共産主義者同盟(統一委員会)


1628号(2023年1月20日)







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  大軍拡―侵略反革命戦争粉砕
  岸田政権打倒に立ち上がろう

  三里塚・農地強奪絶対阻止  G7広島サミット断固反対
 



 ロシアによるウクライナ侵略戦争が長期化し、多くのウクライナ人民が犠牲を強いられるなかで二〇二三年を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、物価高騰と低賃金のもとで労働者、人民の生活苦が深まっている。
 岸田政権は年末に閣僚四人が辞任に追い込まれ、支持率を低下させながらも、大軍拡と原発再稼働にのめりこんでいる。
 もはやこのような政権のもとでは労働者人民に未来はない。一刻も早く岸田政権を打倒するために、全国で闘いに立ち上がろう。
 『戦旗』前号での内外情勢分析に続き、今号では、われわれ共産同(統一委員会)の昨年の総括、本年の闘争方針、および党建設の基本方向について提起していく。


■1章 二〇二二年の闘いの総括

市民の怒りを糾合した「安倍の国葬」粉砕闘争

 継続する新型コロナウイルスの感染拡大と、ロシアによるウクライナ侵略戦争の勃発という情勢を迎えた昨年、われわれは侵略戦争に反対し、この機に乗じた岸田政権の侵略反革命戦争体制づくりを許さず、各地で闘いを進めてきた。
 二月二四日に始まったロシア軍によるウクライナ侵略戦争は、いかなる口実を設けようとも、大ロシア主義にもとづく帝国主義的な侵略戦争である。われわれはこれを国際反戦闘争によって阻止すべきであることを、ロシア大使館に対して、あるいは街頭デモにおいて訴えてきた。
 岸田政権はこの機に乗じて、五月「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と日本の大軍拡を進めることを宣言した。そして実際に、敵基地攻撃能力の保有や防衛費倍増を盛り込んだ防衛三文書の改定作業を始めたのである。さらに岸田は同月、戦争体制づくりの一環として、経済安保推進法を成立させた。
 五月二三~二四日に東京で行われた日米首脳会談とクアッド(日米豪印戦略対話)で、世界を「民主主義と専制主義」と色分けし、中国包囲網づくりに乗り出したバイデン政権に対し、岸田政権は全面的に協力した。東アジアの緊張を煽り、琉球弧の戦場化をもたらしかねないクアッドに対し、われわれは各地の反戦・反基地運動と連携して、首都圏では新宿デモや首相官邸に向けた抗議行動、京都では市内デモを取り組んだ。
 参院選直前の七月八日、遊説中の安倍晋三元首相が銃殺された。これをも追い風に、自公政権は参院選で改選過半数を超え、改憲勢力が衆参の三分の二以上を保持する結果となった。
 ところが岸田が一方的に「安倍の国葬」方針を打ち出したため、政権支持率は急速に低下した。安倍銃殺事件を通じて、反共犯罪集団=統一教会と自民党の長年にわたる癒着構造が暴露され、市民の怒りは日増しに高まった。
 われわれは国葬反対運動を全国各地で展開し、憤激する人々を糾合した。首都圏では「戦争・治安・改憲NO! 総行動」の仲間とともに「国葬反対! 安倍元首相の死を悼まない! 共同行動」を結成し、九月二三日に新橋でおこなった集会・デモには三〇〇名の参加を、二七日当日に国葬会場である日本武道館に向けた集会とデモには六〇〇名の参加を勝ち取った。どちらも主催者の予想を大きく超える結集だった。
 国葬当日の集会で、AWC首都圏のメンバーは安倍が戦時性奴隷制度の報道に圧力をかけ改ざんさせたことを例にあげ、安倍が排外主義、歴史修正主義の頭目として性奴隷制度被害者の糾弾を踏みにじり、朝鮮民主主義人民共和国や韓国への排外主義・経済制裁を政策としておこなった最悪の政治家であり、国葬など絶対に許してはならないと訴えた。
 関西でも市内デモがとりくまれ、AWCに結集する青年たちがその闘いの先頭に立って牽引した。また安倍の選挙基盤である山口県では、県主催の「県民葬」に対する抗議行動が展開された。
 国葬反対闘争はまさに安保法制との闘い以来の大衆的高揚となり、最終的には世論調査でも国葬反対が六割を越え、弔意の強制は粉砕された。国葬を改憲と戦争体制構築に利用しようとした岸田政権の目論見は吹き飛ばされた。われわれは国葬反対闘争の一翼を担いぬき、かつそのなかで排外主義と闘い、アジア人民との連帯を実践する内容を訴えてきた。

