共産主義者同盟(統一委員会)


1486号(2016年7月20日) 政治主張






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 全国のたたかう労働者人民、青年・学生のみなさん!
 日帝―安倍政権は、失政にほかならない「アベノミクスの加速」を呼号しつつ、参議院選を経て、侵略戦争と憲法改悪に向けた攻撃にいよいよ本格的に踏み出していこうとしている。
 他方、国際情勢は、イギリス国民投票でのEU離脱派の勝利に示されるように、激動を続けており、それは日本の政治・経済にもさまざまな影響を与えていかざるをえない。
 この状況のなかで、われわれは新自由主義と侵略戦争がもたらしている貧困と格差、生活と生命の犠牲の強要に抗してたたかうアジア―世界の人民と連帯し、反戦―反基地、反核―反原発、反新自由主義のたたかいを現場からおし広げ、戦争・改憲攻撃と生活破壊をおし進める安倍政権と対決するたたかいのさらなる前進をかちとっていかねばならない。

  ●第1章 英国国民投票でEU離脱

 六月二十三日に投開票が行われたイギリスの国民投票において、欧州連合(EU)からの離脱を求める投票数(51・9%)が残留票(48・1%)を上回って勝利したことは、欧州のみならず全世界に大きな衝撃を与えた。日本、欧州、米国など世界各地の株式市場で株価はのきなみ急落し、先行きの不透明感から英ポンドやユーロは売られ続けた。イギリス首相キャメロンは自らが率いた残留派の敗北の責任をとって翌日には辞任を表明した。金融市場の混乱とその実体経済への波及が続くことを恐れるG7諸国の財務相と中央銀行総裁は、慌てて「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えうることを再認識する」、「通貨や金融の安定に向けた責任を果たすため、あらゆる必要な措置を取る」という緊急声明を発した。
 イギリスの世論を二分したこの国民投票の結果、そして、イギリスのEUからの離脱決定がその根本において意味するものは何か。それは、EUというかたちで推進されてきた新自由主義的地域統合・経済統合の破産である。
 二〇〇八年のリーマン・ショックを契機とした米国発の世界金融・経済恐慌の勃発は、帝国主義諸国と巨大独占資本・多国籍企業が推進してきた新自由主義グローバリゼーションの破産を意味するものであった。しかしながら、帝国主義諸国は膨大な財政出動をもって破綻の淵にあった大銀行・大企業を救済しつつ、その後は緊縮政策によって労働者人民に危機の犠牲をおしつけ、あくまで新自由主義政策を推進することで現代資本主義の延命を図ろうとしてきた。
 帝国主義が新自由主義グローバリゼーションとして進めてきたことは、巨大独占資本が国境を越えて自由に活動する条件をつくり出すことであった。EUによる地域統合と欧州単一市場の形成も、この流れの中にあった。しかしそれは貧困と格差を国際的な規模で拡大した。欧州においてそれはEU加盟国間の格差の拡大、一国の内部での貧困と格差の拡大を結果し、各地で階級対立を激化させてきた。イギリスの国民投票をめぐって、その根底においてEU離脱派の勝利をもたらしたものは、そのような拡大する貧困と格差に対する労働者の拒絶であり、新自由主義グローバリゼーションはここで再度その破産を宣告されたということは確かである。
 同時に、今回のイギリスの国民投票の結果において、移住労働者やシリアなどからの難民に対してこれを抑制し、貧困の原因を移民・難民の流入に求める排外主義的な言説と運動が大きな影響力をもったことは事実であり、それは極めて深刻な問題である。それはまた、イギリスのみならず欧州全体の問題である。フランスの国民戦線、ドイツの「ドイツのための選択肢」、オーストリアの自由党など移民排斥を掲げる欧州各国の極右政党は、おしなべてイギリスでの国民投票の結果を歓迎し、それを自らの主張の正当性を証明するものとして利用しようとしている。今後、イギリスのEU離脱の影響がさらに欧州全域に波及していく中で、排外主義的な主張と運動がより拡大していく可能性は大きい。
 こうした状況のなか、このかん欧州各国ではEU懐疑派、EU離脱派が政治的な力をもって台頭してきている。しかしその反EUの動きは、先に述べたような右翼的で排外主義的な主張だけではない。イタリアでは、六月に実施されたローマとトリノ市長選で、反ユーロと直接民主主義を掲げる「五つ星」運動が現レンツィ政権与党の候補を破って勝利した。また、スペインの「ポデモス」など、EUを「巨大な官僚機構」として批判し、労働者階級人民の側から緊縮財政反対を主張する左派勢力も登場してきている。
 イギリスによるEU離脱決定の影響が、欧州においてどれほどの深さをもって展開されていくのか、またそれが世界にどのような影響を与えていくのかは現在の時点では確実に予測することはできない。しかし、いずれにせよ、EU統合をはじめとする新自由主義グローバリゼーションの破産のなかで、これに対する抵抗と反動が政治的な力をもって成長してきているということである。そして、この新しい流れは、現代帝国主義の世界支配を揺るがしていくことになるだろう。
 このような時代にあって、われわれは、排外主義に屈することなく、労働者人民の利害に立った反帝闘争を拡大・強化していかなくてはならない。そしてまた、事態の推移を注意深く見守りながら、新自由主義がもたらす貧困と格差の拡大に反対し、労働者人民の国際的な連帯をめざす欧州労働者人民のたたかいに連帯していかなくてはならない。

