共産主義者同盟(統一委員会)


1413号(2013年4月5日) 政治主張






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  4・28「主権回復の日」式典粉砕

 沖縄―「本土」貫きオスプレイ撤去を

 資本主義突き崩す闘いに学生は決起しよう

            共産主義青年同盟(学生班協議会)



 

 二〇一三年新歓期に、共産主義青年同盟(学生班協議会)より、全国の学生のみなさんにアピールをします。
 昨年末の総選挙で民主党が大敗した結果、安倍政権が発足しました。五年三カ月ぶりに再登場した安倍晋三首相は、憲法改悪を公言し、原発再稼働や沖縄への基地負担の押し付け、TPP交渉参加などを掲げて、労働者民衆の生活や権利を次々と破壊する政策を推し進めようとしています。
 3・11東日本大震災と福島第一原発の大爆発事故から二年が経ちました。震災以降、多くの学生・青年たちが被災地支援のボランティアや反原発・脱原発の運動のなかに飛び込んでいきました。「3・11で全てが変わった」といわれるように、あの大震災と原発事故は日本社会に生きるわたしたちの価値観に大きな転換をもたらすものとなったのです。
 この時代、間違いなく歴史の転換点にある時代に、新たに学生生活をはじめられようとする新入生のみなさんに、わたしたちの活動を紹介しながら、人々を抑圧・支配する資本主義システムを突き崩し、新たな社会の建設を目指すたたかいへの参加をよびかけます。

 ●1章 安倍政権による原発再稼動、新規建設、海外輸出粉砕!

 まず第一に、東日本大震災と福島第一原発事故をめぐってです。
 二〇一一年三月十一日午後二時四十六分、宮城県沖を震源とするマグニチュード九・〇の大地震が起きました。東北地方をはじめ、北海道や関東も含め広大な地域が地震や津波の被害を受けました。死傷者・行方不明者は二万五千名近くにのぼります。今なお、多くの人々が、仮設住宅などでの避難生活を送っています。震災直後に、わたしたちの仲間も被災現地におもむきボランティア活動を行いました。そこで、住居を失い、仕事を奪われ、生活を破壊された深刻な現実を目の当たりにしました。かけがえのない肉親・友人を失い、甚大なストレスを抱えるなかで、被災者の間で精神的・肉体的な疾病、孤独死、自死などが増加していました。「頑張ろう日本」「絆」といったスローガンの一方で、多くの人たちが苦しい生活を強いられていました。プレハブの仮設住宅には二年間の入居期限があり、食費や光熱費は自己負担です。多くの労働者、農民、漁民、中小零細経営者が震災で職場、田畑、漁港、会社に壊滅的な打撃を受け失業状態にあります。とりわけ、在日・滞日外国人、障害者、病者、高齢者などの人たちに差別・抑圧が拡大されています。国家予算・資源の大規模な投入と長期的なサポートが求められています。被災地の人たちの苦闘を忘れず、被災者主体の復旧・復興を継続的に支援していきましょう。
 昨夏、福井県にある関西電力の大飯原発再稼働をめぐって広範な「原発いらない!」「再稼働反対!」の大衆行動が盛り上がりました。毎週金曜日には、首相官邸前行動をはじめ全国各地でデモなどの行動が取り組まれ、再稼働が強行されようとしていた七月一日前後には、大飯原発正面ゲートを封鎖する実力闘争が展開されました。そのなかに多くの若者の姿があり、わたしたちもそのなかで声をあげてたたかってきました。
 一昨年末に、当時の野田首相が突然の「収束宣言」を出して、福島原発事故は「終わったこと」と思っている人も多いと思います。しかし、福島をはじめとして、多くの人たちが原発事故によって、過酷な現実を強制されていることを絶対に忘れてはなりません。原発事故によって、多くの人たちが畑を奪われ、海を汚され、故郷を追われました。放射線量の高い現地に残った人と避難した人の間での分断もうまれています。子どもたちは、外で遊べなかったり、保護者と離ればなれになったりと心身ともに甚大な苦痛を強いられている現実があります。屋外での活動が制限されているなかで、福島の幼稚園児や小学生の肥満率が増加傾向にあります。特に、小学校低学年の肥満率は一割強で、全国最低ポイントの滋賀県の五倍だそうです(文科省の保健統計調査)。さらに、ミツバチなど昆虫や爬虫類、両生類、野鳥の激減など、放射線による生態系の変化も報告されています。また、新聞報道もされているように、福島県内の八万人の子どもたちの甲状腺検査をしたところ、結節(しこり)が五ミリ以下、嚢胞が二十ミリ以下の子どもは43%。小児甲状腺ガンの手術をした子どもが三名で、年度末現在「疑い」が七名います。通常、小児甲状腺ガンは百万人にひとりといわれています。相変わらず、福島県立医大副学長の山下俊二ら御用学者は、因果関係を認めませんが(それが本当ならどんなにいいことか!)、おそろしいことが進行しています。
 「除染」の作業をめぐっても「除染ビジネス」ともいうようなものが横行しています。ここででも益を得ているのはゼネコンです。なかには、東電の子会社まで参入しています。政府・環境省は、一兆六千億円もの予算を除染事業につぎ込んでいます。
 原発事故はまったく終わっていないし、これからが大変です。とても重苦しい時代の扉があいてしまいました。安倍政権による原発の再稼働や上関や大間などへの新規建設や原発の海外輸出などは絶対に止めなければなりません。

