共産主義者同盟(統一委員会)


1508号(2017年7月20日) 政治主張






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 今こそ安倍政権打倒!





 全国のたたかう労働者、学生・青年の皆さん。
 七月二日投開票の東京都議会選挙では、自民党が改選前議席の半数割れ(五十七議席→二十三議席)という歴史的大敗を喫した。しかし、代わりに躍進した「都民ファーストの会」の小池百合子もまた日本会議に支持された極右であること、同じく都政与党を構成する公明党は国政では安倍政権の一部を構成することなどを考えると、都議選の結果総体は私たちにとって楽観を許す要素はない。
 しかし、安倍自民党の大敗というこの結果は多くの人民がこの間の安倍の強権政治や「お友達」への利益誘導、開き直りを支持できないという意志を示しているといえるだろう。この安倍政権のほころびに対して、各戦線でさらに攻勢を強めていこう。

 ●第1章 戦争・弾圧・改憲に突き進む安倍政権を打倒しよう

 加計疑獄では次々に新たな事実が発覚している。加計学園問題では民進党によって暴露された文科省の内部文書について再調査が実施された。六月十五日の発表によれば、文科省は十九文書のうち、十五文書の存在を認め、松野文科相が謝罪した。その内容は、加計学園の獣医学部認可を「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」という形で誘導するまさに行政への安倍による政治介入を示すものであった。
 一方で内閣府は再調査を口頭のみでとどめ、文科省の調査結果を根拠もろくに示さないままに否定している。そして地方創生大臣・山本幸三に至っては、自らの部下である内閣府職員(文科省より出向、今回の文書の発信元)を文科省のスパイ呼ばわりするなど常軌を逸している。
 上記の事態にもかかわらず、安倍は国会閉幕後の六月十九日、記者会見で「印象操作」「政策と関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれた」などと野党に責任を押しつけて開き直ったのだ。
 しかし、翌二十日には、萩生田官房副長官が文科省職員に圧力をかけていたこと、内部文書に具体的な訂正まで入れていたことが明らかになっている。その後も開き直りを続けた安倍政権だが、都議選での歴史的惨敗の結果を受け、ついに加計学園問題の国会閉会中審査の開催と、疑惑発覚の発端となった前川前文科省事務次官の参考人招致を受け入れざるをえなかった。ただし、何とも情けないことに安倍晋三本人はG20参加を口実に国外逃亡の構えである。
 人民の怒りを買い、安倍政権を揺るがす二つ(森友、加計)の疑獄事件であるが、その本質はなんであろうか。
 安倍は「お友達」への利益誘導ではなく、規制緩和であると強弁している。
 「公正」な規制緩和ならばよいのか? 断じて違う。「公正」であろうがなかろうが、新自由主義が進める規制緩和とは生き残りをかけたブルジョアジーによる階級攻勢に他ならない。小泉構造改革からアベノミクスまでもはや四半世紀にもわたってプロレタリアートをはじめとした人民への貧困化攻撃が加えられてきた。われわれは、この規制緩和攻撃そのものを断じて認めることはできない。
 その上で、二つの疑獄事件こそ、アベノミクスの階級的本質を如実に表している。「規制緩和」の看板の裏で、行政権力を私物化し、権力者―安倍に結びついた者どもだけが利権を確保していく腐敗しきった構造をつくり出していたのだ。これこそが、新自由主義政策の階級的な本質である。今や年収二百万円ほどで暮らさざるを得ない労働者たちにとって、あるいは卒業と同時に何百万という債務を負わされる学生・青年にとって、あるいは低福祉・高負担の介護地獄に呻吟する高齢者にとって、安倍の「お友達」なら公金(そう、私たちが苦しい生活の中から出したお金だ!)から八億だの百億だのといった想像もつかない額がもらえるという事実に、そして都合が悪くなればこれを開き直る態度に人民は怒りを掻き立てられている。この労働者階級人民の怒りを腐りきった末路の資本主義を打倒するたたかいに組織していこう。