沖縄「復帰五〇年式典」反対闘争と岩国行動の成功

 国葬反対闘争を頂点とする全人民的政治闘争を闘いながら、われわれは各地において反戦、反基地闘争を絶えず推進し、その中で沖縄解放闘争を切り拓いてきた。
 反戦・反基地運動では、沖縄・辺野古新基地建設に対し、コロナ禍の制約がありながらも不屈に闘いぬく沖縄人民に連帯し、首都圏における防衛省抗議行動や各地での街頭行動を展開した。「台湾有事」煽動のもとで急激に進行する琉球弧への自衛隊配備、その軍事要塞化に反対してきた。ミサイル部隊が強行配備された宮古島を訪問し、粘り強く闘う住民との連帯をかちとった。それだけではない。京都・京丹後におけるXバンドレーダー基地反対闘争、航空自衛隊築城基地強化との闘い、首都圏の米軍横田基地反対闘争など、闘う住民とともに全国の反戦・反基地闘争にとりくんできた。
 一一月、2022岩国行動は、こうした各地の反基地闘争を集約する闘いとなった。米戦闘機が低空飛行訓練の爆音で周辺住民を苦しませ、朝鮮半島、中国をにらんだ軍事演習の出撃拠点として強化されたのが岩国基地の今日の姿だ。岩国行動は、この攻撃と正面から対決し、岩国基地の撤去を掲げ、各地の反基地運動を担う広範な人々と団結する機会となった。同時に、日米帝国主義が煽る東アジアの軍事的緊張に抗し、韓国をはじめアジア民衆との実践的連帯を刻印した。岩国行動参加者は、厳戒態勢の岩国基地に向けたデモを力強くおこなった。
 反基地運動と並行して、岸田政権の大軍拡や日米合同軍事演習、憲法審査会を通じた憲法改悪策動に対し、防衛省抗議デモや国会前行動にとりくんだ。われわれは首都圏、関西、西日本の各地において、反戦派の労働組合や市民の立ち上がりに応え、「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」の呼びかける集会・デモに参加し、あるいは「戦争・治安・改憲NO! 総行動」などの左派共闘の現場で、粘り強く闘いぬいてきた。
 沖縄では、昨年、岸田が「オール沖縄」の画期的地平を解体し、辺野古新基地建設をごり押しするため、一月の名護市長選、九月の「県」知事選と統一地方選に総力を挙げた。だが、玉城デニー知事の再選・勝利に示されるように、沖縄人民は改めて新基地建設を拒否する民意を明確にしたのだ。
 われわれは辺野古新基地建設阻止の現場攻防に連帯するとともに、沖縄の反革命的統合五〇年を居直り、「基地の島」沖縄を強制し、天皇制のもとに沖縄人民を取り込む攻撃として仕掛けられた「復帰式典」に対する反対闘争を、沖縄現地―「本土」を貫いて闘った。式典会場に向けたデモ、名護市での「復帰五〇年を問う」シンポジウムに取り組んだ。首都圏では、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが呼びかける銀座デモをともにたたかった。

反原発闘争、三里塚闘争、国際連帯運動を推進

 反原発闘争は昨年、岸田政権による原発政策の大転換によって重大な試練に直面した。岸田は八月、GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で「原発の最大限活用」を打ち出し、関係省庁に指示をおこなった。ウクライナ侵略戦争による「エネルギー危機」「電力ひっ迫」を口実に、原発の新規増設、既存原発の運転期間の大幅延長、次世代原子炉の開発・製造を進めるというのだ。老朽原発の再稼働に向けた動きがさらに加速している。われわれは若狭の美浜原発三号機(関西電力)、茨城の東海第二原発(日本原電)の再稼働阻止を、電力資本への直接抗議闘争や現地闘争を軸として、広範な人々と共闘して闘った。上関原発(中国電力)新設阻止の闘いの一翼を担った。かつ、韓国の反原発運動との国際連帯で、福島第一原発の汚染水放出策動に反対した。
 三里塚闘争もまた、決戦局面を迎えた。一〇月一八日、成田空港会社がついに反対同盟・市東孝雄さんの農地に対する強制執行の法的手続きを開始したのだ。その対象は市東さんの天神峰農地、営農に必要な作業場、南台の農地など多岐にわたる。まさに一九七一年、大木よねさん宅に対する強制代執行以来の暴挙を空港会社が行おうとしている。絶対に許すことはできない。反対同盟はすでに天神峰に決戦本部を置き、日夜、防衛体制を敷いてきた。われわれもまた、日本反帝戦線三里塚現地闘争団、統一委員会行動隊を先頭に、監視と実力阻止の体制の一翼を担っている。そして全国から三里塚に駆けつける人々の大衆的受け皿となってきた。三里塚闘争は、B滑走路北側延伸工事、第三滑走路建設という空港機能強化策と合わせて、市東さんの農地強奪実力阻止の闘いがまさしく正念場を迎えている。
 昨年われわれは、国際連帯闘争をコロナ禍の制約にあっても推進した。アジア共同行動日本連は、六月国際連帯集会を各地で開催するとともに、2022岩国行動を頂点とする反戦・反基地闘争を力強く推進し、韓国、台湾、フィリピンの民衆との団結を日本階級闘争に着実に刻印した。クアッド反対デモを滞日フィリピン人民とともに闘った。また韓国サンケン争議は、サンケン労組の粘り強い闘いと日本の労働者市民の連帯の力で、七月、勝利的解決が勝ち取られた。われわれはまた、「奴隷労働」を強いられている外国人技能実習生の権利を守るべく、入管体制そのものの廃止をめざして闘った。入管法の改悪を許さず、入管体制のもと呻吟する外国籍住民を支援し、連帯してきた。


