共産主義者同盟(統一委員会)


1469号(2015年10月20日) 政治主張






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  TPP反対! 安倍の農業破壊・生活破壊許すな

  11月全国から岩国へ!

  戦争法廃止―安倍政権を打倒せよ

  反戦・反基地・反原発闘争の前進を


               

 
  ●1章  米空母ロナルド・レーガン横須賀配備強行弾劾

 米海軍原子力空母のロナルド・レーガンが十月一日に横須賀港へ入った。同じ原子力空母で築二十五年のジョージ・ワシントンを修理する代わりだ。入港には、なんと海上自衛隊護衛艦いずもが付き従った。集団的自衛権の行使とは何かを象徴する日米軍事一体化だ。徹底的に弾劾する。
 今回の交代配備は、朝鮮民主主義人民共和国と中国に対する軍事的重圧はもちろんだが、加えて、中東など全世界での侵略反革命戦争の最前線基地として横須賀基地を使用し続けようという米帝の意思に基づくものだ。それはまた、巨大な原子炉が首都圏に居座り続けることでもある。反戦と反原発を一体のものとしてたたかうべきなのだ。
 反戦闘争実は二日、現地闘争を取り組んだ。ヴェルニー公園ではロナルド・レーガンの入港を弾劾する声を上げた。続く横須賀市内のデモでは、警察に厚く防御された米軍基地前で怒りのこぶしを突き上げ、行き交う人々に入港弾劾と戦争反対を訴えた。

