共産主義者同盟(統一委員会)


1484号(2016年6月20日) 政治主張






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  市東さんの農地を守ろう!「24時間空港化」攻撃粉砕!

 7・3三里塚東京集会へ

 改憲反対! 安倍政権打倒

 日米韓ミサイル防衛訓練反対

           

        


 五月二十一日大阪、二十二日東京、そして二十六、二十七日三重現地において、われわれは帝国主義強盗会談粉砕、反G7サミット連続行動に決起した。
 安倍政権による支持率回復、政権浮揚を狙ったサミットキャンペーン、サミットを口実とした国家権力による戒厳態勢、また五月十九日大阪府警によるでっち上げ不当逮捕を跳ね返し、五月サミット粉砕闘争をたたかいぬいた。
 全国から二万人の警察官が動員された戒厳態勢の中、われわれは全国の反サミット行動をつらぬき、国際連帯で現地闘争を貫徹した。新自由主義、帝国主義を粉砕する反帝国際共同闘争をさらに前進させ、安倍政権を打倒しよう!

 ●第1章 米軍属による殺人事件を弾劾する!

 五月十九日元米海兵隊兵士で嘉手納基地に勤務する米軍属シンザト・ケネフ・フランクリンが沖縄「県」警に逮捕された。
 四月二十八日夜、二十歳の女性を殺害し、遺体を遺棄した容疑である。被害者の女性は二十八日夜に「ウォーキングに行ってくる」と家族に言ったまま、自宅には戻らず、三週間後無残な姿で発見された。逮捕された容疑者は「棒で殴り、首をしめてナイフで刺し遺棄した」と供述していたが、逮捕翌日からは黙秘を続けている。
 被害者の女性はどれだけの恐怖、苦しみ、悔しさがあっただろうか。三週間も雑木林に放置され、家族などによる必死の捜索もむなしく、発見された女性の心情を図るには余りある。許しがたい事件である。被害女性に対して追悼の意を表明する。
 沖縄に米軍基地が差別的に押し付けられ、沖縄に米軍人・軍属が存在するからこそ引き起こされた事件である。徹底的に弾劾する。
 容疑者逮捕直後から沖縄人民は米軍基地に対する抗議行動に立ち上がっている。二十日には嘉手納基地第一ゲート前で約二百五十名が参加し抗議集会を行い、二十二日には在沖米四軍調整官事務所がある北中城村キャンプ瑞慶覧ゲート前で約二千名が追悼抗議集会に参加している。二十五日午前にはキャンプ・シュワブゲート前で約四百名の緊急抗議集会、その日の午後には嘉手納基地前で約四千名が参加し抗議集会を行っている。
 キャンプ・シュワブゲート前では米軍に対して連日怒りの座り込み行動が行われている。
 この事件を受け、アシュトン・カーター米国防長官が中谷防衛庁長官に謝罪、日本政府は米政府に対して綱紀粛正、再発防止を申し入れた。しかし、実態は何も変わらない。今年三月那覇市内で観光に訪れていた女性がキャンプ・シュワブ所属の米海軍兵によってレイプされる事件があったばかりである。近年の事件では報道された事件だけでも、二〇〇二年海兵隊少佐が女性を襲った暴行未遂、〇四年には米軍属による女性乱暴、〇五年には空軍兵による小学生への強制わいせつ、〇七年には米軍人子弟による女性暴行致傷、〇八年には海兵隊二等軍曹による女子中学生暴行事件と、米軍人・軍属による数多くの性暴力事件が起きている。
 九五年の普天間基地所属の米兵三人による小学生暴行事件では沖縄人民の怒りが「県民大会」に発展した。八万五千人が参加し、大会では①米軍人の綱紀粛正と軍人・軍属による犯罪の根絶、②被害者に対する謝罪と完全な補償、③日米地位協定の早急な見直し、④米軍基地の整理縮小の促進の四項目を求める抗議決議を満場一致で採択している。
