共産主義者同盟(統一委員会)


1419号(2013年7月5日) 政治主張






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  市東さんへの農地強奪判決絶対阻止!

 7・14―29三里塚闘争へ

 山シロ博治さん断固支持

 再稼動・輸出断固阻止! 全原発廃炉


 

 
 トルコ全土に拡大した反政府デモは、エルドアン首相の退陣を求め不屈にたたかい抜かれている。イスタンブール中心部のタクシム広場を占拠した人々は若者を先頭に警官隊と正面からたたかい、公共空間から暴力的排除にあってもなお抵抗を続けている。六月十五日から十六日にかけ、四百人近くが権力に拘束された。だが十七日には主要二労組の呼びかけで全土ストライキがおこなわれ、民衆のたたかいはさらに各層へと拡大している。アルンチ副首相は同日、「軍の投入もありえる」と述べ、事態はますます緊迫化している。
 トルコ民衆の反乱はなぜ起きているのか。その多くがイスラム教徒であるトルコだが、政教分離が明確にされている。にもかかわらず「エルドアン首相が強硬にイスラム主義的政策を採ってきたことへの反発がある」という報道がある。しかし、より深層には、「貧困層の味方」として登場したエルドアン首相が十年にわたり政権を握る中で、次第に富裕層と結託し、私利私欲を貪るようになったことへの怒りが指摘されている。
 実際、今回の大規模デモの契機となったのは、タクシム広場にあるゲジ公園の再開発だが、それに関わる企業や資本家の顔ぶれには、エルドアン首相の一族郎党がならび、莫大な利益を得られる仕組みになっていたという。格差社会への怒りが青年たちの決起につながっていることは間違いない。
 新自由主義政策のもとで格差社会がますます進行しているのは日本も同じだ。アベノミクスは一握りの大企業を太らせる一方、民衆の生活破壊を極限化するものでしかない。そして貧困層を戦争に動員して、命まで奪うのだ。新自由主義と戦争の安倍政権を打倒しよう!

 ●1章 改憲に突き進む日帝―安倍政権打倒せよ

 参院選を目前に控えた六月十三日、自民党は参院選の公約を発表した。そのなかで改憲の発議要件を定めた憲法九六条改悪については、「発議要件を衆参それぞれの過半数」に緩和することを明記し、かつ「国民が憲法判断をする機会を得やすくするため」との理屈で、改憲を公約に明記した。
 改憲は自民党の結党以来の「悲願」であった。しかし六〇年安保闘争を頂点とする、労働者人民の闘争の力で、改憲は阻止され続けてきた。いま自民党は大日本帝国憲法の復活というべき改憲草案をうちだし、労働者人民に挑んできている。われわれは今こそ改憲案の内容を徹底的に暴露し、改憲のもくろみを阻止しなければならない。
 自民党改憲案の恐るべき反動性の第一は、憲法の性格を「権力制限規範」から転換し、「国民主権」を否定し、立憲主義を破壊することにある。立憲主義とは、主権者である人民が憲法を通じて国家権力を統制するものであり、現憲法も立憲主義にもとづいている。したがって戦後、政府・権力に対する労働者人民のたたかいの法的根拠ともなってきた。改憲草案の前文では「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守」る義務が明記され、各章においても「国民の義務」が大幅に増加している。
 第二に、海外派兵と武力行使を完全に合憲化する戦争攻撃だ。第九条に明記されている「戦争の放棄」は「安全保障」に変更され、内閣総理大臣を最高指揮権者とする国防軍の創設を規定している。すでに、自衛隊の存在や日米安保条約にもとづく米軍の駐留など九条は「解釈改憲」によって骨抜きにされてきたのであるが、それでも海外派兵と武力行使、さらに国内での治安出動への歯止めになってきた。自民党改憲案どおりとなれば、米軍と共に海外派兵を常態化し、日帝・多国籍資本の防衛のために国防軍を出動させ、アジア・世界の民衆に銃口を向ける戦争国家が完成する。絶対に阻止しなければならない。
 第三に、天皇を元首化し、内閣総理大臣の権限を強化することにより、労働者人民の抵抗闘争、階級闘争を暴力的に鎮圧する国家へと根本的に作り変えようとしている。その発想の一例を上げれば、自由と人権が制約される根拠が現憲法では「公共の福祉」であるのを、改憲案では「公益および公の秩序」に置き換えている。これでは権力の恣意的な判断で、自在に基本的人権を制約できるようになってしまう。
 こうした改憲に向けた動きと同時に、階級闘争の激化に身構えた弾圧体制の強化が目論まれている。すでに国民共通背番号制(マイナンバー)法が五月二十四日、参院で可決、成立した。さらに、「国の安全に関わる情報の漏洩を防ぐ」と民衆の知る権利を大きく制限する秘密保全法案が、秋の臨時国会に提出される。民主党政権の登場でいったんは頓挫した共謀罪の復活がもくろまれており、カンパ禁止法(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律)の改悪案も今通常国会に提出された。これらすべての動きには、アメリカ政府なみの「戦争のできる国家」になることを狙う安倍・自民党政権の意志がある。
 そのアメリカでは、元米中央情報局(CIA)職員が、米国家安全保障局(NSA)がネット上の膨大な個人情報を収集していたことを暴露した。個人の通話記録やメールの内容を広く収集する「プリズム」という活動をおこなっていたとされる。肥大化した権力が広範な民衆を監視し、弾圧する支配体制。これが安倍政権がめざす「戦争のできる国」の正体だ。改憲攻撃と一体に、治安管理体制の強化、弾圧諸立法との闘いを強めよう。

