共産主義者同盟(統一委員会)


1487号(2016年8月5日) 政治主張






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  緊急事態条項粉砕! 安倍独裁をうち破れ!

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 七月十日投開票の参院選で、安倍与党の自民党・公明党が改選議席の過半数を占め勝利した。その結果、改憲に必要な参議院議員三分の二以上が改憲勢力で占められた。しかし、その実態は前回の衆議院議員選挙と同じ手法であり、労働者人民の意思とはかけ離れた結果となった。
 参院選直後に、安倍右翼反動政権の反人民性と労働者人民の怒りは鮮明になった。
 参院選の翌日早朝から強行した高江ヘリパッド建設、四月の熊本・大分地震の影響を無視して強行しようとしている伊方原発の再稼働こそ、安倍右翼反動政権の本性だ。今夏闘争をたたかいぬき、安倍政権打倒へと進撃していこう。

  ●第1章 改憲攻撃を許すな!

  ▼1章―1節 選挙結果


 七月十日投開票の第二十四回参議院選挙は、安倍与党―自民・公明が改選議席の過半数を獲得する結果となった。
 非改選の議席と合わせると、直後に一名が無所属から自民党に入党したことで、参議院の自民党は単独で過半数となった。そして改憲四党=自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党が百六十一議席を占める結果となった。無所属の改憲支持の四名を加えて、参議院二百四十二議席のうち改憲勢力が百六十五議席を占め、改憲に必要な三分の二に達したのである。
 一方、改憲反対の勢力としては民進党が四十七から三十二と大幅に減らし、日共が三から六に増え、社民党と生活の党がそれぞれ一減らした。しかし、今回の特徴として三十二ある一人区で、野党共闘が十一勝をあげたということがある。

  ▼1章―2節 争点ずらしと経済失策のごまかし

 安倍右翼反動政権があたかも支持され圧勝したかのように、喧伝されている。
 原発、改憲、貧困・格差などまったく取り上げず、経済対策を強調して、「アベノミクス以外にない」「野党は対案を示していない」などと経済的な利益誘導に終始した結果である。過去四番目の低さとなった投票率こそ、自・公に対する批判である。
 公約で自民党は、第二次安倍政権の三年半の実績として、「国民総所得の三十六兆円の増加」「就業者数の百十万人増加」「有効求人倍率の増大」「今世紀最高水準の賃上げの実現」「過去最高の企業収益」などとあげつらったが、非正規雇用労働者が拡大したこと、実質賃金が低下したこと、年金や生活保護費などの社会保障が削減されたことにはまったく触れなかったのである。
 一方で安倍は、「リーマン・ショックまたは東日本大震災級の災厄でも起きない限り、予定通り引き上げる」とまで公言していた消費税率の引き上げを、五月の伊勢志摩サミット首脳宣言に「危機」という言葉を強引に入れることで、またもや棚上げしたのだ。消費税率の引き上げができないことこそが安倍政権の経済失策の結果であるのだが、世界経済のせいにすることで、安倍政権への反発を回避したのだ。
 安倍政権は、消費増税延期を口実にして、年金や医療などの社会保障の充実を棚上げにしようとしている。社会保障費の財源不足が続くことになるほか、所得の低い高齢者や障害者に対する年額六万円の福祉的給付や、基礎年金の受給資格が得られる期間を二十五年から十年に短縮する実施が遅れ、保育士や介護職員の処遇改善に必要な財源もままならなくなっているのだ。しかし、このことの根本的原因は、安倍政権が法人税率を引き下げるなど、独占資本と富裕層に対して徹底して減税してきたことにある。

