共産主義者同盟(統一委員会)


1564号(2020年2月20日)






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 「復興五輪」=放射能隠し許すな

  全原発停止! 安倍政権打倒

  20春闘-大幅賃上げかちとろう

  組合潰し大弾圧やめろ



 安部晋三自身による「桜を見る会」の私物化、菅原前経産相・河井前法相の公職選挙法違反、さらにカジノを合法化するIR(統合型リゾート)をめぐる贈収賄事件と秋元議員の逮捕など、安部政権とその取り巻きの腐敗した姿がますます明らかになっている。
 こうしたなかで一月二〇日に開会した第二〇一回通常国会は、ブルジョア・マスコミによって「『疑惑国会』の開幕」と報じられた。しかし、安倍晋三は施政方針演説の中でそれらの「疑惑」には一切触れることはなく、オリンピック・パラリンピックを前面に押し出すことで、自らが招いた政権の危機を乗り切ろうとしている。
 同時に安倍は、米国の対イラン軍事包囲・戦争挑発に実質的に加担するものとして、一月一一日のP3C哨戒機の派兵に続いて、二月二日には護衛艦「たかなみ」を中東海域へと派兵した。腐敗をあらわにしつつ、自衛隊の海外派兵を強行し、あくまで改憲を狙う安倍政権に対して、それを労働者・民衆の力で打倒する闘いの陣形をさらに大きく創り上げ発展させていこう。

  ●第1章 改憲に突き進む安倍政権

 今国会の冒頭に行われた安倍の施政方針演説は、自らを含む数々の「疑惑」には一切答えることなく、オリンピック・パラリンピックを利用して排外主義的な国民統合をおし進め、侵略戦争体制づくりに邁進していこうとするものだ。
 その特徴の第一は、「積極的平和主義」を強調し、「令和の新しい時代」の「国のかたちに関わる大改革」と銘打って、あくまで憲法改悪に突き進んでいく意思を明らかにしていることである。
 安倍政権は今年を日米安保改定から六〇年の節目の年と位置付け、そのさらなる強化を狙っている。その具体策の一部として、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を創設することを打ち出している。それはトランプ政権が昨年一二月に「宇宙軍」を発足させたことと連動するものであり、「最も新しい戦闘領域」(トランプ)での中国やロシアとの対峙・対抗を念頭に置いて、この領域での日米の軍事一体化を推し進めていくものになる。
 また、「日米同盟の強固な基盤の上に、欧州、インド、豪州、ASEANなど、基本的価値を共有する国々と共に、『自由で開かれたインド太平洋』の実現を目指します」などとしているが、それは日米安保体制を基軸としつつ、上記に挙げられた諸国との軍事同盟関係を強化し、自衛隊の活動範囲の拡大を狙うものだ。
 一方、沖縄に関しては、「基地負担軽減に、一つひとつ結果を出してまいります」として、いま現実に強引な形でおし進めている沖縄の基地強化策動、辺野古新基地建設には具体的に触れていない。
 さらに、年明けから一挙に緊張を増したイラン情勢、中東情勢に関しても、自衛隊の中東派兵を強行することで米国を中心とした対イラン軍事包囲に加担しているにもかかわらず、「全ての関係者に、対話による問題解決と自制的な対応を求めます」などと欺瞞的な言辞に終始している。
 安倍はさらに、改憲について「その案を示すのは、私たち国会議員の責任」として、あくまで改憲を強行する意思を明らかにしている。安倍はこのかん自らの首相在任中に改憲を成し遂げるという野望を繰り返し表明しているが、しかしそれは安倍の思惑通りには進んでいないし、これからも進まない。日米安保体制と対決し、辺野古新基地建設を阻止し、自衛隊明記改憲を阻止するための闘いをさらに強化していこう。
 特徴の第二は、「復興五輪」を強調し、福島原発事故を終ったことのように見せかけ、それにより反原発運動を封殺しようとしていることである。
 昨年の常磐自動車道の開通に続く今年三月予定のJR常磐線の全線開通に向けた動き、双葉町、大熊町、富岡町の帰還困難区域の一部解除の準備――放射能汚染の実態を無視したこれらの政策を安倍は施政方針演説の中で何か誇るべきことであるかのように語っている。さらに、三月には「聖火リレー」を福島のJヴィレッジから出発させる。それは福島原発事故を終わったものにしようとするあまりにも露骨な策動である。
 安倍は「リチウムイオン電池、AIロボット。未来を拓く産業が、今、福島から次々と生まれようとしています」などと述べている。しかし、その一方で「自主避難者」への住宅支援の打ち切りが示すように、福島の人々は安倍政権の政策によってさらなる困難を強いられている。
 福島原発事故は何も解決していない。現実には事故を起こした福島第一原発の廃炉の目途さえ具体的には立っていないのだ。この三月に福島第一原発事故から九年目を迎えるなかで、「復興五輪」のまやかしを許さず、原発再稼働阻止―全原発の停止・廃炉に向けた闘いを全国各地で前進させよう。
 特徴の第三は、引き続き韓国に対する制裁外交の正当化を主張していることである。
 二〇一七年の韓国での文在寅(ムンジェイン)政権の誕生とともに、安倍政権は施政方針演説や外交青書などで使ってきた「最も重要な隣国」という表現を使うことを止めた。そして、一八年一〇月の徴用工裁判に関する韓国大法院判決を契機にして、韓国に対する経済制裁に突き進んだ。それは韓国による日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の終了通告(その後停止)など、軍事関係の分野にも及び、中国・ロシアへの対抗のために東アジアにおける米日韓の軍事的連携をおし進めようとする米国の利害とも対立を生み出した。
 今回の施政方針演説の中で、安倍は韓国について「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」という表現を三年ぶりに復活させた。しかし、その前に「元来」という文言がある。つまり、現時点ではそうではないということだ。
 その上で、安倍は徴用工問題を念頭に韓国に対して、「国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待いたします」などと言い放っている。つまり、賠償問題は一九六五年の日韓基本条約で「解決済み」という従来からの主張の上に、日韓関係の悪化は韓国の側に責任があると居直っているのだ。まったく許しがたい排外主義的言辞である。
 われわれは、安倍政権による上からの排外主義煽動と真っ向から対決し、日本の植民地支配・侵略戦争の被害者に対する日本政府の公式謝罪と賠償の実現のために闘っていかなくてはならない。