 米軍は毎回お題目の「綱紀粛正、再発防止」を述べてきた。しかし現実には米軍人・軍属の暴力行為、犯罪行為を野放しにしているだけである。
 今回の女性殺害事件を受け、日本政府は犯罪抑止対策推進チーム(チーム長・菅義偉官房長官)なるものを開いた。警察官百人増員によるパトロール強化、街路灯や防犯カメラを増設し、防犯パトロールでは、国の非常勤職員の地域巡回、パトカー二十台増加、主防犯パトロール車両百台規模の繁華街巡回を行うという。
 このような上っ面の施策で問題が解決できるはずがない。そもそも米兵は暴力と殺人の抵抗感を無化する訓練を日常的に行っているのだ。その訓練場である沖縄全体はまさに米軍が存在することで戦争状態の中にあるのだ。力のあるものが優位にたって、他者を抑圧・支配し、従属と従順を強制することを構造的価値観とする軍隊とその兵士が駐留し、沖縄を「支配」しているのである。
 そうした米兵が沖縄に、そして基地内、基地外にいること自体が問題である。暴力の肯定を刷り込まれた米兵は、その支配力を女性に対して向けるのである。
 五月二十日沖縄「県」庁で開かれた「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」などの会見には二十人近い女性が集まり、参加した女性は「被害者が私だったかもしれない。私も夜、歩きに行く。大切な人や友人だったかもしれない」と語っている。米軍が存在する限り、沖縄の人々はまさに日常的な暴力と恐怖で支配された状況の中で暮らさなければならないのである。沖縄戦から七十一年、構造的差別の下に沖縄に米軍基地が押し付けられてきた状況とその環境は今も変わっていないのである。
 五月二十三日、翁長沖縄知事は安倍首相に対して、来日するオバマ大統領との面談要求を行ったが、安倍はこれを拒否した。菅官房長官は「一般論としていえば、外交は中央政府で協議すべきもの」として切り捨てた。翁長知事は「安倍内閣は、できることは全てやるといつも言うが、それは逆に、できないことは全てやらない、との意味にしか聞こえない」と批判した。
 在沖米軍トップのニコルソン在沖米四軍調整官が安慶田光男副知事と面談し、今回逮捕された容疑者に対して、「米軍人でも国防総省の軍属でもなかった。米軍施設にサービスを提供する会社で働いていた人物で、地位協定上の地位の資格を与えられるべきではなかった。民間契約業者で地位協定上の地位を持つべき人物ではない」と述べ、国防総省クック報道官も会見で「契約業者であり、軍属ではない」と強調し、容疑者と米軍との関わりの薄さを主張、事件の火消しに走っている。
 発言の中には被害女性に対する謝罪の言葉は一切ない。
 事件後、日本政府、与党内からは、G7サミット前、オバマ訪広直前で「最悪のタイミングだ」という許しがたい暴言がなされた。しかし、これが安倍政権の本音であるだろう。つまり安倍政権は日米両帝国主義による日米軍事同盟、日米安保に「水を差す」ことだけを懸念するからである。
 国家間の外交戦略において、今回の事件は「タイミング」の問題としてしか認識されていないのだ。国土面積の0・6%を占めるにすぎない沖縄に、在日米軍の約74%を集中させ米軍の軍事訓練、米兵の犯罪を野放しにし、それを沖縄に強い続けているこの現実をまさに差別軍事支配といわずしてなんと言えようか。
 事件の真の解決を目指すというのであれば、沖縄から今すぐ米軍を撤退させることである。米軍、米兵がいるからこのような事件が起きるのだ。今こそ、沖縄―「本土」をつらぬき、国際連帯で反基地運動の前進を勝ち取っていこう。
 安倍政権が全体重をかけて推し進めようとしている辺野古新基地建設を絶対に阻止しよう。すべての米軍基地を撤去させよう。日米安保を粉砕しよう。全ての労働者、学生、市民のみなさん、われわれとともに立ち上がろう!