  ●2章  戦争法成立によって日米軍事同盟が強まる

 他国を侵略するための戦争法が九月十九日に成立した。全国各地を席巻する大波となった圧倒的多数の戦争反対の声と行動を踏みにじる、日帝国家権力による暴挙だ。
 他国の人民のたたかいを「日本の存立を脅かすもの」と決めつけさえすれば、自衛隊が米軍とともに襲いかかり殺しまくってよし、とする法律だ。これで私たち日本労働者人民の動きと考えを縛り、他の国の人たちの血しぶきを浴びて平然とする「普通の国」になろうというのだ。
 ふざけるな。私たちは何があってもこれを拒む。「戦争法により自衛隊が朝鮮半島に再び上陸しようとしている。これを阻め」と叫んでいる朝鮮人民―アジア人民のたたかいと通底する闘争に、弾圧をはねのけて起ち上がっていこう。血まみれだった国を美しいとしつつ、再び血まみれの国へ突き進む日本帝国主義国家権力及びブルジョアジーに鉄の槌を振り下ろすべきだ。資本主義にとって軍事は経済であり経済は軍事だ。資本主義・帝国主義を叩き潰してこそ戦争をなくすことができる。反帝こそ真の反戦だ。
 前世紀末の九〇年前後にソ連・東欧圏が崩壊する中、アメリカ帝国主義は冷戦後の世界における主導権を確保しつつ石油権益を確保するためにイラクを侵略した。米国政府から戦争協力を求められた日本政府はPKО派兵法を九一年に成立させてペルシャ湾に掃海艇を送り、翌年にはカンボジアへ自衛隊を派兵した。九四年、共和国の「核開発疑惑」を口実に朝鮮戦争勃発直前まで戦争重圧を強めたが、一歩手前で戦争は回避された。
 経済的には新自由主義政策を全世界に広げ、軍事的には侵略戦争を続ける米帝は、憲法九条の制限を超えた自衛隊の「血を流す」活動を要求し、九六年に日米安保共同宣言が発表され、九七年に日米ガイドラインが改定された。
 その後、これに基づいて、周辺事態法、武力攻撃事態法などが作られ、朝鮮戦争への参戦と国内総動員体制を可能とする法体制が二〇〇〇年代半ばまでに確立した。日本はすでに準戦時体制に入っていた。
 〇八年のリーマンショックは新自由主義政策の世界規模の破綻と世界金融恐慌突入の合図となった。財政破綻の危機に直面した米帝は、軍事面で大きく転換した。一〇年の「四年毎の国防計画見直し」で陸軍ではなく空軍及び海軍の協力と主導による戦略を発表した。一一年にはアジア再均衡方針を打ち出した。軍事的な重点を中東からアジアへ移すという内容だ。この戦略転換が今回の侵略戦争法制定強行の起点だ。それが時とともにどんどん具体化されていく。
 アジア再均衡方針を明示した文書「世界における米国の主導権の維持――二十一世紀の防衛の優先事項」は、予算上の問題で国防費を削減せざるを得ないこと、しかし、米国の商品を全世界で売るために安全保障が必要であること、アフガニスタンとイラクから米軍は撤退するが「対テロ戦争」は続けること、東アジア地域では台頭する中国との関係を維持しつつも軍事的には米国が主導権を持つこと、などが骨子だ。
 こうした米帝の世界軍事戦略転換の一地域における具体策として打ち出されたのが、十二年発表の「日米同盟――アジアにおける安定の確立」すなわち「アーミテージ・ナイ文書」だ。元国家公務員が執筆した民間機関の文書であって、米国が日本に直接提言即ち命令する体裁を避けている点がみそだ。冒頭から「日本は米国の完璧な同盟国になるつもりがあるのかないのか」と迫るこの恫喝まがいの文書は、原発再稼働、TTP推進、対東欧政策と同様の海外開発援助を通じた旧「社会主義国」のビルマ・カンボジア・ベトナムの「民主化」、日韓関係安定化を求めている。
 その上で、軍事的な転換を極めて具体的に突き付けている。すなわち、①日本は自国のみならず朝鮮半島など周辺地域の防衛に責任を取れ、②その具体例として日本にとって資源確保で最重要のペルシャ湾での掃海と南中国海での中国の進出に自衛隊は対処しろ、③日米の共同作戦能力を高めろ、④軍事情報の漏れを防げ(=特定秘密保護法を作れ)、⑤武器輸出三原則を緩和し軍需企業の武器輸出を促進しろ、⑥日米軍の兵器の相互融通性を高めろ、⑦在日米軍の意義を再確認しろ、⑧集団的自衛権行使禁止を解け、⑨国連平和活動に地域住民の保護を加えろ、⑩韓国と軍事協定(軍事情報総合保障協定と相互役務融通協定)を結べ、だ。
 今年四月、新たな日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)が発表された。要点は次の通りだ。①日米軍の一体化。自衛隊が米軍の指揮系統のもとに組み込まれ、「相互運用性」を高めるために米国軍需産業の兵器を大量購入し、「共同計画」という名の米軍の方針に沿い、米軍の一部として参戦する。米軍は自衛隊基地だけでなく民間の港・空港・道路を使うことができ、自衛隊は米軍基地を防衛する。②自衛隊派兵先の制限解除。自衛隊の展開範囲は地理的に定めないので世界のどこにも派兵できる。③戦争総動員体制の確立。地方自治体と民間企業を戦争協力させることができる。④侵略戦争の正当化。他国で戦争が起きても日本の存立が危なくなると判断した場合は自衛隊を送って戦争できる。⑤韓国・オーストラリア・フィリピン・台湾など「パートナー」との合同演習をはじめとする軍事協力の強化。
 以上の内容を法律の条文にしたものが戦争法案だった。つまり、自衛隊が他国の民衆を殺し、自らも殺されるようになる新安保条約ともいうべき新たな中身の軍事協定について、日米両権力者の間では今春に決着がつき、四月末に発表された。帝国主義者どもにとって五月中旬の法案提出以降の国会審議は、従って、その「批准」をめぐる通過儀礼にすぎなかった。安倍など大臣の国会答弁は、各人の能力に応じた出鱈目な論理展開だった。しかしその内容は、上記文書の枠の中に見事に収まっていた。
 だが、「日本は米国の属国」論を私たちは排す。第二次帝国主義観戦争における戦勝国と敗戦国の関係が日米間の軍事面ではいまだに続いている。米帝の要求について、特にソ連崩壊後はその大部分を日帝は受け入れてきた。ただし、それが「国益」即ちブルジョアジーの利害に合致するとみなしたうえでの判断だったことを見落としてはならない。米帝の求めという外圧をアジアの盟主という自らの位置の維持およびそこからの脱落の防止に利用してきたこともまた事実だ。加えて、社会構成の土台である経済の分野では、国境も越えて弱肉強食の争闘を何十年も繰り広げてきている。日米の関係は、歴史的条件に規定された帝国主義間の争いなのだ。そして、それゆえ、日本労働者階級の解放闘争にとって日帝打倒が不可避の課題なのだと改めて確認しよう。

