共産主義者同盟(統一委員会)


1678号(2025年5月5日)







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 石破フィリピン訪問―軍事連携強化弾劾
 
5月沖縄解放―安保粉砕を闘い抜こう




 米帝―トランプが発動した「相互関税」が資本主義各国を震撼させている。米国の貿易赤字は関税を振り回した「外交交渉」で解決できると思い込んでいるトランプの失政によって、世界各国が振り回されている。米帝との同盟関係を外交の基軸とする日帝―石破政権は、経済再生担当相・赤澤を訪米させ、「国益」防衛の交渉を始めた。
 石破政権は、トランプの要求を呑む形をとって大軍拡に拍車をかけている。東アジア地域を「一体的な戦域」とする構想を打ち出し、フィリピン、台湾から沖縄・琉球弧、日本列島、朝鮮半島に至る地域全体における自衛隊と米軍の軍事プレゼンス強化に突き進もうとしている。石破の大軍拡―戦争準備のエスカレートを許してはならない。
 五月沖縄解放闘争に全国で立ち上がろう。プロレタリア国際主義に立脚して反戦―反基地闘争を闘い抜き、石破政権を打倒しよう。


トランプ関税に震撼する現代資本主義

「相互関税」の発動

 米大統領トランプは四月二日、「相互関税」の発動を命じる大統領令に署名した。
 貿易相手国の関税と非関税障壁を合わせて数値化したものを「関税」として列挙した上で、その数値の50%を「相互関税」と称して、米国への輸入品にかけるというものだ。中国に34%、ベトナムに46%、日本に24%、欧州連合(EU)に20%の「相互関税」を一方的に決定した。
 EU各国はこのトランプの「相互関税」を批判。中国は即座に報復措置を発表し、米国からの輸入品に34%の関税をかけるとした。
 トランプ関税発動直後の四月三日の東京株式市場では株価が急落。アジア各国でも欧州各国でも株価は急落し、世界同時株安となった。ニューヨーク株式市場でも三日、四日と株価は続落した。その後も各国の株価は乱高下した。
 しかし、それだけではすまなかった。米国では株式市場の下落だけではなく、米国債の金利が上昇する事態になった。通常、株価が下落した時には、相対的に安全資産とされる国債に資金が回り、国債の金利は下がるのだが、そうはならなかった。株も、国債も、通貨も売られる「アメリカ売り」の様相となっていたのだ。

 米国債売却の経済危機

 関税発動で米国の産業が復活し、世界中から米国に投資が集まると豪語したトランプだが、世界経済は大きく混乱した。米国の株、国債、通貨が売られる「トリプル安」状況の中で、トランプ政権は修正を余儀なくされた。
 トランプは四月九日、署名した大統領令のまま「相互関税」を発動した。しかし、「アメリカ売り」状況という危機的事態に気づいた米財務長官ベッセントとの緊急協議を経て、発動直後に「相互関税措置の九〇日間停止」を発表した。ただし、報復関税に踏み込んできた中国に対してだけは、145%の関税を強行し続けている。
 トランプ政権は、この右往左往を大統領の「戦略」だと強弁している。しかし、これは、「相互関税」発動だけでアメリカが経済成長すると考えたトランプ失政の土壇場の修正だった。

トランプの誤算

 トランプは、貿易赤字は関税によって「改善」できると考え、「強いアメリカ」を取り戻せる、と考えている。
 一九九〇年代以降、米金融資本こそが新自由主義グローバリゼーションを推し進めてきた。世界各国の関税や非関税障壁を破砕して貿易と資本輸出を拡大し、金融とIT技術を駆使して世界経済の支配を強めてきた。帝国主義各国は資本輸出をそれまで以上に大規模に拡大し、製造業の生産拠点を世界中に移転してきた。日帝・米帝・欧州各国帝の資本がアジア各国や中国に侵出して生産拠点を形成し、世界市場に輸出を拡大してきた。世界規模で進んだ市場経済化―資本主義化によって、中国、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカのBRICSをはじめとした諸国に製造拠点が移り、貿易の規模も拡大した。帝国主義の金融資本は、この直接投資の拡大の中で、投資・投機を拡大し、収益を上げてきたのだ。
 米金融資本が推し進めた新自由主義グローバリゼーションの展開の中に、現在の米国経済もある。今や、米国製造業も、グローバルな供給網の中で存立している状況なのだ。それぞれの国内で生産した商品を互いに輸出・輸入しあうという単純な経済関係ではない。関税をかけ合っていけば、米国の資本主義が立脚している新自由主義グローバリゼーションの経済関係そのものを破壊することにしかならない。
 トランプの失政で世界資本主義は混乱を続ける。世界資本主義を領導してきた米帝国主義がこのようなトランプ政権を選択するしかないということが、米帝国主義の現状なのだ。そして、この米帝の時代錯誤の失政の中に、帝国主義総体も叩き込まれている。資本主義経済総体に打撃を与えながらも延命しようとする米帝は、中国、ロシアのみならず、欧州各国帝、日帝など同盟国との間にも新たな対立を生み出しながら、危機を深めていかざるをえない。


戦争準備に突き進む石破政権

 日帝―石破政権は、同盟国米帝との間に経済的亀裂が生まれ、国内的には不安定な少数与党という状況の中にある。石破は、この「国難」に直面するがゆえに、関税騒動の裏で日米軍事同盟を強化し、自衛隊を戦争のできる軍隊に再編する攻撃を一層強めている。

