共産主義者同盟(統一委員会)


1531号(2018年8月5日) 政治主張






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  辺野古土砂投入阻止

 沖縄県民大会に連帯し8・11全国で立ち上がろう

 三里塚―市東さんの農地を奪うな


 


 今、三里塚では、市東さんの農地決戦が正念場を迎えている。沖縄では、辺野古新基地建設の埋立て土砂投入が強行されようとしている。
 安倍右翼反動政権は戦争策動を推し進め、労働者人民への支配と搾取・収奪を強めている。わたしたちが新たな社会の展望を切り拓いていくためには、安倍政権を何としても打倒しなければならない。今夏、反帝国際主義の旗の下、自国帝国主義打倒に向け、さらなる闘いを推し進めていこう。

 ●1章 市東さんの農地を強制執行するな

 市東さんの農地法裁判は、二〇一六年一〇月二五日に最高裁で、農地、作業場、鶏小屋、育苗ハウスなどの不当な明け渡し判決がなされた。これに対して市東さんをはじめとする反対同盟は、強制執行そのものが違法であるとして千葉地裁に請求異議裁判を起こした。その後、一年半にわたり、強制執行を止め続けてきた。
 その請求異議裁判が最終段階に入っている。最高裁から送り込まれた高瀬順久裁判長は、早期結審を目論んできた。反対同盟、弁護団、支援者一体となって、攻勢的に裁判闘争を進め、七月一七日までの口頭弁論において、四人の証人尋問、二人の補佐人の陳述を勝ち取ってきた。
 六月二八日の裁判では萩原富夫さん証人尋問、市東孝雄さん本人尋問が行われた。萩原富夫さんは八八年から続けてきている化学肥料、除草剤などを一切使わない有機農業の産直運動である「三里塚産直の会」の歴史と重要性、東峰部落での殺人的な航空機の離発着、度重なる事故や成田空港会社の犯罪行為を明らかにした。その上で、「現にそこに人間が住んでいるのに、飛行機を飛ばすことで出て行くと思っている。ふざけるんじゃない。まず飛行機を止めろ!」と怒りをつきつけた。さらに、「空港公団は小作者である市東さんに無断で、底地を買収し、〇六年に千葉県知事に解約許可を申請した。こんなデタラメも成田だから許されるというのか。これは犯罪だ。裁判官は泥棒に味方するのか。上の意向ばかり気にするヒラメ裁判官として悪名を残したいのか。無理やり市東さんの農地を取り上げようとすれば怒りの火に油を注ぐだけだ。私は絶対に許しません」と裁判長に迫った。
 その後、市東さんは本人尋問で、自らの生い立ちをまず明らかにした。祖父・市太郎さんから父・東市さんそして市東さん本人と親子百年、天神峰で農業を続けてきていること。父・東市さんは二〇歳で徴兵され、中国東北部長春へ行き、四五年敗戦時は英国捕虜としてマンダレー収容所に入っており、四七年の帰国、復員によって農地解放の手続きが遅れ、本来所有地になるはずだった土地が残存小作地となったことを述べた。
 空港会社が明け渡しを求めている土地は、農地法裁判―請求異議裁判で七二八四平方メートル、耕作権裁判で五七二三平方メートル、合わせて一万三千平方メートル以上つまり耕作面積の約73%となり、産直運動のみならず農民として死活問題になるのだと語った。
 「国策で戦争に行かされ、再び国策で農地を取られることに強い怒りを持っていた親父は、小作権を絶対に売り渡すなと遺言しており、『同意書』『境界確認書』に署名・捺印するはずがありません。天の上で激怒していると思います」と述べた。
 「農業を始めて一番苦労したのは土作りです。表土をもっていけば別の場所でも同じ野菜が作れるというものではない。土壌は生き物です。有機農業、産直運動で一番肝心なのは、うそをつかないことです。露地栽培を基本とし、化学肥料・農薬は一切使わず、堆肥は鶏糞、豚糞などを発酵させてつくり、旬の野菜を届け、会員の健康に責任をもちます。これこそ自分の生きる道だと強く確信しています」と農民としての誇りを持った生き方を堂々と語った。
 そして、「国、NAAは私のことを『騒音を承知で帰ってきた』などと言いますが、B滑走路の延長滑走路ができたのは私が戻った後です。親が亡くなり、帰ってきて農業をやることのどこが悪いのか! NAAは自分で『強制手段をとらない』と公約しておいて、それを踏みにじって強制執行するのは誰が見たって違法ですよ。もし許可するなら裁判所の自殺行為です。裁判長は正義を貫いていただきたい」と高瀬裁判長に対して明確な主張を突きつけたのだ。
 この証言だけでも、どちらに正義があるのかははっきりとしている。空港会社は農地法で明確に禁止されている小作人の同意の無い売買契約を行い、かつ一五年間もこの事実を隠蔽していたのだ。不在地主を続けた上に、地主とともに小作料を詐取していたのだ。
 空港会社は、本来農民を守るべき農地法を悪用して、収用委員会に成り代わった裁判所と一体となって農地を強奪しようとしているのだ。こんなことを許せるわけがない。
 七月八日、反対同盟は市東さん宅―天神峰決戦本部において「第二回天神峰樫の木まつり」を開催した。反対同盟決戦本部長の太郎良さんは「みんなでスクラムを組んでこの場所を絶対に守ろう!」と強く訴えた。強制執行攻撃が差し迫る中で、市東さんの宅地・農地が、営農の場であり、農民が農民として集い生活する場であることを多くの仲間と共に再確認した。
 空港会社は現在、周辺自治体を含む四者協議会の決定を経て、第三滑走路建設、夜間・早朝飛行時間の拡大、B’滑走路千メートル延伸を狙っている。住民の意向を一切無視した飛行時間の拡大により、四時間半しか寝る時間を与えない殺人的なこの暴挙に、芝山、多古、横芝光、成田など周辺市町の住民は怒りをもって立ち上がり始めている。
 元反対同盟員である相川勝重芝山町長や石毛博道はこの計画を先頭を切って推進してきており、同じく反対同盟員であった石井新二は「空港と被害地域の真の共存共栄を目指す集い」で「共生協力金制度」を提唱し、住民を条件闘争に引きずり込み、反対運動を潰そうとしている。反対同盟がこの五二年間貫いてきた、「一切の話し合い拒否、空港廃港」「農地死守・実力闘争」の原則と市東さんの農地を守る闘いが、あらためて空港周辺住民運動の軸心になろうとしている。
 請求異議裁判は九月二七日に千葉地裁において最終弁論が行われる。高瀬順久裁判長は判決日の設定を同裁判にて行うことが予想される。市東さんの農地強奪を許さない闘いは今まさに正念場である。裁判闘争で裁判所を圧倒し、早期結審策動・不当判決を粉砕しよう。そして連続した闘いとして10・14三里塚現地全国集会に全国から総結集して農地強奪攻撃を実力で跳ね返そう。

