共産主義者同盟(統一委員会)


1493号(2016年11月20日) 政治主張






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  労働者階級人民の力で、反戦反基地運動の前進を

  2016岩国行動を成功させよう

  市東さんの農地強奪阻止!

  高江・辺野古に基地をつくるな

  




 すべてのたたかう仲間のみなさん! 安倍政権は高江ヘリパッド建設・辺野古新基地建設を機動隊のすさまじい暴力をもって強行し、海外派兵と憲法改悪へと突き進んでいる。そして、TPPの批准を今臨時国会で強行しようとしている。このような安倍政権を打倒するためにたたかい、十二月の2016岩国行動の大成功へと結実させていこう。

  ●1章 戦争法発動するな、南スーダン派兵阻止

 昨年九月に成立した戦争法にもとづく海外派兵がいよいよ開始される。安倍政権は、南スーダンPKOへの自衛隊派兵期間を来年三月末まで延長した。そして、十一月二十日から、陸上自衛隊東北方面隊第九師団(青森)を中心とした第十一次隊(約三百五十人)を南スーダンに派兵する。安倍政権は、この第十一次隊に戦争法にもとづく新任務、すなわち「駆け付け警護」と「宿営地共同防護」の任務を付与した。
 これに先立って南スーダンを訪問した稲田防衛相は、「現地は落ち着いている」などと述べたが、それはでたらめきわまりないものである。南スーダンでは、七月上旬に自衛隊が駐留する首都ジュバで、大統領派の政府軍と副大統領派の反政府勢力の間で大規模な戦闘が発生した。南スーダンはまさに内戦のただなかにある。
 南スーダンでは、自衛隊派兵の前提となる「停戦合意」など「PKO参加五原則」は崩壊しており、ただちに自衛隊を撤退させねばならない状況にある。しかし、安倍政権は南スーダンが内戦状態にあることを決して認めようとはしない。何としても自衛隊派兵を継続し、海外における最初の武力行使の実績をつくろうとしているのだ。自衛隊が海外での武力行使によって殺し、殺される新たな時代がいま始まろうとしている。
 軍事的緊張が高まる東アジアでは、戦争法の成立以降、アメリカ主導の多国間の合同軍事演習、日米韓軍事同盟の強化がすさまじい勢いで進行してきた。六月二十八日には、日米韓のイージス艦の参加によるミサイル防衛演習(パシフィック・ドラゴン2016)が初めて行われた。そして、韓国へのTHAADシステム(XバンドレーダーとTHAADミサイル)配備によって、東アジアにおいてグァム・日本(京都府京丹後と青森県車力)・韓国(星州)を結ぶミサイル防衛戦略、日米韓軍事同盟が推進されていこうとしている。これらは、いずれも日本による集団的自衛権行使を想定したものである。
 安倍政権は、このような戦争法発動・海外派兵を推進しつつ、いよいよ憲法改悪に向かおうとしている。衆議院憲法審査会が十一月十日、参議院憲法審査会が十一月十六日から、約一年半ぶりに審議を再開する。だがこれは単なる再開ではない。七月の参議院選挙において改憲勢力が衆参両院で改憲発議に必要な三分の二を超える議席を確保したことによって、憲法審査会の審議再開は改憲の発議に向かう最初のプロセスとなる。
 憲法審査会の審議を再開するにあたって、野党が要求した「自民党憲法改正草案」の撤回要求を自民党は拒否したうえで、改憲草案そのものは憲法審査会に提出しないとした。しかし、それはまったくのごまかしである。自民党改憲草案は、言わば改憲に関する自民党の政治路線を表現したものである。安倍は、テレビ東京の参議院選特番で、池上彰の質問に答えて次のように述べた。「憲法改正は、自民党の立党以来の悲願でした。憲法を改正すると、私はずっと申し上げてきている。選挙公約にもそう書いてあります。また、どの条文を変えていくかについては、すでに『自民党憲法改正草案』をお示ししているわけであります。どの部分かについては、『前文』からすべてを含めて変えていきたい」と。
 徹底して批判すべきは、この自民党改憲草案である。この改憲草案は、権力制限規範としての憲法の性格を変更し、立憲主義を否定するものである。すなわち、「国民(人民)主権」から「国家主権」へと転換させようとするものである。改憲草案には、そのもとで天皇の元首化、国防軍の創設、「公益、公の秩序」の強制、家族制度の強化、緊急事態条項の導入などすさまじい内容が盛り込まれている。
 戦争法発動・自衛隊の戦争出動を阻止するために全力でたたかい、憲法改悪を阻止しよう。改憲阻止闘争は、「憲法を守れ」と叫ぶだけでは決して勝利できない。戦争法発動・自衛隊の戦争出動と徹底してたたかうこと、そうすることによって労働者人民の反戦反基地闘争を強化し、改憲を阻止する広範な陣形を形成していかねばならないのだ。