階級闘争の新たな構造建設を推進

 われわれはこの間、新たな階級闘争構造の建設という問題を一貫して提起してきた。すなわち激しく流動する政治攻防を断固として先頭で担いぬくと同時に、そうした闘いを一過性のものに終わらせず、日本帝国主義と正面から対決する全国と各地における階級闘争の永続的な拠点建設、陣形建設にしっかり結合させていくということである。
 そのために昨年、われわれは階級的労働運動建設、被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争の推進、青年自身による運動と組織の建設、反帝・国際連帯闘争、左派共闘の推進を体系的に進めてきた。

階級的労働運動
 階級的労働運動の現場でわれわれは、「八時間働けば人間らしく暮らせる社会」を掲げて、けんり春闘を闘った。五月一日、東京、関西、北九州など各地で開催されたメーデーを広範な労働者階級とともに担った。各地で「最低賃金を引き上げろ」「不当解雇をやめろ」「軍備を拡張するな」「労組弾圧を許すな」の声が轟いた。その声は、連合が岸田政権にすり寄り・協力するのとは一線を画して、労働者が政府と資本に突きつける切実な要求だ。ロシアのウクライナ侵攻、帝国主義各国の制裁と対立を煽る政治によって物価が高騰し、非正規・不安定雇用の労働者の生活を直撃している。われわれは最低賃金の全国一律で大幅な引き上げを求めて闘った。同時に、公的介護が危機に陥るなかで、待遇改善を求める介護労働者と連帯し、ともに闘った。警察権力・資本の一体となった労働運動・労働組合破壊の攻撃に各地で闘い、とりわけ全日建関西生コン支部に対する熾烈な弾圧を広範な共闘で押し返すために奮闘した。「労働運動つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」に結集する仲間とともに裁判闘争、街頭行動を担った。2022岩国行動を労働者自身による反戦闘争としてともに闘いぬいた。

青年運動
 青年運動では、青年たちの新たな立ち上がりが始まった。コロナ禍のもとでの学生・青年労働者の生活破壊、人類の存続を脅かす気候変動、ウクライナ侵略戦争の勃発と激動する情勢のなかで、政治に対する怒りを青年が持つのは当然である。安倍国葬反対闘争では、初めてデモに参加した青年たちも少なくなかった。われわれは反戦闘争、三里塚闘争、入管闘争などさまざまな街頭闘争に青年を立ち上がらせ、ともに闘ってきた。同時に、活性化する青年たちのなかに資本主義・帝国主義に対するラディカルな批判を掴むための理論学習会を持ち込み続け、戦争と貧困の時代を終わらせるための理論的確信を青年たちのなかに培っていくために活動してきた。

部落解放運動
 差別・抑圧されている人々の自己解放闘争は、日本階級闘争の不可欠の一部である。われわれは部落解放、障害者解放、被爆者、被爆二世・三世の解放、女性解放、セクシャル・マイノリティー解放、入管体制の解体に向けて、当事者の苦闘に学びながら、その拠点建設を推進してきた。
 部落解放運動は、狭山第三次再審闘争が最大の山場を迎えている。一九六三年、石川一雄さんが不当逮捕されてから六〇年を迎えるが、昨年八月、狭山弁護団による東京高裁への「事実取調請求書」提出がおこなわれた。事実調べ・鑑定人尋問の実現に向け、全国で狭山再審を求める集会やデモが取り組まれ、署名活動が精力的に展開されてきた。われわれもまた「狭山差別裁判糾弾! 石川さん無実の再審を開始せよ! 全国狭山闘争連絡会議」(全狭連)とともに、部落大衆と連帯しつつ闘ってきた。同時に、鳥取ループ・示現舎による部落差別煽動と闘い、「部落探訪」と称するインターネットへの動画掲載を許さず闘った(その後、広範な抗議運動の成果として、「動画探訪」をグーグル社は削除した)。

