共産主義者同盟(統一委員会)


1586号(2021年2月20日






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  森喜朗とJOCの女性差別糾弾!

 「復興五輪」反対! 全原発廃炉


 
 
 コロナ特措法・感染症法の改悪を強行した菅政権は、その強権的手法で労働者人民の批判を封じようとしている。しかし、政権の反人民性はますます露呈している。
 東北新社に勤務する菅首相の長男が総務省幹部を接待した事実が報道された。安倍政権と同様、首相のとりまきが利権をむさぼる事態が続いている。これこそが「安倍政権の継承」の実態だ。
 二月三日の日本オリンピック委員会(JOC)の評議委員会で、東京大会組織委員会会長の森喜朗が、女性の会議参加を否定する差別発言を公然と行なった。国内外から批判が噴出して驚いた森は、翌日になって発言を撤回して、事態を収拾しようとした。
 森はこれまでも差別主義、天皇賛美の発言をくり返してきたのであり、このような輩を会長にしてきた組織委員会そのものが腐り切っているということだ。しかもJOCの評議員たちは、この森の差別発言を笑いながら聞き、だれ一人批判する者もいなかったのだ。菅政権とJOCは一週間以上も差別言論を重ねて右往左往したあげく、一一日に「森の辞任」で事態を収束させようとしている。
 コロナ感染が拡大する中で「どんなことがあっても五輪をやります」と言い放った森喜朗、そしてこれに同調するJOC、IOCはオリパラ放映権をはじめとした巨額の利権にしがみついているのであり、参加予定選手をはじめ、人民の命を第一に考えてはいないのだ。森辞任で済むことではない。JOCそのものを解散し、東京オリンピックを中止せよ!

 ●第1章 コロナ特措法改悪弾劾 強権政治の菅政権打倒

 菅政権は一月二二日、コロナ特措法と感染症法、検疫法の罰則付き改悪法案を閣議決定した。立憲民主党との「修正協議」を決着させ、通常国会において予算審議前の二月三日、この改悪法案の可決を強行した。
 改悪感染症法では、入院拒否や入院先からの逃亡に対し五〇万円以下の過料が科せられ、保健所が行う疫学調査を拒否すれば三〇万円以下の過料が科せられる。また改悪コロナ特措法では、緊急事態宣言下で都道府県知事からの休業や営業時間短縮の命令に応じない場合に対し三〇万円以下の過料を設けた。さらに緊急事態宣言前でも時短命令を出せる「まん延防止等重点措置」を新設し、時短命令に応じない場合は二〇万円以下の過料を科すとした。
 疫学調査を拒んだり嘘を申告したりする行為も過料の対象となる。コロナ感染者が入院を拒否すれば罰金を払えということだが、そもそも全国各地の医療機関で病床不足が深刻であり、拒否どころか、入院したくても入院できない状態が続いている。そのため、十分な治療を受けられず自宅療養中に重症化して亡くなるケースが後を絶たない。その手続きは保健所等の行政機関が担うことになるが、当の保健所はいま、感染者の対応に日々追われ、保健所としての本来業務が十分にできない状態にある。連日の深夜残業・休日出勤が常態化し疲弊している現場に、さらに重荷を負わせようというのか。
 さらに、時短命令等に応じない事業者も罰金を払えということだが、これまでも緊急事態宣言下の時短要請で飲食業を中心に多くの事業者が閉店・廃業を余儀なくされてきた。そこで働いていた労働者は、当然職を失う。年末年始に東京・新宿で開設された「年越し支援・コロナ被害相談村」には、会社に休業補償を要求したら「もう仕事はないから次は契約しない」と、わずかな補償金のみを渡され解雇された人が相談に訪れていた。今回の罰則規定は、こうした状況に拍車をかけるものである。結局菅政権は、コロナ渦で苦しむ人民の姿に背を向け、政権延命に汲々としているのだ。
 今回の法改悪では、罰則によってコロナ感染対策が純粋な医療ではなくなり、犯罪対策として位置づけ直されることになる。コロナ感染症の医療現場に、警察権力の介入を必然化することになる。医師・看護師と患者との関係が、強制と監視、逮捕、罰則という弾圧―被弾圧の関係に再編されることとなるのだ。医療という社会関係が、菅の強権政治における弾圧機構の一環へと作り変えられる攻撃だ。差別排外主義のさらなる跳梁跋扈を促すこととなる。人民の分断と密告社会が出現する。結果として感染状況が隠蔽され、さらなる感染拡大を招くこととなる。
 そもそも感染症法は、旧伝染病予防法の下でのハンセン病等についての差別や偏見の教訓の上に制定されてきた経緯がある。今回の法改悪は、ハンセン病等の感染症差別を「総括」した現行感染症法に罰則規定を設けることによって、感染症法の理念を清算し、強制入院・強制隔離を可能とする法律に転化することになる。この観点については、日本医学連合などが抗議声明を出している。また、ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会は一月二二日、法改悪案に対する意見書を国と野党に対し送付している。意見書は「基本的人権尊重の観点から許されず、感染症まん延防止の観点からも極め付きの愚策」と断じている。
 われわれは、菅政権の差別排外主義攻撃と対決し、政権の失政と無補償を批判し、人民の生命と生活と権利を防衛する立場に立ち、コロナ特措法・感染症法改悪を怒りを込めて弾劾する。

