共産主義者同盟(統一委員会)


1416号(2013年5月20日) 政治主張






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  維新の会―橋下の性奴隷制度「必要」暴言徹底弾劾!

  6月アジア共同行動の成功を

  日帝―安倍の改憲攻撃打ち砕け

  経産省前テントを守ろう

 




 安倍政権は憲法改悪、原発の再稼動、侵略戦争と天皇制の賛美など、自らの政治的野望を掲げて参院選に突入し、もってその全面的な具体化を目論んでいる。靖国参拝、「主権回復の日」政府式典の強行、防衛大綱の見直しなど、動き出した安倍政権の右翼的、反動的な性格を全面的に暴露しつつ、六―七月の過程をプロレタリア国際主義の旗を高く掲げてたたかい抜こう。


  ●第1章 靖国参拝弾劾! 安倍政権打倒せよ

 安倍政権の復古的国家主義の野望が姿を現しつつある。四月二十日、新藤総務相、二十一日麻生副総理、古屋拉致問題相、加藤官房副長官が靖国神社に参拝した。安倍首相自身は「真榊」を奉納した。二十三日には百六十八人の国会議員(うち、百三十二人が自民党議員)が集団参拝を強行した。
 さらに安倍は四月二十三日の国会で、釣魚諸島を「固有の領土」と改めて主張し、「上陸となれば、強制排除は当然」と答弁。また「村山談話」に関連する答弁において、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかで違う」などと強弁した。
 これら一連の発言に中国政府、韓国政府は強く反発。韓国政府は韓国外相の訪日を中止。さらにASEAN+3の財務相・中央銀行総裁会議では、中韓両国財務相が欠席した。
 だが安倍の国家主義的野望はその一端をあらわしたばかりだ。安倍は、かつて第一次安倍政権時代に靖国参拝できなかったことを「痛恨の極み」と述べている。今回も国会答弁で「英霊に尊崇の念を表するのは当たり前。どんな脅かしにも屈しない」などと発言した。かりに夏の参議院選挙の結果によって衆参の「ねじれ」が解消し、自民党の「安定政権」が成立すれば、安倍のこの野望は首相自身の靖国参拝強行、さらには村山談話の公然たる否定と「安倍談話」なるものの発表による侵略戦争の歴史の国家的否認へと突き進もうとしている。アジア人民との連帯にかけて、われわれは日帝―安倍政権による歴史歪曲を断固粉砕しなければならない。
 安倍政権の歴史歪曲の攻撃は、日帝のアジア侵略戦争の否定に留まらない。それは戦後の日本の政治体制を右から批判する全面的なイデオロギー攻撃として、さらに、これをもって憲法改悪を柱とする政治―社会体制の右翼的再編を狙う体系的な政治攻撃として打ち下ろされようとしている。
 四月二十八日の「主権回復の日」政府式典の強行もその一つだ。周知のとおり、一九五二年四月二十八日に発効したサンフランシスコ講和条約は、講和の対象から中国、ソ連を排除し、米帝を中心とする西側同盟諸国との間で結ばれたものである。それは帝国主義ブルジョアジーが、戦後の反帝民族解放闘争の高揚、一九四九年中国革命の勝利、一九五〇年朝鮮戦争の勃発に直面するなかで、日本を東アジアにおける反革命軍事出動拠点、反共の防波堤とするためのものであった。サンフランシスコ講和条約と同時に結ばれた日米安保条約によって、米帝は日本国内での米軍の長期駐留を確保し、日帝ブルジョアジーは日米軍事同盟体制を戦後の軍事外交戦略のみならず、経済政策をも含む政治的基盤とすることで大独占による強蓄積とアジアへの経済侵略=日帝ブルジョアジーの復活を果たしたのである。それは同時に、米軍政支配への沖縄の売り渡し、大独占による労働者への強搾取、さらにその後のベトナム戦争やアフガニスタン、イラク侵略戦争への参戦へと連なる歴史の出発点としてあった。