 ●2章 「主権回復の日」打ち砕け、オスプレイ訓練阻止・撤去

 第二に、沖縄をはじめとした反戦反基地運動についてです。
 〇九年政権交代で発足した鳩山政権は、「普天間基地の県外移設」をマニフェストに明記していました。長年米軍基地による負担を強いられてきた沖縄の人たちは、このマニフェストに望みを託し、普天間基地の閉鎖にむけて声をあげました。超党派の「県民大会」を何度も開き、人間の鎖で普天間基地を包囲し、名護市長選や名護市議選、沖縄「県」議選などで民意を示し続けました。欠陥機・オスプレイの配備に対しては、普天間基地を封鎖する実力阻止行動をたたかいました。さらに、沖縄全四十一市町村が反対決議をして、安倍首相への直訴団も派遣しました。
 しかし、日本政府はオスプレイの配備を強行したばかりか、普天間基地の「県内移設」=辺野古新基地建設を強行しようと、この年度末に埋め立て申請を行ないました。これらの暴挙に対して、沖縄では「オール沖縄」の島ぐるみ闘争が高揚して、日米安保体制を根本から揺さぶっています。また、名護・辺野古新基地建設阻止や東村・高江ヘリパッド建設阻止の実力闘争が粘り強くたたかわれています。沖縄―「本土」―アジアを貫く反基地闘争でアジア米軍総撤収をかちとりましょう。
 同時に、沖縄の問題は日米両政府による差別軍事支配の問題でもあります。一八七九年の琉球処分で、当時の明治政府は琉球王国を滅ぼして日本に編入しました。その後、沖縄には皇民化政策が徹底して行われ、アジア太平洋戦争末期の沖縄地上戦では「国体護持」=天皇制維持の捨て石として、「四人に一人」といわれる沖縄の人が犠牲になりました。戦後沖縄は、日本帝国主義と天皇制が延命する過程で、アメリカに売り渡され、今日まで続く差別軍事支配を強制されています。安倍晋三は、沖縄が売り渡されたこの一九五二年四月二十八日を「主権回復の日」と言いなし、政府主催の式典を開催すると主張しています。わたしたちは、「沖縄差別をゆるさない」という「本土」の政府と民衆への告発・糾弾を受けとめてたたかいます。四月二十八日、沖縄―「本土」を貫いて、「主権回復の日」式典粉砕闘争に立ち上がりましょう。
 「本土」においても、山口県の岩国市や神奈川県で米軍再編と対決する運動がたたかわれてきました。オスプレイがいちはやく搬入された岩国基地は、日中全面戦争突入直後の一九三八年に、広島湾に面する川下地区での旧日本軍の飛行場として建設されはじめたという歴史をもちます。水田と桑畑が広がっていた地域に、国が問答無用で住民の土地を接収して、住民を強制的に移転させて軍事基地を建設したのです。以来、岩国市民は基地による騒音、兵士が繰り返し起こす事件・事故、地方自治の破壊に苦しめられてきました。岩国の市民は他地域の運動とつながりをもちながら、岩国基地大強化に反対する声をあげています。