  ●第2章 戦争と改憲を許さず、安倍政権を打倒しよう

 イギリスの国民投票におけるEU離脱派の勝利は、日本経済にもすでに大きな影響を与えている。一時は一ドル九十九円の値をつけるなど急激に進行した円高によって、海外市場での商品販売に大きく依存する自動車など輸出関連企業は多額の為替差損を発生させ、大きな打撃を受けている。株価も大幅に下落した。為替も第二次安倍政権発足直後の二〇一三年前半の水準に戻ってしまった。同時にそれは、「異次元の金融緩和」によって円安・株高を誘導し、それによる「期待感」で景気回復を牽引しようとしてきたアベノミクスの破たんをも意味している。
 しかしながら、参議院選においても安倍―自民党は「アベノミクスの加速」を主張してきた。いわく、「アベノミクスのエンジンを最大限にふかすことで、デフレからの脱出速度を更に上げていきます。この道しかありません」と。
 安倍―自民党は、その参議院選の公約パンフレットにおいて、第二次安倍政権の三年半の実績として、「国民総所得の三十六兆円増加」「就業者数の百十万人増加」「有効求人倍率の増大」「今世紀最高水準の賃上げの実現」「過去最高の企業収益」などをあげ、「経済の好循環をさらに加速させる」などとしてきた。しかし、彼らは非正規雇用労働者がさらに拡大してきたこと、実質賃金は低下し続けていること、年金や生活保護費など社会保障は削減され続けてきたことなどは決して語らないのである。
 「デフレ脱却」などまったくのデタラメであり、アベノミクスの下で「経済の好循環」など労働者人民にとってはありえず、労働者人民の生活苦はますます深まっている。安倍政権は法人税の減税などによって大企業を手厚く保護してきた。安倍政権は企業の業績が向上すれば、やがて労働者人民の生活も良くなるかのような幻想を振りまいてきた。しかし、「過去最高の企業収益」によっても、労働者人民の生活は一向に改善されていない。「国民総所得」が増加したといっても、それは一握りの富裕層がその資産をさらに増大させたということを意味しているにすぎない。アベノミクスがもたらしているものは、広がり続ける貧富の格差であり、大多数の労働者人民に対する貧困の強制である。
 安倍―自民党が大声で「アベノミクスの加速」を主張しているのは、それがすでに失敗した経済政策であることを隠すためである。安倍政権は消費税の十パーセントへの税率引き上げを二〇一九年十月以降に再延期することを決定したが、そもそもアベノミクスがうまくいっているとするならば、安倍政権にとっては消費税増税を先送りする理由などないのである。アベノミクスはあらゆる意味で破綻しており、ただただ労働者人民に災厄をもたらすものでしかない。
 安倍―自民党が破綻したアベノミクスの「加速」を声高に叫んできたもうひとつの理由は、それによって安倍自身が進めようとしている戦争策動と改憲を押し隠すためである。
 国会を取り囲む巨万の労働者人民の反対の声を押し切って昨年九月に強行された戦争法の制定は、アジアを中心に膨大な海外権益を保持する巨大独占資本の要求を背景に、敗戦帝国主義としての制約を突破し、侵略戦争を担える帝国主義に日本を飛躍させようとする安倍の強い意志を示すものであった。かつて自ら述べたように、安倍が二〇一八年九月までの自身の自民党総裁任期中に改憲を実現したいと願っていることははっきりしている。選挙期間中はそのトーンを落としていただけだ。参院選を経た今、安倍政権による憲法改悪攻撃はいよいよ本格化してくる。日本の労働者人民は、昨年の戦争法案反対闘争を引き継ぎ、そしてかつての日本帝国主義の侵略戦争・植民地支配に抗しきれず、それに動員され加担していった敗北の歴史的階級的総括にかけて、安倍政権による改憲攻撃を絶対に阻止するたたかいへと全力で立ち上がっていかねばならない。
 人民の意志と怒りをいま一度はっきりと安倍―自公政権に対置していくことが必要だ。戦争と改憲に対するたたかい、沖縄をはじめとする米軍基地撤去闘争、原発再稼働阻止闘争、労働法制改悪阻止闘争、そして生活破壊に対するあらゆる局面でのたたかいを断固として発展させていこう。現場でのたたたかいとその拡大のなかで、安倍政権打倒の反政府闘争をさらに強化していこう。

