共産主義者同盟(統一委員会)


1494号(2016年12月5日) 政治主張






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  沖縄反基地闘争破壊の弾圧弾劾

  17けんり春闘をたたかおう
  



 
 「2016岩国行動」が十二月十日・十一日に山口県岩国市内において取り組まれる。十年目を迎える岩国行動は地元・岩国で粘り強く基地の拡張・強化と対峙する人たちと結びつき、全国の労働者、労働組合の反戦反基地闘争の一大課題として、沖縄や韓国、フィリピン、アメリカなどの反基地運動との連帯も強めながら発展してきた。安倍政権が「戦争する国」づくりを強行し、岩国基地の大強化が来年二〇一七年に迫る。全国からの結集で「2016岩国行動」を成功させよう。

  ●第1章 朴槿恵退陣掲げ、百万人の集会・デモ

 韓国では崔順実(チェスンシル)容疑者の国政壟断(ろうだん)事態が朴槿恵(パククネ)政権の退陣を求める一大反政府運動になっている。十一月に入ってから数十万規模の集会・デモが行われ、民主労総の労働者大会や民衆総決起に合わせた十一月十二日には百万の人々の参加(朴元淳(パクウォンスン)ソウル市長のツイートによれば百三十二万人)が実現した。一九八七年の制度上の民主化以降最大規模の結集ないし「史上最大規模」の人々が参加しての反政権運動になっている。各界各層が参加し十一月下旬からも毎週末には大集会を開催する予定が明らかにされており、民主労総は朴槿恵大統領が十一月中に退陣しない場合はゼネストを行うと予告している。
 労働者大会から民衆総決起の一連の行動に日本からも多くの人々が参加をした。参加者たちは朴槿恵政権によるむきだしの新自由主義政策、アメリカや日本との軍事的関係を強化して南北関係を緊張させてきたことなど日本の安倍政権との共通点を感じ、日韓階級闘争の連動性を確認したにちがいない。
 いまや日本と韓国の民衆の間には歴史問題や「領土」問題、国の分断(朝鮮戦争の継続)の問題などをのぞいて、直面する問題と解決すべき課題の共通性が数多くある。戦前(日帝時代)~戦後(解放後)のこの百年以上の間、日本と韓国(朝鮮半島)の政治情勢と民衆のたたかいは切っても切り離せないものとなってきた。大言壮語するイデオロギーとしての「日韓連帯」ではなく、現実の要請として日本と韓国の労働者民衆の運動を日常的に結合させ、職場や地域などから取り組みを進めていこう。

