共産主義者同盟(統一委員会)


1543号(2019年3月5日)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
  19春闘-八時間働けば暮らせる社会を!

 弾圧粉砕 改憲阻止 安倍打倒

 辺野古新基地断念せよ!沖縄の民意に従え

              
中央労働運動指導委員会





 毎月勤労統計調査不正糾弾! アベノミクスの成果偽造を許さず、徹底追及しよう。金持ちや大企業のための減税、侵略反革命のための軍事予算膨張、労働者人民への搾取構造を強める一九年当初予算を許すな。
 一九春闘勝利! 労働者の団結と創意工夫に富んだ闘いで「働かせ方改革」の職場への侵入を阻止し、労働者の主導権のもとに非正規労働者の待遇改善を勝ち取ろう。
 全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部への弾圧を許すな。闘う労働組合と市民の力で憲法二八条の労働三権を守り抜こう。
 国際連帯で東アジアに核なき平和を実現しよう。平和の敵―安倍政権を何としても打倒しよう。

 ●1章 毎月勤労統計調査不正、新たな疑惑

 毎月勤労統計調査の不正問題で新たな事実が問題となっている。
 四年前中江元哉総理大臣秘書官が厚生労働省に調査対象の入れ替えについて問題意識を伝えたというものだ。これを受けて厚生労働省側は賃金が伸びているように調査対象の入れ替え方法の変更を検討したという。
 中江氏並びに安倍晋三は統計の結果がアベノミクスの成果を示すように不正を指示した事実はないと主張しているが、実際の統計結果は二〇一二年~二〇一七年の五年間の賃金伸び率が1・4%であるのに対し、データ処理の変更を行った二〇一七年~二〇一八年の一年間の伸び率が1・4%であるなど異常な数字を示している。
 毎月勤労統計調査をめぐっては隠蔽が重ねられた上に二〇〇四年~二〇一一年のデータがなくなっており、事実検証自体が困難な状態が続いているが、徹底的な真相究明が必要である。
 この問題の根底には複数の要素がある。
 第一に、またしても現れた忖度と隠蔽の政治である。森友・加計疑惑でもすでに言われていることではあるが、資本主義の限界を反映しての腐敗権力のもとで権力者へのおもねりとその下で官僚が不正を働く構図である。
 統計はその組み立てや表現に階級性が現れる。同じデータであっても整理や解釈の仕方で見え方が変わる。そうだとしても、数値が正確であることは大原則である。
 事実今回問題になっているような統計データは、権力側はもちろんのこと、報道、研究者、政府を批判する立場においても、内容が正確であることを前提に使用している。われわれも厚生労働省がまとめた労働組合に関するデータや、賃金、失業率のデータを用いている。データが正確でないということは、こうした議論の基盤自体が崩壊してしまう。
 このような重大な事態であるにもかかわらず、かかわった官僚たちからはその深刻さを認識していた節が見られない。むしろ、官邸の意向の方を恐れているのである。事実より政治権力の意向(観念)が優先されるのが現在の日本国である。安倍晋三がアベノミクスは成功と言えば、実態はともかく忖度された数字がついてくる。われわれはこの現状を容認することは絶対にできない。
 第二に統計部門の予算削減により本来必要な全数調査を実施するために必要な人員配置が行われていなかった問題だ。中曽根政権以来の新自由主義政策によって、常に「小さな政府」が求められ、その矛先には手っ取り早く人件費を削れる集約的な部門が狙われてきた。国鉄や電電公社、郵政などの公務現業部門が最初に攻撃(それは階級攻撃としての要素も強かったのだが)され、労働者階級の抵抗が弱まるにつれてさらに対象を拡大してきた。
 国立大学の法人化や公務員全体の非正規化の推進、年金事務所の解体、労働運動の現場からよく見えるものでは労働基準監督官の不足なども挙げられるだろう。蛇足ながら、自衛隊も高価な米国製兵器が予算を拡大しているが、人件費は抑制されている。
 今回の統計部門の人員不足もこうした新自由主義政策下のひずみが明らかになった事例と言えるのではないだろうか。

