共産主義者同盟(統一委員会)


1456号(2015年3月20日) 政治主張






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
 辺野古ボーリング調査再開弾劾!

 新基地建設即時中止せよ

  3・29三里塚全国集会へ

  安倍政権の戦争法制粉砕!




 「戦後七十年」を迎える今年二〇一五年、日本の労働者人民は大きな歴史的岐路に立っている。戦争と貧困化をおし進める安倍政権の策動を許すのか、それとも安倍政権を打倒する階級闘争の大きなうねりをつくりだし、労働者人民の解放の展望を切り拓いていくのか。情勢は労働者人民に対して、安倍政権を打倒する全人民政治闘争の爆発的発展をますます強く要請している。
 全国のたたかう労働者人民、青年・学生は、われわれ共産主義者同盟(統一委員会)と共に、今春政治闘争に全力で立ち上がろう。

  ●第1章 階級的意図をむきだしにした安倍施政方針演説

 安倍晋三は二月十二日、新内閣発足後初めてとなる施政方針演説を行なっている。安倍はその冒頭、「日本を取り戻す」なるスローガンの下で侵略戦争と貧困化の道をおし進めてきた第二次安倍政権の諸政策について、「この道を、さらに力強く、前進せよ」というのが昨年十二月の総選挙で示された「国民の意思」だとし、「戦後以来の大改革」を断行すると宣言した。しかし、先の総選挙での自民党の「圧勝」は、多くの指摘があるように、大政党に有利な小選挙区制度に助けられたものであり、戦後最低の投票率が示すように、むしろ労働者人民の政治不信、既成政党への不信の拡大によって大きく特徴づけられるものであった。多くの労働者人民は決して安倍政権を信任しているわけではない。
 施政方針演説は、今通常国会の焦点であるはずの戦争法制に関しては、「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めてまいります」と、その意図を確認するのみで、演説の中心からはずしている。しかし、すでに政府と与党(自民・公明)の間で、集団的自衛権法制化に向けた論議が開始されており、安倍政権にとって一連の戦争立法の制定が今国会の最重要課題であることは隠しようがない。にもかかわらず、経済政策を前面に掲げることによって、世論の批判をかわそうとしているのである。日本を「戦争する国」へと変えようとする一連の戦争立法の制定に対する労働者人民の批判と反発が強いことを安倍自身も自覚しており、そのために最も重要であるはずのテーマを正面から提起することができなかったのだ。ここに安倍政権の脆弱性が端的に示されている。
 その上で、安倍が「改革断行」なるスローガンの下、この施政方針演説で示している農業の市場化、企業の農業への参入の推進、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の締結推進、法人税の引き下げ、「残業代ゼロ」をめざす裁量労働制の拡大などの諸政策は、新自由主義政権、独占資本の利害の代表者としての安倍政権の階級的性格をむきだしに示している。安倍はまた、原発再稼働を推進し、辺野古新基地建設の強行を鮮明にすることで、その政権の反人民的性格をあらためて示した。
 安倍は「『三本の矢』の経済政策は、確実に成果をあげています」などと言って、アベノミクスを自画自賛している。しかし、労働者人民にとって景気回復の実感などまったくないことは各種の世論調査が示している。「成長戦略の実行。大胆な規制改革によって、生産性を押し上げ、国際競争力を高めていく。……なすべきことは明らかです。要は、やるか、やらないか」などと安倍はうそぶいているが、その政策は労働者人民の権利と生活の犠牲を強制しながら、独占資本をますます肥え太らせるだけのものだ。
 安倍は「誰にでもチャンスに満ちあふれた日本」などと言う。しかし、安倍政権が推進してきた新自由主義政策によって、どれだけの人々が機会を奪われ、貧困を強制され、生存の淵に叩き落とされてきたことか。非正規雇用の労働者は安倍政権のもとで拡大し、昨年十一月の統計では初めて二千万人を超える二千十二万人となり、全労働者の38%に達した。貧困と格差を拡大する安倍政権に対する労働者人民の総反乱に今こそ立ち上がるべきときだ。
 いまひとつの問題は、「戦後七十年」に関わる問題である。これに関して安倍は「先の大戦の深い反省と共に」「『積極的平和主義』の旗を一層高く掲げ、日本が世界から信頼される国となる」などと述べている。靖国神社参拝を強行し、日本軍性奴隷制度をなかったものにしようとする安倍に「深い反省」などあるわけもなく、それは単なる枕言葉にすぎない。今年の八月十五日に向けて準備されようとしているいわゆる「安倍談話」は、米帝からの介入もあり、具体的にどのような文面になるのかは今はまだ定かではないが、安倍の意図が日本の「植民地支配と侵略」による被害者への「痛切な反省の意」「心からのお詫びの気持ち」を表明した一九九五年の「村山談話」を清算しようとするものであることは明らかだ。
 この施政方針演説はまた、国連安保理の非常任理事国に立候補すると述べるとともに、「国連を21世紀にふさわしい姿へと改革する」として日本の安保理常任理事国入りへの野望をあらためて明らかにしている。
 「積極的平和主義」などというごまかしのスローガンで、日本の戦争国家化と日米軍事同盟の強化を推進する安倍政権との対決をおし進めよう。