  ●第2章 安倍政権と対決する17けんり春闘を

 17けんり春闘に向けた準備が始まっている。安倍首相は今年も財界に賃上げを要請する形で春闘に介入し「官製春闘」を演出しようとしている。労働組合は資本家のいう「経済成長」のために春闘をたたかうわけではない。政府・資本がアベノミクスのおこぼれを一部労働者に分配するために演出される「官製春闘」は、たたかう「当たり前の春闘」に対する解体攻撃にほかならない。わたしたちは、安倍政権による貧困・格差の拡大を許さず、ストライキ権を確立し、労働者総体の賃上げ・生活改善のために各地・各職場で17けんり春闘に取り組む。
 第一に最賃闘争を強化・拡大していくことだ。
 十月に全国で最低賃金が引き上げられた。東京都で九百三十二円、神奈川県で九百三十円となったが、九百円を上回る都道府県は相変わらずこの一都一県だけだ。埼玉、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫など大都市を抱える府県などは八百円台だが、沖縄、東北、北陸、四国などは七百円台前半のままだ。依然として飢餓賃金から抜け出すためには程遠い賃金水準だ。
 最賃割れで労働者を働かせる使用者は論外であるが、最賃ギリギリとか少し上回っている賃金を保障すればそれが「優良」であるわけでは決してない。ナショナルセンターの枠を超えて各地で最賃キャンペーンが展開されてきたが、そのスローガンは「最低時給千五百円 いますぐどこでも千円」だった。非正規職が増加し増税が行われるなかで、この要求水準は高いものではない。日々の糧を得るための賃金は労働者にとって生活のかかった死活問題だ。全国一律最賃や産業別最賃など、様々な形態があるにしても最低賃金の大幅な引き上げはまったなしの課題だ。今後も最賃審議会などへのはたらきかけをふくめて最賃闘争を進めていこう。
 第二に時間外労働規制だ。
 昨年末に大手広告代理店・電通の新卒女性労働者が飛び降り自殺をした。この事件について、東京の三田労基署は九月末に労災認定を出した。月百時間(!)を超える「時間外労働による過労うつ」が原因の過労自殺であると認めたのだ。電通では過去にも過労自殺や過労死が起き、長時間労働が原因であるとして労災認定がされている。これらは氷山の一角だ。
 十月に厚労省が発表した「過労死白書」(一四年に施行された過労死防止法に基づいて作成された世界初の報告書)でさえも、月八十時間以上の時間外労働を強いている企業は全体の二割以上にのぼると報告している。
 しかし、実態はさらに深刻なものであると多くの労働者が感じているのではないだろうか。過労死・過労自殺の原因は、表面的な労働時間の「長さ」だけではなく、業務の量や質、上司によるハラスメントなど職場内の人間関係も大きい。また、長時間の過酷な労働に「やりがい」「おもしろさ」を感じてしまう労働者の意識の問題も見過ごせないものとなっている。低賃金で労働者としての権利も満足に保障しないで「やりがい搾取」をほしいままにする使用者が悪いのは前提として、個々のケースをみていけば自ら進んで「残業地獄」にのめり込んでいく労働者も少なくはない。
 それは多くの業種にみられることで、何十年も前から問題にされてきたことではあるが、新自由主義の自助努力、自己責任、「勝ち組/負け組」、能力主義、評価賃金といった思想や制度がとりわけ若い労働者に浸透させられている。わたしたちは「賃労働と資本」の関係を明確にして、組織化と宣伝を真剣に取り組んでいかなければならないだろう。
 政府―厚労省は「高度プロフェッショナル制度」を創設する労働基準法の改悪を企んでいる。一定以上の年収のある労働者を定額で働かせ放題にするというものだ。「残業代ゼロ法」とも呼ばれるものだ。財界はこの四半世紀の間、裁量労働制の拡大やホワイトカラーエグゼンプションなどと銘打って、労働時間の規制緩和を虎視眈々と狙ってきた。そして、制度を先取りするかのようにイデオロギー教育がいたるところで行われ、企業の政策としても人事評価制度などが確立してきた。
 今、必要なことは長時間労働や「やりがい搾取」を野放しにすることではない。厳格な労働時間規制とインターバル規制(勤務と勤務の間の休息時間。EUは十一時間)の強化だ。十九世紀末のメーデーで掲げられた「八時間働き、八時間寝て、八時間は自分のために」という理念はますます今日的なものとなっている。
 第三に非正規労働者の権利確立をめざした運動だ。
 四割を超える非正規労働者は、多くの場合、正社員との格差や差別待遇、低賃金、不安定な身分、無権利状態のなかにいる。非正規労働者の待遇を改善するためにはまず最賃の引き上げが重要だ。そして、困難を乗り越えて労働組合が組織し、また非正規労働者自身が労働組合を結成していくことだ。
 たとえば有期雇用から無期雇用=正社員への転換をかちとること、あるいは有期雇用であっても待遇面における正社員との格差・差別を許さず、法律が定める水準とそれ以上の待遇を自らたたかい取ることを労働運動が方針化して乗り出さなくてはならない。すでに、七〇年代や八〇年代から臨時労働者やパート労働者が労働組合に結集し活動して成果をあげてきた実績はある。
 安倍政権は「一億総活躍社会」の号令のもと、女性、外国人、障害者、高齢者といったこれまで労働市場から排除してきた階層の人々を労働市場に投げ込み、最賃並みの待遇で働かせ「人手不足」を補おうとしている。今後、これらの層の労働者を組織化するための働きかけが大切な課題となってくる。
 第四に労働法制の大改悪に反対していくことである。
 安倍首相は「日本を世界一企業が活動しやすい国にする」、「岩盤規制をドリルで打ち破る」と公言し、アベノミクス第三の矢「成長戦略」の具体的政策として労働法制の改悪を進めている。労働者を保護してきた法制度やルールを「岩盤規制」と言って一気に掘り崩そうとしているのだ。
 昨年の通常国会では「一生涯派遣」を可能とする労働者派遣法の改悪が強行された。また前述した労働時間の規制緩和を推進するための労働基準法改悪、不当解雇でも一定の金額を支払えば合法となる解雇の金銭解決制度の導入などが矢継ぎ早に進められようとしている。労働法制改悪にむけた攻防が来年の通常国会で課題となることが予想される。
 安倍政権は「働き方改革」を提唱している。八月一日、経済同友会は『新産業革命による労働市場へのパラダイムシフトへの対応―「肉体労働」「知的労働」から「価値労働」へ―』という報告書を発表し、翌二日には厚労省の懇談会(金丸恭文座長)が「働き方の未来2035」と二〇三五年の働き方についてまとめた報告書を出した。
 これらに共通している特徴は、「自律」した労働者が企業と対等に契約を結び、働く者の流動化が進む未来をめざすとして、働く者を「個人」としアライアンス(業務請負個人事業主)と位置付けていることだ。そして、このような「未来」にあっては戦後憲法が保障してきた労働者保護のルールを定めた法制度は古くなるというのだ。さらに、労使関係も労働組合もこれまでと変わらなくてはならないと挑発的に主張している。
 一九九五年に当時の日経連は『新時代の日本型経営』を発表した。この二十年間、IT技術の発展もあり、産業構造が大きく変わり、わたしたちの職場と生活の場は変容してきた。これからの二十年はどうだろうか。AI(人口知能)の発展によって、一般事務、サービス業、介護、タクシー運転手などの働き方が変わるともいわれる。技術革新による大合理化と労働条件の切り下げも予想される。少なくとも資本家や政府の「二十年後の展望」は先の報告書のような内容だ。
 これら敵の攻撃の本質を見据えて、労働組合が十年、二十年後を展望した組織化とたたかいを今から始めていこう。