 ●2章 安倍政権の膨張する予算

 前の章で統計不正問題について新自由主義政策の影響を論じた。にもかかわらず、安倍政権は決して「小さな政府」ではない。予算全体は安倍政権になってから膨張の一途をたどっている。
 今年度の政府予算案は一月一八日の修正閣議決定で一〇一兆四五七一億円である。日本における新自由主義政策の嚆矢(こうし)であった中曽根政権時の一九八三年度当初予算が五〇兆三七九六億円であったことを考えると倍以上に拡大している。
 二〇一九年度予算案の内訳を見ると、国債の利払いが二三兆五千億円、社会保障が三四兆一千億円、地方交付税交付金等が一六兆円と続く。
 ここ数年の特徴としては防衛費の拡大があり、第二次安倍政権成立以降年々増え続け、今年の予算案では五兆三千億円となる。ただし、防衛予算についてはイージス・アショアやF35などの高額な兵器の購入費用が複数の予算年度に分散されており、中期防衛計画全体ではなんと二七兆四七〇〇億円にも膨らんでいる。
 社会保障費は一見大きな額に見えるが、三〇年間で倍増した高齢人口に比べればそこまで大きく伸びているわけでもないし、労働現場ではひしひしと感じられることであるが、予算の圧縮圧力は強い。文教予算の少なさはOECD諸国で突出しており、GDP比3・5%でトルコより少ない(OECD平均は5・0%)。
 公共事業には六兆九千億円がつぎ込まれているが、その大半は大企業の手中に入り、決して労働者の生活向上に結び付いていない。
 歳入で見ると所得税や法人税の累進性は引き下げられ、消費税率の引き上げがおこなわれた。このため全体の税収はほとんど増えておらず、低所得者の税負担が増大してきた。こうして歳入と歳出の両面で所得の再分配が進まないどころか、現代資本主義の格差の拡大に拍車をかけるような予算構造になっている。
 このように新自由主義政策は彼らのスローガンと異なり、「小さな政府」などは作っていない。ただ大資本に奉仕し、人民からの搾取と収奪を強める政治権力の増大を結果しているだけである。

 ●3章 働かせ方改革を労働現場で阻止しよう

 昨年強行採決・成立させられた「働き方改革一括法」がついにこの四月一日から施行される(一部規定は二〇二〇年~二〇二三年施行)。今年は春闘とともにこの法律による労働条件の切り下げと闘うことが課題である。
 全国一般労働組合全国協議会の今春闘のスローガンは昨年に引き続き、「八時間働けば暮らせる社会の実現」である。このもとで賃上げ7%(定昇分2%+ベア3%+大企業との格差是正2%)、最低賃金を全国一律一五〇〇円、直ちに一〇〇〇円を求めている。
 現在の最低賃金では法定労働時間で暮らしていくことはできない。八時間働けば暮らせる社会というのは、中小企業の賃金と最低賃金を大幅に上げることなしに実現できない。賃上げと時短を結合して闘おう。最低賃金の大幅増額を求めて最賃引き上げの署名活動を展開しよう。
 働かせ方改革は残業時間の上限規制(とは名ばかりの過労死ライン一か月残業一〇〇時間まで合法的に働かせる制度)は大企業においてはこの四月一日から施行(中小企業は二〇二〇年四月一日施行)される。重要なことはこの制度導入には三六協定とその特別条項が必要であるということである。これらは職場の過半数(非正規含む)を組織した労働組合か、過半数の支持を得た労働者代表が署名・捺印しなければ発効しない。すでに過半数を組織している職場では殺人的な協定に同意しないことである。過半数を組織していない職場においては労働者代表選挙に果敢に挑戦し、また、企業側の法律・手続きの不備を突いてあらゆる手段で職場への導入を阻止しよう。
 さらに四月一日施行には以下のようなものがある。年五日間の年次有給休暇付与の義務付け、高度プロフェッショナル制度の創設、フレックスタイム制の拡充、勤務間インターバル制度の導入(努力義務)、労働時間の客観的な把握の義務付け、産業医・産業保健機能の強化。
 いずれについても、労働者の待遇を悪化させるものは阻止し、使えるものは徹底的に労使交渉に活用しなければならない。
 このうち年次有給休暇の付与義務付けについてはそもそも年間五日間の年休を付与しなかったような企業が相手であるから、当然に脱法行為を打ち出してくるだろう。就業規則を改悪して年末年始など従前の休日を廃止し、ここに義務化した年休付与を充てるなどの手法だ。これは不利益変更であるから、労働者を組織しこのような脱法行為に同意させないことが重要だ。いずれにせよ私たちはすでに権利として持っている年次有給休暇の完全取得を目指さなければならない。
 パート・有期労働法の施行は大企業二〇二〇年四月一日、中小企業二〇二一年四月一日だが、今から準備と交渉が必要だ。
 新しい法律では有期雇用やパートタイムの正社員との待遇差について企業は雇い入れ時と労働者に求められたときに合理的な説明をする義務を負うことになる。正社員と同一労働を行う有期雇用については同一の待遇を求めることも可能だ。また、基本給、一時金、その他の手当・待遇格差のそれぞれについて不合理であれば格差是正をしなければならなくなる。
 これは労働運動にとって大きな武器だ。法施行に向けてどのような具体的格差があるのか、法律やガイドラインのどこが活用できるのか研究しておかなければならない。
 昨年末には入管法の改悪が拙速に強行された。「現代の奴隷制」ともいえる外国人技能実習制度を終了した労働者に対し在留資格「特定技能」を与えてさらに日本国内で働かせるというものだ。
 そもそも技能実習の建前は日本で技術を学んで本国に移転するという趣旨であったはずなのに、そのまま日本で働かせるというのは法の根拠を根底から覆すものだ。外国人労働者を低賃金でこき使いたいというブルジョアジーと安倍政権の本音が駄々洩れになってしまっている。
 外国人労働者の導入は実質的には移民を意味する。ところが、資本は彼らを人格なき低賃金労働力=「外国人材」として、引き続き権利をはく奪し続けようとしている。
 特定技能1では、外国人労働者は家族の帯同も許されないし、職種を変更する自由もない。また、資本の都合が悪くなれば、在留資格停止→国外退去という形で厄介払いするだろう。
 私たちはこのような労働者への人権蹂躙を許さず、ともに闘う体制を全国で構築しなければならない。
 全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部(関生支部)への弾圧はすでに延べ逮捕者五四名、三二名が起訴されている。さらなる弾圧も準備されている。
 この弾圧は関生支部が進めてきた産別労働運動を資本に都合が悪いものとしてつぶしていこうとする攻撃であり、同時に労働運動の長い闘いで勝ち取ってきた刑事・民事免責をはぎ取ってしまおうという攻撃である。
 被逮捕者たちはストライキのピケットやビラ撒き、施工現場の法律違反を指摘するコンプライアンス活動、さらにこれらの準備を共謀した(要するにただの会議、しかもそれが実在した証拠すら必要としない)といった容疑で逮捕・起訴されている。
 こうした活動は労働組合がその要求を実現するために通常使用する戦術であり、団結権・団体行動権の正当な行使である。これらが違法行為にされてしまったら、日本に存在しうる労働組合は労使協調の企業内運動だけになってしまう。階級的労働運動の再建を進める私たちにとってこの弾圧は必ず跳ね返さなければならない。

