共産主義者同盟(統一委員会)


1610号(2022年3月20日)






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   ロシア軍は侵攻をやめ、撤退せよ

 
 ウクライナ人民、ロシア人民と連帯し
 ウクライナ反戦闘争を闘い抜こう
 
                         

第一章 ウクライナ侵略戦争の即時停止を!

 二月二四日、ロシアがウクライナ侵略戦争を始めた。現時点までだけでウクライナ住民数千人が死に、数万人が負傷し、その暮らしがすべて壊され、人々を絶望の淵に追いやっている。
 第一に、今回の事態をどう捉えるかだ。
 私たちは、一つに、まず何よりもロシアによる帝国主義的なウクライナ侵略戦争には一片の正当性もない。プーチン政権はウクライナ侵攻をただちにやめ、ロシア軍を撤退させろ!
 二つに、しかし、ロシア軍の軍事侵攻の背景には米帝・欧州帝によるNATOの東方拡大とその一環としてのウクライナのNATO加盟推進があったことだ。帝国主義間争闘が生み出した事態なのであって、米帝・欧州帝とロシアとの軍事的対立・緊張がロシア軍のウクライナ占領策動へつながったのだ。つまり帝国主義こそが当事者だということだ。
 三つに、この機に便乗した政府と右翼勢力による「台湾危機論」など軍備増強論と民族排外主義と対決してこれを粉々に打ち砕くのでなければならない。安倍晋三は、ロシア批判どころか米帝の核兵器を日本が「共有」すべきとほざいた。これをはじめとして中国脅威論が加速している。だが、「台湾危機」をもたらしている主要因は中国ではなく米帝だ。日米豪印のQUADや米英豪のAUKUSなどの軍事同盟を強化しつつ、多国籍間の軍事演習を東アジアで連日行っている米帝こそが軍事的緊張を高めているのだ。
 四つに、ウクライナ・ロシアの人民をはじめとする全世界の人民と連帯してウクライナ反戦闘争に決起しよう。侵略された側のウクライナ人民が抵抗の銃を取る権利は当然ある。だが、己の私腹を肥やすためには人の命など意に介さず軍隊を侵攻させ、あるいは支援の名目で武器を大量に売りさばいている帝国主義者同士の対立の構図の中で前線において殺し殺されるのは、これまでの全ての帝国主義戦争および侵略反革命戦争と同じように、今回も労働者人民同士なのだ。この惨事を一刻も早く止めなければならない。
 第二に、ウクライナ侵略戦争が、第二次世界大戦争の戦勝国かつ核保有国による相互対立をはらみながらの形式的な協調にもとづいた国連を象徴とする帝国主義世界支配体制の終焉を意味する点だ。国連は帝国主義による国際支配の道具であるが、同時に、労働者階級人民及び植民地従属国=第三世界の声を反映させる場としても一定機能してきており、国際会議や宣言を通じて民主主義・平和・人権の国際基準が――たとえそれがブルジョア的限界を越えられないものであったとしても――作り出され、現場での闘いの武器として機能してきたことも事実だ。その意義をこれまで最も踏みにじってきたのがベトナム・アフガニスタン・イラク・シリアで戦争を起こして無数の住民を殺戮してきた米帝とその同盟国だが、ロシアも旧ソ連時代のポーランド・チェコスロバキア侵攻とアフガニスタン侵略に続いてウクライナに対する東部地域の軍事支配に加えて今回の全土占領攻撃に踏み込んだ。何も知らされずにロシアでの演習と思って侵攻したロシア軍兵士の極めて低い士気、燃料不足で停まる車両続出に象徴される兵站の不備などの実態をさらしながらも、ロシア軍は保育所・幼稚園を含めた住居空間への無差別爆撃・砲撃による大殺戮を続けている。ロシア軍は欧州最大規模のザポリージャ老朽原発へのミサイル攻撃を敢行した。原子炉を攻撃すれば、福島の原発事故を超えるユーラシア大陸規模の大原発事故となる。現在、ウクライナでは原発一五基が稼働中である。核使用も含めた欧州大戦への拡大の道を突進している。
 ウクライナの最大貿易国である中国は、今回の侵略で交易利益が全て吹っ飛び、大型プロジェクトの風力発電プラント建設はつぶれた。ロシア軍侵攻はないという政府の判断により自国民数百人が取り残されてロシア軍越境の数日後にやっと避難作戦が始まった。中国の「国益」に全面的に反する事態になった。中国はいったんはプーチンの決断を支持したものの、三月二日の国連総会におけるロシアの即時撤退を求める非難決議案の採択に際しては棄権した。
 第三に、今回の事態をどう分析し、どのような方向で実践していくのかが日本と世界の共産主義者に厳しく問われていることだ。「社会主義と戦争」ということだ。第一次世界大戦時に左翼が問われた課題と同じだ。ロシアへの非難に絞る意見、米国などの帝国主義への非難が主でロシアによる侵略に対する批判が皆無あるいは弱い見解など様々なとらえ方が噴出し、それが行動の今後を規定している。私たちは、①ロシアによるウクライナ侵略戦争をまず批判するが、②それが帝国主義間争闘の中で起こったものであり、欧米帝国主義は正義の味方では全くないこと、③日本の権力と右翼どもは排外主義を激化させ、この機に便乗した中国脅威論の鼓吹と戦争態勢づくり推進の血塗られた策謀を徹底的に批判して打ち砕くこと、④ウクライナ人民・ロシア人民をはじめとする全世界の人民と連帯してウクライナ反戦闘争に起ち上がり、ウクライナ侵略戦争の即時停戦を実現すること、以上の観点に立って闘っていく。


