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■戦時下の治安弾圧体制

外登法・入管法改悪を許すな!

 

 外国人登録情報を法務省入国管理局(以下入管)が一元的に管理する新制度の政府原案が明らかにされ、専門部会では具体的な制度設計に乗り出した(二〇〇七年二月十三日新聞報道による)。外国人登録法(以下外登法)、出入国管理法(以下入管法)を全面改悪する法案を二〇〇九年の通常国会に提出するものとみられる。

 自治体が交付している外国人登録証明書(以下外登証)に代えて、ICチップを搭載した「在留カード」を新たに発行し、許可と登録を国で一元的に管理しようというものである。専門部会では@カードに記録する情報の種類、A中央省庁と市町村の情報共有のあり方等を今後議論し報告をまとめるとされているが、基本的には以前出された自民党政務調査会の「新たな入国管理施策への提言」に沿ったものになるとみられる。

 それによると@対象は特別永住者及び短期滞在者を除くすべての外国人、Aこのカードの取得及び携帯の義務化、Bカードの搭載内容は氏名・国籍・生年月日・旅券情報・在留資格・住所・就労先・通学先等、C希望者には指紋情報を搭載しIC出入国カードの機能を付加、D特別永住者については現行の外登法制度を適用、となっている。住所などの変更があった場合はその都度登録することを入管法上の義務とし、虚偽報告については罰則規定も設ける。登録窓口は引き続き自治体となるため入管と自治体の間で登録情報をオンライン化し、外国人犯罪捜査への利用も想定されている。

 現行の外登法では、外国人は入管で在留許可を受けた後、来日から九十日以内に居住する自治体に氏名・国籍・居住地などを届け出ることになっている。自治体は申請に基づき外登証を交付する。外国人は在留の期間・資格などを変更する場合、入管の許可を受けた上で、自治体で変更手続きを取ることになっている。

 この国と自治体という「二元処理」を解消し、入国審査時と在留更新時だけでなく日常的に管理強化しようというのが改悪案の大きな狙いである。

 また雇用対策法を改定し、外国人労働者の雇用状況報告を全企業に義務づけようとしている。内容も従来の人数や性別に加え、氏名・生年月日・国籍・在留期間・在留資格などに広げ、こうした情報もすべて「在留カード」に集積していくことを狙っているのである。

 

▼「在留カード」導入と指紋押捺制度の復活

 

 「在留カード」の導入と常時携帯の義務化はまったくもって民族差別と排外主義に満ち満ちたものである。一九九二年の国会付帯決議において「(外登証の)常時携帯制度については濫用のないように」「適切な措置を講ずる」と言っておきながら、それを撤廃させるどころか輪をかけて差別的なものにしようとしている。ICカードという大容量の媒体に個人情報を集積し、それの常時携帯を義務づけ、ネットワークで結合するということは、日常的に行動が政府に把握され監視されるということである。個人情報が無制限に流出する恐れもある。

 さらに設置が検討されているとされる「インテリジェンス・センター」では、入管が管理しているデータに警察庁・外務省などの関係機関から提供される諸情報を加えて、個人単位の情報を一元的に管理しようとしている。すべての外国人について個人単位で情報を電子化・データベース化し、管理体制下に置こうというのである。まさに戦時下の治安弾圧体制にほかならない。

 また指紋制度復活は断じて許せるものではない。すでに昨年五月十七日に成立した改悪入管法で、「テロの未然防止」という名目のもと特別永住者や外交官などを除く十六歳以上のすべての外国人に対し上陸審査時に指紋と顔写真を提供することが義務づけられている。指紋押捺拒否闘争をはじめとした在日の永年にわたる血のにじむような闘いの中でかちとった「指紋全廃」をわずか数年で復活させるとは何たることか。

 法定受託事務として各自治体には一定の裁量権が認められてきたが、入管とのオンライン化が導入されると、窓口業務はただの端末機関に成り下がってしまう。これまで窓口交渉などを通じて作り上げてきた自治体との信頼関係も一気に崩壊してしまうことも考えられる。

 少子高齢化が進む中、不足する労働力を補うため外国人労働者については専門技術者だけでなく単純労働者の受け入れも検討されはじめている。一方で「テロ対策」「外国人犯罪者」キャンペーンによって排除を煽ってもいる。この「受け入れ」と「排除」という背反するテーマを徹底した電算化の中で同時に遂行しようというのである。政府によって管理された労働力の確保はまさに現代版「強制連行」といっても過言ではない。差別と排外主義を扇動する外登法・入管法の改悪案に全力で反対していこう。五月入管闘争をたたかおう。

 

 

 

 

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