障害者解放運動
 障害者解放運動においては、コロナ禍とそれがもたらす「医療崩壊」という現実、あるいは社会の分断・孤立のなかで災害時の障害者避難はどうなるのかといった問題とも向き合いつつ、障害者の地域における共生・共闘を闘ってきた。天皇制優生思想のもと、日本では障害者の差別抹殺政策が続き、障害者の「生きる権利」が日々脅かされている。われわれは強制不妊手術の国賠訴訟や、国連障害者権利委員会「勧告書」に対する評価を『戦旗』紙上で明らかにし、障害者解放運動の展望を指し示してきた。

被爆者解放運動
 被爆者、被爆二世・三世解放運動においては、反戦・反核・反原発・被爆者解放を掲げ、8・6広島青空式典をはじめとする反戦、反核闘争の先頭に立ってきた。ウクライナ侵略戦争でプーチン大統領が核兵器使用の恫喝をおこなったことを弾劾する一方、米帝が広島・長崎に原爆を落とし、今に至るも被爆者に謝罪もせず戦争犯罪とは認めていないこと、「唯一の被爆国」を自称する日本政府もまた核兵器禁止条約に署名していないことを強く批判してきた。被爆二世の法的援護を求める集団訴訟、被爆者援護法にもとづく手帳の交付を要求して闘った。また、中国電力による上関原発(山口県)建設に対しては地元住民とともにその阻止にむけて闘ってきた。

女性解放運動
 女性解放運動においては、コロナ禍で一層、女性が家族に対する責任を押し付けられたり、労働現場でも、とりわけ非正規労働者の女性が失業、困窮のなか苦しい立場に追い込まれていることが鮮明になっている。われわれは、「年越しコロナ相談村」や「女性のための女性による相談会」等でそうした女性たちとつながり、女性たちを支援する中で、しかし女性は救済の対象なのではなく、みずから解放をかちとる主体であり、共に社会変革をめざす仲間であることを明らかにして、女性解放運動を進めてきた。

セクシャル・マイノリティーの解放
 セクシャル・マイノリティー解放運動では昨年、「トランス女性を差別するな! 3・26京都デモ」がおこなわれた。トランスジェンダー当事者が街頭に出て「見た目で人を排除するな!」「トランス女性に安全な医療を!」と訴えた。われわれはこの闘いを支持し、これまでトランス女性差別の問題への取り組みが立ち遅れてきたことを率直に認め、当該の人々に学び連帯していく。トランス女性差別を生み出す社会の変革に向け、共に立ち上がる。

入管闘争
 入管闘争では、すべての在日・滞日外国人と連帯して、入管法の改悪と、技能実習制度の廃止に向けてたたかった。昨秋、法務省は入管法の国会上程を見送ったが、外国人を雇用の調整弁として底辺労働に据え置き、監視・抑圧する入管体制に変化はない。また、外国人技能実習制度のもとで文字通り「奴隷労働」を強いられる労働者の権利を守り、この制度そのものの廃止に向けてたたかった。

 階級的労働運動、青年運動、被差別・被抑圧人民の立ち上がりを支持し、共に現場でたたかい抜いた昨年の地平を踏み固め、岸田政権を打倒する二三年の激闘に立ち上がろう!