 ●2章 オバマは被爆者に謝罪せよ

 伊勢志摩サミット直後、米帝オバマと日帝安倍は、広島訪問を強行した。オバマは被爆者の代表も参列する前で原爆死没者慰霊碑に献花し、核廃絶を訴えるスピーチを行った。核廃絶を訴えるスピーチだが、配備された核兵器の起爆スイッチをいつものように傍らにおいてのスピーチであった。われわれは謝罪のないオバマの広島訪問を弾劾する。大統領就任まもなくプラハ演説で核廃絶を訴えて、ノーベル平和賞を受賞したオバマにとって、広島訪問は、任期中に自身の功績を残す格好の舞台だった。伊勢志摩サミットとオバマの広島訪問を、参院選に向けた党利党略として利用したい安倍の思惑とが一致し、原爆投下から七十一年目にして現職大統領の広島訪問となった。米国内では、「原爆投下は戦争終結を早めた。より多くの死者を出さないための必要な犠牲だった」という認識が、高齢者・保守派を中心に主流である。しかし実際は、無差別都市爆撃(東京大空襲など)も広島・長崎への原爆投下も国際法違反の戦争犯罪であり、裁かれなくてはならない。
 今回オバマ広島訪問に際し、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は謝罪を求めなかった。被爆者が高齢化する中で、核廃絶が進まないことへの焦りがある。事務局長の田中熙巳さんは、「被爆者は苦しみと向き合いながら、核廃絶を求めてきた。オバマ大統領が核廃絶の道をつくることが、被爆者にとっての謝罪になる」と話した。多くの被爆者の本音は謝罪を求めるものである。一方、岸田外相、広島・長崎市長は謝罪を求めなかった。オバマが謝罪したとすれば、日本も中国・韓国などかつて侵略したアジア諸国に、謝罪することが求められる。それは避けたいことから、謝罪を求めなかったのである。
 オバマ広島訪問に際し、在韓被爆者も広島を訪れ、韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花を行った。そこで記者会見を開き「日本の被害だけが強調され、植民地の抑圧と被爆という二重の犠牲となった韓国人被爆者の存在は、無関心に放置されている」と訴えた。オバマの式典を終え「大統領が韓国人原爆犠牲者の問題についてはじめて言及してくれたのはありがたい。だが核兵器をどのようになくすのか、具体的な内容がなかった」と指弾した。オバマが韓国人原爆犠牲者慰霊碑を訪問することを求めたが、実現しなかった。
 広島で被爆した在日のイ・ジョングンさんは「今日の大統領の訪問式典に韓国被爆者は一人も入れなかった。今朝、あまりにも悔しいので広島市長に電話して、韓国の被爆者が来ているのに、なぜ入れてくれないのかと抗議した」と語った。
 安倍も「核兵器のない世界」を唱えたが、八月六日平和記念式典で同じ文言の演説をくり返したり、「非核三原則の堅持」を省略したり、その姿勢は核廃絶とは正反対である。集団的自衛権行使「合憲」化の閣議決定を行い、戦争法成立を強行、四月一日と四月二十六日には、核兵器・化学兵器・生物兵器の保有と使用は憲法で禁止されていないという政府答弁書を閣議決定した。被爆者の願いとはかけ離れた政策を行っている。
 オバマ広島訪問を公表した五月十日、安倍は「日本は唯一の戦争被爆国として、二度とあの悲惨な体験を世界のどの場所でも繰り返してはならない」と述べたが、一方、同日にジュネーブで開かれていた核軍縮の進展を目指す国連作業部会の第二回会合で、日本代表の佐野利男軍縮大使は「核兵器禁止条約」を締結することに反対した。これが安倍政権の見解である。
 就任早々プラハ演説を行ったオバマだが、冷戦後の歴代政権で核兵器の削減数が一番少ない。新型核実験を繰り返している。「対テロ」戦争を拡大している。オバマと安倍が人民をだまし続けることを許してはならない。
 オバマは広島訪問の前に岩国基地を訪問した。基地周辺には厳戒態勢がしかれた。岩国市長や海兵隊員と自衛隊員を前に、スピーチを行った。海兵隊の活動を激励し、岩国市民の友誼を称えた。海兵隊の侵略軍隊としての本質を隠し、地震などの災害救援での活躍を称える空虚な内容だった。元海兵隊員による暴行殺害事件を受け、五月二十六日沖縄「県」議会で、「在沖米海兵隊の撤退、日米地位協定の抜本改定」が決議された。「オール沖縄」の沖縄解放のたたかい、米軍再編・基地強化に反対したたかう岩国市民と連帯し、オバマの広島訪問を許さずたたかおう。核開発のための原発再稼動・建設・輸出を阻止し、核廃絶をたたかいとろう!