  ●3章  革命派=反帝国際主義派の反戦闘争の前進を

 戦争法案反対闘争はあらゆる階層の人々が決起する全人民闘争として展開した。参加者数では最大となった八月三十日には全国約三百か所で集会デモがあった。国会前で実質十万人以上、全国で数十万人の人々が戦争法案反対の一点で一致し、街頭に出て意見を表明した。その後も、集会デモが各地で連日繰り広げられた。こうした院外の文字通り巨万人民の決起のうねりに背中を押され、諸野党も「結束」して予想以上に抗った。そのため、審議は大幅に遅れ、結局、実質的に会期ぎりぎりの強行採決となった。
 全人民闘争であったがゆえに、国際主義を掲げて資本主義・帝国主義打倒を目指す革命派、侵略戦争の加害者性を踏まえつつも資本主義体制内での民主主義強化を目標とする護憲派(=戦後民主主義派)、戦争の被害者性に立脚して戦後の「自由と民主主義」を礼賛し、朝鮮有事での自衛隊派兵を肯定するリベラル保守派、安倍の独裁的な政治手法を批判し、「米国の属国」からの脱却を志向する改憲派・民族主義派・右派など、様々な潮流が合流した。注目を集めた学生たちの運動も、様々な傾向が未分化のまま混在している。
 私たちの当面の任務は、戦争を本当になくす道はどこにあるのかをはっきり示すことだ。そして、他潮流の限界と誤りをきっぱりと指摘して、起ち上がった、起ち上がっている、起ち上がるだろう人々に訴え、組織することだ。戦争法案反対闘争のうねりを、また、その中で覚醒した人々の積極性を、日共のいう国民連合政府すなわち民主共産連立政権の方針に流し込ませてはならない。労働者人民の実力決起こそが社会を変革できるのだという確信を自らの中で打ち固めた上で大胆に訴えていこうではないか。
 オール沖縄が形成されたのは辺野古での粘り強い抵抗闘争があったからだ。それと同じように、戦争法案反対闘争も、反戦反基地、反原発、労働運動、差別反対運動などの取り組みが核となり、膨大な自然発生性が生み出され、表現された。沖縄・岩国・神奈川・横田をはじめとする反基地闘争の強化と連携をさらに推し進め、来春といわれる侵略戦争法の具体的実施を止めるための陣形を準備していこう。

  ●4章 辺野古新基地建設阻止!沖縄―「本土」貫く闘いを

 安倍政権は沖縄・辺野古での新基地建設のための工事を八月から一カ月間中断して「協議」するポーズをとってきたが、九月十二日に作業を再開した。警察の弾圧は激しくなった。二十二日には支援者を不当逮捕した。
 他方、翁長知事は九月十四日、辺野古新基地建設の「埋め立て承認」の取り消し手続きに入ると述べた。沖縄防衛局は聴聞そのものに応じなかった。
 翁長知事は十月十三日朝、「承認」取り消しを決定し、記者会見を行なった。辺野古新基地建設工事の根拠はなくなった。
 また、翁長知事は九月二十一日に国連人権理事会で、日本政府と米国政府が沖縄の訴えを無視してきたことを人権問題だと訴えた。
沖縄と安倍政権の全面対決はさらに激しい闘いとなる。沖縄―「本土」を貫き、辺野古新基地建設阻止に起ち上がっていこう。

  ●5章 原発再稼働を許すな

 日本政府は鹿児島県の川内原発一号機を八月に再稼働させた。さらに、同二号機も十月中旬に再稼働させようと狙っている。また、愛媛県の伊方原発を再稼働させる手続きをごり押ししている。
 広島原爆二百発分におよぶ放射性物質を東日本一帯に撒き散らした福島第一原発事故の収拾作業はいまだに終わっていない。作業をする労働者は何の保障もないままひどく被曝している。汚染水は今も垂れ流され、放射性物質が今も噴き出されている。事故から四年半経った今も十万人以上の福島県民が避難生活を強いられている。福島県民の甲状腺癌が福島原発事故前の日本に比べて二十~五十倍の頻度で起きているとする疫学者の論文も公表された。
 原発再稼働反対! 全ての原発を直ちに廃炉にしろ! 福島県民が避難する権利を国と地方自治体は認めろ!
 
