共産主義者同盟(統一委員会)


1522号(2018年3月20日) 政治主張






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 安倍政権打倒・財務省解体!

 学生こそ変革の先頭に立とう

          
共産主義者同盟(学生班協議会)





 ●第1章 学生を貧困と戦争協力に追いやる安倍政権

 「先進諸国」のなかで、日本ほど高等教育が軽視されている国はない。「ミサイル防衛」と称して軍事予算が拡大する一方で、高等教育への予算配分は削減され続けている。その結果、国立大学の授業料は年間五三万円、初年度納付金は八二万円になった。これはあの全国学園闘争がピークだった一九六九年と比べると、授業料は実に四五倍、初年度納付金は五〇倍以上に達する。しかも今後、財務省はこれを私立大学の授業料(平均八六万円)にまで引き上げようとしているのだ!
 高い学費のせいで仕送りも減少した。首都圏の私大・短大生を対象にした調査では、仕送り額から家賃を除き、三〇日で割った「一日当たりの生活費」は、一九九〇年の二四六〇円から、二〇一四年には八九七円になった。これでは文字通り「食べていけない」。だから毎日バイトをせざるをえない。まともに勉強する時間がなくなる。学生の苦境に便乗して、違法バイトで酷使する企業が後を絶たない。全国二七大学の調査(二〇一四年)によれば、アルバイト経験者約二五〇〇人の七割弱が勤務時間を勝手に変えられたり、契約時と労働条件が違ったりと不当に扱われた経験がある。
 学生の「二・六人に一人」が奨学金返済の負担を背負わされている。これは二〇一五年の割合だが、その一〇年前は「三・九人に一人」だったから、一・五倍に増えたことになる。しかもその七割が有利子だから、これは奨学金ではなく「学生ローン」と言うべきだ。利息付きの「第二種奨学金」を借りた場合、月に二万~三万円を二〇年かけて返済することになるが、増加し続ける非正規労働、あるいは正社員でも低賃金労働では、ローンが重くのしかかり、極めて苦しい生活を強いられる。生活が行き詰まり、卒業生とその親族が自己破産するケースが激増している。
 学生ローンで破産するのは「自己責任」なのだろうか? 断じてそうではない! 教育より軍事を優先する財務省、非正規・低賃金で若者を搾取する大企業、そしてこの学生が置かれている状況が放置されている事態、ここに責任があるのだ。
 こうしたなかで安倍政権は「高等教育の無償化」を昨年の衆院選の公約に掲げた。そして昨年一二月、「人づくり革命」の原案を含む「新しい経済政策のパッケージ」を閣議決定した。ところがその内容は「無償化」とは程遠いものだ。国立大学の授業料無償化の対象は住民税非課税世帯(年収二五〇万円未満)に限定し、「給付型奨学金」も一定以上の成績を収めた学生にするという。さらに今年に入って、文科省が、一部無償化の対象にする教育機関は「企業などで実務経験のある教員の配置」「外部人材を理事に一定の割合で登用」「成績評価基準の策定・公表」「財務・経営情報の開示」の四点の要件を満たすことを条件に持ち出してきた。これは「学問の自由」の否定だ。資本家にとって役立つ大学(教育機関)を国家が選抜し、低所得世帯の進学希望者はそこに誘導されることになる。
 高い学費と学生ローン、国家と企業の大学への介入、そして防衛省や米軍の大学との共同軍事研究の進行。これらすべてに対して抗議の声を上げ、改めさせることができるのは学生自身の声であり、力だ。奪われた大学自治と学生の連帯を取り戻し、今すぐたたかいに立ち上がろう!