 さらに重要なことは、一九四七年に昭和天皇が連合国軍総司令部(GHQ)に伝えた「天皇メッセージ」の存在である。その骨子は「米軍による沖縄統治の継続を求める」「沖縄の主権は日本にあるが、米軍による五十年以上の長期租借を容認する」「手続きは日米の二国間条約による」というものであり、「米軍による沖縄統治は日米双方に利益があり、共産主義勢力の影響を心配する日本国民の賛同も得られる」という天皇の認識も示されたことが公文書として保管されている。だからこそ、沖縄にとってこの日は「屈辱の日」なのであり、沖縄では県議会が全会一致で抗議の決議を行い、当日、宜野湾海浜公園には一万人が結集して政府式典に抗議する「4・28『屈辱の日』沖縄大会」が開催されたのである。
 すなわち一九五二年四月二十八日は、日帝ブルジョアジーが天皇制の政治的機能を維持し、日米軍事同盟を政治的基盤として、日本帝国主義の復活を開始した日に他ならない。安倍がいう「主権回復」とは、まさにこのような天皇制―日本帝国主義の「国家主権」のことなのであり、今回の政府式典にもそのことが如実に現れた。十分間に及ぶ安倍の演説には主権在民や戦争放棄など、「主権回復」後の新憲法についての言及はまったくなかった。式典には、天皇アキヒトと皇后ミチコが出席した。憲法に規定された国事行為にさえ含まれないこのような政治行為を行うこと自体が異例であり憲法違反であるが、安倍は敢えてこれを強行した。天皇退席時には参加者から「天皇陛下万歳!」の声があがり、壇上の安倍首相や最高裁判所長官、衆参両院議長らがこれに唱和して万歳三唱を行った。異様な光景というほかはない。安倍が狙うのは、この日を天皇制を柱とする大日本帝国復活の日として、祝賀を人民に強制することなのである。
 安倍政権のこの復古反動的なイデオロギー攻撃、帝国主義的ナショナリズムの扇動は、その暴力性を表すと同時に、その脆弱性をも生み出す要因としてある。
 第一に、それが確実にアジア人民、沖縄人民の怒りを呼び起こすという点である。アジア人民のなかには、日本帝国主義が犯した大規模な虐殺と苛烈な支配の記憶がある。この歴史を居直り、あるいは否認する安倍の扇動は、必ずこれに激しく抗議する運動を呼び起こす。またこうした人民の怒りを無視できないがゆえに中国政府、韓国政府は、外交交渉の課題とせざるをえない。沖縄人民の内部には、新基地建設を押し付け、米軍犯罪を放置し、沖縄を踏みつけにし続ける日本政府への深い怒りがある。安倍政権は帝国主義的ナショナリズムの煽動を加速させるほどに、自己の外交能力では解決できない孤立化をもたらす。
 第二に、釣魚諸島をめぐる領土問題でも明らかになったように、それは日帝ブルジョアジーにとって通商上の制約となって立ち現れる。昨年、日中貿易は急速に落ち込み、日本の貿易収支は大きく赤字に転落した。だからこそ昨年の領土問題をめぐる事態のなかで、経団連会長米倉は、日本政府が「尖閣諸島に主権の問題は存在しない」と言い続けることに対して、「中国側がこれほど釣魚島の問題を重視しているときに、日本側が問題がないというのは、大変理解しがたい。日本側はこうしたことを二度と言わないでもらいたい」と発言した。安倍政権の暴走と外交通商上の孤立は、日帝ブルジョアジー内部に亀裂を生み出す。
 第三に、現在の憲法体制を越えた安倍の暴走に対しては、不断にブルジョアジー内部に動揺や離反が生まれざるをえない。式典での天皇の出席と万歳三唱については政権与党内からも疑問が出された。さらに同式典には現職国会議員も知事も半数程度しか出席していない。これを政府式典と呼ぶのだから、「政府」の私物化も甚だしい。だが、ここに安倍政権の不安定性があるともいえる。
 問われているのは日本プロレタリアートの闘いである。この安倍政権の暴力性を脆弱性へと転化する闘いを作り出さなければならない。そのために、プロレタリアート内部に発生する排外主義と闘い、実践的な連帯を通してプロレタリ国際主義の闘いを生み出すことが必要だ。「在特会(在日特権を許さない市民の会)」など、人民内部に浸透しようとする右翼ファシスト勢力との正面きっての闘いを組織し、同時にアジア人民との国際主義的な連帯の実践を重ね、反帝プロレタリア国際主義派の勢力を形成しなければならない。安倍右翼反動政権に反対する全人民的な闘いの内部において、そのようなプロレタリアートの闘いを組織することこそが、安倍政権を追い込んでいく道にほかならない。


