共産主義者同盟(統一委員会)


1607号(2022年2月5日)






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 改憲阻止! 岸田右翼反動政権打倒

  22春闘 貧困、格差、差別をなくす闘いを

  

 一月二三日の名護市長選は、辺野古新基地反対を鮮明にした岸本洋平候補が惜しくも敗れた。辺野古新基地建設を「黙認」する渡具知武豊が再選された。安倍、菅、岸田政権はいずれも辺野古新基地建設を強行し続ける一方で、渡具知市政は「黙認」の対価として基地再編交付金を受け、それをばらまいてきた。
 この一方で、日米安全保障協議委員会(2+2)、日米首脳会談を通して、日米軍事同盟の強化が確認されている。より具体的には、沖縄・琉球孤を戦場と想定する日米共同作戦計画の策定にまで踏み込んでいる。
 反革命的統合五〇年の今、沖縄差別軍事支配が劇的に強められようとしているのだ。日米帝国主義が再び戦争を具体化する同盟関係に突き進んでいくことを絶対に許してはならない。反戦、反基地闘争に断固立ち上ろう。


●第1章 米軍基地のコロナ感染拡大放置弾劾!

 昨年秋からCOVID―19(以下、コロナ)の日本における感染者はは減少していた。多くの人民が、感染拡大に注意し、デルタ株が最後の大流行になるようにと努力を続けてきた(その一方で、政府や資本は人民に犠牲を強いてきた)。第五波が収束し、うやく大規模な感染拡大がおさまったかにみえた二〇二一年末から、今度はオミクロン株による感染が急拡大してきた。このオミクロン株の急拡大は、明らかに米軍基地から起こっている。オミクロン株が流行していた米本国等から来日・来沖してきた米軍関係者は検疫をスルーし、日本国内の空港や基地を経由して沖縄や岩国の基地に入った。その後も、基地の外に外出し、マスクを着用せず、街に出歩き、飲食をするといった事態が起きてきた。
 昨年一二月一七日に沖縄のキャンプ・ハンセンで集団感染が確認されて以降、沖縄、岩国、三沢、横須賀、厚木、座間、横田、富士、佐世保などの各基地で集団感染が起きた(経ケ岬などでも陽性者が確認されている)。日本外務省の発表では、一月一九日までに在日・在沖米軍基地・施設区域内での感染者は六三五〇名であり、そのうち在沖米軍関係者は四一四一名にのぼる。朝鮮半島にもっとも近い「極東最大の航空基地」となった岩国基地でも累計で一九一八名が感染した。
 昨年末以来、基地立地住民と基地で働く労働者や家族たちは、米軍由来のオミクロン株感染拡大に深刻な脅威と恐怖を感じてきた。基地労働者でつくる全駐労(全駐留軍労働組合)沖縄地本は組合員がオミクロン株に感染し、一〇〇〇名以上の労働者が濃厚接触者になったことを受けて、新たに国外・「県」外から到着した米軍関係者の所定期間内の待機や基地内でのマスク着用(二度目のワクチン接種を条件にマスク着用義務を緩和していた)を義務付けること、従業員へのPCR検査などを沖縄防衛局に要請した。
 沖縄の玉城デニー知事も、一連の出来事に対して「絶対に看過できない」と強い言葉で批判し、①米軍関係者の沖縄内への移動停止、②全米軍人・軍属へのPCR検査実施と外出禁止、③基地内での変異株解析体制の構築などを在沖米軍トップのジェームズ・ビアマン四軍調整官や日本外務省に要請した。
 しかし、年が明けて以降も、沖縄、山口、広島を中心に各地で感染が拡大していった。一月八日からそれらの地域で「まん延防止等重点措置」が適用された。これらは、沖縄や岩国の米軍基地での集団感染の発生、そして米軍人・軍属の基地外への移動による感染拡大によるものだ。日本における「第六波」の感染拡大を招いた最大の原因は駐留米軍の存在である。
 岸田政権の「水際対策」なるものが、米軍人・軍属を対象外にしてきたために、米国でのオミクロン株の感染爆発がそのまま在沖・在日米軍基地に持ち込まれ、基地周辺での感染爆発を引き起こしてきた。岸田政権は、ただちに人民の命と生活を守る対策をとるべきだ。すべての米軍基地を封鎖させなくてはならない。日本政府は、一二月の下旬になってようやく「水際対策」に米軍関係者も加えることをアメリカ政府に要請した。米軍は一二月三〇日になって米軍関係者を対象に入国二四時間以内のPCR検査や抗原検査を実施すると方針転換したのだった。
 昨年九月(日本における第五波のさなか)に米軍は運用をあらため、出国する軍人・軍属の検査を取りやめていたが、日本政府はそのことを把握していなかった。根本的には日米地位協定の問題がある。日米地位協定第九条には「米軍は米軍人、軍属、家族を日本国に入れることができる」と記されており、日本側は米軍関係者の入国を拒むことはできない。また、日本の民間空港を経由する場合を除いては、検疫の手続きは米軍に委ねられている。国際的にも際立って「不平等な」地位協定といわれて久しい。米軍由来の感染拡大が明らかになった後でも、岸田首相は記者会見や国会答弁において、「日米地位協定の改正は考えていない」「日米合同委員会での協議で十分」と表明している。
 レイシストたちの用語に「在日特権」というものがあるが、日米地位協定によって保障された駐留米軍関係者の待遇こそが「特権」である。中国や朝鮮、あるいは韓国に対しては歴史わい曲と差別排外主義に基づいた宣伝を行う日本政府だが、「不平等な」日米地位協定に関しては黙認し、アメリカのアジア太平洋戦略に追従していくというグロテスクな事態となっている。今こそ、日米安保体制が人民の安全と平和に鋭く敵対していることを訴えていこう。


