共産主義者同盟(統一委員会)


1565号(2020年3月5日)






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 20春闘

 大幅賃上げかちとろう

 職場に人権の確立を!

  
中央労働運動指導委員会


 三里塚 3・25、3・27東京高裁

 3・29全国総決起集会へ




 20春闘が各地でスタートしている。今20春闘は昨年一〇月の消費税増税による生活破壊を跳ね返すための賃上げがまず第一の課題となる。その他、労働時間規制(時短)、均等待遇、ハラスメント規制などの闘いを職場から展開していくことが求められている。わたしたちは20けんり春闘全国実行委員会の春闘方針を支持し、職場・地域で春闘の取り組みを推し進めていく。労働者が長く安心して働ける職場、差別を許さず人権が確立された職場を労働者・労働組合の自立的な力でつくっていくために20春闘を奮闘しよう。

 ●第1章 20春闘を取り巻く情勢

 ▼第1章―1節 大手労組による春闘の形骸化


 経団連の中西宏明会長は年頭インタビューで、「雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが必要だ」と語った。経済界からは終身雇用の見直しが言及されている。新卒一括採用、終身雇用、年功序列賃金といった「日本型雇用」では国際競争に勝てないというのだ。こうした経営者団体の攻勢的な議論に大手労組も触発されつつ、トヨタ自動車労組は「全体一律」の賃金交渉を否定し、人事評価制度を前提としたベア要求を提出した。さらに金融大手の三菱UFJ労組も基本給と賞与を組み合わせた「総報酬」を要求するとした。これは、人事評価による基本給の差をつけることを認めるということだ。いずれも経営者側からの提案を受けての決定だ。
 トヨタは昨春闘から労使ともにベア妥結金額を非公表にしている。自動車や電機などの大手労組では一律ベースアップ要求が成立しなくなっている。大手労組が春闘において果たしてきた役割を自ら放棄し、これまでのように大手が賃金相場をつくり中小が「追いつけ追い越せ」と闘う春闘が「終焉」を迎えつつある。そうした情況にあって労働者・労働組合はどのような春闘を展望していけるのかが問われる。格差を是正し、政府・資本の政策と対決する春闘を展開していこう。

 ▼1章―2節 反戦平和・改憲阻止の闘いを

 年明け早々一月二日にアメリカ・トランプ政権は、バグダッド市内でイランの革命防衛隊の幹部ら八名を殺害する事件を米軍の攻撃で引き起こした。報復措置を取るとしたイラン政府に対し、トランプ大統領は報復を受ければ「五二箇所を直ちに攻撃する」と明言し、中東全面戦争の危機を煽った。
 二月には安倍政権が、自衛隊法の「調査・研究」目的で自衛隊を中東に派兵した。南西諸島にみられるように各地で自衛隊の強化が進められ、日米軍事一体化が進められている。戦後、アジア太平洋侵略戦争の経験から「二度と戦争をしない」と誓った労働者の反戦平和の闘いを継承し、今春闘課題として安倍政権の改憲策動と対決していこう。発足から七年以上が経つ安倍政権は「桜を見る会」問題に顕著なように国家権力の私物化がひどい状況になっている。一刻も早く安倍政権を打倒し、労働者・労働組合の利害に立った政権をまず実現しなければならない。

 ▼1章―3節 福島を忘れない、原発をなくす闘い

 春闘期間中に東日本大震災と福島第一原発事故から九年目の三月を迎える。安倍政権と電力資本には過酷事故の反省はなく、原発を再稼働させ、海外輸出や新規建設をも進めようとしてきた。原発下請労働者などの被曝、労災、過労死などを追及する声も圧殺し補償を拒み続けている。東京オリンピック・パラリンピックをもってする「原発災害からの復興」キャンペーンを許すわけにはいかない。核や戦争と労働者民衆が平和に生存する権利は根本的に対立するものだ。福島での困難な闘いと連帯し、原発をなくしていく運動を進めていこう。

 ●第2章 20春闘の課題

 ▼2章―1節 賃上げと格差是正


 日本の労働者の実質平均賃金は九七年をピークに下がり続けている。アベノミクスの失敗による生活破壊は明らかだ。今一度賃金闘争の意義を確認し賃上げを要求していこう。現在、各地で「全国一律最賃一五〇〇円」を求める運動が展開されている。東京都は一九年一〇月から最賃がついに一〇〇〇円を超えて一〇一三円となった。仮にその最賃で働いたとしたらフルタイムで一八万円程度。これでは東京都内での生活は厳しい。少なくない中小企業労働者が最賃張り付きの賃金で働いている。また、違法な不払い労働(サービス残業)をさせられ、時給計算が最賃を下回ってしまう労働者もいる。最賃はすべての労働者の賃金に直結する重要かつ最低限の基準だ。最賃の引き上げは賃上げ闘争の圧力となる。