  ●第3章 アベノミクスの破綻と労働者階級人民の闘い

 労働者民衆の困窮は、安倍政権が進めてきたアベノミクスの下で急激に深化した。日銀―黒田総裁は、金融緩和を劇的に進めて「二年で2%インフレ」を実現すると豪語した「異次元緩和」の失敗を認め、金融政策の転換を余儀なくされている。「アベ政治」は貧困・格差の拡大、戦争策動、労働法制の改悪、福祉切り捨て、原発再稼働、沖縄の新基地建設などを進めるとんでもない悪政だ。
 冷戦後に全世界を席巻してきた金融資本主義のグローバリゼーションが行き詰まりをみせている。実体経済とかけ離れて資本の増殖を自己目的化してきた金融資本の運動(大資本がもっともうけよう! とにかくもうけよう! 命より金儲け!)がどんづまりに陥っているのだ。それでも、この経済システムにしがみつきたい階級(財界など)とその政治的代弁・代行勢力は、この仕組みを延命させるためにズブズブの金融緩和、借金をふくらませての財政出動、さらなる規制緩和といった政策で自らの危機を乗り切ろうとしている。これがアベノミクスだ。
 とりわけ、第三の矢である成長戦略・規制緩和は、市場の飽和化、生産調整とリストラ、労働者の権利・雇用ルールの破壊、公的福祉や社会保障の切り捨てを進めていく。欧米の帝国主義国家群(あるいはG20諸国)をふくめて、似たような情況にある。世界資本主義はすでに矛盾の爆発の臨界点にあり、なにかのきっかけで〇八年リーマンショック以上の大収縮と恐慌が現実のものとなる可能性すらある。その時、わたしたち民衆はどうするのか? アメリカのサンダース現象とトランプの当選、フランスの労働者大闘争、イギリス労働党内左派の台頭やEU離脱など、様々な動揺と新たなたたかいが始まっている。
 二十世紀、資本主義の危機はファシズムを台頭させ、世界戦争の導火線となった。わたしたちは再びみたび血の海に沈められてしまうのか。それとも、対抗社会・対抗文化を鍛え上げて、巨大独占資本による人民支配に代わる新たな生産関係・人間関係をつくり、ブルジョア国家権力の打倒と新しい社会建設を展望する強大で強力な社会運動を準備することができるのか。厳しく問われているといわなくてはならない。