  ▼1章―3節 安倍独裁に対する人民の怒り

 しかし、安倍政権打倒で結束した野党共闘によって、一人区の中でも反TPP(環太平洋連携協定)の東北、反原発の福島、反基地の沖縄など国策に翻弄される地域ではことごとく与党が敗北したのである。その中でも沖縄と福島は現職閣僚が落選した。また、同日行われた鹿児島知事選では、川内原発の停止を掲げた三反園氏が、再稼働を進めてきた伊藤を破って当選した。
 とくに沖縄選挙区では十万票以上の大差をつけ、現職閣僚である島尻安伊子・沖縄担当相を落選させた。島尻は前回の参院選で普天間基地の「県外移設」を公約にして初当選したが、自民党の圧力に早々と屈して、むしろ安倍政権の辺野古推進の尖兵としての役割を果たしてきた。沖縄知事選に近い得票差ではあるが、知事選の時は自主投票であった公明党が今回は島尻の推薦を決定し選挙運動をしていたこと、自民党支持層に人気がある小泉を二回も応援させたにもかかわらず、島尻が大敗したことで、沖縄人民の揺るぎない怒りがはっきりと示された。
 公示前には、元米海兵隊・軍属による沖縄女性への性暴力・殺害に対する「県民大会」に六万五千名が結集して深い悲しみと煮えたぎる怒りをあらわにし、海兵隊撤退を打ち出していた。まさにそれは、米軍だけでなく、日米地位協定の改定すらおこなわず辺野古推進を一顧だにしない、安倍政権への怒りの表出でもあったのだ。
 福島においても「震災復興の加速」を訴え安倍晋三首相ら自民党幹部の応援を受けるなど、自民党が総力戦を展開したにもかかわらず、現職閣僚が落ちた。東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城も含む三県すべてで自民党は敗れた。アベノミクスの効果が見られず、震災復興への不安と批判がはっきり表れる結果となった。
 東北全体としても農協政治連盟(農政連)など農協系団体が福島を除く五県で自主投票となり、TPPの大筋合意に対する与党への反発や警戒感が鮮明となった。秋田以外はすべて自民党候補が負けたのである。
 なお、山口では野党共闘で出馬した纐纈氏が岩国基地の強化を容認している安倍の子飼いである江藤を徹底批判して十八万票以上獲得したが、惜敗した。

  ●第2章 安倍右翼反動政権を打倒しよう

  ▼2章―1節 安倍政権と対峙する、陣形構築を


 参院選後の今、戦争法廃止・改憲阻止、沖縄反基地闘争、反核―反原発闘争で人民の怒りをもう一度はっきりとさせ、安倍―自公政権に対置していくことが重要だ。
 国会前をはじめ全国各地の戦争法廃止・憲法改悪阻止のたたかいは、これからが本格的な攻防となる。戦争法と憲法改悪の反人民性を徹底的に暴露し、全人民を組織していくことが、重要となってきている。
 沖縄反基地闘争は今や、沖縄人民の尊厳と未来をかけた自己決定権を行使するたたかいへと飛躍してきている。ますます安倍政権との対決を強める沖縄解放闘争を推進するために重要なことは、まずもって沖縄人民のたたかいを推進し団結を堅持していくことだ。そして同時に「本土」労働者人民がそれに結合したたたかいを推進していけるかが問われている。沖縄差別軍事支配を打ち破る怒りを組織することだ。それは沖縄反基地闘争への決起と各地・各場所での連帯行動であり、各地での反基地闘争の前進である。それらを「本土」各地で政府機関に対して巻き起こすことが問われている。
 反原発闘争においては、原発再稼働阻止の現地闘争を推進することで、原発立地住民を先頭に全国の反原発勢力が結合・連帯し、全原発廃炉へと突き進むことである。とりわけ東日本大震災で原発被害を受けている福島の住民、原発労働者の苦闘と結びつき、原子力規制委員会、電力会社を追い詰めていくことだ。これらのたたかいをさらに発展させていこう。

  ▼2章―2節 泥沼の金融緩和・財政支出
  「二十一世紀型のインフラ整備」


 参院選において「アベノミクスの加速」を主張してきた安倍は、七月十二日、「未来への投資」をキーワードにして、十兆円超規模の経済対策を月内をめどに取りまとめることを指示した。対策の柱は、一億総活躍プランの加速、二十一世紀型のインフラ整備、イギリスのEU離脱に伴うリスクへの備え、震災復興の加速などである。財源は公共事業に限定した建設国債の発行を検討するという。すなわち、財政出動による公共事業中心の対策で効果を上げるというものである。
 すでに「この先も成長戦略が不発のまま金融、財政の政策を続けてもすぐに効果は剥げ落ちる」とエコノミストからも指摘されている。これまでの「アベノミクス」と同じように見せかけだけにすぎないのだ。決して、労働者人民の貧困と格差の拡大を解決することにはならない。アベノミクスそのものが失政であるということだ。「デフレ脱却」など全くデタラメである。労働者人民の生活苦はさらに深まっている。アベノミクスの失敗を隠すために、「継続」「加速」を主張し、泥沼のように金融緩和、財政出動を拡大しようとしているだけだ。