  ●第2章 戦争立法を阻止し改憲策動を粉砕しよう

 施政方針演説においては戦争法制をめぐる問題を演説の中心からはずした安倍ではあったが、集団的自衛権の法制化と自衛隊の侵略派兵体制の強化に向けた具体的な攻撃はすでに開始されている。
 二月十三日には、政府は与党である自民党・公明党に対して、一連の戦争法制案策定に関する方針を提示した。以降、「安全保障関連法案の与党協議」が毎週開催されており、法案の輪郭が次第にはっきりしつつある。政府・与党は三月下旬には基本方針を合意し、五月に法案を国会に提出して、今国会での成立を強行しようとしている。
 地理的制約を突破し、世界のどこにおいても、自衛隊が米軍や他国の軍隊と肩を並べて侵略戦争を遂行できるようにしようとするこの攻撃は、まさに日本を「戦争する国」に変貌させようとするものであり、日本帝国主義がいよいよ軍事的にも、アジア・世界の抑圧された労働者人民の前に敵として公然と登場していくことを意味する。また、「邦人救出」を口実にした自衛隊の海外派兵の強化も狙われている。
 こうした攻撃に対するたたかいは、今春から今夏にかけて、プロレタリア国際主義に立脚する労働者人民の最大級の任務だ。集団的自衛権法制化を阻止するたたかいを全国各地で巻き起こし、国会へと攻め上ろう。
 このような動きと並行して、安倍はいよいよ明文改憲に向けた攻撃をも強めている。
 二月四日、安倍は自民党の憲法改正推進本部長である船田元との会談で、改憲の発議や国民投票の実施時期について、「(来年夏の)参院選後になるのではないか」という船田の発言に、「それが常識だろう」と応じてみせた。安倍はまた、「一回目の改正の中身を絞ることを丁寧にやっていくべきだ」などと発言し、「環境権」などの条項から改憲に入り、その後に九条などの条項の改悪を進めていくことを示唆している。しかし、どのような道筋を通ってであれ、安倍や支配階級の意図が九条改悪や「国防軍」の創設などを通して日本の戦争国家化を名実ともに推し進めていくことにあることははっきりしている。強まる改憲策動との対決を推し進めていかねばならない。
 安倍政権はまた、このような日本の戦争国家化を推進していくために、「イスラム国」による日本人人質殺害事件をも徹底的に活用している。国会では「イスラム国」非難決議が衆参両議院で全会一致で採択され(山本太郎参院議員のみ棄権)、「対テロ」を振りかざせば誰も疑義を唱えることができないかのような状況がつくられている。
 そこであらためて、「イスラム国」による日本人人質殺害事件をめぐってはっきりさせるべきことを確認しておきたい。
 第一に、われわれはこの事件が、歴史的にも現在的にも、米帝を先頭とした帝国主義の中東植民地支配の中で、引き起こされたものであることをしっかりと捉えなければならない。アルカイダ、イラクのアルカイダ、シリア反政府勢力内部の抗争、そして、現在の「イスラム国」に至る中東のイスラム武装勢力の問題の前提には、米帝CIAをはじめとした帝国主義の内戦介入、武装勢力の育成があるということだ。アフガニスタン侵略反革命戦争、イラク侵略反革命戦争、そして、シリア内戦、リビア内戦の激化の中で、今回の人質事件が引き起こされたのである。
 第二に、米帝、仏帝、英帝をはじめとした有志連合による空爆―「対テロ」戦争を「チャンス」と捉えた日帝―安倍政権は、今回の中東訪問を強行し、「イスラム国」対策としての二億ドル供与を外交パフォーマンスとして位置づけた。このことが、「イスラム国」を挑発し、最終的に人質二名が殺害されるという痛ましい事態を引き起こしてしまったということである。拙劣で身勝手で、人命を軽んじる安倍晋三こそが、外交を弄び、湯川さん、後藤さんを死に追いやったのだ。この点において、安倍政権を徹底的に弾劾しなければならない。
 第三に、しかし、その上で、この戦乱の中から生まれてきた「イスラム国」が、パレスチナ人民―アラブ人民をはじめとする中東・北アフリカ諸国人民の解放闘争の内実を持っていないこと、否むしろ、反米闘争、反独裁闘争をたたかう他の勢力や民衆に対して攻撃を加えるなど、解放闘争に敵対するものであることを、われわれは批判する。軍事を弄び、武器を弄び、捕虜・人質とした労働者人民を具体的罪状もなしに殺害する行為は、断罪されなければならない。
 今回の事態を戦争法制、自衛隊の海外派兵体制の強化に最大限利用しようとしている安倍政権を許してはならない。このような策動を弾劾し、日帝の「対テロ」戦争参戦を絶対に阻止しなければならない。