 ●3章 反帝国際連帯を推進しよう、差別排外主義と闘い抜こう

 第三に国際連帯と反差別のたたかいについてです。
 わたしたちのこだわりとして、国際連帯と反差別ということがあります。資本が国境を越えて活動している以上、わたしたちの活動も国境を越えたものでなければなりません。韓国やフィリピン、在日韓国・朝鮮人の青年たちと具体的に交流・連帯して、「共通の敵」とたたかうというスタイルを持ちたいものです。
 民族差別、部落差別、女性差別、障害者差別、野宿者差別など、多くの差別があります。差別は差別される人の心を壊し、命まで奪う。そして民衆を分断します。不況が続き、雇用の非正規化が拡大するなかで、厳しい現実に置かれた若者たちの少なくない部分が、「在日特権を許さない市民の会」(「在特会」)ら排外主義襲撃集団のデマにシンパシーをもち、排外主義を掲げて街頭に登場したりしています。
 例えば、このかんの首相官邸前行動のなかでも時々聞かれますが、「障害者や病者が産まれるから」原発に反対という主張があります。 これは一見良心的な主張に聞こえます。しかしながら、ここには、「障害者=生まれてきてはいけない命」という優生思想が、無意識的にであっても、あります。わたしたちが8・6広島などで連帯させてもらっている被爆二世の方は「自分たちは原爆で被爆した親の子だ。自分たちはここに生きている。福島の被曝者にも共に生きようといいたい」といいました。この視点にはこだわり続けたいです。

 ●4章 四十七年間国際を阻む三里塚闘争に決起しよう

 第四は、三里塚闘争についてです。
 三里塚闘争は四十七年目を迎えます。ふたたびみたびの決戦情勢です。天神峰の市東孝雄さんの農地をめぐる裁判では、三月二十七日に、弁護団の最終弁論と市東さん本人の意見陳述がかちとられました。判決日は七月二十九日と決定されました。三月七日には、暫定滑走路の第三誘導路が供用開始され、市東さん宅を空港施設が包囲しています。ゆるしがたい追い出し攻撃です。法律を破り、証拠を偽造して、裁判を進めてきた成田空港会社(NAA)と千葉地裁の姿は、「国策」「国益」の名のもとに、原発や基地を推進してきたことと同じです。
 一九六六年、当時の佐藤自民党政府は、突如千葉県成田市の三里塚周辺への巨大空港建設を閣議決定しました。地元の農民も新聞やテレビで知ったというくらい突然の決定でした。地元の農民・住民は三里塚芝山連合空港反対同盟を結成しました。多くの農民が「先祖伝来の土地を守るため」「戦後開拓に入った土地を守るため」に、「農民戦争」と形容されるような激しい闘争を展開してきました。
 今日まで四十七年間、反対運動が継続してたたかわれ、成田空港は未完成のままです。反対同盟は「農業こそ公共」「福島・沖縄・三里塚は共にたたかう」と市東さんの農地決戦をたたかう檄を発しています。半世紀近くにわたって国策を阻んでいる三里塚の大地に結集をしていきましょう。