 ●3章 三里塚闘争50年集会に結集しよう

 成田空港会社(NAA)による、農地法を「根拠」にした市東さんの農地を強奪しようとする裁判(農地法裁判)が、現在最高裁段階に入っている。
 一方、市東さんの農地をめぐるもう一つの裁判(耕作権裁判)は現在、千葉地裁で争われている。空港会社が市東さんの農地の一部を「不法耕作」と決めつけて起こした裁判である。
 NAAは、暫定滑走路の「への字」に曲がった誘導路を直線化するという口実で、市東さんの農地を奪う裁判を起こした。市東孝雄さんは父・東市さんの遺志をつぎ、天神峰に戻り農業を継承した。土地収用法による事業認定は執行しているので「もう土地を取られることはない」と農業に希望を持っていた。NAAは小作人の市東さんに無断で、旧地主から農地を買収し、「不法耕作だから出て行け」と言いがかりを付け、裁判を起こした。「不法耕作だ」と言われることが、いかに屈辱的なことであるか。買収されたことを市東さんが知ったのは、旧地主からNAAが土地を買収してから十五年後の二〇〇三年で、それまで毎年末に旧地主に地代を払い続けていた。NAAは「空港予定地だから知事の許可がいらない」と言うが、市東さんが耕作を続け農地のままで維持していることから、明白に知事の許可がいるケースである。「農地法三条に違反し、買収は無効である」と弁護団は法廷で明らかにした。
 裁判で市東さんは、旧地主とNAAとの買収交渉記録などの開示を求め、開示命令が確定した。しかしNAAは隠し通そうとしている。七月十一日、この開示命令が出ている「耕作権裁判」の弁論が開かれる。千葉地裁が証拠隠しに加担しないよう、反対同盟は集会・デモ行進をたたかう。
 取り上げ対象の畑は、祖父の代に開拓に入り、百年近くにわたって耕し続けられている。およそ三十年、有機無農薬栽培を行い、安全・安心な野菜を育て、消費者との信頼関係を作っている。有機の土は長い年月をかけて作られるもので、代替地に移ってできるものではない。「農地は命」、畑を奪われることは農民・市東さんの死を意味する。市東さんは生活・営農を通して農地死守をたたかいぬいている。
 これとは別に、第三誘導路の差し止めを求める裁判が、五月十七日地裁で開かれた。新しい裁判長に対し国・NAAは、「空港のある場所へ市東さんが引っ越してきたので、騒音解消の要求はできない。空港敷地内は、騒防法・騒特法の対象外。市東さんには原告適格なし」との主張を行った。しかし真実は農村に空港が突然押し付けられたのであり、このような暴論を許してはならない。
 農地法裁判は昨年六月、高裁で農地取り上げの不当判決が出された。反対同盟は「最高裁による農地の強制収用を許さない」緊急五万人署名運動を開始した。五月十八日、最高裁に第二次署名提出行動(計一万八千四百五十八筆)を行った。最高裁の判断はいつでも出せる状態である。農地取り上げ反対の署名を、全国規模でさらに推進しよう。
 ウソと買収で誘致したオリンピックをテコに、右肩上がりの成長を夢想するブルジョアジーは、成田空港の際限のない拡大を狙っている。政府・空港会社は「二〇三〇年には空港の容量が足りなくなる」と根拠のない需要予測を掲げ、二十四時間空港化と暫定滑走路の千メートル北伸、第三滑走路建設を力で押し通そうとしている。住民無視、農地破壊、環境破壊を五十年一貫して続けている。芝山では利権集団が第三滑走路誘致運動を行い、廃村化をさらに進めようとしている。許してはならない。
 反対同盟は、月刊のニュースを発行し、毎月一斉行動を行なって地元での宣伝をあらためて強化してきた。市東さんの農地取り上げ阻止、第三滑走路反対への共感が広がっている。
 七月三日すみだ産業会館ホールにおいて、闘争五十年の記念集会が開かれる。反対同盟は反戦の砦として、軍事空港反対を掲げ、ベトナム反戦をはじめ帝国主義の侵略戦争反対をたたかいぬいてきた。農地死守・実力闘争の三里塚闘争の原点に返ったたたかいを全体のものとして再確認しよう。緊急の課題である市東さんの農地死守のたたかいをはじめ、辺野古の不屈の座り込み、福島の反原発運動からの報告を受ける。各地で粘り強く行われている運動に学び、ともにたたかい、国策反対・安倍打倒をすすめる集会である。いま戦争法廃止、TPP阻止、川内原発の停止、原発再稼働阻止、共謀罪反対など、数々の課題に共同のたたかいが求められている。
 全力でここに結集し、ともにたたかおう。



 

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