共産主義者同盟(統一委員会)


1573号(2020年7月5日)






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   激化する新自由主義、排外主義に

  労働者階級人民の怒りを解き放て

  市東さんの農地守ろう

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 新型コロナウイルスの脅威がいまだ醒めやらぬ中で、これに対する安倍政権の無策、その反人民性が日に日に明らかになっている。安倍政権の存在は、労働者・民衆の命と生活の防衛とは相いれない。そのような安倍政権を一刻も早く打倒するために、力を合わせよう。
 米国にあっては、白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさんの虐殺事件に端を発して、米国の支配構造を揺るがす反レイシズム(民族差別・人種差別)の巨大な人民決起が広がっている。この闘いに連帯し、差別と抑圧、搾取にもとづく現代社会の根底的変革に向けて共にたちあがろう。

 ●第1章 トランプ政権を揺るがす反差別の人民決起

 米国のミネソタ州ミネアポリスで五月二五日に発生した白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行―殺害事件に対する抗議は、瞬く間に米国全土へと拡大した。この抗議行動が続く中で、さらに六月一二日にはジョージア州アトランタで白人警官が黒人男性を射殺する事件も起こった。黒人層をはじめとしたこの米国の労働者人民の巨大な決起は、全世界の抑圧された労働者人民の深い共感を呼び、フランスやイギリスをはじめとして世界各地で大規模な連帯行動が生み出されている。それは同時に、それぞれの国における民族差別・人種差別を鋭く告発するものでもあった。日本でもまた、国内在住の米国人らの呼びかけによって、「ブラック・ライブズ・マター」(黒人の命は大切)を掲げたデモンストレーションが大阪、東京、京都、沖縄などの都市で行われてきた。
 現在も継続しているこの米国の労働者人民の決起は、一事件に対する抗議にとどまらず、米国における白人至上主義、黒人層やアジアやラテンアメリカ出身の移民に対する差別、それらの上に成り立つ米国の支配構造に対する抑圧される労働者人民の蓄積されてきた怒りの爆発である。繰り返される白人警官による黒人への暴行と虐殺、および、それが免罪され続けてきたことは、米国におけるレイシズム(民族差別・人種差別)の象徴である。コロナ禍の中でのジョージ・フロイドさんの虐殺事件は、そのような差別政策に対する労働者人民の怒りに火をつけた。それは、警官の横暴だけでなく、白人至上主義的な言辞を繰り返すトランプ政権への徹底的な批判へと向かった。同時にそれは今や、一反動政権への批判を超えて、米国の歴史的な階級支配、差別分断支配の構造そのものを告発し、それを揺るがす深い質をもった労働者人民の一大決起として発展している。われわれはこの米国労働者人民の反レイシズムの一大決起に対して心からの連帯を寄せる。
 米国における構造的な民族差別・人種差別は、現在のコロナ禍の中で具体的な数値によって明らかになっている。米国での新型コロナウイルスによる黒人の死者の比率は、白人の二倍を超える。また、米国の四月の雇用統計では失業率が実に14・7%と第二次大戦後最悪を記録したが、黒人の失業率は16・7%と白人よりも高い。全体の失業率が若干下がった(13・3%)五月の雇用統計でも、黒人の失業率はわずかだが上昇している。貧困、それゆえに適切な医療にアクセスできないこと、差別ゆえの就労条件の制約が黒人層により大きな犠牲を強いている。それはまた、アジアやラテンアメリカ出身の労働者についても同様である。
 米国における反レイシズムの人民決起は同時に、トランプ政権の統治能力の限界を暴き出すものでもあった。拡大する労働者人民の抗議行動に対して、トランプは強権的な手法をもってその鎮圧にあたろうとしてきた。
 トランプはまず、「アンティファ主導の無政府主義者」などが騒ぎを起こしており、「アンティファをテロ組織に指定する」などどツイッターでつぶやき、戦闘的な抗議行動を展開する人々の分断を図ろうとした。アンティファ=反ファシズムをためらいもなく「テロ組織」と呼ぶことにトランプの反動的な歴史観を見てとることができる。トランプはさらに、各州知事との電話会談において、デモ参加者を「逮捕して刑務所に長期拘束すべきだ」と抗議デモの鎮圧を繰り返し迫った。実際、抗議行動は催涙ガス、ゴム弾、スタングレネード(音響閃光弾)など警察による激しい弾圧に直面してきた。そのうえで、トランプは六月三日、「都市や州が必要とされる行動を拒否する場合」には「米軍を派遣して速やかに問題を解決する」と宣言した。しかしながら、このトランプの宣言はさすがに支配階級内部でも同意を得られず、エスパー国防長官やマティス前国防長官、パウエル元国務長官など現旧の政権関係者、共和党内からも批判と嫌悪が表明された。そうしたなかで、トランプ政権への支持率は急落している。
 われわれは、差別支配構造の根底からの変革を迫る米国労働者人民の反レイシズム決起に連帯する。また、その連帯はわれわれにあっては、日本国内における差別・排外主義との徹底した闘争のなかでこそ本当のものになる。闘う米国労働者人民に連帯し、差別分断支配を変革する闘いを共にしよう。