 ●5章 資本の下での競争打ち破り、大学の闘争拠点化推進を

 第五に、大学の現状の学生の生活についてです。
 小泉構造改革を経た二〇〇〇年代後半になると「格差」や「貧困」という言葉が日本社会においても実感をもって語られるようになってきました。二〇〇八年のリーマン・ショックに端を発した金融危機と世界的な大不況のなかで、学生・青年を取り巻く環境も一段と厳しいものになっています。
 そもそも、日本の文教政策は「教育の不平等」を再生産するものでした。「大学の就職予備校化」はますます進展しています。厳しい生活状況と将来への不安・焦りから、「学問の探求」やサークル活動よりも「バイトと資格取得」に明け暮れる学生が多いのが現状です。
 他方、大学当局は学生への管理・抑圧を強化しています。学内での自由なビラまきやポスター貼り、タテカンづくりなどが、ほとんどの大学で不可能になっています。大学闘争を鎮圧し、七〇年代以降吹き荒れた当局による学生の自治つぶしと管理強化の結果が今日の大学の現状なのです。
 これらは、財界ブルジョアジーとその意向を受けた政治権力者らの政策によって、意図的・人為的に作り出された現実なのです。現在の日本社会を、とりわけ青年たちの多くを、不安と絶望が取り巻いています。しかし一方で、欧州諸国や中東などで、このかん若者たちがインターネットを駆使しつつ、大規模な実力決起を繰り返してきました。欧州各国の政府が世界的な金融危機への対処として「教育改革」を打ち出し、学費値上げや大学の自治破壊を行おうとしたことに対して、学生たちはデモやストなどで対抗してきました。わたしたち日本の学生も、欧州の学生のようにたたかう必要があります。ますますエスカレートする競争にのめり込むのではなく、これらの情勢を規定している新自由主義グローバリゼーションや資本主義・帝国主義そのものへの批判と闘争に起ち上がっていきましょう。現状に呻吟する学生の仲間とともに、大学の闘争拠点化を推し進めていきましょう。

 ●6章 社会主義―共産主義社会を建設する革命運動に進もう

 最後に、わたしたちは、資本主義の廃絶とプロレタリア革命による社会主義―共産主義社会の建設こそ、様々な抑圧に苦悩するわたしたち民衆の希望の光であるということを大胆に提起したいと思います。
 資本主義とは、生産手段(資本)を所有した資本家(階級)が、生産手段を所有しない労働者の労働力を「商品」として買って雇用し、経済活動を行うシステムです。そして、この労働力の商品化によって資本家階級は搾取を続けてきたのです。資本は利潤を追求して増殖します。現在の日本のように、規制緩和や民営化といった巨大独占資本の自由の拡張によって資本に対する制約が失われている社会では、資本はあくなき利潤を求めて自由に運動します。常に「儲かる場所」へと巨大独占資本は移動するのです。さらに国境を越えて、より「儲かる場所」へとかけめぐるのが新自由主義グローバリゼーションだといえます。大資本が移動するたびに生活破壊や地域破壊が進行するのです。さらに、大資本が撤退した地域では、産業の空洞化によって、失業や低賃金、雇用の非正規化が深刻化します。同じ原理によって、農業の破壊、雇用の破壊、地域の破壊、環境の破壊、社会保障の破壊が世界規模で進んでいます。とりわけ、犠牲になるのは途上国の民衆です。また、現在日本で社会問題となっている保護者による子どもへの虐待や子ども同士のいじめの背景にも、格差や貧困の問題があるということが指摘されています。
 このようなシステムには、いつか終止符をうたなければなりません。もはや持続不可能なのですから。
 先進工業国の巨大独占資本が、軍事力を背景にして、国境を越えた経済活動を行う資本主義の最高の発展段階が帝国主義です。近現代の戦争のほとんどが、帝国主義国の権益拡大や帝国主義国家間の対立の過程で引き起こされてきました。わたしたちは、アメリカや日本、欧州各国などの帝国主義が現代世界の根本矛盾を形成していると考えています。
 この資本制社会は歴史の一段階に過ぎません。資本制的な生産関係の廃止のためにわたしたちは革命運動をたたかっています。
 とはいえ、「革命」が起きれば「全て解決」ということでは決してありません。むしろ、「革命」に至るまでの過程、そして「革命」の過程こそが重要なのです。様々な抑圧からの解放を求めてたたかっているあらゆる階層と有機的に結びついてたたかうことをわたしたちは活動の軸にしています。観念的に大言壮語する「革命」ではなく、実践的な「過程」のなかにこそ、未来を開く展望があります。具体的な闘争課題を、多くの民衆とともに担っていくなかで、学び鍛えられながら、未来への展望を見出していくのです。困難ですが、喜びの多い仕事です。
 キューバ革命の指導者のひとりであったチェ・ゲバラ(一九二八~六七年)が自らの子どもたちに宛てた手紙の一節を紹介します。活動家にとって、一番大切にしなければならない感性だと思います。
 「世界のどこかで誰かが不正な目に合っていたら、いつもそのことを感じることができるようになりなさい」


 

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