  ●第2章 原発再稼動阻止! 6・2反原発集会へ

 原発再稼働をめぐる情勢は、原子力規制委員会による新規制基準の七月施行と再稼働申請の受付をめぐって新たな重大局面を迎えようとしている。
 安倍政権はその発足当初から、民主党政権が「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」としてきた政策を「ゼロベースで見直す」と断言してきた。二〇一三年二月二十八日の施政方針演説では「安全が確認された原発は再稼働する」とも明言している。さらに茂木経産相は四月二十三日、「安全性は規制委が決める。事業者は安全性が確認された原発を当然、再稼働するということなので、日程的には早ければ秋ということだ」と発言。参院選では「安全性が確認された原発の再稼働を進める」ことを自民党の選挙公約とすると発表している。
 そこで焦点になるのが、原子力規制委員会だ。3・11以降、原子力安全・保安院など安全確保のための規制機関が、原発を推進する資源エネルギー庁などと同じ経済産業省の下に置かれていたことに強い批判が集中したことから、二〇一二年九月、民主党政権下で新たに環境省の外局として原子力規制委員会が設置された。二〇一二年六月に改正された原子炉等規制法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)では、原発の設置の許可、基準を満たしていないときの使用の停止等は、原子力規制委員会が行うことになっている。同改正法が今年七月から施行されるのに向けて、原子力規制委員会は今年四月に新規制基準案を発表した。防潮堤や免震重要棟の設置を義務づける一方、中央制御室の代替施設である「緊急時制御室」など大規模な設備については、五年間の猶予を与えるという抜け道が用意された。さらに、すでに昨年六月に再稼働が強行された大飯原発三、四号機については、新規制基準が施行されてから今年九月の定期点検までの二ヶ月間は、法的根拠なく「例外的にその稼働を認める」としている。施行前から様々な抜け道が根拠もないままに作られている。新規制基準そのものが再稼動に向けた単なる政治的ジェスチャーにすぎないことが明らかとなっている。
 新基準は、原発の運転期間を原則四十年とし、活断層上の原子炉設置を禁止したが、一方では、大飯原発三、四号機について付近に三つの活断層があることが明らかとなったにもかかわらず、その連動についての調査を求める規制委員会に対し、関西電力は再調査を拒否した。このような状態で大飯原発を七月から九月まで例外的に稼動するなど絶対に許してはならない。
 七月の新規制基準の施行に向かう政治過程においては、この大飯原発の例外的稼動と五年間の適用猶予が焦点課題となる。われわれは原子力規制委員会の欺瞞的な「審査」や「規制」を許さない闘いを組織しながら、さらに福島第一原発事故の収束さえ果たされないままに、これまでの原子力政策を全面的に復活させんとする安倍政権と対決する全人民的な闘いを拡大しなければならない。
 こうしたなかで日本政府は、経産省前で反原発の訴えを続けてきた経産省前テントに対して、テントの撤去と土地の明け渡しを求めて提訴。さらにテントの二名に対し土地利用相当額の損害金として約一千百万円を請求した。日帝の原発政策を担ってきた歴代自民党政権と官僚たちは、なんらの責任を取ることもなく霞が関に居座りつづけ、さらに安倍政権は原子力政策においても歴史の歯車を逆に回そうとしている。経産省前テントひろばは、このような政府と対決する市民の表現の場にほかならない。経産省の提訴を弾劾し、テントひろばを防衛して、今夏の再稼動阻止をたたかい抜こう。
 かかる情勢のなかで来る六月二日、「6・2 NO NUKES DAY」が、さようなら原発一千万人アクション、原発をなくす全国連絡会、首都圏反原発連合(反原連)による同時アクションとして開催されることが発表された。また、大飯原発再稼働実力阻止闘争から一周年の六月三十日には「福井から未来へ! 原発のない世界を! 6・30全国集会」が開催される。七月に向けて大飯原発への新規制基準の適用をめぐる攻防が焦点化する。全国の仲間とともに、再稼動阻止の闘いを全力で組織しよう。


  ●第3章 アジア人民と連帯し6月AWC運動支援を

 アジア共同行動(AWC)日本連絡会議は来る六月、全国各地で韓国からのゲストを迎えて集会を開催することを決定した。アジア人民と連帯し、安倍右翼反動政権の帝国主義的ナショナリズムの扇動を粉砕するために、ともに奮闘しよう。
 この間、日本では朝鮮民主主義人民共和国による「ミサイル発射」なるものが脅威として宣伝されてきた。しかし何よりも問題にされなければならないのは、三月一日から四月三十日まで二ヶ月間に渡って実施された米韓合同演習「フォール・イーグル」の問題だ。韓国軍約二十万人、米軍約一万人、さらに核爆弾搭載可能なB52戦略爆撃機やB2ステルス爆撃機などを投入して行われた軍事演習は、共和国に対する戦争挑発にほかならない。さらに五月六日、韓国国防省は近く、アメリカ海軍の原子力空母「ニミッツ」が韓国に入港し、再び米韓合同軍事演習を実施すると発表した。米韓両軍による戦争挑発を阻止しなければならない。
 一方、自民党安全保障調査会・国防部会は、政府が民主党政権下で策定された防衛計画の大綱(防衛大綱、二〇一一年から十年間)の見直しと中期防衛力整備計画(中期防、二〇一一~一五年度)の廃止を決定したことを受け、防衛大綱見直しに向けた提言案をまとめた。離島への上陸能力を持つアメリカ軍の海兵隊のような機能を自衛隊に整備するなどの島しょ部の防衛体制を強化し、核・弾道ミサイル攻撃への対応能力を高めるとともに敵の基地への攻撃能力を保有することなど、「安倍カラー」を前面に押し出した極めて好戦的な内容だ。安倍政権は領土問題をめぐる中国との関係や、共和国の「脅威」をその根拠としているが、こうした対立を生み出し扇動しているのは安倍自身に他ならない。
 このような帝国主義的ナショナリズムの煽動を粉砕し、戦争策動を粉砕する力は、何よりも国際主義プロレタリアートの闘いにかかっている。六月アジア共同行動は、まさに労働者の国際連帯を実践的に深め、広げるものとして開催される。
 国境を越えたプロレタリアートの連帯をもって、帝国主義的ナショナリズム煽動を粉砕しよう! 安倍右翼反動政権打倒に向けた全人民的な抵抗戦線を拡大しよう!


 

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