共産主義者同盟(統一委員会)


1606号(2022年1月20日)






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 改憲・戦争の岸田政権打倒
 反帝闘争に立ち上がろう

  格差と貧困、排外主義を打ち破る
  階級的労働運動の一大前進を!

  

 二〇二二年は年頭から、米軍が持ち込んだ沖縄や岩国、および全国での新型コロナの再度の急速な感染拡大とともに幕を明けた。米軍が昨年九月以来、入国前後のPCR検査も実施せずに出入国を繰り返していたことも明らかになった。われわれはこれを怒りを込めて弾劾し、日米地位協定の即時・抜本的な改定を要求する。また、沖縄などでの米軍による有機フッ素化合物(PFAS)による深刻な環境破壊を弾劾する。同時に、あらためて日米軍事同盟粉砕―在沖・在日米軍基地撤去、辺野古新基地建設阻止の実現に向けて闘い抜く決意を明らかにする。
 コロナ情勢はいまだ不安定で、収束の目途が立っていない。労働者人民の苦境は深まるばかりである。しかし、このかんの辺野古新基地建設の続行が端的に示すように、日帝―岸田政権は反人民的政策を強行し続けている。また、米帝―バイデン政権による対中対決のエスカレーションの中で、アジア太平洋情勢の緊張が高まり続けている。こうした中で、柔軟かつ創意工夫をもって、岸田政権打倒に向けた全人民的政治闘争の前進、反帝国主義・プロレタリア国際主義に基づく闘いの発展、階級闘争構造建設の前進を着実におし進めていこう。
 『戦旗』一六〇五号(一月一日号)での内外情勢分析に続き、今号では、われわれ共産同(統一委員会)の昨二〇二一年の総括、本年二〇二二年の闘争方針、および党建設の基本方向について提起する。


●(1章)二〇二一年の闘いの総括

▼1 あらわになった新自由主義の矛盾

 昨年来のコロナ禍は、蓄積されてきた社会矛盾をあぶり出し、日本と世界の政治情勢・階級情勢にも大きな影響を与えてきた。日本においても、病院での治療が受けられず自宅療養のまま亡くなる人が続出するなど、「医療崩壊」が現実のものとなった。それは公共サービスを削りとり、貧困と格差を極限的に拡大してきた新自由主義政策の破綻であり、資本主義社会の無慈悲さを端的に示すものである。
 そうした状況下にあっても菅政権は、労働者人民の苦境を顧みず、支配階級の利益のために、東京オリンピックを強行し、さらに重要土地規制法の強行制定や辺野古新基地建設推進など、軍拡と侵略反革命戦争体制づくりを進めてきた。しかし、そのような菅政権の姿勢は労働者人民の不満と批判を高め、追いつめられた菅は衆議院選挙を前に自ら退陣するという選択を余儀なくされた。
 菅の後を継いで発足した岸田政権は、新自由主義の弊害を語り、「新しい資本主義」や「成長と分配の好循環」などを掲げて出発した。その内容はそもそも空疎であり、すでに実際の政策内容とは無関係なものとなっているが、そのように語らざるを得ないほど深刻な労働者人民の直面する現実、あるいは支配階級の危機を反映したものだと言える。
 持てる者と持たざる者との分裂がますます拡大する中で、現代社会のあり様に対する労働者人民の不満と怒りは深く蓄積し続けている。それは一方で差別・排外主義勢力の台頭を生み出すとともに、他方では今とは異なる社会への希求を労働者人民の中に拡大している。日本においても資本主義そのものへの懐疑と批判がより広がってきた。また、気候変動に関する取り組みや、昨年の通常国会での入管法改悪を阻止した闘いなどに多くの若い世代が積極的に参加している。それは日本社会の変化の兆しでもある。
 同時に、労働者人民の不満と怒りは、現段階においては、階級社会の中で自らに苦難を強制している敵階級とのはっきりとした対決へと階級的に組織されているわけではなく、その途上にある。その現実が改憲勢力が三分の二以上の議席を占めるという昨秋の衆議院選の結果をもたらした。その結果を受け、岸田政権はさらなる軍拡と侵略反革命戦争体制づくり、改憲策動をおし進めようとしている。
 それは「野党共闘」が政府・与党のキャンペーンに対抗しうるどのような内実をもっていたのか、われわれがこの選挙戦にどのように取り組めたのかという問題でもあるが、しかし、革命的左派としてのわれわれにとってより本質的で主体的な問題は、労働者人民の苦悩と怒りに結合し、それを日本帝国主義と正面から対決する階級闘争へと組織しうる革命的労働者党建設の存在と飛躍の問題があらためて提起されているということである。
 今日の情勢下でわれわれは、差別・排外主義と対決し、その激突を通しつつ支配階級との階級闘争を前進させ、全世界の労働者階級・被抑圧人民との国際連帯を築きあげていかなくてはならない。同時に、資本主義の根底的変革、帝国主義の世界支配の打倒、共産主義の実現をめざす闘いの中にこそ労働者人民の解放の展望があること、またそれを実現するための革命的労働者党建設の事業に結集することを、さらに大胆に呼びかけていかなくてはならない。昨年の情勢はそのことをあらためて示した。