■2章 二〇二三年闘争方針

G7広島サミット粉砕! 岸田政権打倒

大軍拡攻撃粉砕
 第一に、岸田政権の大軍拡攻撃を粉砕しよう。
 去る一二月一六日、岸田政権は安保三文書「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の閣議決定を強行した。戦争のできる国家体制に向けた、戦後史を画する一大攻撃だ。大軍拡に向けた予算、敵基地攻撃能力の保有は、「専守防衛」をかなぐり捨て、日本帝国主義がいよいよ他国の人民を虐殺する侵略反革命戦争を準備する、ということだ。
 かつて二千万人もの人々の命を奪った日帝によるアジア太平洋侵略戦争から七七年を迎える。天皇ヒロヒトを頂点とする戦争責任、被害者に対する戦後補償がないがしろにされたまま、再び日本が軍事大国として復活することを、断じて認めるわけにはいかない。
 三文書のうち、「国家安全保障戦略」は中国の動向について「核・ミサイル戦力を含む軍事力を広範かつ急速に増強」しており、それは「これまでにない最大の戦略的な挑戦」だと格段に中国の脅威を煽っている。朝鮮民主主義人民共和国については「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」と前回より脅威の認識を上げた。
 ここでわれわれは、すべての侵略戦争が「他国の侵略から祖国を守る」「自衛のための戦争」を大義名分におこなわてきたという歴史的事実を想起しなければならない。冷戦下のアメリカは「共産主義の脅威」を、冷戦後は「テロリズムの脅威」を大義名分にして侵略反革命戦争をおこなってきた。ロシアによるウクライナ侵攻も「ネオナチからロシア系住民を守る」ことを口実に始まった。
 岸田政権は、中国、朝鮮民主主義人民共和国、ロシアの脅威に対して、敵基地攻撃能力を保有することが抑止力になる、という。それは具体的には「スタンド・オフ・ミサイル部隊」を新設し、当面は米国からトマホークを購入し、やがては国産の長距離ミサイルを各地に配備することである。敵国を「どの段階で」攻撃するのか、敵国の「攻撃対象はどこなのか」を、あえてあいまいにしている。敵基地攻撃能力は、アメリカ以外の「国際社会」から見れば脅威そのものだ。これを「反撃能力」と言い換えても同じことだ。日本が先制攻撃しない保証はどこにもなく、東アジアで激しい軍拡競争が始まることになる。
 五年間で四三兆円もの軍事費を、増税と建設国債で賄うという。物価高と低賃金で苦しむ労働者人民から、さらに税金を搾り取ることなど、どうして許せるだろうか。諸々の社会福祉に関わる予算も削られるだろう。さらには、自衛隊施設や艦船の関連経費に建設国債四三四三億円を充てるという。これもまた、戦時国債で軍事費を膨張させた教訓から、戦後は防衛予算に建設国債を認めてこなかった政府方針を大きく転換するものだ。
 すでに、「台湾有事」に名を借りた中国包囲網の強化が、辺野古新基地建設、琉球弧への自衛隊の配備として現れている。再び琉球弧を戦場にさせてはならない。「本土」でも、岩国基地、京丹後Xバンドレーダー基地、横田基地の再編・強化との闘いが今まで以上に必要だ。
 防衛三文書の閣議決定にもとづく大軍拡予算を粉砕する反戦運動を、全国で展開しよう。琉球弧、「本土」の基地強化を地元住民と連帯して粉砕しよう。こうした反戦・反基地運動を全人民的政治闘争として発展させ、岸田政権を打倒しよう。

G7広島サミット粉砕
 第二に、五月G7広島サミット粉砕闘争に立ち上がろう。
 G7サミット(日米英仏独伊加と欧州連合)が五月一九日から二一日まで、広島市内で開催される。サミットは、アメリカを中心とする帝国主義勢力が世界支配を維持するため、中国やロシアと対抗する場になっている。明け透けにいえば、地球規模の利権と資源をめぐる強盗会議にほかならない。岸田政権は、政権の命運をかけてサミットを主催する。これを粉砕しなければならない。
 ロシアによるウクライナ侵略戦争が年をまたいで継続しているが、アメリカを中心とするNATOが「冷戦」終結後、東欧に向けて覇権を拡大してきたことを見過ごすことはできない。さらにNATOが「新戦略構想」をもってインド太平洋地域に対しても軍事的影響力を拡大してきたことは、昨年のリムパック(環太平洋合同演習)にNATO加盟の六カ国が参加したことに現れている。ここに大軍拡を進める岸田政権が乗り込み、東アジアの緊張激化に一役買っているのだ。
 同時に、G7を主導するアメリカは世界最大の核戦力を保持し、その削減ではなく改良を進め、「使える核兵器」を開発している。ロシアと並び、「核による脅し」を世界支配の道具にしている張本人がアメリカだ。
 「唯一の被爆国」をうたう日本政府が広島に核大国の首脳たちを招くことは、被爆者、被爆二世・三世を侮辱することではないのか。ましてアメリカは、これまで被爆者に謝罪をせず、原爆投下による人民大量虐殺を戦争犯罪と認めたことは一度もない。
 反戦、反核の闘いとして広島サミット粉砕の現地闘争に立ち上がろう。東アジア民衆の国際共同闘争として闘おう。

