共産主義者同盟(統一委員会)


1632号(2023年3月20日)







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  強制徴用問題反動決着弾劾
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   老朽原発をうごかすな! 関電→高浜リレーデモへ
 
 



 昨年七月の安倍銃撃死事件は、自民党と反共犯罪集団=統一教会との歴史的な癒着構造を満天下に暴き出した。そして、人民の過半数が反対という民意を無視した安倍国葬の強行、さらには、「政治とカネ」や数々の放言などによって、自民党閣僚四名の「辞任ドミノ」が起こった。岸田政権の支持率は20%台へと下落し、不支持率が上回る状況がつづいている。岸田政権はこの危機を乗り切るために、ウクライナ侵略戦争を全面的に利用して、「台湾有事」煽動や、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の「ミサイル開発」などを「軍事的脅威」として喧伝し、人民の危機感を煽り立てることで政権維持をもくろんでいる。
 戦争発動によって、より一層の困窮化を強制され、あるいは戦争動員によって殺し、殺されるのは政治家やブルジョアジーなど支配階級ではなく、いつでも圧倒的多数の被支配階級=労働者階級人民だ。今こそプロレタリア国際主義の旗をかかげ、戦争と一体のものとしてある排外主義煽動を打ち破り、労働者階級人民の国境を越えた連帯を強固に創り上げていかなくてはならない。この間の米帝をはじめとする帝国主義列強による対中国包囲網形成の動きは、東アジア地域での軍事緊張を飛躍的に高めている。このような中で、アジア人民の反帝国際連帯のより一層の推進は焦眉の課題としてある。
 米帝―バイデン政権の「インド太平洋戦略」と一体となり、対中国包囲網構築を進め、琉球弧の戦場化に突進する日帝―岸田政権を今こそ打倒しよう。


●第1章 ロシアはウクライナから即時撤退せよ!

 ロシアのプーチンが「特別軍事作戦」と称して、ウクライナへの軍事侵攻を開始してから一年。東部への攻撃は激しさを増し殺裁と破壊は続いている。ウクライナでは少なくとも市民八〇〇〇人以上が犠牲になったとされている。また、ウクライナから国外へ逃れている人は八〇〇万人を超えており(国連人権高等弁務官事務所 二月一五日現在)、ロシア、ウクライナ両国の兵士たちの犠牲も増え続けている。
 さらに、プーチンは「核使用」も否定しておらず、歴史的には「キューバ危機」をも超える情勢になっている。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の分析によれば、二〇二二年の時点でロシアが保有する核弾頭の総数は五九七七発。アメリカの五四二八発とならぶ核保有国となっている。そして、プーチンが使用を想定しているのが、いわゆる「戦術核」と呼ばれるもので約一九〇〇発保有していると、アメリカの科学雑誌は分析している。
 こうした中、プーチンは二月二一日の年次教書演説で、ウクライナを「歴史的な領土」だと主張して、「わが国の存続」のための「祖国防衛戦争」だと侵略戦争の「正当化」を改めて強弁している。
 また、バイデンは、二月二○日にウクライナを直接訪問し、ゼレンスキーと直接会談を行ない、二四日を目前にしてゼレンスキー政権にさらなる軍事支援継続の意志を鮮明にした。一般教書演説においても「アメリカと世界にとっての試練だ」として、同盟諸国と結束してロシアに対抗する姿勢を改めて示し、ウクライナ支援の継続と連帯を呼びかけた。停戦にむけた動きを示すどころかゼレンスキーが強く求めていた戦車「M1エイブラムス」三一両を送ることを一月にも決定している。
 この一年でアメリカが表明したウクライナへの軍事支援は、HIMARS三八基、弾薬二〇〇万発以上など、総額で三二〇億ドル(日本円で四兆一六〇〇億円以上)に上る。また、ドイツも戦車「レオパルト2」一四両を送ることを決定し、慎重だった武器供与方針を転換させた。欧州各国は競い合うように、ウクライナに兵器を供与し、次には戦闘機の供与まで論議されている。
 現在、ウクライナはアメリカやドイツなどからの新たな兵器の到着と訓練を経て、今春から今夏にかけて東部地区の奪還をめざして反転攻勢を開始するといわれている。あきらかに戦闘は継続され、停戦の動きはまったく見通せない状況になっている。
 そうした中でもドイツでは二月二五日、シュルツ政権による武器供与の方針転換に対して首都ベルリンで武器供与反対のデモが一万人規模で行われた。掲げられたプラカードには「悪化でなく交渉を」と書かれている。プーチンは、即刻ウクライナからロシア軍を撤退させよ! NATOは、ウクライナへの武器供与をただちに停止せよ!


