共産主義者同盟(統一委員会)


1569号(2020年5月5日)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

 
 辺野古新基地設計変更申請弾劾

 工事やめろ! 米軍基地封鎖しろ

 緊急事態宣言に抗し改憲阻止―安倍打倒




 四月一六日、日帝―安倍政権は、新型コロナウイルス対策特措法(改悪・新型インフルエンザ等対策特措法)に基づく「緊急事態宣言」の対象地域を全都道府県に拡大することを発令した。
 四月七日の七都府県を対象にした「緊急事態宣言」に伴って「減収世帯に三〇万円給付」を掲げたが、手続きの複雑さ、給付対象が極少数者であることに与党内からも批判が噴出していた。なによりも感染は拡大の一途であり、すでに大都市圏では「医療崩壊」に直面していた。安倍政権の失政に対する労働者人民の怒りは日々高まっていた。これを抑え込むため今回の「緊急事態宣言」全国拡大に踏み込んだのだ。
 この安倍晋三の暴挙を徹底弾劾する。
 今問われているのは、労働者階級人民の命と生活、権利をいかにして守り抜いていくかだ。今こそ、労働者階級、非抑圧人民・被差別大衆の団結、プロレタリア国際主義の旗幟を鮮明に闘い抜こう。厳しい状況の中で、創意工夫をもって運動を創り出そう。

 ●第1章 「緊急事態宣言」拡大弾劾! 暴走する安倍を打倒しよう

 安倍右翼反動政権は四月七日、新型コロナウイルス対策特措法に基づき、「緊急事態宣言」を発令した。
 東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の七都府県を対象にし、期間は五月六日までの一カ月とした。さらに、四月一六日には全都道府県を対象に「緊急事態宣言」拡大を安倍晋三は発令した。
 われわれは、この「緊急事態宣言」が労働者階級人民を新型コロナウイルスの感染から守るものではなく、改憲への道を開く攻撃であることを徹底弾劾する。法改悪によって「緊急事態宣言」発令の権限を握った安倍晋三は、新型コロナ感染拡大の推移を見ながら、戒厳体制―改憲状況の先取りに突進することを狙っている。
 「海外の都市封鎖とは違う」としながら、公共の集会施設を休館にし、集会の自由を大きく制限した。民間の多くの業務に対する「休止要請」も半ば強制的に開始されている。社会全体に対する「自粛」の強制だ。
 四月七日の「緊急事態宣言」発令の同日、安倍は衆議院議員運営委員会で、「緊急時に国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えるか。憲法にどう位置付けるかは極めて重く大切な課題だ」と述べ、国会での改憲議論を促す発言をした。
 四月一〇日、自民党の憲法改正推進本部は、防衛大の山中倫太郎を招き、緊急事態条項を創設する改憲案について協議したという。自民党においても、コロナ感染拡大防止のため大半の会合を取り止める中、改憲論議会合を強行したのだ。
 四月七日の「緊急事態宣言」発令によって、派遣労働者・日雇い労働者の雇い止め・解雇といった生活に困窮する労働者人民の声が上がっているにもかかわらず、労働者人民の命と生活など眼中になく、ひたすらに独裁権力を手にするための謀議を安倍政権は行っていたのだ。
 自民党は二〇一二年に発表した改憲草案に、緊急事態条項を盛り込んでいる。この緊急事態条項は、武力攻撃、内乱、大規模災害などに際して、総理大臣が閣議にかけて「国家緊急事態」だと宣言すれば、①内閣は法律と同一の効力を持つ政令を公布でき、②内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分、地方自治体への指示ができ、③国民には国等の指示に従う義務が生じる、というものだ。強大な権限が内閣に集中する。しかも期間の制限なく延長することを想定している。
 現在強行されている「緊急事態宣言」は、法改悪を急ぎ、国会審議をないがしろにしたがゆえに、具体的にいかなる制限を行い、社会生活、経済活動がいかなる事態になるのか、あまりにも不明確であった。
 七日に「緊急事態宣言」を発令して、七都府県の権限に任せるような指示をしながら、「休止を要請する施設」の具体的項目については、国と都の間で、また、都・府・県の知事の間で齟齬があり、見解が対立していることを露呈した。
 果ては、「休止要請」と一体であるべき休業補償の具体的財政支出になると、その対立はさらに鮮明になった。労働者の生活を第一に意図した休業補償どころではない。政治家と官僚同士の権限と利権の争いになっている。
 安倍晋三は自らの腐敗した政治への批判を「コロナ対策」で払拭しようとし、小池は都知事選を念頭に置き、それぞれの政治利害で、派手なパフォーマンスを繰り広げている。
 労働者人民の命と生活、権利を本当に守ろうとはしていないことは、「宣言」発令を前後するドタバタで鮮明になっているではないか。

