共産主義者同盟(統一委員会)


1405号(2012年11月20日) 政治主張






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 十一月二十三、二十四日に開催された岩国国際集会は、地元岩国でたたかう人士と各国各方面からの多くの参加者の結集で大勝利しました。参加者は、強化される岩国基地と、米軍住宅に浸食されようとしている愛宕山を見学し、沖縄に強行配備され、今月にも全国を飛び始めるとされる輸送機オスプレイへの怒りと、なお原発再稼働を狙う野田政権への怒りを共有し、アジアから米軍をたたき出すたたかいへの決意を新たにしました。岩国基地へのデモ行進を取り組み、岩国市民を激励し、ともにたたかおうと呼びかけました。
 原発からの脱却を求める人民の声と沖縄の怒りに応えようとせず、低支持率にあえぐ野田政権の姿は、人民をだまし、買収することが既に困難になっている日本帝国主義支配層の姿そのものです。支配の困難を彼らは、朝鮮半島や中国への敵視政策、排外主義を呼号することでそらし、突破しようとしています。蠢動を強める石原や橋下、渡辺ら「第三極」勢力も同様か、あるいはもっと露骨でたちが悪い。
 私たちは国内の人民に対して、今こそ呼びかけを発さなくてはなりません。排外主義、事大主義、沖縄差別にからめとられる愚をただし、人民の国際的な連帯に基づくたたかいを組織し、拡げることにこそ、帝国主義の支配を打ち破る展望があるのだということを。世界を揺さぶった「アラブの春」に続くべきなのは、どこよりも帝国主義足下のわれわれなのだということを。弾圧に抗して各地で取り組まれる原発再稼働反対、脱原発のたたかい、反戦反基地のたたかいの中に、革命派と国際連帯の旗を掲げて立ち上がろう。


 ●1章 オバマ再選、没落する米帝の支配を打ち破れ

 十一月六日に投票の行われた米大統領選で、現職で民主党のオバマ候補が共和党のロムニー候補を退け、逃げ切りました。
 しかしながら読者の皆さん。オバマの再選は、なんら米帝の展望を切り拓いたり、安泰を約束するものではないのです。
 七日未明のオバマの「勝利演説」がまさにそれを裏づけています。オバマは冒頭で、「(アメリカは)世界のリーダーとしてよい仕事や企業を引きつける国だ」「史上最強の軍隊で守られ、世界から尊敬される安全を保つ国だ」と、自賛をしてみせました。しかしそのすぐ後に続けたのは「私は雇用情勢の改善に焦点をあてるために選ばれた」「新たな職や機会、中間層の生活安定のために(米国民と)ともに戦えると信じる」という、疲弊し余裕を失った米帝の実情を暴露する言葉でしかありませんでした。今後の任期中の課題として挙げたのは、「財政赤字削減、税制改革、移民制度改革、石油の海外依存からの脱却」と、国内的な課題ばかりです。
 実際、今回ほど「経済」と「雇用」という内政課題に論争が終始した米大統領選挙はなかったといってよいほどでした。人民は米帝の国内平均で7・9%の失業率にあえいでいます。二十歳から二十四歳までの若者に至っては、17・7%(十月時点)です。今回、四年前の「オバマ旋風」を支えた選挙ボランティアが激減しましたが、それは若者達が生活の余裕を失っていることに原因があると指摘されています。
 また焦眉の問題として「財政の崖」問題があります。年末から来年にかけて、二〇〇〇年代からの減税措置が軒なみ失効するとともに、連邦予算の強制的な歳出削減措置が始まるのです。給与税減税、いわゆるブッシュ減税、その他税額控除の期限切れ、住宅・医療関連の歳出削減などが同時期にやって来るということで、一家庭平均で年間二千二百ドル(十七万六千円)の増税となります。予想されるその景気下押し効果の巨大さが米帝のみならず、世界の帝国主義者たちを恐怖させ、「崖」と呼びならわされているのです。CBO(米議会予算局)は八月時点で、二〇一三年の経済成長率はマイナス0・5%の景気後退に陥り、失業率も9%台へ逆戻りと予想しており、アメリカのGDPは、実に4%以上も押し下げられるとしていました。そうなれば米国債は二〇一一年八月に続いて再度の格下げにも見舞われかねません。
 オバマとロムニーどちらが、この「崖」から転落せずに、ゆっくりと下りることができるのかが、今回の大統領選の争点とされていたのです。ひるがえって言えば、オバマの民主党にしろロムニーの共和党にしろ、軍事外交路線においては大差がない、ということであります。十月二十二日のテレビ討論会で、両候補ともにイラク侵略やアフガン侵略、「対テロ戦争」への批判も反省も口にしませんでした。パキスタン領内に侵入してのウサマ・ビンラディン殺害をともに賛美し、イラクからの米軍の完全撤退をともに悔しがってみせたのです。
 明らかなのは、今後もなおアメリカの勝手な世界戦略が大きく変わることはないということです。経済的な余裕を失い、二〇一七年度までに軍事予算の二十兆円圧縮を迫られている以上、特に日帝に対しては「思いやり予算」をはじめとしたいっそうの経済的な肩代わりと、アジア太平洋地域での軍事的な従属化、下請け化を要求して来るでしょう。
 また、TPP(環太平洋経済連携協定)締結に向けた交渉への参加を迫って来ることも必至です。TPPに関しては米国内にも根強い反対論(農業や自動車部門で)を刺激せぬために選挙期間中はあまり触れられませんでしたし、そもそも年内妥結と言われていたルールづくりは参加国同士の対立が深く暗礁に乗り上げているのが実情でした。オバマ再選を受け、帝国主義者たちは早速TPP参加を口々に訴えています。経団連米倉は十一月七日、「米国から『日本が入らないとダメだ』というメッセージがきている。できるだけ早く交渉に入ることが重要」と言い、同友会の長谷川も「TPPの交渉参加の遅れやエネルギー政策の矛盾により、日米関係の強化を妨げることは避けるべきだ」などと野田政権に迫っています。
 あらためて米帝の暴虐への批判を強めましょう。ウォール街占拠運動をはじめとして、帝国主義者の支配を食い破るべく立ち上がっている米国内人民との連帯を押し進めましょう。


