共産主義者同盟(統一委員会)


1559号(2019年11月20日)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
  老朽原発うごかすな!

 派兵阻止―安倍政権打倒

 高浜~関電本店リレーデモ、
 11・27廃炉デー大アクションへ




 関西電力役員二〇名が、原発立地の福井県高浜町元助役から巨額の金品を授受した問題を、「言語道断だ」と激しく非難した経産相菅原。その言葉はブーメランのように菅原自身へと返ってきた。有権者にメロンやカニなどの金品を配ったことが発覚し、公職選挙法違反を報じられた菅原は就任後四〇日あまりで辞任した。つづいて三一日には、法相河井もまた妻の公職選挙法違反報道後に辞任した。
 組閣直後の辞任劇には既視感がある。それは五年前にも同じことが起こっていたからだ。
 一四年の第二次安倍政権で、経産相小渕が選挙区内でワインを、法相松島がうちわを配ったことが発覚し辞任したのだ。
 そして、国会で説明責任を果たさぬままに、閣僚の交代で問題の幕引きをしたこと、さらには首相・安倍晋三の「任命責任は私にあり……国民の皆さまに深くおわび申し上げる」との謝罪の言葉の一言一句までもが五年前の繰り返しだ。 
 労働者階級人民からむしり取った税金を湯水のごとく使って「お友達」同士で金を循環させ、私腹を肥やしてきた自民党国会議員の腐敗しきった姿は、関電役員と高浜町元助役との関係と何一つ変わらない。安倍晋三が深く関与した森友・加計疑獄も同じだ。
 安倍晋三を筆頭として官民の支配層総体が利権構造にまみれ、日本は腐敗の極みに達している。
 自らの延命のために排外主義を煽り、改憲・戦争へと突き進む第四次安倍再改造内閣は責任を取って即刻総辞職せよ。

 ●第1章 米帝トランプ政権が激化させた中東の戦乱

 ▼1章―1節 クルド解放闘争を利用し、見捨てたトランプ


 米帝―トランプ政権は一〇月六日、シリア北部に駐留する米軍の撤退を突然開始した。これと軌を一にして一〇月九日、トルコ軍はクルド人武装組織「人民防衛隊(YPG)」、クルディスタン労働者党(PKK)掃討作戦を開始した。トルコ・シリア国境地帯でのシリア越境攻撃だ。
 米帝はIS掃討作戦のために、YPGを利用しながら、トルコ軍の攻撃が明白な状況の中でYPGを切り捨てたのだ。
 この米帝―トランプの裏切りによって、YPGはアサド独裁政権への支援要請を余儀なくされた。アサド政権は、これまでシリア国内でクルド人数千人の市民権剥奪やクルド語使用を禁止するなど、クルド人の政治活動を弾圧・抑圧してきたのであり、YPGにとっては苦渋の選択だった。シリアのこの動きをロシアが支援している。
 トランプは、「われわれはクルド人のために多額の金を払った」、「私はトルコに攻撃の許可は出していない」などと語り、撤退を正当化した。さらに、サウジアラビアに駐留する米軍部隊三千人増派を引き合いに出して、「サウジは配備にかかる経費全額を払うことに同意した。他の多くの国も守ってほしければ、金を払うべきだ」などと、「人道主義」や「民主主義」といった大義名分をかなぐり捨て、ただただアメリカの帝国主義的利害を露骨に押し出したのだった。
 われわれは、米帝の世界戦略の基軸となってきた米軍の駐留・展開に根本的に反対であり、一刻も早く米軍駐留を終らせるために闘っていかなければならない。しかし、今回の米軍シリア北部撤退の顛末は、IS掃討作戦の地上戦主力部隊としてYPGを利用し、必要なくなればトルコ軍にYPGとシリア―アサド政権を攻撃させ、クルド人の民族解放=独立国家建設の悲願を容赦なく圧殺するというトランプの邪悪な企図に貫かれたものである。ロシアの介入によって、トルコ軍による越境攻撃はいったん収まっているが、まったく予断を許さない状況だ。
 この事態が示すのは、米帝の利害、トランプ政権の利害の貫徹が、中東の新たな戦乱をもたらしているということだ。全世界に戦乱を拡大し、サウジ、日帝、韓国など同盟国に大量の武器を売りつけていくトランプ政権の薄汚い野望は、直ちに断ち切らなければならない。米軍基地を作らせない、撤去させる闘いをさらに強めていこう。