戦争のできる軍隊への再編

 防衛省は三月二四日、統合作戦司令部を発足させた。南雲憲一郎空将を司令官とし、二四〇人体制で発足した。二〇二二年末に策定された安保三文書に基づくもので、戦時および大規模災害時に、自衛隊全体の部隊運用を担い、一元的に指揮する。
 統合作戦司令部は、首相、防衛相の下に、陸海空自衛隊とサイバー防衛隊、宇宙作戦群を平時から把握し、戦時には領域横断作戦を指揮する。平時から戦争を想定した編制とし、戦時への転換が即座にできる体制に着手したのだ。
 自衛隊の統合作戦司令部は、米軍が東京に新設する予定の米統合軍司令部との一体的運用が準備されてきた。日米の軍事一体化がより具体的に進むことになる。
 自衛隊は、敵基地攻撃能力を強化するため、ミサイル基地の新増設を急速に進めている。実際に敵基地攻撃を行なうには、戦略レベルでの決定と、目標に対する情報、伝達、攻撃という自衛隊全部隊を一体的に運用する体制が必須だ。統合作戦司令部は、敵基地攻撃という実際の侵略戦争に向けた体制作りだ。
 さらに自衛隊は三月二四日、新たに海上輸送群を発足させた。有事の際に迅速かつ大規模に部隊移動を行うための陸海空の共同部隊である。海上自衛隊呉基地に配備された。
 東アジアの軍事的緊張をさらに強め、戦争への道を開く統合作戦司令部の発足を弾劾する。反戦反基地闘争に立ち上がり、戦争体制強化を進める石破政権を打倒しよう。

日米防衛相会談「一つの戦域」構想

 防衛相中谷と米国防長官ヘグセスは三月三〇日、防衛省で会談した。
 ヘグセスは「日本は中国共産党の軍事侵略を抑止する上で不可欠のパートナーだ」とした上で、「西太平洋で有事に直面した場合、日本は最前線に立つことになる」と発言。さらに、「緊密に協力しながら、ともに戦闘力、殺傷力、即応力を高めることを大きく期待している」とも語り、日本に戦争準備を強く要請した。
 中谷は、東中国海、南中国海、朝鮮半島を「ワンシアター(一つの戦域)」として捉えることが、防衛省の戦略構想だと伝えた。中国と朝鮮民主主義人民共和国を念頭に東アジア地域を一体的な戦域と捉えて戦略を立て、日米豪韓比の軍事的連携を強める構想だ。
 石破政権は、東アジアでの日帝の軍事的役割を担う形で、大軍拡、戦争準備をさらに進めようとしている。石破のフィリピン訪問、そして米比合同軍事演習バリカタン2025への自衛隊参加も、この戦争準備の中にある。
 関税戦争の一方で進む日米軍事一体化、日帝の大軍拡―戦争準備を粉砕しよう。


5月沖縄解放闘争を闘おう

 「戦後八〇年」ということが喧伝され、天皇ナルヒトが「慰霊の旅」と称して沖縄、広島、長崎を蹂躙しようとしている。沖縄・琉球弧、九州など西日本でのミサイル弾薬庫建設が進められる中での、天皇制・天皇制イデオロギーの強化を絶対に許してはならない。
 沖縄・琉球弧で進む軍事要塞化攻撃は、まさに沖縄・琉球弧の「戦場化」を想定した戦争準備である。石破政権は三月二七日、「台湾有事」を想定して宮古島以西の島々から一二万人を避難させる計画の概要を公表した。ミサイル基地強化の一方で進められる「住民避難」計画とは、まさに、琉球弧の島々を日帝―防衛省の想定するとおりに要塞化し、戦域と捉えて「戦場化」する攻撃である。
 日帝は八〇年前、国体(天皇制)護持のために、沖縄戦を強行した。沖縄人民にとって「戦場化」とは想定ではなく、八〇年前の歴史的事実としての沖縄戦である。沖縄人民の四人に一人が犠牲となった現実の戦争である。
 石破政権は、トランプ政権との経済的対立を内包しながらも、日米軍事同盟の強化に突き進んでおり、その重要な環として辺野古新基地建設を強行し続けている。完成不可能な大浦湾軟弱地盤の工事に踏み込み、砂杭打ち込みを強行している。沖縄人民の反対を踏みにじっての埋め立て強行を絶対に阻止しなければならない。
 この工事強行の中、防衛相中谷は四月一〇日、参院外交防衛委員会で、「もっと沖縄県が努力をしていれば、もっと早く普天間の移設も進んだ」と言い放って、「辺野古唯一」を主張した。断じて許すことはできない。
 日帝―石破政権が「台湾有事」を煽り立てて大軍拡―戦争準備を進める中、本年の五月沖縄解放闘争は、まさにこの沖縄・琉球弧の「戦場化」と対決する闘いだ。5・15沖縄反革命的統合五三年を弾劾し、沖縄人民とともに沖縄現地での攻防を闘い抜こう。沖縄平和行進、県民大会、辺野古新基地建設阻止の闘い、五月沖縄解放闘争をしっかり取り組んでいこう。
 東京では五月一七日、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが新宿でのデモ「海も空も土も水もワッタームン(私たちのもの)」を呼びかけている。沖縄―「本土」を貫いて五月沖縄解放闘争に立ち上がろう。
   

 


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