  ●第3章 沖縄、三里塚、反原発、安倍打倒の政治決起を

 全国のたたかう労働者人民、青年・学生にとって、今春の政治闘争上の任務は鮮明だ。
 第一に、沖縄人民に連帯し、辺野古新基地建設阻止闘争に立ち上がっていくことだ。決戦の辺野古現地へと駆けつけよう。
 現地での阻止闘争への弾圧が強まっている。二月十三日にはキャンプ・シュワブのゲート前での抗議行動のなかで一名が不当逮捕された。さらに、二月二十二日には、沖縄平和運動センター議長の山城博治さんら二名が米軍のガードマンに不当逮捕され、キャンプ・シュワブ内で拘束されるという事態が発生した。米軍より身柄を引き渡された名護署は刑事特別法の違反容疑で二人を書類送検した。絶対に許すことはできない。基地ゲート前のテントを撤去せんとする攻撃も強まっている。
 しかし、どのような弾圧もたたかいをおしとどめることはできない。二月二十二日午後から行われた辺野古現地での集会は、四千人の結集で敢然と打ち抜かれた。また、東京をはじめ各地でも同日に連帯行動が取り組まれている。
 辺野古新基地建設阻止闘争は、戦争国家化を推進しようとする安倍政権との対決の現下の最も重要な攻防環だ。ここで勝ち抜くことが、安倍政権の野望を打ち砕き、日米軍事同盟を大きく揺さぶるものとなる。全国から沖縄―辺野古現地への支援をいっそう大胆に進めよう。各地での連帯行動を発展させよう。沖縄人民と連帯し新基地建設強行阻止-安倍政権打倒に向けてたたかおう。
 第二に、3・29三里塚全国総決起集会の成功をかちとることだ。
 三月四日には東京高裁で市東さんの農地裁判の控訴審が開かれ、小林裁判長が結審を強行した。そもそも耕作者を守るためにつくられた農地法を逆手にとって、市東さんから農地を奪おうとする国土交通省、成田空港会社の悪辣さ、その不当性と違法性は明らかだ。小林裁判長の拙速な裁判指揮を断固弾劾する。
 反対同盟と支援は、裁判闘争にあわせて地元での一斉行動を連続的に取り組んできた。「第三滑走路」などという荒唐無稽な計画が打ち出された中で、成田空港周辺住民の間には、改めて空港建設反対の声が生まれ、反対同盟への支持が広がっている。
 今回の3・29全国総決起集会は、成田市内の栗山公園(旧市営グラウンド)で開催される。一九六八年二月~三月の激闘以来の四十七年ぶりの成田市の中心部での全国総決起集会だ。たたかう労働者人民は、いまや五十年近くに及ばんとする反対同盟のたたかいを支え、全国から成田に結集しよう。
 第三に、原発再稼働阻止に向けてたたかうことだ。
 福島事故から四年目を迎える今年、三月七日・八日の週末を中心に原発再稼働阻止―全原発廃炉を掲げ、全国各地で集会・デモが取り組まれた。福島では三月十四日に「原発のない福島を! 県民大集会」が開催された。いまだ十二万人以上が避難生活を余儀なくされ、汚染水の海洋への流出をはじめ、福島原発事故の収束とは程遠い状況にあるなかで、原発再稼働・原発輸出を推進しようとする安倍政権を徹底的に弾劾しなければならない。
 現在、再稼働の最初のターゲットとなっているのは川内原発一、二号機と高浜原発三、四号機だ。原子力規制委員会は昨年九月の川内原発につづき、今年二月十二日には高浜原発に関する新たな規制基準にもとづく「審査書」を決定した。すでに鹿児島県知事と川内市長・市議会の「地元同意」がある川内原発とともに、高浜原発についても「地元同意」が推進されていこうとしている。
 政府・電力会社への直接抗議行動および現地闘争・実力闘争を重視しながら、原発再稼働を阻止するたたかいのうねりをさらに大きく広げていくためにたたかおう。また、新たな原発建設=上関原発建設を絶対に阻止しよう。
 第四に、「安倍たおせ」のスローガンの下、街頭政治闘争に立ち上がっていくことだ。安倍政権の打倒に向けた全人民政治闘争をその先頭に立って推進していくとともに、そのなかから新たな左派の政治共闘を発展させていこう。
 東京では「集団的自衛権法制化阻止・安倍たおせ!反戦実行委員会」(反戦実)が結成され、その旗揚げの行動として三月二十一日には新宿デモを準備している。この行動はまた、今春から今夏にかけて集団的自衛権法制化策動をめぐってますます拡大・発展させていくべき街頭におけるたたかいの反戦実による第一波となる。われわれはこのような動きに大きく注目し、それを支え、共に推進していく。安倍政権の打倒に向けた戦闘的なたたかいのうねりをつくりだしていこう。
 全国の労働者人民、青年・学生は、共産主義者同盟(統一委員会)と共にたたかい、アジア・世界の人民と連帯する日本階級闘争の新たなうねりをつくりだそう。



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.