共産主義者同盟(統一委員会)


1640号(2023年7月20日)







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  原発汚染水を海洋放出するな!
  8・6広島青空式典に結集しよう






 第二一一通常国会が閉会した。軍事費の財源確保法や、改悪入管法、LGBT差別推進法、GX推進法、改定マイナンバー法など、政府提出の六〇本の法案のうち、実に五八本が成立するに至ってしまった。人民からの積極的な支持があるわけではない岸田政権であるが、国会における維新の会など自民党の別動隊ともいうべき勢力の伸張と立ち回りもあって、ほとんど無風で、会期の延長もなく今国会を乗り切ることとなった。 
 しかしながら、露骨な「外交ショー」たるG7広島サミットを強行したにも関わらず、国会終盤になって身内の不祥事と、何より強行されたマイナンバーカードの数々の問題が浮かび上がって支持率は急落し、岸田はいったんはちらつかせた衆議院の解散という恫喝を引っ込めるしかなかった。
 ロシアによるウクライナ侵略戦争に由来する諸物価の高騰によって、人民の生活はまさに破壊されている。にも関わらず岸田は国会を閉じた上で、人民からの一層の収奪を目論んでマイナンバーカードへの個人情報のさらなる紐付けと、インボイス導入を強行しようとしている。米帝バイデンから、「岸田を説得して軍拡をやらせたのは私だ」と、防衛三文書策定に至る内情を暴露される(外務省の「申し入れ」を経てバイデンはその後「記憶違いだ」と言いだしたが、誰も信じはすまい)体たらくで、展望などない軍拡と大増税=「台湾有事」へと突っ込もうとしているのだ。決して許してはならない。サミット反対闘争と六月アジア共同行動の勝利を引き継ぐ国際連帯闘争で、岸田政権を打倒しよう。


放射能汚染水の海洋放出を許すな

 東京電力と岸田政権は、福島第一原発で増え続ける放射能汚染水の海洋放出を強行しようとしている。福島第一原発の沖合一キロにまで伸ばした海底トンネルからである。
 岸田政権は「安全だ」とくり返しているが、あくまでそれは、三重水素(トリチウム)の濃度を国の基準以下にして放出する、というものだ。大量の海水で薄めて「基準以下の濃度」にするということでしかなく、総量で見れば放射性物質を大量に海に流し出すということに、変わりはない。そもそもALPSシステムで、トリチウム以外の放射性物質を完全に除去出来るわけではないのであるから、トリチウム以外のそれらも、福島沖の太平洋に流れ出す、ということである。
 にも関わらず岸田政権は、国際原子力機関(IAEA)が七月四日の包括報告書で放出計画を「グローバルな安全基準に適合している」としたことで国際的な「お墨付き」を得たと言いなし、続く七日の原子力規制委員会による設備の検査修了証の交付を以って、今夏中にも海洋放出を始めようとしている。
 漁業従事者はじめ、福島県民の強い反対は当然のことだ。いや、反対の声は福島県内からだけではない。宮城県議会が七月四日、海洋放出反対の意見書を全会一致で採択し、県知事も懸念を表明するに至った。
 国際的な反対の声も続々と上がっている。太平洋諸島フォーラム(オーストラリア、メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの国々が参加する経済協力機構)が任命した専門家パネルは昨年八月に無期限延期を求め、一二月一二日には全米海洋研究所協会が放出反対の声明を出した。五月一四日には核戦争防止国際医師会議が理事会で計画中止を求める声明を採択した。
 韓国からは野党の議員団が次々に福島現地を視察に訪れ、在野勢力も、放出を容認する姿勢の尹政権を打倒する政治課題と位置づけ、連日の闘争を担っている。まさに国論を二分する事態となっているのである。六月のAWC国際連帯集会で来日した韓国からのゲストも、放射能汚染水海洋放出反対の共同行動を取り組んだ。そして今後も日韓で連携した闘いを取り組む体制を構築しようとしている。
中国外務省も七月四日の記者会見で計画の中止を求めた。続く六日の記者会見でも、日本政府が「他にも解決法があるのに、経済的代償が最も小さい海洋放出を選」び、「前例のない冒険」に踏み込んでいると非難している。
 福島の民衆と、アジア人民、太平洋諸島の人民と固く結合し、汚染水の海洋放出を阻止しよう。