三里塚・強制執行実力阻止
 第三に、文字通り決戦情勢にある三里塚闘争に勝利しよう。
 反対同盟員・市東孝雄さんの農地、作業場を守りぬき、強制執行を許さない現地攻防を支えよう。昨年末、千葉地裁は市東さんに対し、強制執行による補償金の振込先を問い合わせてきた。いよいよ強制執行が近づいている。現地では、反対同盟と支援によって二四時間の座り込み・泊まり込みの阻止体制がとられている。厳しい寒さのなかで強制執行と対峙する現地行動への参加、物資支援、署名活動を展開しよう。われわれは現闘団、行動隊を先頭にこの攻防を共にする。三里塚に思いを寄せ、暴力的な空港建設に憤るすべての労働者、青年を迎え入れて、強制執行阻止に向けてともに闘う。

反原発闘争
 第四に、「原発回帰」政策への大転換と闘い、全国で反原発闘争に立ち上がろう。
 政府は昨年末、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」を打ち出した。原発の新規建設や運転期間の延長を柱に、原発政策を大転換させようというのだ。原発の運転期間は、これまで原則四〇年、最長六〇年だったのが、審査期間を除外することでさらに延長される。この基本方針の閣議決定を阻止しなければならない。
 岸田は「ウクライナ危機に伴う燃料高騰や電力不足、脱炭素への対応」を理由に掲げるが、実際には福島第一原発事故の反省もなく原発利権を存続させ、再生可能エネルギー開発を怠ってきたのだ。核廃棄物の処分方法も定まっていない。
 若狭の四〇年越え老朽原発(高浜原発一、二号機)の再稼働阻止・廃炉、東海第二原発の再稼働阻止など具体的な現地攻防を広範な市民と共同で担いながら、政府・電力資本の原発回帰政策と正面から闘っていこう。

岸田政権打倒の全人民的闘争を
 第五に、岸田政権の大軍拡予算、「新しい資本主義」政策を批判し、広範な共同闘争によって岸田政権を打倒しよう。
 安倍銃殺によって明るみに出た反共犯罪集団=統一教会と自民党の癒着の全貌は、いまだ暴かれていない。癒着していた自民党自身に暴けるはずがない。そもそも統一教会だけでなく、自民党は極右排外主義団体=日本会議など宗教右派によって支えられ、集票活動し、政権を維持してきた。議会内リベラル野党の右傾化に支えられて延命しているのが実態だ。
 昨年一〇月から、岸田政権では四人の閣僚が相次いで辞任した。統一教会との密接な関係が明るみに出た山際大志郎(経済再生相)、死刑執行を軽んじる発言をした葉梨康弘(法相)、政治資金問題で寺田稔(総務相)、そしてこれも政治資金問題で秋葉賢也(復興相)と辞任が続いた。岸田政権の利権まみれ、人権無視の性格、反共カルト集団との癒着が日々明らかになっている。
 一方で多くの民衆の生活は、インフレによる燃料費や生活必需品の値上げが直撃し、困窮に陥っている。とりわけ非正規の低賃金労働者や年金生活者は大打撃を受けている。物価高騰の原因は、直接にはウクライナ侵略戦争の影響によるものだが、根本的には、アベノミクスの低金利政策にある。日帝金融資本にテコ入れするための日銀―黒田の異次元金融緩和が一貫して継続している。このために急激な円安が進んだ。金融資本、金融投機資本と一握りの富裕層が儲かる一方、この二〇年間、日本の賃金はほとんど上がらず、格差が拡大し続けている。この先、大軍拡を強行すれば大増税と社会福祉予算がさらになされるだろう。
 岸田の掲げた「新しい資本主義」なるものは、政権発足時に掲げた「金融所得への課税強化」を投資家たちの反発で早々に棚上げして、逆に、投資余力が潤沢な金持ちほど大きな恩恵を受けられる減税措置を拡充した。
 岸田政権を速やかに打倒しなければ、もはや民衆の生活は成り立たない。東アジア諸国への敵愾心を煽り、労働者を戦争に駆り立てることによって延命をはかる岸田政権を、総力を挙げて打倒しよう。