●第2章 大軍拡に突き進む岸田政権を打倒しよう

 新年度予算案が二月二八日、衆議院本会議で採決され年度内に成立する見通しとなった。今回の予算案では、米国製「最新鋭トマホーク」四〇〇発購入費を含む六兆八〇〇〇億円以上が計上され、過去最高となった。安保三文書の閣議決定を強行し、五年間で四三兆円。対GDP比2%(二〇二七年には、世界第三位の軍事費)実行にむけて大きく踏み出したのだ。
 岸田が国会での論議を一切経ることなく「閣議決定」した安保関連三文書は、戦後安保政策の歴史的大転換である。軍事予算の増額はもちろんのこと、敵基地攻撃能力の保有(=専守防衛から先制攻撃へ)、日米同盟の一段の強化(=日米両軍の一体化)を見よ。
 とりわけ安保関連三文書は、「自分の国は自分で守る」という考え方をベースとしており、全国民に対して本格的な国防意識の植え付け、戦争協力の意識を一層強化しようというのである。「国家安全保障戦略」では「自分の国は自分の力で守り抜ける防衛力を持つ」「本戦略の内容と実施について国民の理解と協力を得て、国民が我が国の安全保障政策に自発的かつ主体的に参加できるようにする」と明記されている。改憲を通して平和憲法を解体し、戦後の反戦・平和意識を国防意識へと転換させ国民総動員にむけた土壌を作り出していこうというのだ。安倍政権下で一挙に強まった対中国、対朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の排外主義煽動は「日本を取り巻く国際環境の激変」を鵜呑みにする環境を作り出した。そして、今回のロシアによるウクライナ侵攻を好機として「いざと言う時には他国は守ってくれない」「ウクライナは自国を守る力がなかったから侵略された」、だからこそ「自分の国は自分で守るという気概が必要」だと主張する「国家安全保障戦略」文書の真の意図を改めて確認しておかなければならない。
 今年、五月一九日から二一日に開催予定のG7広島サミットを控える岸田は、年頭から欧米諸国を歴訪しその準備を行ってきた。広島サミットは主要議題をウクライナ戦争を巡る帝国主義どうしの「結束」に置き、ロシアの屈服(=如何に「敗北」に追い込むか)を巡る文字通り帝国主義の戦争会議として開催されようとしている。
 アメリカのバイデンがサミットを利用して「長崎訪問」を検討していることが明らかとなった。これはバイデン側からの水面下での打診によるとされているが、これが強行されれば二〇一六年のオバマ広島訪問に続けて米帝のアジアにおける核戦略の転換にむけた攻撃に他ならないということだ。
 この間日米軍事同盟強化方針の下、共同訓練を通した米軍と自衛隊の一体化は加速度的に進んできた。そして、対中国最前線基地として強化される琉球弧への自衛隊配備とミサイル基地の建設。すべては、米帝のアジア戦略に基づいて進んでいる。対共和国には、韓国が最前線基地として、対中国には、台湾と日本がその「任務」を与えられ、米帝の世界支配体制の一翼を担わされているのである。対ロシアにはウクライナとEU諸国が動員されているのだ。そして、米帝は対中国の封じ込め、さらには戦争をも想定して日本への「核の持ち込み」をも狙っているのだ。戦後においても沖縄や岩国に核が持ち込まれていたことは周知の事実である。
 改めて日本への核の持ち込みのためには被爆地と被爆者の懐柔は絶対不可欠であり、そうした狙いがオバマの広島訪問とバイデンの長崎訪問にはあるのだ。岸田は「最終的な核廃絶」「広島と長崎、二カ所からの『核なき世界』にむけたメッセージを発することができる」と欺瞞を弄している。「核なき世界」の実現は、米帝を先頭とする「核保有国」による核の廃棄以外にない。
 われわれは、オバマの広島訪問に際しては、侵略反革命と闘う被爆二世の会の仲間とともに広島平和公園で「原爆投下の謝罪と賠償」を求める横断幕を掲げて抗議闘争を闘い抜いた。バイデンの長崎訪問を許さず、G7広島サミット粉砕の現地闘争に総決起しなければならない。
 また、岸田政権は、G7広島サミットにあわせて開催が予定されている閣僚級会議のうち四月に予定されている「G7気候・エネルギー・環境相会合」(四月一五、一六日、札幌)では、原発事故の汚染水海洋放出の「安全性」を確認し、海洋放出のプロセスを「歓迎する」という文言を共同声明文書に入れさせることを企んでいるのだ。
 福島第一原発の汚染水の海洋放出を巡っては、東電は今春から今夏の放出を明らかにしている。しかし、地元の漁協はもちろんのこと全漁連も強固な反対を表明している。
 中国政府は懸念を表明し、韓国の反原発団体も反対運動を続けている。さらには昨年開催されたCOP27の会場でも海洋汚染に反対する海外の環境団体から海洋汚染放出反対にむけた共同した取り組みを日本側参加団体に提案している。文字通りの国境を越えた連帯の闘いが開始されている。今春、老朽原発再稼働阻止! 六〇年超え稼働を許さず、汚染水放出を断固として阻止しよう。