 ●2章 安倍政権は「撤回」に従え

 安倍政権―沖縄防衛局は、辺野古側海域の土砂投入を八月一七日に着手すると沖縄「県」に通知している。辺野古、大浦湾は貴重な生物が数多く生息している生態系を有している。一つの区域でもその破壊を行えば、取り返しのつかない影響が出るのは必至だ。その破壊を強行することは絶対に許すことができない。
 一方では、この辺野古新基地建設予定地海域には辺野古断層と楚久断層とされる二本の断層が走っていることが分かっている。二〇〇〇年に旧防衛庁が提出した「海底断層図」において、大浦湾海底部の約五〇メートル沈下した場所を「断層と考えられる落ち込み」と記載しており、この間沖縄防衛局が大型掘削調査船「ポセイドン1」でこの区域において約一二〇箇所も音波探査を行っているのだ。
 さらに問題はこれだけではない。沖縄防衛局が二〇一四年、一五年に実施した海上ボーリング調査報告書によると辺野古崎C1護岸付近において大きく凹んだ谷形成が確認され、かつその地帯には砂質土、粘性土が堆積しており、超軟弱地盤であることが分かったのである。
 また米国が航空機の安全基準として設定している周辺高さ基準において、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の測量調査では、久辺小中学校や豊原地区会館など七ヵ所の公共施設のほか、高さ制限に抵触するとみられる民家やマンション七一戸が存在することが明らかになっている。
 日帝―沖縄防衛局に対して活断層・軟弱地盤の全データを公表させ、強行する違法工事を直ちに中止させよう。「埋立工事」―土砂搬入攻撃を、ゲート前の闘い、海上行動を貫いて実力で粉砕しよう。
 翁長知事は、土砂投入強行に対して、埋め立て承認撤回の手続きに入ったことを明らかにした。この「撤回」は埋め立て承認後に生じた事情を理由にその効力を失わせる手続きである。翁長知事は「全責任は自分にある。自分の決断でやっていく」として、工事強行を進める政府の態度に対して「到底容認できるものではない」と安倍政権と闘う方針を明確にした。
 安倍政権は裁判所にこの「撤回」の執行停止の申し立てを行うとともに、翁長知事を「職権乱用」で損害賠償請求するという恫喝をかけて知事の屈服を狙っている。わたしたちは闘う沖縄人民そして全国の仲間とともにこの日帝の攻撃を粉砕しなければならない。
 オール沖縄会議は八月一一日、土砂投入阻止の県民大会を開催し、八月六日から一〇日、つづく八月一六日から一八日を連続集中行動として、ゲート前への総結集を呼びかけている。また首都圏をはじめ、全国で県民大会に呼応した闘いが行われる。
 辺野古ゲート前の闘い、海上行動を全国から支援しよう。埋め立て土砂投入を阻止する全国的決起をつくり出そう。この大衆決起の力で、辺野古新基地建設を粉砕しよう。沖縄―「本土」を貫き、沖縄差別軍事支配打破、沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒・米帝放逐を闘おう。




 

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