 ●2章 あらわになったアベノミクスの正体

 安倍政権が比較的、支持率を安定させている唯一の根拠は、アベノミクスなる経済政策だ。しかし、その粉飾は早くも剥がれ始めている。
 資金供給量を二年間で二倍に拡大する「異次元の金融緩和」と緊急経済対策による株高と円安基調は停止し、株価は乱高下を繰り返しながら二カ月前の水準まで低下した。円安による輸入物価の高騰は、労働者人民の生活を直撃している。とりわけ、食料品の値上げは低所得者層に生活苦を強いている。
 第三の矢「民間投資を喚起する成長戦略」はどうか。それは一言で言えば小泉純一郎元首相が推進した「構造改革」を焼きなおした、新自由主義路線そのものだ。第三の矢をとりまとめたのは、安倍政権の諮問機関である産業競争力会議だが、その顔ぶれを見よ。あの小泉内閣のブレーンとして、今日に至る格差社会への道を開いた竹中平蔵、アベノミクスで大もうけした楽天の三木谷浩史社長、ローソンの新波剛史社長らがうごめいている。この連中は、資本の飽くなき利潤追求にとって邪魔となっている解雇規制の緩和を主張している。労働者を「成長の止まった分野から成長分野に移動させれば経済が活性化する」等と得手勝手な理屈で、首切り自由化に踏み切ろうと言うのだ。六月十四日に閣議決定された成長戦略には、これはさすがに盛り込まれなかった。しかしまったく油断できない。
 結局、「成長戦略」にも失望感が漂うなか、安倍は「一人当たりの国民総所得を十年後に百五十万円以上増やす」とその目標をぶちあげて人気を取ろうとした。だが、そもそも国民総所得には企業が海外でうみ出した収益も含まれる。一人一人の収入が百五十万円増えるかのような大嘘をついているのだ。
 他方、今国会では、生活保護法の改悪案が成立しようとしている。申請の厳格化と、扶養義務のある親族への連絡を徹底し、罰金を引き上げるという「不正受給」対策をもりこんだ。1%にも満たない「不正受給額」(二〇一〇年度では0・38%)をマスコミを動員してことさら煽り、受給を減らして生活保護費を削減するのが狙いだ。すでに現状でも、生活保護を受けられず困窮を極め、餓死にすら至る事例が東京、大阪であいついでいる。社会保障費の削減と消費税の増税で、大企業だけが潤い、労働者人民の貧困はますます深まるばかりだ。