  ●第3章 反戦―反核―反基地のたたかいを進めよう

 参院選で明らかとなった安倍右翼反動政権の反人民性、反革命性を今夏、反戦―反核―反基地闘争をたたかいぬくことで、労働者階級人民の中にはっきりさせていこう。
 第一には、8・6広島集会の成功をかちとることだ。
 政府は今、カナダのディオン外相に被爆地・長崎への訪問を打診しているという。オバマ広島訪問で演出された日米両政府の欺まん的和解による被爆者問題の終結策動である。昨年末の日韓両政府による元日本軍「慰安婦」制度問題の欺まん的決着に続き、日米両帝国主義が新たな侵略反革命戦争へと突き進むための新たな攻撃だ。自らの戦争責任・戦後責任を清算しようとするものだ。徹底弾劾し、ヒバクの過小評価を許さず、在外被爆者をはじめ被爆者、被爆二世・三世への完全補償をかちとっていこう。被爆者、被爆二世・三世の立ち上がりで、反核・被爆者解放運動を推進していこう。その内実をもって反原発・再稼働阻止をたたかいぬこう。
 七月末にも再稼働をさせようとしていた伊方原発三号機は、原子炉の冷却水を循環させるポンプから洗浄用の水が漏れ出ているのが見つかり、再稼働のために動かしていたポンプを緊急に停止した。再稼働は八月以降になるという。四月に発生したばかりの熊本・大分地震の分析―伊方原発への影響の再評価すらおこなわずに再稼働を強行するというのだ(九州電力は川内原発を熊本・大分地震の中で稼働し続けた)。七月二十四日の全国集会の成功をうけ、再稼働阻止の現地闘争をたたかいぬこう。
 第二には、辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド工事阻止をたたかいぬくことだ。
 二十一日には高江ヘリパッド工事で予定地の一つであるN1の入り口での座り込みに対し、数百名に上る全国から動員された機動隊員が襲いかかり暴力的に排除して工事に着手した。また同日、辺野古新基地建設においても、翁長知事の埋立承認取り消し処分に対する国の是正指示を不服として提訴せずに国と協議することを求める沖縄「県」を相手取って、政府は不作為の違法確認訴訟をおこした。「和解」合意で中止されていた陸上部分の工事も再開しようとしているのだ。もはや沖縄人民のたたかいを潰すために、安倍政権はなりふり構わぬ強権的攻撃に打って出てきた。
 高江では地元住民をはじめ沖縄内外からかけつけた人々が、連日連夜、体を張った座り込みを続けている。辺野古においても座り込みの継続と裁判闘争への結集をかちとっている。ますます、沖縄人民のたたかいに断固結合した全国での総決起が求められているのだ。東京で開催した7・31辺野古新基地建設断念を求める全国交流集会の成功を踏まえ、さらにたたかいを拡大していこう。
 そして第三には、アジア共同行動が国際共同行動として呼びかける八月二十一日の岩国国際DAYを全国各地でかちとることである。
 八月二十一日は、米軍住宅建設に反対する岩国住民が座り込みを開始した日である。愛宕山見守りの集いに連帯するこの行動は、アジア諸国・地域での国際共同行動として取り組まれ三年目を迎える。
 来年二〇一七年には岩国基地の拡張工事が完成されようとしており、米軍住宅建設工事を許さないたたかいも正念場を迎える。沖縄―「本土」、アジアの反基地闘争と結合し、二〇一六岩国行動の成功をかちとろう。
 本格的に改憲へと突き進もうとする安倍右翼反動政権と総対決する橋頭堡を築いていこう。



 

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