▼2 二〇二一年のわれわれの闘い
 昨年の一年間を通してわれわれは、コロナ禍の制約と困難の中にあっても、各地で全人民的政治闘争の一翼を担い抜き、その発展を追求しようとしてきた。
われわれは菅政権から岸田政権へと続く軍拡と日米軍事同盟の強化、侵略反革命戦争体制づくりと改憲攻撃と対決する闘いを全国各地で推進してきた。横田や京丹後、築城などでの米軍基地・自衛隊基地の強化や日米合同軍事演習に反対する行動に各地で決起し、重要土地規制法制定反対闘争などの対国会行動の一翼を担い、8・6広島闘争をはじめ反戦闘争を推進してきた。辺野古新基地建設阻止闘争をめぐっては、コロナ禍の制約の下で「本土」から現地での闘いに直接参加することが困難な状況下で、首都圏での防衛省抗議行動、首相官邸前行動をはじめ各地で沖縄人民の解放闘争に連帯する闘いを推し進めた。
 そうした闘いの中で、とりわけアジア共同行動日本連絡会議の闘いを支えて取り組んだ一一月岩国闘争は、現地住民の粘り強い闘いと結合し、このかん進む岩国基地の集中的強化を許さず、日米軍事同盟のさらなる強化を推進しようとする岸田政権と正面から対決する闘いとして勝ち取られた。同時にその闘いを通して、全国反基地運動の結合、労働者反戦闘争の前進、韓国やフィリピンの闘いとの反戦・反基地、反帝国主義にもとづく国際連帯をおし進めた。
 われわれはまた、全人民的な政治攻防の重要な環として、広範な人々とともに反原発闘争に取り組んできた。とりわけ、四〇年超え老朽原発である若狭の美浜原発三号機の再稼働策動について、これを許さない闘いを現地闘争への決起を軸に取り組んだ。また、同じく四〇年超え老朽原発である東海第二原発再稼働阻止の取り組みや、上関原発新設阻止の取り組みの一翼を担ってきた。
 昨年の通常国会での成立を断念に追い込んだ入管法改悪阻止闘争について、われわれもまた広範な闘いの一翼として国会前での座り込みをはじめとする街頭行動に積極的に参加し、この領域での闘いを新たに前進させてきた。
 決戦の渦中にある三里塚闘争について、政府と成田空港会社の農地強奪策動および空港機能強化―第三滑走路建設策動に対して、反対同盟と共に断固として闘い抜いてきた。昨年六月の最高裁による請求異議裁判の「上告棄却」という反動的決定によってますます煮詰まる強制執行攻撃との対峙・対決を現闘・行動隊の同志を先頭に担い抜き、反戦の砦、反帝国主義闘争の拠点としての三里塚を守り抜くために闘った。
 また、連帯労組関西生コン支部への大弾圧を許さず、国家権力による闘う労働組合への破壊攻撃に対する共同の反撃の一翼を担い、労働運動つぶしの大弾圧を許さない実行委員会に結集する仲間と共に裁判闘争や街頭行動を担い抜いてきた。
 われわれは反帝国主義・プロレタリア国際主義に立脚し、上記のような政治攻防、日帝国家権力との対決を年間を通しておし進めると同時に、労働運動の現場や様々な社会運動を通して、コロナ禍の中で労働者人民の生活と権利を守るための日常的な闘いをおし進めてきた。そしてそれを日本帝国主義と対決する新たな階級闘争構造の建設と発展へと結実させるために全国各地で奮闘してきたのである。
 そのような階級闘争構造建設の不可欠の一部として、われわれは被差別大衆・被抑圧人民の解放闘争を持続的に推進し、女性解放、部落解放、障害者解放、被爆者解放、沖縄解放などの課題に取り組んできた。また、在日・滞日外国人の闘いに連帯し、入管闘争に取り組んできた。
 同時に、青年運動を新たに前進させ、また、日本帝国主義との対決へと階級闘争を導く「左派共闘」の前進のために努力してきた。
 この章の最後に、われわれはコロナ禍にあっても党組織としての基本的な組織活動を全党においてしっかり堅持し、その貫徹を基礎にして、階級闘争とその構造建設を牽引すべく全力で闘い抜いてきた。情勢は資本家階級との対決、資本主義・帝国主義の打倒、それを実現し階級解放・全人民の解放に向けて闘う共産主義主義運動の新たな前進を求めている。昨年一年間の成果を条件に、そうした革命的労働者党建設のさらなる飛躍を何としても実現しよう。圧政に抗し、変革を求める全世界の労働者・被抑圧人民の闘いと連帯・結合した日本階級闘争の前進を勝ち取ろう。