 ●4章 戦争反対・核なき平和を! 安倍政権打倒!

 昨年一月からの朝鮮半島和平の動きは紆余曲折を経ながらも確実に前進している。二月二七~二八日には二回目の米朝首脳会談も実現した。再三強調するが、この情勢は南北や米中の首脳によって実現したのではなく、韓国民衆のろうそく革命が生み出したものだ。
 この情勢の中で一貫して平和への流れに敵対し続けているのが安倍政権である。昨年の平昌オリンピックでの文在寅(ムンジェイン)韓国大統領への内政干渉発言に始まり、和平プロセス進展のたびに韓国政府へ干渉を続けてきた。さすがに米朝首脳会談にはよう文句を付けられなかったのか、「トランプに拉致問題で発言してもらった」と功を誇った。ちなみにトランプ自身は全くそのことを強調していないのだが。
 徴用工問題での大審院判決には、事実を捻じ曲げて「解決済み」と強弁した。これは安倍の詭弁である。徴用工の個人請求権は日韓請求権協定をもってしても消滅していないことは日本の国会答弁でも認められているのだ。
 さらには自衛隊哨戒機による韓国軍艦への挑発事案など、二〇一八年の一年間安倍政権は東アジアの平和と国際連帯を一貫して乱してきた。
 二〇一八年、朝鮮半島はもちろん中国との間でも大きな軍事挑発事案は発生していないにもかかわらず、「安保環境の悪化」を強弁してイージス・アショア配備計画・最新鋭のステルス戦闘機の導入など高価な米国製兵器の購入に予算をつぎ込んでいるのは前述したとおりである。
 このような状況下で安倍政権の打倒は日本の労働者人民の自己解放とともに、国際的責務として立ち現れている。戦争反対と核なき平和を訴え、安倍政権打倒の闘いを組織しよう。


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.