 ▼1章―2節 海上自衛隊の中東派兵を阻止しよう

 日帝―安倍政権は、一〇月一八日に行なった国家安全保障会議(NSC)で、中東海域への海上自衛隊派遣の検討を指示した。
 官房長官・菅は、同日夕方の記者会見で、「わが国として中東地域における平和と安定、およびわが国に関係する船舶の安全の確保のために独自の取り組みを行っていく」と語り、「調査・研究」を名目にオマーン湾やイエメン沖バブルマンデル海峡などへの自衛隊派兵の検討を指示したことを明らかにした。
 菅は、米帝―トランプ政権が主導し、オーストラリア、英、サウジ、アラブ首長国連邦(UAE)の五ヵ国が参加する「有志連合」構想・海洋安全保障イニシアチブには参加せず、友好国イランに配慮した「独自の取り組み」であることを強調した。
 米帝―トランプは、一五年七月に米・英・仏・独・中・ロが結んだ「イラン核合意」を一八年五月に一方的に離脱し、金融制裁や原油取引制限などのイランへの制裁を再開した。これを発端に、米帝は対イラン包囲網=戦争重圧を強めた。トランプは各国に対して、イラン産原油の禁輸措置や経済制裁を強要した。そして米第五艦隊をペルシャ湾に集結させ、無人偵察機によるイランの領空侵犯など戦争重圧をかけた。トランプは米帝主導の「有志連合」構想・海洋安全保障イニシアチブを、対イラン包囲網の環として位置付けている。
 イランは、これに対抗して「ホルムズ平和構想」を打ちだした。
 米帝―トランプの対イラン戦争挑発によって、産油国が集中する中東湾岸地域の情勢は流動化した。中東各国や米帝、ロシアなどの大国が、石油権益をめぐってにらみ合うホルムズ海峡を中心に、タンカーを標的としたミサイル攻撃が激発した。
 そして九月一四日、サウジの石油施設が一〇機のドローンによる攻撃で破壊される事態が起こった。サウジや米帝は、これをイランの仕業だと決めつけ(イランは否定)、サウジ、UAEに駐留する米軍を三千名増派した。
 米帝とサウジ、これに対抗するイランとの軍事的緊張関係はよりいっそう高まっており、戦争勃発も十分にありうる情勢だ。
 日帝―安倍政権の海自中東派兵は、中東地域への恒常的な自衛隊派兵によって、帝国主義の「動力源」である石油資源の獲得を狙ったものである。
 日帝―安倍政権は、海自中東派兵の法的根拠を防衛省設置法四条の「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行う」という規定に求めている。この「防衛省設置法」の「調査・研究」名目での自衛隊派兵は、国会での承認が不要とされており、防衛相の判断一つで実施することが可能なものだ。
 〇一年九月一一日の米本土同時多発攻撃後、海上自衛隊の護衛艦が米空母キティ・ホークを護衛した際や、「テロ対策特別措置法」の活動に先立つ自衛隊護衛艦のインド洋派遣などを強行した際がそれにあたる。
 戦争法制による「海上警備行動」発動=自衛隊艦艇によるタンカー防衛を法的根拠としなかったのは、国会審議を必要とするからだ。国会での論戦で、一五年の戦争法制強行制定時のようなデタラメ答弁や戦争法制の違憲性が全人民に暴露され、安倍の思い描く改憲スケジュールが潰されることを恐れたからだ。
 日帝―安倍政権は来年一月にも自衛隊中東派兵を強行しようとしている。安倍改憲攻撃もろとも断固阻止していかなければならない。