●(2章)二〇二二年の政治闘争の方針

▼1 反帝・国際主義に立脚し、岸田政権の打倒に向けて闘おう

 アジア太平洋地域の情勢は大きく流動している。米帝―バイデン政権は北京オリンピックの外交的ボイコットなど中国との対決姿勢をますますエスカレートさせている。バイデン政権は、中国の「一帯一路」構想に対抗するものとして、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進し、米日豪印の四カ国連携QUADを進めると同時に、軍事的にも中国包囲網を強化し、アジア太平洋地域での軍事展開を増強させている。それは軍事的には、日米軍事同盟のさらなる強化、米英豪による新たな安保枠組みAUKUSの発足、いわゆる「第一列島線」における「ミサイル防衛(MD)」体制の強化などとして現れてきた。
 日帝―岸田政権は、このような米帝の動きに積極的に結びつき、軍備増強と侵略反革命戦争体制の構築、「敵基地攻撃能力」の保有と憲法九条改悪に向けた動きをますます強めている。さらに、原発再稼働の推進など民意に反する反人民的政策をあくまで推進していこうとしている。
 新自由主義の弊害を語り「新しい資本主義」というスローガンを打ち出してみても、その内容は実に空疎で無意味なものであることは、すでに多くの労働者人民が気付いている。安倍や菅の政治を引き継ぎ、労働者人民の犠牲の上に、巨大企業・独占資本の利害を推進する岸田政権の打倒に向けて闘っていかなくてはならない。
 そのときに重要なことは、差別・排外主義を許さず、それと断固として対決して闘っていくことである。
 岸田政権は「中国の脅威」を排外主義的に煽動することで自らの政策に対する労働者人民の不満をそらし、侵略反革命戦争体制づくりを正当化しようとしている。また、日本政府による朝鮮民主主義人民共和国に対する経済制裁、徴用工問題を契機にした韓国に対する経済制裁、朝鮮学校への差別的処遇が継続している。そのような政府の態度を背景に、民間においても差別・排外主義勢力の様々な動きが継続し、強められている。それらと断固として闘い抜いていかなくてはならない。同時に、現代日本における差別・排外主義の歴史的背景としてある日帝の侵略戦争・植民地支配に対する政府による公式謝罪と賠償の実現、天皇制の打倒に向けた闘いをおし進めていかなくてはならない。
 また、その闘いの中でアジア各地の民衆運動、反帝国主義闘争との連帯を推進していくことが重要だ。コロナ禍の制約はあるが、工夫して全国各地の闘いの中に国際連帯の内実を形成し、日本階級闘争の国際主義的発展を切り拓くために闘うことである。同時に、在日・滞日外国人の闘いへの連帯と共同闘争、韓国サンケン争議などに代表される日系侵出企業下で闘う労働者との連帯をおし進めていこう。
 反帝国主義・プロレタリア国際主義に立脚し、差別・排外主義と闘い抜き、岸田政権の打倒に向けた全人民的政治闘争の前進を勝ち取ろう。