 ▼腐敗しきった安倍政権

 五月二十九日より参議院で審議入りしていた共謀罪法案は、衆議院に続き野党の質問内容をはぐらかすような答弁が続いた。六月二日には金田法相による戦前の治安維持法は適法だったという「本音」丸出しの答弁も飛び出した。法務委員会審議の後半には上記の加計疑惑の追及が強まり、委員会審議が採決にたどり着けず、法案通過を目指す立場からは国会延長が不可避と考えられていた。
 ところが、与党は六月十四日、委員会採決抜きの中間報告―本会議というだまし討ちの議会運営を行った。野党の内閣不信任案を否決し、牛歩戦術を取った福島みずほ議員ら七人の権利を否定してまで投票を締め切り、六月十五日朝、採決を強行した。
 この委員会採決を飛ばして、中間報告、本会議採決という手法はどのような場合に認められているであろうか。国会法第五十六条の三第一項によれば、各議院は委員会の審査中の案件について特に必要があるときには中間報告を求めることができるとされている。今回の審議で「特に必要があるとき」があったであろうか。答えは前述したとおりである。強行採決のまさにこの日に、加計疑惑の再調査結果が発表されたのだ。確かに安倍晋三にとっては「特に必要があるとき」ではあった。しかし、われわれ労働者階級人民の必要では全くなかった。
 もともと共謀罪は政府・財界に抵抗する諸運動を抑圧するための弾圧法規であるから、どれほど正常に採決されようと、あるいは全会一致となろうと人民の立場から見れば正当性などあろうはずもない。安倍晋三はこの共謀罪に自らの疑惑隠しという、本質的に狡猾で、小心な新たな階級的犯罪を重ねたのである。
 しかし、このような安倍政権の暴挙は、人民の怒りを掻き立て、本質への接近を容易にしてくれる標識を括り付けてくれた。われわれはこの標識も足がかりにしつつ、全人民に共謀罪の本質を繰り返し暴露していく。七月十一日に迫った共謀罪施行下でもこの法律が容易には使えないようにたたかいを創り上げ、共謀罪を廃止に追い込もう。
 森友疑獄、加計疑獄や都議選敗北を受けても安倍は反人民施策を停止しているわけではない。安倍は七月四日の毎日新聞のインタビューで、秋の臨時国会への改憲案の提出を改めて表明した。
 辺野古新基地建設、高江オスプレイパット建設、自衛隊先島配備なども、彼らの言葉を借りるなら「粛々と」進められているのだ。加計疑獄では、疑惑隠しとさらなるブルジョアジーへの奉仕を企図して、新たな規制緩和が主張されている。労働法制改悪も介護保険改悪も待ったなしだ。安倍政権の打倒なくして人民の解放なしだ。

 ●第2章 改憲阻止の闘いをつくりだそう

 安倍晋三は五月三日、日本会議などが主導する改憲集会にビデオメッセージで出演した。その中で安倍は現行憲法九条に第三項を加え、自衛隊を「合憲化」すると語った。この「九条改憲」方針の下、自民党「憲法改正推進本部」は六月二十二日、全体会議を開いて改憲原案作成に向けた論議を開始した。
「現憲法九条の一項二項を維持して、三項で自衛隊を『合憲化』する」などという 安倍のペテン的主張では、条文そのものが矛盾したものになる。もとより、戦争放棄(第九条第一項)、戦力不保持(第九条第二項)をうたった日本国憲法と客観的には常備軍以外の何物でもない自衛隊は両立できない。
 この矛盾を自民党はもちろん野党やマスコミに至るまで、「国民が受け入れてきた」とうそぶくが、問題は受け入れるかどうかではないのである。日本国憲法はそのうたわれた理想主義と反して、その施行から旧植民地出身者と沖縄・奄美・小笠原を排除したことに始まり、一貫して保守勢力によってその理想を踏みにじられ続けてきた。ある意味その最たる矛盾が自衛隊である。自衛隊の戦力と任務は戦後一貫して拡大されてきた。戦争法体制下で今や自衛隊は他国との共同作戦行動/共同軍事演習を強行している。
 今年三月からの米韓合同軍事演習フォールイーグル/キーリゾルブとそれに伴う朝鮮半島の戦争危機では、自衛隊もこれと事実上一体化する形でアメリカとの共同軍事演習を行った。あからさまに朝鮮民主主義人民共和国への軍事挑発への参加である。これは明らかに九条一項の禁ずる武力による威嚇ではないか! 今回の自衛隊合憲化が通れば、今でも死にかけの第一項と第二項は完全に死文化してしまうだろう。
 安倍―自民党の改憲草案策定そのものを絶対に許してはならない。秋の臨時国会上程と言わず、この夏のたたかいによって早急に葬り去ろう。