階級闘争構造建設のさらなる推進を

 岸田政権打倒の闘いと一体に、その拠点となる永続的な階級闘争の構造建設、拠点建設を今年も断固推進しよう。
 第一に、階級的労働運動を前進させ、戦争と生活破壊に抗する労働者の拠点を全国各地で建設していこう。
 日本の労働者の組織率は年々低下し、二〇二一年には16・9%に過ぎない。職場闘争を基礎とした労働組合づくりが急務だ。われわれは、地域を組織する地域共闘の組織化を横糸とし、業種別・産業別運動の組織化を縦糸として織りなす、体系的な労働運動を建設していく。
 こうした現場における活動を基礎にして、本年もわれわれは、地域労組・地域ユニオンの強化や、介護労働など業種別労組の組織化、外国人労働者の権利擁護をかちとっていく。低賃金労働者全体の生存権獲得のために、最低賃金闘争を闘う。そして、労働者を差別・排外主義の影響から解き放ち、ともにプロレタリア国際主義に貫かれた反戦・反基地闘争へ立ち上がる。
 第二に、青年運動を全国で組織化する。国葬反対闘争の地平を継承して、青年こそ街頭の政治闘争、実力闘争に決起しよう。岸田政権打倒の闘いの先頭に起とう。
 われわれは昨年、第六回大会において、青年運動の全国的な連携と発展について決議した。それは差別・排外主義と対決し、戦争・搾取・気候危機をもたらしている帝国主義の打倒をめざす青年運動を全国で建設していく方針を明らかにしたものだ。
 社会に不満や不安を抱く青年の多くが、新自由主義によって個人へと分断され、社会的連帯の回路を絶たれている。若い非正規労働者は自らの権利を学ぶ機会すら奪われている。われわれは現にいま闘われている反戦、反差別、国際連帯の闘いを青年に呼びかけつつ、青年を孤立と分断から解放し、青年の戦争動員への道を断ち切るために、青年とともに全力で闘う。
 第三に、国際連帯闘争を断固推進する。
 帝国主義の世界支配秩序は昨年、大きく動揺し、その再編に向けた動きが軍事的緊張をはらみながら激化している。とりわけ東アジアでは米中対立が台湾海峡問題を焦点に高まっている。それは各国で階級的大流動をもたらさずにはおかない。だからこそ、これまで以上に、アジア諸国人民の国境を越えた団結が求められる時代に入ったということだ。
 昨年一〇月に創設三〇周年を迎えた「日米帝国主義の侵略・支配に反対するアジア・キャンペーン」(AWC)は、韓国、フィリピン、台湾、インドネシアなどの民衆団体と団結し、帝国主義が東アジアで戦争準備をしていることに反対し、反帝国主義的な共同闘争を呼びかけてきた。いまだコロナ禍の制約があり、直接的な相互交流が困難な事態が続いているが、AWCは、五月広島G7サミットを国際共同闘争として闘おうとしている。これを支持し、反帝・国際連帯闘争をなお一層推進していこう。
 第四に、左派共闘のさらなる発展をかちとる。
 昨年、国葬反対闘争を国葬当日に至るまで高揚させ、日本武道館に迫るデモに多くの市民を結集させるという成果を生み出したのは、左派共闘の力によるところが大きい。すなわち、安倍国葬問題について、それが安倍晋三を礼賛し、自衛隊をも動員する国家的統合のセレモニーであることを暴き出しながら、反共犯罪集団=統一教会との癒着に憤る人々を糾合したのが、「戦争・治安・改憲NO! 総行動」等の呼びかけた現場共闘であった。
 岸田政権打倒の全人民的政治闘争を高揚させるためには、左派勢力の結集と共闘をいま一歩前進させていくことが必要だ。国葬反対闘争のような現場における実力闘争を切り拓き、戦争国家づくりを打ち砕く闘いを、帝国主義批判に立脚したすべての共産主義者や闘う活動家たちとともに、今年も断固推進していく。またこの共同実践を通じて、左派勢力をさらに拡大させ、日本階級闘争の戦闘的再編を切り拓いていく。
 第五に、反差別共同闘争をともに闘う。
 闘う部落大衆と連帯して、狭山第三次再審闘争に勝利しよう。部落差別の煽動、その新たな現れを絶対に許さないために、各地で反差別共同闘争を推し進めよう。
 戦争国家づくりのもとで強まる障害者の隔離・抹殺攻撃と立ち向かい、障害者が地域で生きる権利を防衛しよう。天皇制・優生思想の跋扈を許すな。
 被爆者、被爆二世・三世の解放に向け闘おう。被爆二世の法的援護を求める集団訴訟に勝利し、被爆者援護法にもとづく手帳の交付を実現しよう。核兵器を持つ大国たちが集合するG7広島サミットを粉砕しよう。
 社会矛盾が集中され、困窮のもとにある女性たちとしっかりつながり、女性自身が社会変革の主体となる女性解放運動を推進しよう。
 トランス女性をはじめとするセクシャル・マイノリティーの闘いに学び、差別社会の変革に向けて闘おう。
 すべての在日・滞日外国人の権利を守り、入管体制の解体、外国人実習制度の廃止に向けて闘おう。
 今年は、関東大震災の朝鮮人虐殺から百年を迎える。犠牲者追悼式典への小池百合子都知事の追悼文拒否に露骨なように、歴史修正主義がはびこっている。戦争国家づくりに向かう岸田政権は、朝鮮学校を教育無償化から除外し続け、韓国の戦時強制動員や戦時性奴隷制度の被害者に対する謝罪と国家補償を拒否することによって、政府として歴史修正主義と民族差別を煽っている。「中国、北朝鮮の脅威」を口実に進められる戦争準備の一切が、労働者人民を民族排外主義のくびきにしばりつける攻撃なのだ。極右政党の議会進出、街頭での排外主義グループの台頭を許さず、一切の差別、排外主義と闘おう。