▼2 二〇二二年の政治闘争の課題
 コロナ禍の収束がいまだ目途がつかず、その一方で、支配階級が労働者人民の犠牲の上に、侵略反革命戦争体制づくりを推進しつつ、国内階級支配をますます強化しようとするなかで、われわれはこの二〇二二年の具体的な政治攻防を通して、岸田政権打倒の全人民的政治闘争の前進をかちとっていかなくてはならない。
 その第一は、岸田政権の軍拡・改憲攻撃と対決し、反戦・反基地・反安保闘争を推進していくことである。
 岸田政権は、とりわけ昨秋の衆院選以降、「敵基地攻撃能力」の保有と憲法九条改悪に向けた動きをますます強めてきた。加えて、この一月にオンラインで開催された日米2+2が示すように、日米軍事同盟のさらなる強化を進め、「台湾有事」への自衛隊の出動を念頭に置いた「日米共同作戦計画」の策定に踏み出してきている。琉球弧では自衛隊の配備増強とミサイル基地・レーダー基地の建設・強化が続いている。これらは、日帝の軍事予算の大幅増強に向けた動き、米軍に対する同盟強靭化予算(旧「思いやり予算」)の増額をともなって進められている。また、岩国基地をはじめ各地で米軍基地が強化され、日米合同軍事演習をはじめとした二国間・多国間の軍事演習がますます拡大・強化されている。
 「中国の脅威」といった排外主義煽動と断固として対決し、自国帝国主義打倒の立場を鮮明に、全国各地で反戦・反基地・反安保闘争の前進を勝ち取っていこう。また、QUAD首脳会談の日本開催の報道もなされている。日米帝国主義によるアジア軍事支配の強化を許さず、これとの対決を組織しよう。
 第二に、沖縄解放闘争を前進させ、辺野古新基地建設阻止闘争を推し進めていくことである。
 昨年一一月二五日の玉城デニー沖縄知事による辺野古埋め立て工事に関する「設計変更」不承認の決定に対して、沖縄防衛局はただちに行政不服審査法にもとづく審査請求を国交省に申し立てることで、あくまで辺野古新基地建設を推進しようとする支配階級の意思をあらためて示した。しかも、その埋め立て工事を今も沖縄戦の犠牲者の遺骨が眠る土地の土砂を使って推進しようとしているのだ。こんなことが許せるはずがない。
 辺野古新基地建設阻止はこのかん何度も示されてきた沖縄の民意だ。それに応え連帯する「本土」各地での闘いをさらに大きくつくりだし前進させていかなくてはならない。
 今年二〇二二年は沖縄解放闘争と辺野古新基地建設阻止闘争にとってきわめて重要な年となる。すなわち、沖縄の反革命的統合から五〇年目の節目の年であり、一月二三日の名護市長選に続いて、夏の参院選、そして九月の沖縄知事選と統一地方選など重要な選挙闘争が連続する。秋には「国民文化祭」を口実にした天皇沖縄上陸が狙われている。
 選挙闘争に断固として勝利すると同時に、様々な取り組みをもって辺野古現地での闘いと結びつき、新基地建設を最終的な断念に追い込もう。5・15闘争を闘おう。また、琉球弧の自衛隊の配備増強を許さぬ闘いを進めよう。
 第三に、原発再稼働阻止闘争を軸にして、反原発闘争を推進していくことである。
 昨年一〇月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画は、総発電量における原発の比率をこれまでと同じ20~22%に据え置いた。人民の過半が原発の廃炉を求めているなかで、その民意を無視する決定である。それだけでなく、今回は盛り込まれなかったものの、原発の新増設に向けた動きが日本でも気候変動対策などを口実にして進められようとしている。徹底的に弾劾しなくてはならない。
 全原発の停止―廃炉の展望を実現するための展望として、原発再稼働阻止闘争、とりわけ四〇年超え老朽原発の再稼働を許さない闘いを推進していこう。同時に、四〇年におよぶ地元住民の闘いに連帯し、上関原発建設を断念させるために闘おう。
 政府・東電による福島原発事故による汚染水の海洋放出策動に反対して闘おう。その被害は日本国内だけでなく、近隣諸国をはじめ多くの国々の人民に及ぶ。それを許さず闘うことはわれわれの国際主義的な課題だ。
 また、福島からの避難者ヘの支援の打ち切りを許さず、福島の人々の困難な闘いへの連帯に取り組もう。あわせて、あらかぶ裁判をはじめ原発被ばく労働者の闘いへの支援・連帯を進めよう。
 第四に、農地強奪を許さず、強制執行攻撃と対決し、反戦の砦、反帝国主義闘争の拠点としての三里塚闘争を守り抜いていくことである。
 最高裁は昨年六月、反対同盟員・市東孝雄さんの農地をめぐる請求異議裁判の上告棄却を決定することで、政府と成田空港会社が虎視眈々と狙う天神峰・南台の農地の強制執行にお墨付きを与えた。以降、強制執行による大義なき農地強奪がブルジョア法的にはいつでも可能な状態が続いている。
 これに対して反対同盟と現地支援勢力は、強制執行と実力で対峙・対決する態勢を取って闘いを継続している。この闘いを支え、全国から市東さんの農地を守り抜く現地での闘いにぜひとも参加しよう。
 政府・成田空港会社はこのかん市東さんの農地の強奪を狙うと同時に、空港面積を現在の二倍にまで拡張し、周辺住民の騒音被害を拡大する空港機能強化―第三滑走路建設を進めようとしてきた。しかし、コロナ禍はそのような計画のでたらめさ、不必要性を暴き出した。コロナ禍は実際、元々減少傾向にあった成田の空港需要の縮小を大きく促進した。農地強奪や新たな滑走路建設の必要性など、どこにも存在しないのである。
 われわれは現闘、行動隊を先頭にして、反対同盟と共に本年の現地攻防を断固として闘い抜いていく決意だ。
 第五に、権力弾圧との闘いである。
 まず何よりもこのかん連帯労組関西生コン支部に対してかけられてきた大弾圧への階級的反撃を、闘う労働者人民、労働組合と共に断固として組織していくことである。
 昨年一二月一三日、加茂生コン事件の控訴審において大阪高裁は、「強要未遂」で二人の組合員に有罪判決を下した一審判決を破棄した。一人は完全無罪だが、もう一人には別の論点で罰金刑を課したという意味では不当判決だが、関生支部の活動が労働組合としての正当な活動であることを認める実質的な勝利判決だ。この判決をばねに反撃を拡大していこう。
 この判決をばねにしつつ、連帯労組関西生コン支部は、昨年末の「弾圧をはねのけろ! 全国アクション」の成功に続いて、本年年頭から大阪府警前での元旦行動を呼びかけ、意気軒昂に闘っている。言うまでもなく、関西生コン支部にかけられた攻撃はすべての闘う労働組合、社会運動にかけられた攻撃である。われわれは、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会に結集する仲間とともに、権力弾圧に対する階級的反撃の闘いを推進し、すべての裁判闘争の勝利に向けて闘い抜く。
 同時に、権力による労働運動、社会運動への政治弾圧は、昨年の韓国サンケン争議支援の闘いへの弾圧が示すように、強まり広がっている。不当な弾圧を徹底的に弾劾し、同時に弾圧に屈しない闘いの強化を勝ち取っていこう。