 ▼2章―2節 「働き方改革」は労働者の力で

 昨年四月に「働き方改革関連法」が施行された。高度プロフェッショナル制度などの悪法を「しない・させない・合意しない」で無力化していくことが求められる。その一方、五日間の有給休暇付与義務の労基法改定が四月から施行される。中小企業でも一〇日間以上の有休がある対象者に取得時期を指定し五日間の有給休暇を取得させることが罰則付きで使用者の義務となった。非正規労働者も対象だ。また、パートタイム・有期雇用労働法も施行され、職務内容が同一である場合、正規・非正規の不合理な待遇格差が禁止される。これらの法改正を武器に均等待遇を求めよう。

 ▼2章―3節 安倍政権の欺瞞的「働き方改革」

 労政審(労働政策審議会)の労働政策基本部会が審議する「時間・空間・企業に縛られない働き方」は労働者保護ルールを取り払い個人事業主として働かせることを推進するものだ。在宅でのテレワーク、請負、委託などへの大規模な移動により労基法の空洞化をねらい、労働者の権利を根底から壊していこうというもので、大いに警戒していくことが必要だ。
 「解雇無効時の金銭救済制度」も労政審で審議されている。解雇権濫用があったとしてもお金を積めば労働契約を終了させることができるというものだ。一般的には不当解雇された労働者は解雇争議を闘って解雇撤回・職場復帰を目指す。闘いの結果として金銭和解ということもありうる。しかし、この制度はそうした解雇争議そのものをできないようにする。解雇を自由化し労働者の闘いも潰す制度化を阻止しよう。

 ▼2章―4節 「技能実習生」「特定技能」という外国人労働者政策

 今夏に開催されようとしている東京オリパラに向けて建設現場では外国人技能実習制度を使って急ピッチで作業が進められている。少子高齢化による労働力不足の中、安倍政権は技能実習制度に加えて「特定技能」の在留資格を新設した。外国人労働者の移民としての権利を認めず、あくまで安価な労働力として受け入れようとしている。分断を打ち破り外国人労働者の春闘を闘おう。

 ▼2章―5節 実効性のあるハラスメント規制を

 昨年五月二八日に成立した「女性活躍・ハラスメント関連法」が成立した。この法律には、ハラスメントを防止するために、①社内方針の周知・明確化、②相談体制の整備、③被害者へのケアと再発防止、④被害を相談した労働者に対する解雇などの不利益取り扱いの禁止、が企業の義務として盛り込まれた。悪質な場合は企業名を公表するとした一方で、罰則を伴う禁止規定がないという限界があった。一〇月二一日には、厚労省の労働政策審議会(労政審)がハラスメント防止策についての指針案を発表した。
 しかし、発表されたこの「指針」の内容は「違法とされるハラスメント」を狭く解釈するというものだった。「加害者の弁解カタログのようだ」と批判が起こっている。ハラスメントが放置される職場は、安心して健やかに働ける職場とは正反対のものだ。中小企業では二〇二二年に法施行がされるが、ハラスメント根絶のための労働協約を締結していこうではないか。

 ●第3章 全社会的に闘う春闘を

 毎年春に労働組合が一斉に「横並び」に職場改善の要求を提出し、春闘が闘われてきた。20春闘は新型コロナウイルス感染症の影響で連合が決起集会を中止するなど、「自粛」ムードが広がっている。わたしたちは最善の対策を取りながら自律的に職場と社会をつなぎながら春闘を展開していく。雇用延長労働者の待遇改善、オリパラによる出勤・退勤時間の変更、台風・大雪・地震など災害時の安全対策なども含めて課題は山積している。
 労働三権と生コン協同組合運動を破壊する全日建関西生コン支部への権力弾圧をはじめとしたあらゆる刑事弾圧・民事弾圧を「労働運動全体の水準」を引き上げることで粉砕しよう。ひとりの首切りも許さず、すべての争議に勝利しよう。わたしたちは官民連帯を築き上げ、あらゆる分断攻撃を跳ね返して全国的な左派労働運動を発展させるために奮闘する。スト権を確立し、企業規模間・雇用形態間の格差を是正し、社会全体に成果を波及させるべく20春闘を闘い抜こう。




 

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