グリーン・トランスフォーメーション(GX)推進法下で進む原発再稼働を許すな

 福島第一原発の廃炉と汚染水の処理だけでも、全く解決困難な状況にありながら、岸田政権はいきなりの原発推進に舵を切った。それを根拠づけるのが、先の国会で成立させられたGX推進法、GX脱炭素電源法である。原発の六〇年超の運転を可能にする他、「革新炉」「次世代軽水炉」を新設するという夢物語をうたいつつ、完成から四〇年を超えた老朽原発の再稼働に依存し続けようというのが岸田政権だ。最古の老朽原発、高浜原発一号機の再稼働強行を、まずもって阻止しなければならない。今夏から年末にかけて、連続した闘いが予定されている。一二月三日の大阪での一万人集会を絶対に成功させよう。
 GX推進法、GX脱炭素電源法の問題点は、原発再稼働=原発推進という点だけではない。気候変動問題に取り組む活動家たちから「石炭中毒」と酷評され、毎年のCOPの会場で「化石賞」受賞の常連化している一因である石炭火力発電依存を続けようというのがもう一つの柱なのだ。
 アンモニアや水素、バイオマスを石炭に混ぜて「混焼」させることを「高効率化」技術だと称し、それを対アジア諸国中心に輸出して行くことを目指しているのが岸田政権だ。これでカーボンゼロが達成できるわけもないが、今や原発輸出もできず、再生可能エネルギーの産業化でも他国に太刀打ちできなくなっている日帝は、ここに展望を見出すことしかできなくなっている。
 しかし、世界民衆の要求は、石炭火力発電の「効率を上げる」などというレベルではなく、早期の全廃である。ところが先の広島G7の場にあっても、石炭火力全廃とその具体的な時期とを謳うことを、日帝だけが拒み通した。それでいて「グリーントランスフォーメーション」などとは、まさしく欺瞞でありペテンであり「グリーンウォッシュ」そのものだ。岸田政権の原発依存、火力発電依存を弾劾し、強力な気候変動対策を要求しなければならない。原発廃炉、火力発電全廃、再生可能エネルギーへの転換を実現させよう。


沖縄防衛局職員による差別暴言弾劾

 六月六日、本部町の本部港塩川地区で、辺野古での埋め立て工事に使われる土砂を積んだダンプの前で抗議行動をしていた市民に対して、沖縄防衛局の非常勤職員が拡声器で「キチガイ」という差別言辞をくり返すという事件が起きた。
 この言葉は精神障害者を侮蔑し、かつ、社会からの隔離・排除を意図するものだ。決して許してはならない重大な差別事件である。そして、精神障害者差別の言葉をもって辺野古新基地建設反対を闘う人々に対峙するということは、精神障害者差別意識そのままに、基地反対運動やその担い手を侮蔑し、隔離・排除の意図を丸出しにしているということである。
 われわれは、障害者・精神障害者とともにその解放闘争を担いつつ、反基地闘争、反戦闘争を闘ってきた。その立場から、沖縄防衛局の重大な差別事件を断固弾劾する。沖縄防衛局への抗議行動も、すでに繰り返し取り組まれている。高江ヘリパッド建設に対する抗議者を、大阪府警機動隊員が「土人」とののしった事件があったが、その後警察庁長官が謝罪した。しかし今回、沖縄防衛局も日本政府も、発言の事実を認めはしたものの、「遺憾」だと表明するだけで、今に至るまで謝罪をしていない。防衛省・防衛大臣は、精神障害者と沖縄人民に謝罪せよ。辺野古新基地建設を中止せよ。


東アジアの緊張激化に対して、プロレタリア国際主義を対置して闘おう

 岸田政権は中国、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策を採り、民族排外主義を煽動して、大軍拡を進めようとしている。米帝バイデン政権とともに「台湾有事」を煽り立てて、琉球弧に自衛隊のミサイル基地を建設して軍事要塞化しようとしている。島々の住民たちが標的となる「第二の沖縄戦」となりかねない危険を全く無視しているのだ。
 台湾民衆は大陸との軍事的衝突、対立など求めていない。「台湾有事」なるものはあくまでも、日米両政府のみが叫びたてているものであって、虚構だと言ってもいい。安倍晋三は首相退任後の二〇二一年に「台湾有事は日本有事」だと突如言い出し、それを日本政府は明確に否定してこなかった。事実上の政府見解となっているが、法的な説明などはないままだ。
 今こそ、韓国、台湾、フィリピンをはじめとしたアジア諸国・地域の人民との連帯、共同行動が重要だ。侵略戦争への動員を拒否し、軍事予算確保のための大増税を粉砕しよう。戦争に向かう政府と対決していく労働者階級人民の闘いを結合し、推進しよう。


「8・6広島青空式典」に結集しよう
 間もなく八月がやって来る。今年も「8・6広島青空式典」に結集し、被爆者、被爆二世・三世の解放を闘おう。
 強行されたG7広島サミットで発出された「岸田ビジョン」なるものは、被爆者と、全世界民衆の核廃絶の願いに応えるものでは全くなかった。ただただG7に集う核保有国による核の独占を追認・正当化し居直るものでしかなかった。大体、すでに発効している核兵器禁止条約へのただ一言の言及すらないのであるから論外だ。「ビジョン」が一方で非難してみせる、ロシア政府によるウクライナ戦線での核使用の恫喝は、アメリカ他の核保有国自身の態度がもたらした危機だ。アメリカ政府が広島・長崎への原爆投下を今なお正当化し、謝罪もせずにいるその態度こそが、ロシア政府を勢いづけてやまない根拠なのだ。
 広島平和公園に結集し、アジア人民、沖縄人民と連帯して核廃絶の声を上げようではないか。今夏の闘いの爆発をもって、日帝岸田政権を打倒しよう。
   

 


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