 ●第2章 労働者人民の生命と生活、権利を守ろう

 安倍政権が独裁的権限をほしいままにすることを絶対に許してはならない。
 「緊急事態宣言」で人民の命が本当に守れるのか。そもそも安倍政権がPCR検査を抑え込んできたことが、社会不安を拡大してきたではないか。韓国や中国をはじめとする世界各国と較べても、検査が少なすぎる。感染の可能性のあるすべての人々に検査がなされなくてはならない。
 四月一八日の時点で、国内の新型コロナ感染者は一万人を超えた。東京都内の感染者は、一八日に一八一人の感染者が確認され、その69%は感染源が不明。都内の感染者は計二九七五人と、日に日に数百人増加するというハイペースだ。
 すでに、東京都内をはじめ各地の医療機関で院内感染が発生している。救急搬送の患者が「新型コロナの感染の疑い」を理由に四〇の病院から受け入れを拒否され、搬送先の病院が決まったのは一時間半後という混乱が起きている。医療現場では、人員不足に加え、医療用のマスク、消毒薬、防護服が不足し、通常の診療・手術を延期あるいは止めなければならない悲惨な状態になっている。守れるはずの命が守れない医療崩壊の状態になっているのだ。
 マスク、防護服、体温計、薬品、医療施設をはじめとする必要な物資供給を、国が、その財政と資源を費やして行うべきだ。
 日本銀行は四月九日、東京株式市場で指数連動型上場投資信託(ETF)を総額一二一四億円買い入れたと発表した。通常のETF買い入れは、過去最大に並んでいた三月三〇日の二〇〇四億円から一二〇二億円に減らした四月一、二日と同額。ブルームバーグの集計では、年初来のETF累計買い入れ額は二兆九四五四億円となっているという。新型コロナウイルスの世界的な感染の広がりは、金融システムの問題ではない。実体経済において生産と流通、交通が止まったために引き起こされている。この情勢下において日本株を買い支えるためだけに、湯水のごとく資金を投入するとはなんたる愚行か。
 現在進行形の医療崩壊は、新型コロナウイルスが原因ではない。起こるべくして起こったことだ。人命よりも目先の利益を優先する安倍政権によって、医療機関や保健所の統廃合、人員削減、民営化が進められてきた。感染症に対して極めて脆弱な体制となってきたことは明白だ。今後のことを考えるならば、医療体制の強化こそが必要だったのだ。
 労働者人民の正当な権利として、休業補償を勝ち取ろう。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的規模での経済的混乱は、非正規労働者や移住労働者の生活を直撃している。就業機会を奪われ休業を余儀なくされるばかりか、解雇、雇い止めに直面する労働者が全国で続出している。
 安倍政権が新たに打ち出した「一人一〇万円給付」は、具体的にいつどのように給付されるのかが、安倍の記者会見では明らかにされていない。そもそも安倍政権が打ち出しているのは、「経済対策」の一環の一部に給付を盛り込むという考え方で、あくまで大企業を救済するのが優先なのだ。
 われわれは、労働者階級人民の命と生活と権利を守る立場に立った要求を掲げて闘う。休職・自宅待機等の労働者、フリーランスに賃金保障を100%実施すること。新型コロナ問題に便乗した解雇、雇い止め、内定取り消しを行わないこと。技能実習生・移住労働者の雇用と生活を保障することだ。

 ●第3章 米軍基地、米軍の世界展開こそ感染爆発の要因だ

 米軍基地内での新型コロナ感染が拡大している。
 安倍政権は当初、排外主義を煽りながら、中国、韓国からの入国制限のみを行った。批判されて、現在は米国を含む七三カ国からの入国を制限している。しかし、在沖米軍、在日米軍は入国管理の範疇からはずされているために、自由な出入国を続けている。しかも、米国防総省は三月三〇日段階で、米軍内部の感染者の詳細を非公開にすると発表した。
 世界各地を移動する米軍が新型コロナウイルスの感染拡大を引き起こしていても、米軍基地周辺住民は、その事実さえ知らされないという、恐るべき状況にある。
 米空母四隻で新型コロナウイルスの感染者が続出している。四月一三日には、空母セオドア・ルーズベルトの乗組員一人が死亡した。同空母は乗組員約四千八百人中、一三日時点で感染者が六百人弱に及ぶ。横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備中のロナルド・レーガンも、今回乗組員の感染やその疑いが明らかになった空母四隻の一隻なのだ。
 「スペイン風邪」と呼ばれたインフルエンザの感染爆発も、第一次大戦中に欧州を転戦した米軍が拡散したものだった。
 一九一八年春、アメリカ・カンザス州にあるファンストン陸軍基地の兵営での発生から一週間後に、ニューヨーク市で患者が報告された。一九一八年八月までには、マサチューセッツ州など各地の基地、学校、自動車工場などでも集団発生が報告された。バージニア州の基地では兵士が次々に倒れていった。
 そして、ヨーロッパ戦線の各地に送られた兵士らのなかに感染者がいたことから、五~六月にはヨーロッパ全域で流行がはじまった。その兵士の移動とともにウイルスも広がっていき、四カ月間で世界中がインフルエンザに巻き込まれた。このように、第一次大戦中のインフルエンザの拡散は、米軍の軍艦などが世界中を展開するなかで広がっていったのだ。
 日本には、在日米軍の米兵約五万七〇〇〇人と軍属約七〇〇〇人が駐留し、その家族も住んでいる。米軍の感染状況が非公表ということは、基地周辺住民にとっては、米軍基地があるが故に感染の危険性にさらされているということだ。
 さらに怒りをもって確認しなくてはならないことは、この米軍に対する日本政府―防衛相の対応だ。防衛大臣河野は四月三日の記者会見で、米軍の感染状況非公表の方針に従うことを明言した。また四月一六日、辺野古新基地建設の工事作業員の一人が感染し、一七日に一旦工事は中断された。しかし、防衛大臣河野は一七日の記者会見で工事を続行する考えを明らかにした。そして四月二一日、防衛省は辺野古新基地建設の予定海域・軟弱地盤の設計変更申請を行ったのだ。絶対に許すことはできない。人命よりも、米軍優先、軍事基地優先の防衛大臣は、即刻辞任せよ。
 米軍の感染状況を公表させ、米軍の出入国「航行の自由」を禁止せよ。



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.