▼3 階級闘争構造建設の推進を

 われわれは新たな階級闘争構造建設という問題を一貫して提起し、実践してきた。すなわち、個々の政治攻防を断固として戦闘的に闘い抜くと同時に、その闘いを一過性のものに終わらせず、それを日本帝国主義と対決する全国と各地における階級闘争の拠点建設・陣形建設にしっかりと結びつけていくということである。
 それは日本におけるプロレタリア社会主義革命の勝利に向けてわれわれが営々と担い抜いていかなくてはならない重層的な任務の一部であり、新たな社会を準備する階級の力量、革命の内実を形成するものでもある。われわれはそれを、全国の原則的な共産主義者、共産主義党、闘う活動家と共に推進していく。
 この領域における課題を当面する情勢との関係での任務を含めて以下に提起する。

▲1 階級的労働運動の飛躍を
 われわれはこのかん、一方での産業別・業種別労働組合の建設と他方での地域合同労組・地域一般労組建設の推進を路線的に鮮明にしてきた。そして、この二つを言わば「縦糸と横糸」とする共闘構造を各地で編み上げ、同時に大衆的政治闘争や被抑圧人民・被差別大衆の解放運動と結びつくことで、労働組合・労働運動を日帝―独占資本と闘う階級闘争の基礎基盤として再構築することをめざしてきた。それは、連合支配を打ち破って労働者の階級的団結を回復し、その階級形成をおし進めるための実践的な道でもある。
 コロナ禍が続く中で、多くの労働者が雇止めや解雇、長期休業の強制に直面してきた。とりわけ非正規、女性、青年、外国人労働者に、その犠牲が集中している。また、医療・福祉の現場などでは苛酷な労働実態を強いられている。労働者内部での格差と分断、貧困が拡大している。
 こうしたなかで階級的労働運動に求められる役割は実に大きい。最も犠牲を強いられる層の労働者の利害に依拠し、その生活と権利を守る闘いを全力で推進していこう。大幅賃上げ、全国一律最低賃金一五〇〇円、均等待遇の実現、社会保障の改悪阻止、技能実習生など外国人労働者の権利確立、これらの実現を22春闘を通して勝ち取ろう。同時に、労働者反戦闘争や反差別解放闘争、国際連帯運動を労働運動の立場から推進していこう。
 一方、日帝ブルジョアジーは、国際資本間競争での生き残りをかけて、「第四次産業革命」の推進を通して、裁量労働制をはじめとする労働政策の転換、労働者保護制度の解体を進めようとしている。それは八時間労働制を解体し、労働者階級からその集団性と階級的自覚を奪い取って個々に分断し、資本に都合の良い形に労働と労働者を再編成していこうとするものだ。また、それを一つの背景に、連帯労組関西生コン支部への大弾圧や韓国サンケン労組支援の闘いに対する弾圧など、労働組合運動に対する弾圧も強まっている。それを打ち破り、新たな形で強まる資本攻勢と対決する階級的労働運動の飛躍をぜひとも実現しよう。

