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■一坪共有地第二回口頭弁論

千葉県―空港会社による土地取り上げ―運動つぶし許すな

 

 反対同盟鈴木幸司さん・いとさん夫妻に対する一坪共有地明け渡し訴訟の、第二回口頭弁論が、五月十七日、千葉地裁において開かれた。

 この裁判は、千葉県企業庁が、一坪共有地を成田空港会社に転売することを目的に、裁判所に対して、全面的価格賠償方式による一坪共有地の強奪を許可するように求めているものである。

 全面的価格賠償方式とは、共有地に関して、全体の所有を希望している一者が、他の所有者に対して金銭的な賠償をすることで無理やりに土地を占有するというものである。

 全面的価格賠償方式自体が、問題の多い方式なのである。第一に、民法上に定められた手続ではないということだ。最高裁が勝手に作った概念に過ぎない。そして、何よりも、裁判を通じて無理やりに土地を奪うという方法であり、私的な強制収用だということだ。こうした方法が認められるならば、すべての一坪共有地運動という闘争形態が破壊されることになってしまう、重大な攻撃なのである。

 そもそも、千葉県には明け渡しを要求する何の権利もない。千葉県は、地権者から個別に買い取ったとして、一坪共有地の所有権を主張しているが、一坪共有地は個人の財産ではないので、こうした買収行為そのものが無効なのである。問題の土地も、名義こそ鈴木さん夫妻になってはいるが、「三里塚地区周辺に土地をもつ会」という組合の財産(合有地)なのである。一坪共有地に名義を登録したというのは、空港建設に反対するということを目的として、「土地をもつ会」を設立し、会則を定めて、組合を通じて参加者を募り、土地登記を行ったのであり、個人の財産として取得したということではない。したがって、各人が勝手に他者に譲渡することは出来ないのである。所有者はあくまで「土地をもつ会」のみなのだ。

 以上見たように、千葉県の訴えには何の正当性もない。全面的価格賠償方式自体が不当なものであるし、転売するために土地を取り上げようという意図もまた利己的なものであって公共性など一片もない。このような提訴は直ちに却下されるべきだ。

 こうした裁判を千葉県が起した背景には、空港建設のために空港会社―政府―自治体―司法が一体となって、空港建設=反対同盟潰しを行ってきた歴史的背景がある。先に空港会社は、今回と同じく全面的価格賠償方式による土地強奪の裁判を起こした。千葉地裁は空港会社の訴えを全面的に認めて、これを許可する判決を下した。反対同盟は直ちに控訴したが、東京高裁は五月七日に審議を打ち切り、判決を下そうとしている。こうした状況を見て、千葉県企業庁は提訴に踏み切ったのである。空港会社―司法一体となった土地取り上げ=運動つぶしを絶対に許してはならない。

 閉廷後に開かれた報告会で、鈴木幸司さんは「反対同盟の中には、金のためにたたかう者は一人もいない。空港建設は絶対に許せないからこそたたかっている。そのための一坪だ。空港会社や県は一坪運動を破壊するためにどういったことをやってきたのか明らかにしていきたい。反対同盟の一員として最後までたたかう」と強い決意を述べた。また、鈴木いとさんも「頑張ります」と発言した。

 反対同盟と支援連絡会議は、開廷前に、千葉県企業庁の不当性を訴えるビラまきを、県庁と裁判所前で行った。現闘本部裁判、市東さんの耕作地裁判とともに、一坪共有地を守るための裁判闘争に全力で取り組もう。

 最後に、空港建設の現状について、報告を加えておく。北延伸に伴う新誘導路建設=「東峰の森」破壊攻撃では、空港会社はついに森の一部で伐採を強行した。空港会社は、森の木を移植するので破壊ではないなどとうそぶいてはいるが、多くの木々が無残にも伐採されている。「東峰の森」破壊を弾劾する。

 成田を巡る政治状況はどうなっているか。現在、政府・財界はアジア・ゲートウェイ構想なるものを立ち上げ、アジア便を中心に羽田空港の再国際化を図っている。彼等にとっても欠陥だらけの成田空港は重荷になっているのである。空港会社の社長人事に関しても官邸は運輸省官僚上がりの黒野社長の続投を許さなかった。こうした状況に危機感を抱いている成田の地元財界は、暫定滑走路の南北延伸=三五〇〇メートル化キャンペーンを開始した。五月十一日決起大会が開催され、空港会社の黒野社長がエールを送っている。用地内に残る農家をたたき出そうという意図を明らかにしているのだ。危機的状況に対応して、完全空港化に向けた攻撃は一層激しいものになっていくだろう。

 純航空行政的側面での成田空港切捨て(後景化)が進む一方で、軍事面での位置付けが高まってきている。有事の際には米軍が成田空港を利用することが、周辺のホテルをも対象に含めて計画されている。成田空港建設計画が当初の目的に戻ったということだ。軍事空港を廃港に追い込むたたかいを再び大きく作り出していこう。反対同盟、用地内農民を守り抜き、完全勝利に向けてたたかおう。

 

 

 

 

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