  ●第4章 派兵阻止、反基地、三里塚、岩国行動に決起しよう

 今秋後半ならびに年末期の闘争方針と課題を提起する。
 十二月南スーダンPKO派兵―内戦への武力介入を阻止しよう。十一月十八日、稲田防衛相は「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」の任務を付与する命令を自衛隊に出した。二十日から順次派遣される交代部隊は十二月十二日以降、これらの活動が可能となる。これは昨年成立した戦争法の発動である。日本政府は自衛隊の交戦と隊員の戦死を望んでいるかのようだ。PKO五原則は破綻している。内戦が激化する南スーダンから自衛隊は即時に撤退しなくてはならない。
 日米巨大資本のむき出しの利益追求のために、民衆の生活を破壊し日本社会を根底から変えてしまいかねないTPP批准を許してはならない。十二年末解散総選挙での自民党の公約は「TPP絶対反対」だった。強行採決をめぐる山本農水相の発言も許しがたい。
 高江ヘリパッドの暴力工事・夜間突貫工事が激化している。安倍首相は「年内完成」を明言している。ノグチゲラの営巣期で工事ができなくなる二月までに完成をさせようとしている。全国から警察機動隊が高江を侵して工事が進められている。現場攻防のリーダーをはじめ最先頭でたたかってきた人たちが不当に逮捕・勾留されている。起訴攻撃もかけられ、令状を使ってのでっち上げ事後弾圧も相次いで起きている。まさに弾圧がエスカレートしている。全国から闘争を支援しよう。
 十月二十五日、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は、天神峰の市東孝雄さんの農地法裁判の上告を棄却した。成田空港会社が農地強奪の強制執行に踏み込もうとしている。反対同盟と共に農地死守―実力闘争に断固立ち上がろう。
 十二月十日、十一日に山口県岩国市内で行われる「2016岩国行動」が目前に迫っている。全国各地で取り組む課題を持ち寄り現地行動に結集しよう。反戦反基地、海外派兵阻止、改憲阻止―安倍政権打倒をたたかいぬこう。岩国行動は海外の活動家も参加して行われる。米軍の展開、資本の展開に国境はない。民衆運動も国際連帯が求められる。
 第一章でも述べたように、韓国で一大反政権闘争が高揚している。ある韓国の活動家は「ここまでくるのに十年かかった。もっといえば八十年代からの民主化闘争の経験がある」、「韓国は定期的に大闘争が起きる。そのたびに活動家が世代として産み出される」と言っていた。この前には〇八年のBSE問題に端を発したろうそくデモがあり、その前には〇二年の駐韓米軍による女子中学生れき殺事件に抗議する大闘争があった。
 韓国には「激しい運動」があって日本にはない、だから「韓国がうらやましい」とか「韓国の運動から元気をもらう」という話ではない。韓国には、日本以上の反共主義、立身出世主義と権利主張へのシニシズム、弾圧の過酷さ、家父長制、福祉制度の脆弱さがある。そうした困難のなかで、あの民主化闘争を継承し、創意工夫をこらしながら、地を這うように組織化を展開する人たちの努力があの闘争を切り拓いたのだ。韓国の運動からたくさんのことを学ぼう。
 わたしたちも日本において、長い時間がかかっても、様々な犠牲を払っても、ひとつひとつ取り組みを積み重ねていこう。一切の日和見主義や運動の成果を選挙に流し込むことを自己目的化する議会主義潮流と明確に分岐し、安倍政権を打倒する民衆闘争を準備していこう。アジア―世界の仲間たちと共に、危機を深める現代資本主義=新自由主義と対決し、平和で公正なアジア―世界を展望しよう。


 

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