▲2 被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争の推進を
 被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を推進していくことは階級闘争構造建設にとっての重要課題の一部であり、日本革命にとっての不可欠の構成要素である。
 帝国主義間争闘・「大国間競争」の激化、および、その中での日帝の生き残りをかけた侵略反革命戦争総動員体制の構築と国内階級支配の再編・強化は、日帝―国家権力による排外主義煽動の強まりと極右勢力・差別・排外主義集団の台頭をもたらしている。それと断固として対決し、被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争の前進を共に勝ち取っていこう。
 部落解放運動においては、無実の石川一雄さんの狭山第三次再審闘争の実現をめぐる煮詰まった攻防が続いている。再審実現とその勝利のために力を集中し、全国各地での取り組みを発展させていこう。また、鳥取ループ・示現舎の「全国部落調査」復刻版出版事件に関する東京地裁差別判決を弾劾するとともに、SNSなどを通した部落差別の煽動を許さず断固として闘い抜こう。
 障害者解放運動においては、天皇制優生思想にもとづく障害者差別抹殺攻撃を許さず、それと断固として闘い抜いていくことである。障害者は、コロナ禍とそれがもたらした「医療崩壊」の中で、必要な対策、必要な介護すら受けられないような日常的現実に直面してきた。さらに、「命の選別」を肯定するような差別的言辞も発生してきた。それを許さず、障害者・精神障害者の解放闘争を前進させよう。
 被爆者、被爆二世・三世の解放闘争は、反戦・反核・反原発・被爆者解放を掲げ、8・6広島闘争をはじめとする反戦・反核闘争の先頭に立ってきた。また、上関原発建設阻止闘争に取り組み、日韓反核闘争連帯などの闘いを進めてきた。あわせて、被爆二世集団訴訟をはじめ、国籍を問わずすべての被爆者、被爆二世・三世に対する国家補償を要求して闘ってきた。この地平をさらにおし広げていこう。
 沖縄解放闘争は今年、沖縄の反革命的統合五〇年という歴史的な節目を迎える。辺野古新基地建設阻止―普天間基地撤去、自衛隊の配備増強粉砕など直面する闘いを推進しつつ、沖縄―「本土」関係の歴史的・構造的関係をあらためて捉え返し、沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒・米帝放逐の綱領的・路線的闘いを推進していこう。沖縄人民の自己決定権を支持し、沖縄―「本土」人民の革命的団結を創造・発展させ、同時に沖縄人共産主義者とその闘いの建設・前進を実現しよう。
 女性解放闘争においては、コロナ禍の中で労働現場や家庭における女性の抑圧・犠牲が様々な形で強まっている現実を踏まえ、女性差別の現実と闘い、女性の団結を促進する大衆的な運動をぜひともつくりだし、前進させていかなくてはならない。また、日本軍性奴隷制度被害者への支援、戦後補償実現の闘いも重要な課題だ。それらを通して女性の階級的・国際主義的団結を発展させ、女性解放運動の前進を勝ち取ろう。
 同時に、セクシャル・マイノリティーの解放闘争に具体的に取り組んでいくことが必要だ。多国籍企業をはじめとする大企業が「ダイバーシティー」(性の多様性)を謳い、「LGBT法案」の国会提出が議論されるなかで、われわれを含む革命的左派の取り組みは立ち遅れている。そのことを率直に認め、現実から学び、当該の人々と共に、セクシャル・マイノリティーの階級的な解放運動をつくりだしていかなくてはならない。
 在日・滞日外国人と連帯し、入管闘争を推進していくことである。入管法改悪案の再度の国会上程を阻止するために闘おう。日帝ブルジョアジーは「外国人人材の導入」の拡大を一歩一歩進めながら、彼らを雇用の調整弁として底辺労働に据え置き、入管体制の下で抑圧・監視体制を強めようとしている。在日・滞日外国人の権利の前進と確立、さらに国内階級支配の一環であり、差別・抑圧と排除を基調とする入管法―入管体制の解体に向けて闘いを前進させよう。