  ●2章 高江暴力工事やめろ、辺野古に基地をつくるな

 このたたかいにとって、日米両軍の出撃拠点となる高江ヘリパッド建設・辺野古新基地建設をはじめとした基地の新設・強化を阻止することはまさに現在の攻防の最大の焦点である。
 官房長官・菅義偉は十月八日、高江の工事現場を上空から視察し、ヘリパッドの年内完成方針を沖縄防衛局と確認した。安倍政権にとって、ヘリパッドの完成による北部訓練場の一部返還は、「沖縄の基地負担の軽減」に努力しているかのように装いつつ、辺野古埋め立て工事着工の条件を形成するものである。ヘリパッドの完成が遅れれば、辺野古埋め立て工事の着工も遅れる。だからこそ、安倍政権は全国から機動隊を高江に動員し、すさまじい暴力をもって工事を強行してきたのだ。抵抗する労働者人民を暴力的に排除し、規制するだけではなく、国家権力は高江の大衆的実力闘争を牽引してきた山城博治さんを十月十七日「傷害」「公務執行妨害」などの容疑で不当逮捕し、なお拘束し続けている(十一月三日現在)。
 このような緊迫した事態のなかで、大阪府警から動員された機動隊員が工事に抗議する人々を「土人」「シナ人」と罵倒するという事態が発生した。
 「土人」とは、帝国主義によって侵略され、植民地支配された地域・国の人々に対して、差別意識・植民地意識にもとづいて使われてきた蔑称である。かつて、日本帝国主義は沖縄人民、アイヌ人民に対して「土人」という呼び方をしてきたことも歴史的事実である。
 「シナ人」とは、日本帝国主義によるアジア植民地支配と侵略戦争の過程で、中国人に対して差別意識・植民地意識にもとづいて使われてきた蔑称である。
 いずれの発言も、沖縄人民に対する差別意識・植民地意識にもとづく暴言であり、絶対に許すことができないものである。徹底して弾劾しなければならない。安倍政権は、これらをあくまでも「個人の失言」で済まそうとしている。しかし、重要なことは、このような差別暴言が生みだされる背景に、日本帝国主義による沖縄に対する差別軍事支配の歴史と現実があるということなのだ。まさに安倍政権による沖縄のたたかいに対する大弾圧、差別と暴力に貫かれた高江ヘリパッド建設・辺野古新基地建設の強行こそが、このような差別暴言を生みだしたのだ。全国から動員された機動隊は直ちに沖縄から撤退せよ。高江ヘリパッド建設工事を中止せよ。
 他方で安倍政権は、辺野古埋め立て着工を急いでいる。福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は九月十六日、仲井真前知事による名護市辺野古海域の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の処分を取り消すように求めた国の「是正の指示」に知事が従わないのは違法とする判決を下した。すなわち辺野古埋め立て着工を容認する不当な判決であった。判決は、「三権分立をないがしろにするもの」(翁長知事)であり、普天間基地の危険性の除去には辺野古埋め立てしかないなどと国の主張をそのままなぞったものだった。
 翁長知事は、最高裁に上告した。われわれは、最高裁が不当な高裁判決を破棄することを要求する。国は、最高裁判決で勝てば一気に埋め立て着工へ向かうであろう。
 翁長知事には埋め立て承認の撤回、工事計画の変更の不承認など、いくつもの知事権限による抵抗の手段が残されている。
 しかし、たたかいの主戦場は辺野古陸上部分の工事、辺野古埋め立て工事に対する海上・陸上での大衆的実力闘争である。
 全国から辺野古に結集し、大衆的実力闘争をもって辺野古埋め立て着工を阻止する準備を急がねばならない。そして、全国・各地において高江ヘリパッド建設阻止・辺野古新基地建設阻止の巨万の人民のたたかいをつくりだすために奮闘していこう。