 ●3章 安倍右翼反動政権打倒、山シロ必勝

 反原発運動にとっても、安倍政権とのたたかいは正念場だ。「原発再稼動こそ成長戦略を下支えする」等と、自民党内で原発推進派が勢いを増している。参院選の公約でも再稼動が明記された。
 六月、安倍は来日したフランス大統領オランドとの間で、原発の技術協力や輸出の促進、核燃料サイクル事業の継続を明確にした。それに先立つ五月には、原発輸出の「トップセールス」と称して、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコ、インドを訪問し各国と原子力協定を結んでいる。トルコでは、三菱重工業など原発メーカーが工事を受注することになる。各国では福島第一原発事故を目のあたりにした住民が反対運動に立ち上がっているが、インドではクダンクラム原発の稼動反対運動に対して警官隊が一斉射撃し、死者が出る事態となっている。
 そもそも福島第一原発事故の収束も程遠く、事故の真相究明もできておらず、住民への補償もまったく不十分であるにもかかわらず、平然と「成長戦略のため」と原発輸出と再稼動に踏み込む安倍政権は、まさに大企業の利益のためなら民衆の生命など、どうでもよいと言っているに等しいではないか。実際、自民党の高市早苗政調会長は「原発事故で死者は出ていない」と言い放った。原発震災からの避難中に亡くなった方、「原発さえなければ」との言葉を残して自殺した酪農家の方、収束作業中に亡くなった被曝労働者のことなど、まるで眼中にはない。
 もはや安倍政権と正面対決することなくして、反原発運動の前進もない。アジア-世界の民衆と連帯し、原発輸出に反対しよう。国内の原発再稼動を、立地住民と固く結合して阻止していこうではないか。右翼による襲撃や国による撤去策動と対決し、経産省前脱原発テントを断固防衛しよう。
 われわれは今次参院選において、全国区で出馬する山城博治候補を断固支持する。安倍政権は何よりも沖縄人民の「基地のない沖縄を」との願いに真っ向から敵対する最悪の政権だ。オスプレイの普天間配備を強行した。高江ヘリパッド建設を強引におしすすめ、辺野古新基地建設を狙っている。「主権回復の日」式典を強行して沖縄差別軍事支配を居直った。沖縄人民の怒りはいま頂点に達している。この間、沖縄人民は、首相への直訴行動、高江ヘリパッド建設阻止、普天間基地封鎖の実力闘争を展開してきた。山城候補は、こうした現場のたたかいを指導してきた、沖縄解放闘争の代表だ。山城候補が参院選に勝利することは、国会での攻防と、沖縄―「本土」を貫く反戦・反基地運動の結合関係を飛躍させる。山城候補の勝利に向け、参院選をたたかおう。