 ●第2章 徴兵制導入を見据えた憲法改悪を阻止しよう

 安倍政権は、九条改悪を核心とする改憲に向けて突き進んでいる。自民党憲法改正推進本部は三月七日、戦力不保持を規定した九条二項を維持した上で、「必要最小限度の実力組織である自衛隊の保持を妨げない」と明記する方向で党内一致をはかった。
 すでに各地で日米の軍事協力が常態化し、「敵基地攻撃」ミサイル導入や護衛艦の空母への改修が狙われている今、「必要最小限度」などの文言は何ら歯止めにはならない。自衛官の軍事規律の強化、軍事機密の横行、基地建設のための強制的な土地収用、軍事費の増大、軍法会議の新設が進行する。そしてこれらとならび、自衛隊への若者の徴兵、労働者の徴用が狙われるのだ。
 確かに安倍首相は「徴兵制の本質は(本人の)意思に反して強制的に兵士の義務を負う。明確に憲法違反だ(二〇一五年七月)」と述べている。徴兵は一八条「意に反する苦役」に違反するから導入できない、というものだ。だが、アメリカ連邦最高裁の判決がそうであるように、徴兵は「意に反する」「奴隷的拘束」には該当しない、と政府が“解釈改憲”する可能性はいくらでもある。
 陸上自衛隊が派兵されたイラク、南スーダンは、防衛省が隠蔽しようとしたが、実際には「戦場」そのものだった。安保法制の成立後、米軍と共に「対テロ」戦争などに投入され、海外で自衛隊が戦闘する可能性はさらに高まっている。自衛官とその家族は動揺し、現職の自衛官が安保出動拒否を争う訴訟を起こしている。一審の不当判決を東京高裁が差し戻す判決を出している。こうしてこの間、若年人口の減少とも相まって、自衛官志願者が急減した。二〇一六年度の入隊者は採用計画数を一割以上も割り込み、陸、海、空三自衛隊ともに募集目標を達成できなかった。任期制の「自衛官候補生」も二〇一三年度から一五年度の二年間で16%減少した。そのため防衛省は、身内の者や知人を自衛隊に勧誘する縁故募集を積極的におこない、全入隊者の15%が縁故採用になっている。
 ただ、自衛官の志願者が減っても、「自衛隊合憲」の改憲後ただちに自民党政権が徴兵制導入を狙うかどうかはわからない。貧困層の若者をターゲットとした「経済的徴兵制」を拡大させるかもしれない。実際、その検討は水面下で進んでいる。防衛省の「国防を担う優秀な人材を確保するための検討委員会」なるものの内部文書(二〇一三年)には、「学生時代からの入隊希望者の取り込み」を図るため、自衛隊入隊を条件に学費を免除するような内容が書かれてある。これは米軍の「予備役将校訓練課程」制度をそっくり模倣したものだ。
 いまヨーロッパで徴兵復活の動きが進んでいる。スウェーデンに続き、今年一月、フランスのマクロン大統領が二〇〇一年に廃止されていた徴兵制度を復活させると宣言した。一八歳から二一歳の男女(約六〇万人)が対象で、兵役は一カ月と短い。徴兵復活の狙いについてマクロンは「グローバル化が進展し、国土や周辺地域の防衛だけでは国益を守れない」と述べている。「テロの脅威」で危機意識を高め、徴兵を通じて「愛国心」を植え付け、青年を国家のもとに結束させる――。自民党のめざす国家像とまったく同じである。
 自民党政権は、自衛隊の明記という「受け入れやすい」部分から先に改憲して、次に「戦争の放棄」「戦力の不保持」の削除ないし変更をするという意図を隠していない。その過程で、「経済的徴兵」の拡大か「国民皆兵」か、いずれかを導入しようとするだろう。だからこそ、最初の改憲を絶対に阻止する必要があるのだ。改憲阻止の決戦に、学生こそが先頭に立とう。

 ●第3章 学生の未来をかけ、安倍自民党政権を打倒

 安倍政権は森友・加計問題で露わになった「国政私物化」の実態が次々に暴露され追い詰められている。しかし憲法九条改悪、辺野古新基地建設、自衛隊の宮古・与那国への配備など、「戦争のできる国」づくりを着々と進めている。
 朝鮮半島情勢は、朝鮮民主主義人民共和国と韓国の両首脳の会談実現から、米朝首脳会談へ向けて大きく動き出した。トランプ政権がどこまで本気で共和国との対話に乗り出すか予断を許さないが、ひとまず戦争の危機が回避されたかに見える。これまで「北朝鮮の脅威」を煽って戦争国家づくりを進めてきた安倍政権にはピンチな事態だが、平和を求める東アジアの民衆、自主的平和統一を求める南北の民衆にとっては、今がチャンスだ。私たちはこの動きを歓迎し、日米による「経済制裁」や米韓合同軍事演習の即時中止を要求しよう。
 沖縄では、二月名護市長選で基地反対の稲嶺さんが敗れたが、これは名護市民が基地に賛成したことを意味しない。市民の多数はいまも新基地絶対反対だ。しかし安倍政権は市長選での結果をもって「六月土砂埋め立て開始」を宣言し、連日、キャンプ・シュワブ工事用ゲートに一〇〇台を超える作業車を搬入している。これを各地から駆け付けた人々が不屈の思いで抗議し、座り込み、阻止闘争をたたかっている。海上では抗議船とカヌーチームが少しでも埋め立てを遅らせようと奮闘している。「基地のない平和な島」を求めてきた沖縄の人々に連帯し、一人でも多くの学生が現地にかけつけよう。
 三里塚では、天神峰の反対同盟・市東孝雄さんの土地を、空港会社が詐欺的な方法で奪い取ろうとしている。無農薬・有機農法で耕してきた大切な土地を奪うことは、市東さんの農民としての命を奪うことと同じだ。さらにいま空港会社は、深夜早朝に及ぶ飛行時間の延長や第3滑走路計画を強引に推し進めている。「国策」のもと、カネのばらまきと機動隊の暴力で空港建設を強行した歴史がいまも繰り返されている。三里塚の現場を見て、権力とたたかい勝利してきた反対同盟に学ぼう。四月一日全国集会に集まろう。
 またこの間、差別・排外主義勢力は、安倍政権の辺野古新基地建設や共和国敵視政策と軌を一にして、ヘイトスピーチ・ヘイトクライムを繰り広げてきた。しかし差別扇動デモができなくなり、沖縄に対するデマ番組が打ち切りとなるなか、その一部は、朝鮮総連に対する銃撃テロルや労働組合に対する襲撃に新たに乗り出している。この動きを警戒し、差別とたたかうすべての人々と連帯しよう。
 安倍政権とたたかう学生のみなさん! 若者を極限的に搾取し、戦争と排外主義に駆り立てる自民党政権を操っているのは、資本主義によって利益を受ける一握りの資本家階級だ。今こそ、革命家マルクス、エンゲルス、レーニンの思想と実践に学び、これを今日的に甦らせ、階級と戦争のない社会に向けてたたかおう!



 

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