 ●2章 オスプレイ配備弾劾、全国貫く反基地闘争

 沖縄では、許されざる事態があいついでいます。
 十月に普天間に強行配備された輸送機MV―22オスプレイが、日米合同委員会の「運用ルール」を踏みにじってわがもの顔に飛び回っています。二十三日には初の夜間飛行が行われました。また十一月六日には、編隊飛行訓練を実施しました。キャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブで十三回の同時離着陸を繰り返し、名護の国立沖縄高専では96・1デシベルの騒音を記録しました。編隊飛行は、六月の米フロリダでの墜落事故の原因となった訓練です。
 米兵が凶悪犯罪をまたも起こしています。十月十六日深夜に、二人の米海軍兵が女性への強姦事件を起こしたのです。上等水兵と三等兵曹の二人は、実に翌日にはグアムへと出国の予定でした。基地に逃げ込んだうえで離沖してしまえば捕まることはない、と見てこの日に犯行に及んだことは明白です。海兵隊員でなく海軍兵であったことからして、米軍兵士全体が沖縄をどのように見ているのかもまた、明らかだと言えます。
 在日米軍は二十三時から翌五時までの夜間外出禁止令を十九日に発令するとともに、二十三日には司令官ダン・クロイドが沖縄「県」庁を訪れて副知事に「謝罪」してはみせたのですが、続いて十一月二日には読谷村で、禁止令を破った米兵が深夜民家に侵入、中学生に暴行し負傷させたのです。容疑者は基地内で拘束されていると言われてはいますが、凶悪犯ではない、との理由で沖縄側には引き渡されてはいません。
 しかし今なお沖縄の嘆きも怒りも、日本「本土」側全体で共有されるものとはなっていません。これこそが私たちにとっての最大の問題だと言えます。
 そもそも米軍に限らず、帝国主義の軍隊が旧植民地で襟をただすはずがないではありませんか。一連の事件後も、二十三時以降に沖縄の街を歩く米兵の姿はいくらでも目撃されています。「綱紀粛正」がかけ声倒れであることは既に明白です。にもかかわらず官房長官藤村は読谷の事件発生当日、「起訴前の身柄引き渡しを要請する必要はない」とうそぶきました。沖縄では批判の声が上がっています。
 九州市長会は十一月七日、宮古島で総会を開きましたが、沖縄が提案したオスプレイの沖縄配備撤回を求める決議に対して、九州島側市長から慎重な意見が続出し、決議を見送りました。「ほかの県に持って行けとの意味になるのではないか」「安保条約にもとづく決定にはできるだけ協力するのがわれわれの姿勢だ。反対とは言わないが賛成はできない」などの「本土」側市長の声を、沖縄民衆はなんと聞くでしょう。
 復権を果たした自民党新総裁安倍も、「第三極」だの坂本龍馬だのを気取り中国や南北朝鮮に対しては威勢のいい石原や橋下も、オスプレイや米軍犯罪についてはこのかん、全く言及をしていません。実にふざけた話ではありませんか。日本人民をなめ、直接の危険にさらしているのは釣魚台沖の中国漁船ではなく、独島の韓国軍人でもない。在日米軍と安保条約こそであるのに!
 ネットの中では、「尖閣(ママ)沖での中国のしたい放題に文句を言わず、オスプレイや米軍の問題ばかり指摘する沖縄はおかしい」とか、仲井眞知事が祖先をさかのぼれば中国大陸にルーツを持つ人物であることを指摘し、「だから日本政府に文句を言うのだ」などと言う言説が溢れています。沖縄への差別意識が、中国への敵視とないまぜになって、より悪質なものになろうとしています。
 私たちはこうした状況に抗してたたかわなければなりません。オスプレイの危険は、本格運用の始まる今、沖縄のみならず「本土」にも及ぼうとしていることを広く訴え、全国で反戦・反基地の火の手を上げようではありませんか。いかなる軍隊も、人民とは相容れぬ存在なのです。
 こともあろうにオスプレイについて防衛相森本は十月三十日の記者会見で「防衛省、自衛隊が導入に完全に道を閉ざしているということではない」と述べました。言語道断です。