●第二章 経済安全保障推進法案を批判する

 日本政府が数年前から力を注いできた経済安全保障推進法案が閣議決定されて国会に提出された。それまでの最近の動きをまず押さえておこう。まず、二月一日に経済安全保障法制に関する有識者会議が「経済安全保障法制に関する提言」を公表した。同提言は①「重要物資や原材料のサプライチェーンの強靭化」、②「基幹インフラ機能の安全性・信頼性の確保」、③「官民で重要技術を育成・支援する枠組み」、④「特許非公開化による機微な発明の流出防止」の四点を打ち出した。
 中味を見ると、①は、必要不可欠な輸入原材料や海外生産の部品の供給が止まった時への備えだ。昨年の半導体不足が事例の一つだ。②はエネルギー・交通網・金融などへのサイバー攻撃への備えだ。昨年米国の石油会社へのサイバー攻撃がもたらした交通の大混乱が想起される。③は、他国との競争で勝つために先端技術開発を国家主導で行うための仕組みを整えることだ。④は、軍事関連の発明が他国に利用されないようにその特許を非公開にすることだ。
 九日には日本経済団体連合会が「経済安全保障法制に関する意見」を政府に建議した。上記四点を概ね肯定的に評価した上で、経済インテリジェンス機能の強化、情報保全制度の導入などを追加で提案している。要点は経済インテリジェンスで、要するに経済分野での他国のスパイ活動も含めた情報収集活動を国家次元で飛躍的に強化しろ、そうでないと個別企業では対処できないということを意味している。
 二五日、政府が「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案」を提出した。上記提言に沿った内容だ。同法案の肝は上記4点のうち③と④だ。すなわち、「宇宙・海洋・量子・AI・バイオ」(提言)の先端技術を軍事分野も含めて政府・民間・学術の三位一体の協議会を通じて国家主導で開発し、中国や他帝との競争に勝つこと、特に軍事技術の発明もしくは軍事転用可能な技術の発明に関しては

特許を非公開にして海外への流出を防ぐという狙いだ。つまり、人民の知らない間に核兵器も含めた軍事技術をどんどん開発し、技術大国になって生き残るという構想だ。絶対に許してはならない


●第三章 ウクライナ侵略戦争反対、QUAD首脳会談粉砕

 まずもって、ウクライナ反戦闘争に全国あらゆる場で立ち上がろう。ロシア軍による殺りくを一刻も早くやめさせよう。ウクライナ人民、ロシア人民をはじめ全世界の人民とともに闘おう。
 二月一一日に開かれたQUAD(日米豪印)外相会談の声明で、次回首脳会談を「二〇二二年前半に開催する」と発表した。中国脅威論をあおり、中国への軍事的圧力をさらに強めるための強盗会談に他ならない。粉砕あるのみだ。反戦闘争、反基地闘争に立ち上がる広範な人民の結集で実行委員会を形成し、QUAD反対闘争に全力で立ち上がろう。
 辺野古新基地建設阻止! 琉球弧を戦場化する日米軍事同盟粉砕! 5・15沖縄現地闘争に起ち上がろう。
 3・27芝山現地闘争に結集しよう。市東さんの農地を強奪しようとする攻撃を打ち砕いて農地を守り抜こう。第3滑走路建設阻止、空港機能強化白紙撤回を闘い、空港廃港へと進んでいこう。
 春闘に勝利しよう。最低賃金一五〇〇円を実現しよう。労働法制改悪策動、職場での労働者の権利侵害を許さず、反撃していこう。
 ともに闘おう。






   

 


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