 ▼天皇代替わり・オリンピック攻撃と闘おう

 もう一つ大きな日本国憲法への攻撃がかけられている。天皇代替わり攻撃だ。天皇アキヒトはこれまでも災害被災地訪問や前大戦の激戦地への「慰霊」の旅といった形で天皇制イデオロギーの強化に努めてきた。それはヒロヒトの君臨する天皇から、アキヒトの「国民に寄り添う」天皇へのイメージ転換である。大変残念なことに、多くの人民の目を曇らせ、階級対立の現実から目をそらせることに成功している。
 二〇一六年八月八日、その彼がよりにもよってそのイデオロギー攻撃の任務を十分に果たせなくなったとビデオメッセージを発し、皇太子ナルヒトへの譲位を主権者たる人民に要求した。いうまでもなく、このような天皇の行為は現憲法下で許されるものではない。先代ヒロヒトの沖縄メッセージ(沖縄をアメリカに譲り渡す内容。すでに日本国憲法施行下で、天皇の統治行為は否定されていたはずだった)以来の国政介入ではないだろうか。
 にもかかわらず、先述のイデオロギー攻撃もあって、六月九日共謀罪で与野党紛糾していたはずの国会で退位法は共産党を含む全会一致(山本太郎ら自由党の四名が棄権)で採択された。
 来年二〇一八年末を持ってアキヒトが退位し、二〇一九年にはナルヒトの即位が狙われている。この過程で天皇制・天皇制イデオロギーを強化が策動されている。
 さらに二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックと合わせ、天皇制・天皇制イデオロギー強化、改憲を一体とした攻撃が企図されている。この反動攻勢を粉砕していこう。

 ●第3章 反核・反戦・反基地を闘い抜こう

 被爆から七十二年目を迎える今夏、8・6広島青空式典の取り組みが原爆ドーム東側で開催される。今年は二月十七日に被爆二世集団訴訟が提訴された中での初めての式典となる。
 ブルジョアジーとその手先たちは、戦後一貫して原爆被害の過小評価を図ってきた。それは、日本帝国主義の核武装や、原子力発電の推進と表裏一体で進められてきた。その行き着いたところこそ3・11福島第一原発事故であり、多くの住民と労働者が被曝を強いられている。しかも、その反省もなく日帝政府とブルジョアジーどもは原発再稼働や原発輸出にまい進している。
 こうした政策がとられる中で被爆一世たちは、自ら団結し被爆者援護とその拡大を文字通りたたかいとってきた。また、このたたかいは被爆後に朝鮮半島に帰国した人々の援護からの排除という排外主義とのたたかいでもあった。今回の集団訴訟はこのような歴史の流れにもとづいている。
 そして、3・11の被曝者たち、地域社会を破壊された人たち、汚染地域への帰還を強制される人たち、避難先で補償を打ち切られる人たち、被曝労働を今後も強いられる人たちとつながっていくたたかいである。
 また、8・6広島青空式典は二〇一三年より日韓共同のたたかいとして進められており、今年は五回目となる。反核国際連帯でたたかおう。

 ▼2017年岩国基地再編完了攻撃を打ち破ろう

 岩国市長福田良彦は六月二十三日の市議会最終日に、米空母艦載機部隊の受け入れを表明した。配備予定の部隊は現在洋上にあって朝鮮民主主義人民共和国への挑発と訓練に従事しており、岩国への実際の配備は秋以降になる見込みである。愛宕山米軍住宅はほぼ完成しており、アメリカが新会計年度を迎える九月には家族の入居が開始されるだろう。いよいよ、岩国基地は嘉手納基地と並ぶ東アジア最大級の航空基地にされようとしている。岩国を舞台とする米軍再編とのたたかいはいよいよ正念場を迎えた。
 岩国の基地反対派市民はたたかいの旗を高く掲げている。愛宕山を守る会をはじめとする反基地市民団体は共同の取り組みとして五月二十一日の学習集会を成功に導いた。福田の艦載機受け入れ表明のためのアリバイ的地元説明会では基地強化反対派市民が圧倒した。秋から年末に向けての艦載機本格配備を迎え撃つ市民のたたかいが鋭意進められている。
 こうした地元のたたかいを全国で支えよう。今年こそ岩国市民のたたかいを支えることが最大の課題である。すでに六月アジア共同行動(AWC)においては韓国の仲間と地元反基地市民との交流がかちとられている。今後はたたかう労働組合を中心とした岩国労働者反戦交流集会実行委員会の立ち上げが準備されている。また、今年の八月二十一日岩国国際DAYは地元岩国への結集をAWCは準備している。継続的に愛宕山見守りの集いを支えていくことが重要である。
 沖縄の反基地闘争、アジア各国の反基地闘争と結び、岩国基地再編強化に反対するたたかいを全国で巻き起こそう。


 

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