 ●3章 日帝の核政策を許さず反原発闘争の前進かちとれ

 民主党政権は「脱原発」の旗を掲げてみせてはいますが、それは次の国政選挙で負けないためだけの、全くの見せかけです。原発について触れもしない安倍自民党は論外ですが、見せかけの「脱原発」派は民主党だけではありません。核武装論者たる橋下大阪市長は、「第三極」の核を自認し、原発推進論者の石原と手を組もうとしています。
 私たちは既に、原発なしで夏を越えることができましたが、政権も電力会社も今度は、再稼働しないと冬が越せない、料金が上がる、と「新ネタ」での恫喝を始めました。だが、もう人民はだまされません。多くの『戦旗』読者の皆さんがそうであるように、人民は毎週金曜日の夕方、四十を超える地域で「再稼働反対!」の声を政府と電力会社にぶつけ続けています。
 首都圏反原発連合が呼びかけた「11・11反原発百万人大占拠」に対して、東京都は日比谷公園の貸し出しを拒否し、デモ行進が中止に追い込まれました。日帝支配層の、「反原発」のたたかいへの恐怖と憎悪をむきだしにした弾圧であり、暴挙です。しかしそれでも、巨万の人民の結集をもって、首相官邸前をはじめとする霞が関一帯の占拠行動は断固としてたたかい取られました。選挙が近いとされる中、反原発のたたかいへの弾圧は強まることでしょうが、革命的警戒心と、弾圧に屈せぬ固い決意とをもって、現場に足を運ぼうではありませんか。
 そして「再稼働反対」ばかりでなく、政権が推進しようとしている原発輸出も、断念させましょう。インドへの原発輸出を可能とする日印原子力協定締結を阻止しましょう。
 日本企業の、次期主力戦闘機F35の部品製造への参加を許さず、武器輸出三原則の緩和に反対しましょう。
 岩国国際集会の勝利を引きつぎ、反戦・反基地闘争を国際主義の内実を持ってたたかい、前進させましょう。反原発闘争のうねりを反戦・反核闘争と結合させるべく奮闘しましょう。改憲勢力の伸長を許さず、差別排外主義と対決しながら前進しましょう。勝利の日まで!


 

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