●第3章 市東さんの農地強制執行弾劾 3・26芝山現地闘争に決起を

 成田空港会社は二月一五目夜から一六日にかけて市東さんの天神峰の農地に対して強制執行を強行した。日没後の午後八時に執行に着手するという、まさにだまし討ちの権力犯罪だ。この間反対同盟と市東さんを先頭に現地支援連、全国から結集した支援者が座り込み、泊り込んで実力で守り抜いてきた市東さんの農地を強奪し、離れ、作業場、ビニールハウス、やぐら、看板を破壊するという許しがたい暴挙だ。
 反対同盟は、昨年末に強制執行への動きを本格化させた空港会社に対し「来るなら来い」という決意で決戦体制をつくりあげ、全国からの連日の座り込みや抗議行動など強制執行反対のあらゆる闘いで執行を阻み続けてきた。こうした闘いの前にあせりと恐怖を感じた空港会社と国家権力は常套手段である「だまし討ち」という卑劣極まりない攻撃に打って出てきたのだ。市東さんを先頭とする反対同盟、全支援勢力は、三里塚闘争六〇年に及ぶ矜持にかけてこの暴挙に徹底した実力行動で闘い抜いたのだ。
 岸田は、口を開けば「国民の命と暮らしを守る」を連呼するが、この暴挙は国民の命と生活の破壊以外のなにものでもない。
 反対同盟は二月一六日、すぐさま「弾劾声明」を明らかにし、市東さんもこの暴挙に屈せず天神峰で農業を続ける決意を表明している。国家権力=機動隊の暴力で、市東さんと反対同盟を屈服させようとした空港会社の悪辣な意図は木っ端微塵に粉砕されている。ますます国家権力と空港会社の悪虐性が明らかとなり正義は農民にあることが鮮明になった。
 空港会社は、コロナ禍で航空需要が激減する中にあって、第3滑走路建設をはじめとする空港機能強化策を計画通りに進めようとしている。昨秋、B滑走路延伸の準備工事にも着手している。
 反対同盟は、空港機能強化を阻止し空港廃港まで闘い抜くべく3・26芝山現地闘争を呼びかけている。
 市東さんの農地強奪を徹底的に弾劾し、徹底非妥協・実力闘争を堅持し、3・26芝山現地闘争に断固結集しよう。
   

 


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