 ●第2章 腐敗を極める安倍政権を打倒しよう

 「アベノマスク」に象徴されるような庶民の生活感覚とはあまりにもかけ離れた安倍政権のデタラメなコロナ対策によって、安倍政権への支持率はいくつかの調査によっては政権維持の危険水準を割り込む30%以下へと急激に下落している。少し前までは安倍政権を支持していた人々が、この深刻なコロナ危機のなかで、安倍政権の問題性、反人民性に気付き、政権を見限っている。
 こうしたなかで、六月一八日には、安倍内閣の前法務大臣河井克行およびその妻の河井案里が、公職選挙法違反(買収)で逮捕された。法務大臣を務めた者が、選挙にあたって自らの当選のために現金をばらまくなど、法治国家としてありえることだろうか。
 それほどまで日本の統治システムは腐敗し切っている。
 この河井克行・河井案里の公職選挙法違反だけでなく、「桜を見る会」に示された安倍による税金私物化、森友問題など、腐敗した安倍政権の姿がこのかん次々と明らかになっている。
 このような、安倍政権の反人民性は、「持続化給付金」制度をめぐってもあらためて明らかになった。
 持続化給付金は中小事業者および個人事業者に対して、事業を継続するために、ひいては失業者の発生を食い止めるために組まれた予算である。そのために国の新たな借金、国債が発行されている。
 しかし、この巨額の事業は、電通とパソナがでっち上げた幽霊会社「サービスデザイン推進協議会」なる社団法人に委託されていた。その上前をはねるためである。困窮している事業者に二〇〇万円が渡る前に、この電通とパソナのでっち上げた社団法人が何も仕事をせずに、数十億円を抜き取っていた。さらに、この社団法人から委託された電通やパソナも「経費」名目で数十億円を抜き取り、グループ会社に再委託をしていたのだ。
 これは、国家・企業ぐるみの詐欺事件といえるものである。森友・加計問題、「桜を見る会」に関わる税金の私物化、検事長の定年延長問題など、違法不当の限りを尽くしてきた安倍独裁は、人民の命と生活のための予算すら、腐敗した官僚と企業の餌食にしているのだ。腐敗しきった安倍政権を打倒するために、今こそ立ち上がろう!
 腐敗をあらわにしてきた安倍政権は、いよいよ追いつめられてきている。それは、それは新型コロナウイルス対策の右往左往にとどまらず、外交・防衛政策にも反映してきた。その象徴的な事態のひとつが、河野防衛大臣が六月一五日に表明したイージス・アショアの配備計画の「停止」であった。
 安倍政権が秋田と山口に配備を計画していたイージス・アショアは、維持費を含めて二基で六〇〇〇億円以上のコストがかかる。朝鮮民主主義人民共和国、中国、ロシアを仮想敵にしたこの配備計画は、米国の軍産複合体の利益に奉仕しつつ、東アジアにおける米国を中心とした「ミサイル防衛計画」の一翼を構成するものであり、この地域の政治・軍事緊張を不断に高めるものであった。しかし、その配備計画は地元住民の毅然とした反対闘争によって、そのプロセスの「停止」に追い込まれた。
 この地元住民を先頭にした断固たる闘いは、日米帝国主義の東アジア軍事支配戦略に大きな動揺と挫折をもたらしている。地元住民たちの現場からの反対闘争を基礎としてもたらされたこの配備計画の「停止」がもつ意義は実に大きい。地元住民の闘いに連帯し、配備計画の完全撤回に突き進もう。それは東アジアにおける反戦平和闘争への大きな貢献である。
 同時にわれわれは、安倍政権による沖縄・辺野古での新米軍基地建設のあくなき追求を徹底的に弾劾し、それと闘い抜いていかなくてはならない。
 六月七日の沖縄「県」議選では、玉城デニー現知事を支える「県」政与党が過半数を堅持した。それは辺野古新基地建設に反対する沖縄人民の意思をあらためて示すものであった。この沖縄人民の意思の表明に対する安倍政権の回答が、六月一二日からの辺野古埋め立て工事の再開であった。われわれはこれを徹底的に弾劾する。
 これに対して、沖縄の人々はコロナ禍を乗り越えて、新基地建設阻止行動を再開し、安倍政権の策動との徹底した対決の道を歩んでいる。これに応えて全国各地での連帯行動を組織し、辺野古新基地建設阻止の闘いを前進させよう。



 

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