 ●4章 激化する民族排外主義を打ち破れ

 日本維新の会・共同代表の橋下徹が「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」「海兵隊の性的エネルギーを解消するためにもっと風俗業を活用するよう進言した」と女性差別、沖縄差別の暴言を吐いてから、すでに二ヵ月近くが経過した。この間、橋下はアメリカ政府に謝罪したほかは、見苦しい言い訳とマスコミへの責任押し付けに終始した。橋下は失地回復を狙って、今度はアメリカに媚を売り、大阪・八尾空港にオスプレイの訓練を移転させる構想を打ち上げた。だが、地元八尾市の意向などお構いなしのパフォーマンスに過ぎないことが見透かされた。
 橋下発言によって、維新の会の凋落は避けられないものとなった。だが、そもそも橋下が「慰安婦制度は必要」発言をしたのは、安倍首相の「持論」に刺激を得て、安倍に擦り寄るためではなかったか。安倍こそが、「従軍慰安婦に狭義の強制の証拠はない」と述べ、いわゆる「河野談話」の見直しを示唆した張本人だ。橋下暴言は、「侵略の定義は国によって異なる」と述べた安倍に呼応する形で出てきたものだ。安倍も、同罪だ。
 安倍の街頭演説では、「日の丸」を掲げた排外主義者、ネット右翼が応援団として登場し、有力な支持基盤になっている。渋谷での街頭演説で安倍は、居合わせたTPPに反対するグループに対し、「左翼が憎しみをこめて妨害した」とフェイスブックに書き込んだ。自分の意に沿わぬ者を「左翼」と決め付ける感性こそ、ネット右翼とも共通するものだ。安倍政権の登場は、まちがいなく排外主義者を勢いづかせている。
 在特会ら排外主義グループはこの間、東京・新大久保で差別襲撃デモを幾度も行ってきたが、対抗運動の高まりのなかでますます凶暴化している。六月十六日には同デモで在特会、対抗運動の双方で逮捕者が出たが、これは権力が在特会を統制下に置く狙いと、対抗運動を弾圧し萎縮させる両方の政治的動機がある。
 われわれは戦前、ファシストが街頭を制圧し、やがては権力と一体化した歴史を忘れてはならない。いま新自由主義の進行による階級対立の激化の中で、欧米で移民労働者を襲撃する排外主義運動が高まっている。ノルウェーで二〇一一年に発生した極右活動家による大量虐殺事件は記憶に新しい。フランスでは六月にネオナチによる青年活動家一名の殺害事件も発生した。
 日本版ファシスト集団=在特会らの街頭制圧を許してはならない。在日・滞日外国人への差別襲撃を許さず、在特会らを一掃しよう。と同時に、この者たちを勢いづかせている安倍右翼反動政権を一刻もはやく打倒しよう。

 ●5章 農地強奪阻止! 7・14―7・29に総決起を

 市東孝雄さんの農地強奪を狙う前代未聞の裁判(行政訴訟・農地法裁判)の判決が、七月二十九日と迫ってきた。農地強奪を許すのか否か、いよいよ決戦の時が近づいている。市東さんは裁判の過程で「天神峰で農地を守り、生きる権利を闘いとりたい」「空港廃港まで闘う」とその力強い決意を明らかにしてきた。この決意に応え、7・14全国総決起集会の爆発をかちとろう。7・14に向け、三万人署名に全国で緊急に取り組もう。
 成田空港会社の農地強奪攻撃は徹頭徹尾、卑劣なものだ。さかのぼること一九八八年、直接の耕作者であった市東東市さんには隠して、地主から農地を買収した。孝雄さんが後を継いだ二〇〇三年になって突然、空港会社は「地主」としての権利を主張し、小作権の解約と農地の明け渡しを要求してきたのだ。これ自体が違法だ。
 「耕すものに権利あり」。まさに三代にわたって営々と農業を続けてきた市東さんにこそ正当な耕作権がある。にもかかわらず、成田市農業委員会も千葉県農業会議も何一つまともな調査を行わなかった。千葉地裁・多見谷裁判長も常に空港会社側に立って訴訟指揮をしてきた。まさに国策裁判そのものではないか。
 反対同盟は、市東さんにかけられた攻撃を日本農民総体に対する攻撃ととらえ、反撃を開始している。不当判決を絶対に許さないたたかいを巻き起こさなければならない。
 そのために今、緊急三万人署名に全国でとりくもう。三里塚闘争の現状について、マスコミは無視するか歪曲したかたちで報道しているため、農地強奪のリアルな実態は民衆にきちんと伝わっていない。署名活動を通じて、この実態を多くの民衆に伝えよう。そして全国から三里塚への、支援・共闘の大衆的機運を作り出そう。
 われわれ共産同(統一委員会)は今春、三里塚現地闘争拠点の建て替え工事を完遂した。千葉県警の妨害や弾圧をはねかえし、この新たな拠点をバネとして現地闘争、援農、全国集会をはじめとする現闘活動に邁進していく決意だ。
 すべての労働者、抑圧された人々に、7・14三里塚全国集会への圧倒的な結集を訴える!

 

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