■3章 プロレタリア国際主義貫く革命党建設に結集を

 ロシアによるウクライナ侵略戦争と米中対立の激化、引き続く新型コロナウイルスのまん延による「医療崩壊」、気候変動による自然災害の多発は、現代資本主義の根底的危機を示している。その矛盾は、世界の労働者人民を極限的な生活苦に陥らせているだけではない。戦争動員によって労働者同士が相争わされる時代が始まろうとしているのだ。
 そのような破局的な時代への突入を阻止するには、現代資本主義の無秩序な生産をやめ、生態系を維持しながら、自立した労働者が生産を計画的にコントロールする社会にとって代えること、すなわち現代的なプロレタリア革命の実現こそが必要だ。
 われわれ共産主義者同盟(統一委員会)は、避けて通ることができないブルジョア国家権力による敵対や弾圧をはねかえし、様々なかたちで現れる労働者階級の決起に応え、これをプロレタリア革命に向けて牽引していく。
 われわれはプロレタリア国際主義を掲げ、実践する党である。一八四八年にマルクス、エンゲルスが『共産党宣言』において発した「万国のプロレタリア団結せよ」の檄を今こそ再生しなければならない。帝国主義諸国が「自国第一主義」を掲げて、戦争への突入とナショナリズムの煽動に明け暮れている今こそ、プロレタリアに祖国はなく、プロレタリアの国境を越えた連帯こそがみずからの解放の第一条件であることを鮮明にしよう。
 またレーニンは、第一次世界大戦の開始によって第二インターナショナルが排外主義に転落・崩壊したことを厳しく批判し、ロシアで革命的祖国敗北主義を実践することによって、プロレタリア国際主義を継承、発展させた。われわれもまた、東アジアの先進的な労働者人民との共同闘争を闘い、日本政府の戦争策動を粉砕することによって、プロレタリア国際主義を実践していく。プロレタリア国際主義を投げ捨て、天皇制容認、自衛隊容認を掲げるに至った日本共産党を厳しく批判していく。
 われわれの革命的労働者党建設は、ブルジョア国家権力に対する労働者人民の闘争の最前線に全党員がその身を置いて闘うことを前提とする。あくまで現実の階級闘争に立脚し、労働者、被抑圧人民・被差別大衆の闘いを共同で推進する中から革命的で階級的な党の建設を展望していく。それは、大衆運動を自派のもとに囲い込み、現実の階級闘争と切断された党の同心円的拡大のなかに未来社会を展望する宗派主義の誤りとは明確に区別された党建設の道である。
 われわれは、差別からの解放を求める被差別大衆の闘いを支持し、反差別闘争をともに推進する党である。部落差別にせよ障害者差別にせよ、あるいは民族差別にせよ、賃金奴隷制の解消一般には還元できない性質をもっている。日本の戦前、戦後を貫く階級闘争を見ても、労働者階級が様々な差別に加担してきた痛苦な歴史がある。いまブルジョア支配階級がさまざまな差別を利用し、労働者を分断するなかで、労働者階級が被差別大衆の自己解放闘争に学び、連帯し、差別社会そのものの変革に向けて闘うことが求められている。
 すべての同志、友人のみなさん! 昨年われわれは全党員の力を結集して、第六回党大会を開催した。われわれは、採択された路線スローガン「戦争―改憲を阻止しよう! 差別排外主義、新自由主義を粉砕しよう! 国際主義と実力闘争、左派勢力による日帝・岸田右翼反動政権打倒―プロレタリア社会主義革命をたたかおう」を物質化するために、今年も全力で闘いぬく決意である。そのためには、闘う仲間の力が必要だ。わが統一委員会に結集し、ともに革命的労働者党を建設しよう!




   

 


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