない。しかし、緊急時の首相の指示権限等をめぐって与野党でさらなる協議が必要であり、新たな原子力規制組織の設置までかなり時間がかかる。さらには、五月二十五日、細野原発事故担当相の私的検討会である「核不拡散研究会」という「専門家」組織が、「核燃料サイクルの国際化を検討するよう求める中間報告書を細野原発相に提出した」と報じられ、その報告書には、核燃料サイクルの国際化の可能性を検討すべきだとして、核燃料供給体制への参入や高速炉の国際共同研究開発、他国の使用済み燃料の処理受け入れに言及されている。
 このようにして、野田政権は、福島第一原発事故の責任をとるどころか、多くの事実を隠ぺいし、大飯原発再稼働のみならず、原子力政策全体をさらに推し進めようとする政策を活発に行っているのである。こうした態度は、労働者・人民の「生活を守る」ものではなく、あくまで電力会社をはじめとする独占資本の意思を体現するものである。われわれは断固としてこれを許さない。
 その一方で、五月八日、消費税増税関連法案の審議が衆議院で開始された。野田首相は「今国会中に成立させる不退転の決意」を表明し、民衆に大増税を押しつけようとしている。民主党政権が推し進めようとしている消費税増税は、例えばヨーロッパの付加価値税とは異なり、低所得者にその矛盾は大きい。
 二〇〇〇年代前半、小泉政権がとった急激な新自由主義政策によって資本家とわれわれ労働者とのあいだの経済格差は急激に拡大した。「変革」の期待を背負って登場した民主党政権においても、こうした問題に正面から向き合わずに、それらを存置させている。リーマン・ショック以降顕現した現代資本主義の危機を、全面的な財政出動で乗り切ろうとした日本帝国主義は、「財政再建」という名目で大衆増税、福祉制度や年金制度の改悪をもって、労働者・人民に矛盾を押し付け、資本の延命をはかろうとしているのだ。国家の財政危機の矛盾を民衆におしつけようとする野田政権の攻撃を、われわれは決して許してはならない。
 もちろん、こうした日本帝国主義の動向が世界的に見て特異であると言う訳では決してない。各国の帝国主義は、「財政再建」を前面に押し立てて、労働者・人民からの収奪を激化させている。ギリシャでは、先月の議会選挙で旧連立与党が大敗し、その後の連立協議が不調に終わったことを受けて、今月十七日に再選挙が行われた。フランスでは今月十日に国民議会の総選挙が行われ、五月の大統領選で勝利したオランド大統領を擁する社会党をはじめとした左派勢力が過半数を得た。こうしたヨーロッパの情勢で示されたのは、労働者階級人民の資本家階級に対する強い抗議の意志である。日本における消費税増税問題を、単に野田政権と小沢派、あるいは民主党と自民党の権力抗争の材料にさせてはならない。それは日本の労働者・人民がその利害をかけて、日帝―野田政権と対決していく課題である。そして同時に、ギリシャ労働者・人民をはじめとしたヨーロッパ・世界の労働者階級人民のたたかいとの連帯・結合を問う課題でもある。
 われわれは、沖縄差別軍事支配強化と原発再稼動に突き進み、消費税増税を目論んで労働者階級人民を圧制し、帝国主義・新自由主義を体現する野田政権の打倒に、いまこそ立ち上がろうではないか!



 

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