  ●第2章 腐敗しきった安倍政権

 歴代最長の政権となった安倍政権の腐敗がこのかん次々と明るみに出てきた。
 とりわけ、「桜を見る会」が安倍政権によって私物化されていた事実が出てきている。これは税金の私物化であり、安倍晋三自身の問題である。また、野党からの追及と同時に内閣府が招待者名簿をシュレッダーで廃棄するなど、安倍政権とその取り巻きたちの深刻な腐敗ぶりを露呈させている。
 事実が明らかになることを恐れる安倍は、名簿調査を拒否し、その場しのぎの辻褄の合わない答弁を繰り返している。森友・加計疑獄に続くこの問題を徹底的に追及し、事実を明らかにさせねばならない。
 また、公職選挙法違反の河井克行議員の選挙には、自民党本部からの巨額の選挙資金が出ていたことが暴露されている。これも安倍首相―菅官房長官の体制の下で引き起こされた事件だ。
 加えて、IR(統合型リゾート)への参入を目指す中国企業から賄賂を受け取っていたとして元内閣府副大臣の秋元司議員(自民党)が逮捕された。中国企業側は、秋元だけでなく、日本維新の会の下地幹郎ら五人の国会議員にも賄賂を渡したと述べている。
 この贈収賄事件は、自民党や維新の会が強行してきたIR(統合型リゾート)法にもとづく賭博の合法化が新たに巨大な利権を生み出すためのものであること、その分け前にありつくための国際的な企業間の暗闘の存在、そのなかで私服を肥やそうとする政治家の姿を浮き彫りにしている。アベノミクスの下でつくりだされた新たな利権は、動き出す前から腐りきっていたのだ。
 安倍政権の腐敗は極まっている。いまこそ安倍政権を打倒する労働者・民衆の闘いの陣形を大きく拡大していく時だ。
 次第に追い詰められつつある安倍政権は、一方では「オリンピック・パラリンピック」を利用し、他方では韓国への制裁外交など排外主義的政治を進めることで、自らの疑惑をかき消そうとしている。さらに、連帯労組関西生コン支部への大弾圧に見られるように、闘う労働運動、民衆運動の破壊を狙い、そうした強権支配の上に憲法九条改悪を頂点とする侵略反革命戦争体制の構築に突き進んでいこうとしている。これらと闘い、安倍政権を打倒する闘いのうねりを創り出し、発展させていこう。
 自衛隊の中東派兵を弾劾し、米国を先頭とした対イラン戦争策動への日本の荷担・参戦を許さずに闘おう。日米軍事同盟と対決し、辺野古新基地建設を阻止しよう。「復興五輪」のまやかしを許さず、すべての原発の廃炉に向けて闘おう。闘う労働運動つぶしを許さず、階級的労働運動のさらなる前進をかちとろう。アジア民衆と連帯し、排外主義と対決して、安倍政権を打倒しよう。



 

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