▲3 青年運動の前進の実現を
 われわれは、青年運動をさらに推進し、青年の階級闘争場裏への登場を促進していく。
 新自由主義政策は、多くの青年をして将来の展望を描くことが困難な非正規労働に追いやり、貧困と社会的閉塞感・孤立感を拡大させてきた。学生層においても高額な学費と学業・アルバイトのタイトなスケジュールのなかで同様の事態に直面している。コロナ禍はそのような状況を増勢し、青年層における生活危機とも言える状況をも生み出してきた。
 しかしそうしたなかで、現在の社会のあり様に疑問と批判を持つ青年自身による社会変革に向けた活動への新たな参画も始まっている。
 青年層の闘いは、言うまでもなく日本階級闘争の未来を担う闘いである。われわれは様々な形での立ち上がりを支え、促進していく。同時に、われわれにとって、あるいは、社会の根本的変革を展望した階級闘争の前進にとって重要なのは、階級的、反帝国主義的、国際主義的な青年自身の運動を今日の情勢と条件の中で前進させていくことである。
 学習活動や様々な闘いの現場訪問などを通して階級的世界観を獲得し、自らの階級的・国際的位置を自覚していくこと、国内外の労働者階級、被差別大衆・被抑圧人民の闘いとの連帯実践をつくりだすと同時に、反戦・反基地・反安保闘争などへの決起を通して自国帝国主義の打倒に向けた階級的隊列へと自らを参画させること、そのような闘いをぜひとも発展させていかなくてはならない。

▲4 反帝国際主義派の闘い
 階級的労働運動、被抑圧人民・被差別大衆の解放運動、青年運動を推進しつつ、そうした諸階級層、各戦線の闘いを結集した反帝国際主義派の政治潮流の建設を実体をもって前進させていかなくてはならない。
 アジア太平洋地域の民衆団体の国際ネットワークである「日米帝国主義の侵略・支配に反対するアジア・キャンペーン」(AWC)は、今年一〇月に創設三〇周年を迎える。このような長期にわたり、韓国、フィリピン、台湾、インドネシア、米国、日本などの民衆団体が、反帝国主義に基づく団結を維持し、反帝国主義に基づく共同闘争を実践的に組織し続けてきたことの意義は実に大きい。その国際的な闘いを支え、反帝国際共同闘争のさらなる前進を勝ち取ろう。
 コロナ情勢の現実のなかで、いましばらくは国境を跨ぐ往来、民衆運動の直接的な結合は難しい情況にあるが、オンラインを通じた交流・連帯・結合など創意工夫を発揮して、AWC運動の国際的な発展を支え、反帝国主義・プロレタリア国際主義にもとづく国際連帯運動を前進させてこう。
 同時に、われわれの反帝国主義・プロレタリア国際主義の実践的内実として、韓国サンケン争議支援など日系侵出企業下で闘う労働者の争議支援、在日・滞日外国人の闘いへの連帯と共同闘争、日帝の侵略戦争・植民地支配に対する日本政府による公式謝罪と賠償の実現のための闘いなどを推進していこう。

▲5 左派共闘の発展を勝ち取ろう
 左派勢力の結集と共闘を前進・発展させていくことは、われわれにとって重要な課題である。岸田政権の打倒に向けた全人民的政治闘争の発展、日本帝国主義と対決する階級闘争の前進を実力闘争を基礎に切り拓くための共同の努力を、われわれは資本主義批判・帝国主義批判に立脚する全国の共産主義者、共産主義党、闘う活動家たちと共に推進していきたいと考えている。
 そのような見地から、われわれは「資本主義を超える新しい時代を拓く反戦実行委員会」(反戦実)、「戦争・治安・改憲NO! 総行動実行委員会」、「有事立法―改憲阻止 反帝国際連帯 反戦闘争実行委員会」、「9条改憲阻止共同行動」などの取り組みに積極的に参加してきた。
 われわれは国政選挙をめぐるいわゆる「野党共闘」や「野党と市民の共闘」の取り組みを一般的に否定したりはしないし、人民の今日的要求を背景に条件のある地方においてはそれを実践的に促進していく。しかし、いまここで問題にしているのは、日本帝国主義の打倒、あるいは革命の実現という課題との関係での革命的左派の独自の役割と実践であり、そこに照準づけられた階級再編の問題である。
 すなわち、左派勢力の共闘を拡大し、その内実を深化させていくという課題は、日本帝国主義の労働者人民に対する激しい攻撃が不可避に要請しているものであると同時に、日本におけるプロレタリア社会主義革命、共産主義運動の再建に関わる課題である。そのためにも、全人民的政治闘争、反帝国主義闘争における実践を共通の基盤として、様々な分野での討議、交流、共同行動を積極的に進めていきたいと考えている。分散を克服し、左派勢力の共闘を前進させ、日本階級闘争の戦闘的再編を切り拓こう。