 ●第2章 排外主義外交弾劾!改憲に突き進む安倍政権を打倒しよう

 ▼2章―1節 安倍改憲 国民投票法改定を許すな


 安倍は一〇月四日に開会した第二〇〇回臨時国会冒頭の所信表明演説で、「令和の時代に、日本がどのような国を目指すのか。その理想を議論すべき場こそ、憲法審査会ではないでしょうか」と語り、改憲への強い意思を改めて表明した。
 安倍は総裁任期中の二一年までの改憲に固執し、今臨時国会での国民投票法改定を企んでいる。また、七月参院選で改憲発議に必要な「改憲勢力」三分の二議席を確保できなかったため、国民民主党を抱き込んでの憲法審査会の開催強行を狙っている。自衛隊明記改憲を柱とした安倍改憲攻撃―国民投票法改定を、戦争法制制定阻止闘争を上回る全人民的政治闘争で粉砕しよう。

 ▼2章―2節 対韓国排外主義煽動を打ち破れ

 安倍政権は七月以降、対韓国制裁外交を強め、排外主義煽動を続けている。七月一日に強行した対韓輸出規制強化の制裁発動は、事前に極秘裏に進め、「六月の大阪G20の後、七月四日の参院選公示前」と定めて発動したことが報道で明らかとなっている。
 G20で「自由貿易の促進」を明記した首脳宣言をまとめる開催国であった日本が、その直前に保護主義を鮮明にすることはできなかった。その一方で、対韓強硬外交を鮮明にして排外主義を煽り立てることが参院選の集票活動につながると安倍自民党は画策したのだ。
 ブルジョアマスコミは、安倍右翼反動政権と一体となって、連日「反韓」報道を垂れ流している。
 韓国が対日輸出規制強化や日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄などの対抗措置をとった結果、安倍の対韓国制裁外交は、安保・経済にも波及した。
 安倍政権の対韓国排外主義外交に怒る韓国民衆は、日本製品の不買運動を強力に展開した。九月に日本を訪れた韓国人旅行者数は前年同月より58%減、日本から韓国への八月の食料品輸出額は前年同月より四割減となった。
 今こそ、韓国民衆をはじめとするアジア人民との連帯にかけて、日本軍性奴隷制度被害者や徴用工問題など日帝の侵略戦争と植民地支配の被害者への真の謝罪と補償を実現し、安倍政権の排外主義煽動を打ち破っていかなければならない。

 ▼2章―3節 腐敗しきった関電弾劾、原発を停止させよう

 安倍政権は二〇一八年七月、「エネルギー基本計画」を策定した。原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、二〇三〇年に原発の電源構成比率を20~22%にするとしているが、これを達成することは困難な状況だ。
 福島原発事故による甚大な被害が明らかとなり、現在も反原発・脱原発の世論は圧倒的多数を占めている。再稼働が強行された原発は九基にとどまっている。原発の新設・増設は到底不可能だ。
 このような中で、政府・電力会社は、建設から四〇年を超える老朽原発を再稼働させることで、目標達成をはかろうとしている。危険極まりない老朽原発の再稼働を絶対に阻止していこう。
 「原発うごかすな! 実行委員会@関西・福井」の呼びかける「老朽原発うごかすな! キャンペーン」を支持し、成功にむけて共に闘おう。一一月二三日に高浜原発を出発し、一二月八日に関電本店に至る二〇〇キロメートル、一六日間の「老朽原発うごかすな! リレーデモ」に取り組んでいこう。
 同時に、首都圏では、四〇年越え老朽原発―東海第二原発再稼働強行阻止に向け、一一月二七日「廃炉デー」大アクションが取り組まれる。日本原電包囲行動に立ち上がろう。
 関電の八木誠会長や岩根社長をはじめとした役員ら二〇人が、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の森山栄治元助役から、合計三億二千万円の裏金を受け取っていたことを認め、経営陣全員が辞任した
 人命を軽視し、「安全神話」で労働者人民を騙し原発建設を進めてきた電力会社を解体し、全ての原発を停止させるために闘おう。


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.