●第2章 岸田政権打倒を闘おう

 一月一七日、第二〇八通常国会が開会した(会期末は六月一五日)。昨年一〇月の解散総選挙後、岸田政権にとってはじめての通常国会となる。安倍―菅と続いたあからさまな人民軽視姿勢を部分的にあらため、「人の話を聞く」ことをモットーに、市場に過度に依存しすぎた新自由主義から転換して「新しい資本主義」へと舵を切ると主張してはいる。
 開会日に行なわれた施政方針演説では、コロナ対策に失敗した前政権および前々政権の轍は踏むまいと慎重に対応していくことを述べた。一方で、医療崩壊的な事態への対処や「コロナ不況」下で倒産・廃業などによって今この時も路頭に迷っている失業者、「まん防」によって経営困難になる産業の事業者に対するメッセージはまったくなかった。
 「全ての人が生きがいを感じられる社会へ」と称して、「新しい資本主義を支える基盤」として「老若男女」「障害のある方」をあげ、「多様性が尊重される社会」を目指すとしている。女性については、「人生や家族の在り方が多様化する中、女性の経済的自立や、コロナ下で急増するDVなど女性への暴力根絶に取り組みます」とし、「孤独・孤立に苦しむ方々」を支えるためにきめ細かい支援をしていくとしているが、どのように具体化されていくかを注視しなくてはならない。
 また、新自由主義の考え方を乗り越える「歴史的なスケールで経済社会変革の動き」がはじまっているとして、「成長と分配の好循環」と「中間層の維持」を掲げ、春闘にも介入していくことを宣言した。22春闘がはじまっているが、中小民間労組の春闘に取り組み、企業間・雇用形態間・ジェンダー間の格差是正と労働条件の改善を労働者自身の力で獲得していかなければならない。コロナ前から続く新自由主義の不公正さをただす根拠は人民の闘いの中にしかない。
 岸田首相は、宏池会・ハト派のイメージを売りにしているが、その外交政策は中国敵視・朝鮮敵視の改憲・軍拡路線である。
 一月七日にオンライン形式で開催された日米の外交・防衛担当閣僚会合(日米安全保障協議委員会。2プラス2)では、「台湾有事」を煽り、対中国で日米軍事一体化を進め、日米共同作戦計画を策定していくことが確認された。日本政府は在日米軍駐留負担の「思いやり予算」を「同盟強靭化予算」に改称して増額した。
 機密漏洩対策義務を民間企業に義務付ける「経済安全保障法案」の国会上程も進められている。さらに、公安調査庁は、米中対立の中で日本国内の企業、大学、研究機関等に「産業スパイ」が浸透しようとしていると描き、法整備の必要性を主張している。本年には、QUAD(日米豪印戦略対話)の首脳会議が日本で開催されようとしている。岸田首相は「敵基地攻撃能力の保有」に前のめりになり、憲法審査会に野党も巻き込んで改憲論議を活発化させようとしている。安倍元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」が継承・発展させられようとしているのだ。七月参院選まで入管法改悪などの対決色の強い法案は出さない方向だと伝えられている。各地で岸田政権と対決する陣形を整えていこう。


●第3章 反帝闘争に立ち上がろう

 コロナ禍で沖縄社会が大きく揺れる中で、昨年玉城デニー知事は公有水面埋め立て変更申請の「不承認」を決断した。玉城知事と沖縄人民の決意を支持し、辺野古新基地建設阻止の運動を進めよう。
 三里塚では、天神峰の市東孝雄さんの農地を守り抜くために「決戦態勢」のもとで日々の営農と攻防が継続している。多くの人に呼びかけて、援農や現地見学、反対同盟との交流会等を実現しよう。
 まもなく、東日本大震災と福島第一原発の大事故から一一年を迎える。核と人民は共存できない。関西電力・美浜三号機、高浜一、二号機(いずれも福井県)、日本原子力電力・東海第二(茨城県)、これらの老朽原発再稼働を阻止しよう。



   

 


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