 ●第2章 医療と生活を保障するコロナ対策を行え

 菅政権によるコロナ対策の失政により、全国各地で医療崩壊が起き始めている。コロナ渦の現状は、感染しても入院先や施設が準備されておらず、医療体制の不十分な隔離施設や自宅療養の場において重症化が急激に進み命を落とすという事態が続いている。人民の側が入院を拒否しているのではない。入院治療の体制が決定的に不十分だという安倍―菅政権を貫いた政策の失敗だ。人民は怒っている。労働者人民の命を救うための方策をとり、そこに国家予算を重点的に配分すべきというのが圧倒的多数の世論だ。
 しかし菅政権は、この期に及んで補正予算案の「GoTo予算」を撤回することなく、国会で通過させた。「緊急事態」であるのだから、旅行や会食のための「GoTo予算」を残すのではなく、医療等のコロナ対策にこそすべてを集中する政策判断を行うのが当然だ。政府や地方自治体が今行うべきことは、科学的根拠に基づいた感染予防対策であり、感染者が納得して治療を受けられるように社会全体の体制を整えることである。
 労働者人民の生命と生活を軽々しく扱う菅政権を、これ以上延命させてはならない。

 ●第3章 21春闘勝利 労働者の闘いに自粛はない

 コロナ渦にありながら、菅政権が「自助」を強制する政策をとってきたがゆえに、貧困化が急速に進んでいる。
 年末年始の「年越し支援・コロナ被害相談村」には、開設された三日間で三〇〇名以上の相談者が訪れた。「相談村」に訪れた人のほとんどは非正規雇用労働者や派遣社員であった。多くの人たちは、コロナによる失業や休業などによりギリギリの生活を強いられ、相談に来た時は所持金が一〇〇〇円以下であった。多くの相談者が「コロナ流行前は月一五万~二〇万円」の収入があったと語っていた。この金額は、東京で生活するにはギリギリの収入である。現在東京都の最低賃金は時給一〇一三円であり、月額に換算すると一六万二〇八〇円。ここから税金や社会保険料を差し引くと手取り額は一五万円以下である。全労協などは今春闘において「誰でもどこでも時給一五〇〇円、月額二五万円以上」の賃金を求めている。実現に向けた闘いが急務である。
 新型コロナ感染拡大により、業績が悪化した企業から解雇される外国人技能実習生が相次いでいる。新たな職探しは容易ではなく、加えてコロナ渦で航空便が激減して帰国も難しい状況にある。困窮した多くの実習生らが住まいや食事等の支援を求めている。「年越し相談村」でも、同じ境遇の滞日外国人が相談に訪れている。加えて技能実習生たちは来日する際に多額の借金を抱えており、さらなる苦痛を強いられている。安価な労働力として政府や企業が実習生たちを迎え入れておきながら、コロナ感染拡大等困難が生じたら切り捨てる。こうした実態は、滞日外国人を人間として見ていない証左である。入管法改悪反対、技能実習制度廃止は、日本の労働運動の重要かつ喫緊の課題である。
 二〇二〇岩国行動の反戦労働者交流集会で「労働者の闘いに自粛はない」という発言があった。まさにそのとおりだ! 労働者階級人民の生命と生活を守るため、21春闘に勝利しよう。反帝労働運動の前進を勝ち取ろう。労働者階級人民の敵、菅政権を打倒しよう。


 


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