●(3章)革命的労働者党建設の飛躍を共に実現しよう

 われわれは今、歴史の大きな転換期の内にある。米帝の歴史的な没落と中国の世界的な大国としての台頭は、国際情勢の流動を規定する大きな要因のひとつとなっており、帝国主義間争闘・「大国間競争」の激化と、国家・資本と労働者人民の対立、階級と階級の対立の先鋭化を世界的な規模でもたらしている。その中で帝国主義の世界支配のほころびがあちこちで現れている。あわせて、貧困と格差の世界的・極限的な拡大、深刻化する地球環境問題と気候変動、そして現在の新型コロナウイルスのグローバルな感染拡大などを通して、ますます多くの人々が資本主義というシステムそのもの歴史的な行き詰まりを感じるようになっている。
 こうした中で資本主義そのものの問題性があらためて語られ始めている。日本でも「資本主義の終焉」をめぐる議論が徐々に広がってきた。資本主義は、階級支配に基礎を置き、人間よりも利潤が優先され、資本が増殖している間だけ労働者が生きながらえることができるという冷酷なシステムである。それを根底から覆すこと、搾取・抑圧・差別の世界的な規模での廃絶、階級解放・全人民の解放の実現に向かって進む共産主義運動の新たな復権こそが求められている。そのためにこそ、そのような道に向かって労働者人民の現実の闘いをけん引する革命的労働者党の建設と飛躍が問われている。われわれはこの課題に正面から向き合い、革命的労働者党としての共産同(統一委員会)の飛躍のために闘っていく。
 米国・欧州の青年層の中に社会主義への期待が広がっているように、今日の情勢下で、日本社会においてもますます多くの青年、ますます多くの労働者人民の中に、資本主義への疑問と批判、それに代わる新たな社会への希求が広がっていくことは疑い入れない。今こそ共産主義の大義と理論、われわれがめざすべき社会と世界、その実現可能性をいっそう広く、大胆に語っていくべきときだ。
 その時に、一国社会主義と生産力主義、労働者人民の自己権力としてのソビエトの否定と破壊などを内容として人民抑圧体制へと転化したスターリン主義の歴史的破産の総括をさらに深化させていくことは重要である。同時にロシア革命一〇〇年後の今日、レーニン主義の否定の一環として、国家権力の打倒を否定し、それををめざしたこと自体が誤りであって、そのことがスターリン主義を導いたというような議論が、かつての革命的左派を含めてあらためて広がっている。それはまた、プロレタリア独裁の否定と結びついている。
 しかし、二一世紀に入って国家の本質が何か変容したわけではない。そのような意味で、日本共産党の「資本主義の民主主義的改良」というあからさまな社民主張は論外としても、政治革命を欠落させた漸進的な「社会革命」をめぐるさまざまな議論は今日にあっても無効である。ブルジョア国家権力の存在とそれによる弾圧という現実を直視し、それとの熾烈な攻防を前提に社会変革、革命の展望を立てるべきなのであり、ブルジョア独裁権力の打倒とそれに代わるプロレタリア独裁の実現、および、その内実を今日からどのように形成していくのか、と問題を立てるべきなのだ。
 われわれの革命的労働者党建設は、日帝ブルジョアジーの反動的・反人民的政治に対する労働者人民の闘いの最前線に全党員がその身を置いて闘うことを前提とする。われわれはあくまで現実の階級闘争に立脚し、労働者階級・被抑圧人民の闘いを共に推進し、そのなかで革命的で階級的な党の建設を展望する。それは、現実の階級闘争と切断された党の同心円的拡大の中に未来社会を展望する宗派主義の誤りとは区別されたものである。
 われわれはまた、プロレタリア国際主義に立脚し、世界各地で拡大する労働者人民の抵抗闘争に連帯して闘う。そのなかで、社会変革の展望を共有し国内外で苦闘し前進する同志たちと連帯しつつ、国際共産主義運動の前進を勝ち取っていく。
 同時にわれわれは、各級党組織の原則的な闘いを基礎にして、完黙・非転向の原則を貫き、いかなる国家権力の弾圧にも屈しない党建設を推進していく。
 いまや資本主義の根底的変革、帝国主義の世界支配の打倒、社会主義・共産主義の道への結集をこれまで以上さらに大胆に提起すべきときである。全国の闘う仲間の皆さんに、ぜひともこの闘いを共にすることを呼びかける。
 共産主義者同盟(統一委員会)と共に、階級解放・全人民解放に向けた闘いの前進を切り拓いていこう。今こそ共産主義の旗を高く掲げよう。








   

 


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