  ●3章 12月岩国行動へ! 安倍政権の反動攻勢を打ち破れ

 自民党内では安倍の総裁任期を延長し、安倍政権のもとで戦争法発動・自衛隊の戦争出動を行い、憲法改悪を成しとげようとする動きが強まっている。しかし、そのような安倍政権の長期政権化は、安倍政権のもとで進行してきた社会の貧富の二極分解、戦争と抑圧の安倍政権に対する反抗のうねりがますます拡大していくことを意味する。
 その基底にあるのはアベノミクスの破綻である。参議院選挙において安倍政権は、アベノミクスへの幻想を基盤として圧勝することができた。しかし、それはもう限界である。
 黒田日銀総裁は、「異次元の金融緩和」を掲げて国債の購入をすすめ、市場に巨額の金を流入させたが、日銀の保有する国債はすでに発行額の三分の一に達している。また、前例のないマイナス金利政策にまで踏み込んだ。しかし、そこまでしても「デフレ脱却」のスローガンにもかかわらず、物価上昇率はマイナスに落ち込んだままである。九月の金融政策検討会議では、日銀黒田は量的金融緩和によって自分の任期中に2%のインフレ目標が達成できないことを認め、金融政策の敗北宣言を余儀なくされた。
 アベノミクスによって、労働者人民は貧困と格差の拡大にさらされ、生活は困窮している。その一方で多国籍企業・大企業は巨万の内部留保を確保したのだ。
 安倍自公政権の基礎はもはや盤石ではない。参議院選挙の一人区、とりわけ沖縄・福島・北信越など、基地や原発やTPPによる矛盾が集中する選挙区では軒並み野党統一候補が勝利した。また、同時に開票された鹿児島県知事選挙では、川内原発の一時停止を公約に掲げた三反園訓(みたぞのさとし)候補が勝利した。そして、十月二十三日の新潟県知事選挙では、柏崎刈羽原発の再稼働に反対する米山隆一候補が予測をくつがえして勝利した。
 自公政権と対抗するために、参議院選挙において開始された「野党と市民の共闘」が進み、最も広範な選挙協力を次期衆議院選挙に向けて準備が始まっている。
 しかし、すでに述べてきたように、民進党を含む選挙協力には大きな制約がある。多くの地方では、原発再稼働阻止、辺野古新基地建設阻止を掲げられない。全国・各地で形成されてきた総がかり行動の構造は、このような衆議院選挙にむけた制約のある野党共闘に従属させてはならない。安倍政権打倒、現社会の根本的な変革にむけて発展させていくべきだろう。
 この安倍政権打倒のたたかいを先進的に牽引していかねばならない。十二月十日(土)・十一日(日)に開催される2016岩国行動には、全国・各地の反基地運動の代表、反戦反基地運動をたたかう労働運動、東アジアからの米軍総撤収をめざす各国・地域の代表などが参加する。岩国は、まさに「本土」における反基地闘争の最大の焦点である。「沖縄の基地負担の軽減」を口実にして、岩国基地はすさまじい勢いで強化されてきた。来年はじめには、F35ステルス戦闘機十六機が新たに配備されようとしている。そして、いよいよ厚木基地の米空母艦載機五十九機の岩国移転が強行されようとしている。岩国基地の強化はここにとどまるものではない。いずれ、米原子力空母の配備すらもくろまれていくであろう。これに対して岩国市民は十一月二十日(日)、「もう我慢できない際限のない基地強化! F35B配備反対市民集会」を開催し、来年にむけてたたかいを開始している。2016岩国行動は、このような岩国市民のたたかいとしっかりと結合し、岩国基地大強化反対、東アジアからの米軍の総撤収を掲げた集会として開催される。それはまた、沖縄・岩国・京丹後・神奈川・横田などの反基地運動の結合を促進していくものでもある。全国から岩国へ! 岩国行動の大成功をかちとろう。



 

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