  ●6章 新自由主義政策と対決しよう

 帝国主義は戦争政策を進めると同時に経済では新自由主義政策を繰り広げている。〇八年のリーマンショックでその破綻がはっきりしたにもかかわらずだ。欧州連合加盟国の銀行の不良債権額は一四年末時点で〇九年の二倍以上に当たる約一兆ユーロに上っている。中国経済のバブル崩壊が各国の資本主義経済体制を直撃している。日本政府は、企業に対しては規制緩和を続け、労働条件を悪化させている。消費税の再引き上げを狙い、社会保障は崩壊の道を進み、貧富の格差はさらに広がっている。実質賃金はここ数年間下がり続けて、いま底止まりになっている。労働運動に対する弾圧は激しくなった。
 まず、労働条件の悪化だ。九月十一日に改悪労働者派遣法が成立した。派遣労働者の固定化と就業の不安定化をもたらす悪法だ。人間は使い捨て用品ではないぞ! 同法改悪を徹底的に弾劾する。
 賃金は数年前に比べて下がったままだ。今年七月段階で名目賃金と実質賃金が各々前年同月比でやっと0・6%、0・3%増えた。それまで二年以上にわたって賃金は下がり続け、下がりようがなくなった結果だ。
 また、初めての就業が非正規職の割合は、九九年以前は男性10%前半、女性20%台だったが、一一年十月以降は各々33・8%、52・3%だ。女性労働者の約四割が育休を希望したが取得できなかった。
 原発労働者の処遇も過酷だ。厚労省は胃癌などの労災認定基準を「被曝線量が百ミリシーベルト以上」で「被曝から発症まで五年以上」と定めている。この基準に達しない労働者は切り捨てだ。事故収束作業で発癌を争う提訴が八月になされた。史上初だ。
 貧困問題は日に日に深刻になっている。日本の子どもの貧困率は16・3%、六人に一人の割合だ(一二年)。ひとり親世帯の貧困率は54・6%でOECD加盟国三十三か国のうちで最悪だ。また、奨学金を受けている学生の割合は〇八年度43%、一〇年度51%、一二年度53%と急増している。卒業後借金を返済しなければならない。だが、安倍政権の貧困対策、社会保障問題への対処は掛け声倒れだ。
 国家が民衆の生活実態を完全に管理して徹底収奪するためのマイナンバー制度を粉砕しよう。

  ●7章 反戦反基地、反TPP、国際連帯基軸に闘おう

 第一に、沖縄辺野古新基地建設を阻止しよう。十一月二十八~二十九日の岩国国際行動に集まろう。岩国・神奈川・横田などで基地に反対し続ける人々と結びつき、反戦反基地闘争の大きなうねりを作り出していこう。オスプレイの配備と訓練を中止させよう。
 第二に、新自由主義を打ち破る取り組みを進めよう。十一月中旬のマニラAPEC反対闘争に起とう。労働者・農民の権利を奪って生活を破壊し、米国流の貿易ルールをアジア太平洋地域に拡大しようという策動を打ち砕こう。また、「大筋合意」に至ったというTTPの批准を阻止しよう。これは米国企業の利益拡大以外の何物でもない。粉砕あるのみだ。
 第三に、国際連帯を強化し、民族排外主義、差別排外主義と闘おう。アジア人民と連帯し、共同の闘いを作り上げていくことこそ、日本労働者階級人民が自らの排外主義と対決し克服する上でのカギだ。AWC運動を支持し、その前進を支えよう。
 日本政府は朝鮮学校を「高校無償化」から排除するな。朝鮮総連への不当弾圧を許すな。これは日帝の朝鮮半島再侵略攻撃の一環であり、国内における差別排外主義扇動そのものだ。なかでも朝鮮学校への弾圧は、朝鮮語を学ぶこと、朝鮮人であることへの弾圧である。自分が自分であることに対するとんでもない人権侵害であり、人間の尊厳を踏みにじる暴挙だ。許せない。
 資本主義・帝国主義を打ち倒して労働者人民が牽引する新たな社会の建設を目指す革命派こそが、反戦反基地、新自由主義反対、国際連帯、差別排外主義粉砕の闘いを大きく前進させていくのだ。
 ともに闘おう。



 

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