  ●第3章 反基地闘争、反核―反原発闘争を進めよう

 全国のたたかう労働者人民、青年・学生は、戦争・改憲と生活破壊をおし進める安倍政権と対決し、この夏、たたかいのさらなる前進をかちとろう。
 第一に、辺野古新基地建設阻止―全基地撤去へと向かう沖縄人民と固く連帯し、反基地闘争の前進をかちとっていくことである。
 圧倒的多数の沖縄人民が翁長知事を支持し、「オール沖縄」を支持している。このことは、六万五千人が結集した6・19県民大会によってあらためて鮮明に示された。
 元海兵隊員で嘉手納基地所属の米軍属による女性強姦殺害死体遺棄事件に対する沖縄人民の悲しみと憤怒は、いま、沖縄反基地闘争を新たな段階へと押しあげている。それは、辺野古新基地建設阻止にとどまらず、海兵隊の撤退、さらには米軍基地の全面撤去を要求する政治的たたかいとして燃え上っている。嘉手納基地ゲート前では毎月の抗議集会が開始されている。高江におけるたたかいも強化されている。
 沖縄人民の怒りはまた、日米地位協定の抜本改定の要求として広がっている。しかし、日米両政府は、米軍属を四種類に分類し、日米地位協定の適用範囲を限定するという小手先の「運用改善」によって、事態を乗り切ろうとしている。沖縄人民、また全国の基地周辺の切実な願いに背を向けるまったくのまやかしの対応だ。「綱紀粛正」の期間中にも沖縄では米軍人・軍属による飲酒運転が相次いだ。米軍基地があるかぎり、米軍人・軍属による犯罪や事故はなくならない。
 辺野古新基地建設工事は、裁判上の「和解」によって現在は中止されているが、安倍政権はその再開の機会を虎視眈々と狙っている。それを絶対に許してはならない。安倍政権が日米同盟の要として位置づけて沖縄差別軍事支配を強める中にあって、沖縄反基地闘争の前進をもって日米軍事同盟と戦争・改憲攻撃を突き崩していこうではないか。七月三十一日には、東京で「辺野古基地建設断念を求める全国交流集会」が開催される。これを成功させると共に、全国での沖縄連帯行動を創意工夫をもって広げていこう。また、岩国、京丹後、神奈川、横田など全国の反基地運動の前進をかちとろう。
 第二に、伊方原発再稼働阻止闘争に立ち上がり、安倍政権による原発再稼働策動を許さず、原発廃炉に向けてたたかいをさらにおし進めていくことである。
 安倍政権と電力独占資本は、熊本大地震に直面しても川内原発を停止しようとはしなかった。そしていま伊方原発の再稼働に踏み出そうとしている。伊方原発は、川内原発と共に、熊本大地震で動いた中央構造線上にある。緊急時の避難対策もずさんなものだ。
 七月二十六日に予定される伊方原発三号機の再稼働策動に対して、地元の住民団体が呼びかける実行委員会は七月二十四日、伊方現地で「みんなで止めよう伊方原発7・24全国集会」を開催する。翌日からは原発ゲート前での連続行動が取り組まれる。全国から伊方現地に結集し、再稼働阻止闘争を共にたたかおう。
 原子力規制委員会は六月二十日、運転開始から四十年以上が経過する高浜原発一、二号機について、最長二十年の運転延長を認可した。同じく四十年越えの老朽原発である美浜原発三号機についても規制委は新規制基準による主要検査を終了したと発表している。これは福島事故の後に導入された原発の運転期間を「原則四十年」までとするという自ら定めた規制を無内容にし、全国の老朽原発の運転延長に道を開こうとするものだ。原子力規制委員会が原発推進機関であることがあらためて鮮明になった。この決定を怒りを込めて弾劾し、原発再稼働阻止、全原発の停止―廃炉に向けてたたかいのさらなる前進をかちとろう。
 第三に、8・6広島闘争の成功をかちとっていくことである。今年の8・6広島闘争は、さる五月二十七日の米大統領オバマの広島訪問に対する回答として、また、昨年九月の安倍政権による戦争法の制定に対する労働者人民の回答として、きわめて重要な意味をもっている。
 被爆地広島に来たオバマは、謝罪もせず、原爆を投下した米国政府の道義的責任についても言及することはなかった。それどころか、オバマ大統領は広島を訪れる前に岩国基地に立ち寄り、米兵と自衛官に「日米同盟の強化」をアピールさえしたのだ。
 被爆者問題を終わったことにし、二〇一五ガイドラインと戦争法によって新たな段階へと高め上げられた日米軍事同盟の下で侵略戦争出動態勢を強化する日米両政府を許してはならない。被爆者、被爆二世・三世の解放闘争と連帯し、今年の8・6広島闘争の成功をかちとろう。
 たたかう労働者人民、青年・学生のみなさん! 今夏、反戦―反基地、反核―反原発のたたかいのさらなる前進を共にかちとっていこう。安倍政権の打倒に向けた共同のたたかいを全国各地で発展させよう。労働者人民、青年・学生は共産主義者同盟(統一委員会)と共にたたかおう。



 

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