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 ■11・29~30

  岩国国際反基地行動が大成功
 

 不屈に立ち上がる住民と交流し闘いの確信深める



岩国基地前で抗議する労働者・市民
 
十一月二十九日から三十日にかけて山口県岩国市において岩国行動がおこなわれた。二十九日は、「愛宕山地域開発地のフィールドワーク」「住民交流」「労働者反戦交流集会」「学生交流会」「障害者交流会」が行われ、三十日は岩国国際集会が開催された。二日間にわたる行動には、全国から多くの労働者・学生・市民が参加した。「岩国は負けない」と不屈に立ち上がる地元住民のたたかいに、じかに触れることで反戦・反基地・国際連帯の確信がより一層深まる内容であった。この二日間のたたかいを報告する。



 ■愛宕山フィールドワーク&住民交流会


 愛宕山フィールドワークと住民との交流は、アジア共同行動と岩国反戦労働者交流集会実行委員会の共催でおこなわれた。

 十一月二十九日、午後二時、新築された岩国市庁舎前に集まり、そこからバスに乗車し、愛宕山へと向かう。途中、百合ヶ丘団地の入り口にさしかかると、団地自治会が建てた「米軍住宅建設反対」の横断幕が見える。

 愛宕山開発地に午後二時十分に到着。昨年のフィールドワーク時には、土砂の搬入に使われた機材が野ざらしになっていたが、今年はそれが撤去され、広大な更地がフェンス越しに見える。新しく移設された愛宕山神社も来年二月の竣工式を待つばかりとなっている。開発地に隣接する百合ヶ丘団地の住民から説明をうけた。

 岩国基地の滑走路を一キロ沖合いに移設するため、埋め立て土砂が必要だということと、跡地は整備して、住宅や病院、学校など新しい街ができるという説明で、地権者らは土地を手放したという。愛宕山全体が固い岩盤でできているため、重機だけでは山を崩せずダイナマイトが使われた。爆破による振動と粉塵で百合ヶ丘団地の住宅にはヒビが入り、砂ぼこりだらけになったという。そのようななか、「三年前に、米軍住宅が来ると聞き、反対運動へと立ち上がった。〇六年三月の厚木基地からの米軍移駐を問う住民投票で反対派が圧勝したが、それでも工事は中止されなかった」ことなど、これまでのたたかいの経緯を語った。そして、現在は、米軍住宅建設に反対するために「愛宕山守る会」「同市民連絡協議会」を結成し、攻勢的にたたかいを積み上げていることを明らかにした。

 この地域に居住している二名の市議会議員の方からも話を聞くことができた。そもそも地域の住民が工事に協力したのは「新しい団地を造るということだったからだ」「約束違反の米軍住宅はやめてほしい」と住民誰もが思っていることも明らかにされた。

 また「岩国の現状が新聞でもあまり触れられず、なかなか情報が外に伝わりにくい」ことを明らかにし、岩国の現状を全国へ発信し、たたかいを広めていくことの重要性も指摘された。

 約一時間にわたる、フィールドワークを終え、参加者は再びバスに乗車し、交流会の場所へと向かった。

 午後三時過ぎ、牛野谷供用会館で住民との交流会がおこなわれた。フィールドワークに参加した労働者・市民・学生で会館は満杯になった。七名の地元住民の方々との意見交流がもたれた。

 アジア共同行動九州・山口の司会で交流会が開始され、はじめに、アジア共同行動日本連が「交流を通して、現地の人たちの声を聞き、岩国のたたかいを広めて行きます」とあいさつした。

 つぎに、住民七人それぞれから米軍住宅建設計画に対する怒りとたたかいに向けた確信と決意が語られた。「一キロ沖合に滑走路を移設するために、埋め立て用の土砂が必要だ」という説明を受け、愛宕山の地権者たちは先祖から代々受け継いできた山を手放した。「跡地には、住民のための住宅をつくるからという話だったのが、米軍住宅を建設するなどというのは絶対に許せない」と怒りをあらわにした。そして、「米軍が来ていいことはないと言い切れる」「子どもたちの未来のためにも、米軍住宅を作らせない」と米軍住宅建設阻止の固い決意を明らかにした。

 七人の発言を受け、それに対する質疑応答がおこなわれた。会場の参加者から、さまざまな質問や意見がだされ、住民の回答からは、岩国市民が米軍住宅建設反対を貫く意志が強烈に伝わってきた。
 韓国・ムゴン里での訓練場拡張阻止をたたかう住民から託された、愛宕地域住民への激励と連帯の手紙が反侵略アジア学生共同行動(AASJA)の仲間から手渡された。

 さらに会場からのカンパとともに、各地のAWCからのカンパも住民に手渡された。

 交流会の最後に、アジア共同行動京都の野坂さんが「岩国の声を、それぞれの現場に持ち帰って広めていこう」と発言し、交流会はしめくくられた。




 ■11・29

 岩国反戦労働者交流集会

 第2回開催の意義確認し各労組員が発言と交流



 十一月二十九日、岩国市福祉会館において「岩国反戦労働者交流集会」が同集会実行委の主催で開催された。

 九州、中国、四国、関西、関東など各地から多くの労働者が交流集会に結集した。

 午後六時頃、司会のあいさつで集会が開始された。はじめに岩国現地からの報告と題して、市民の方から「子どものころから基地があるなかで育ってきたこと」を振り返りながら、ジェット戦闘機による騒音被害の現状などが話された。

 つづいて、集会実行委より基調が提起された。昨〇七年十月二十七日に岩国市で開催された第一回目の労働者反戦交流集会は、米軍再編・日米軍事一体化の焦点の一つである岩国現地で、反戦・反基地・反改憲・国際連帯のたたかいを、労働者・労働組合として、どのように取り組むのかを課題にして開かれ、交流・討論が行われた。さらにこの集会は岩国の勤労市民の空母艦載機移駐、基地の強化・拡大に反対する闘いに連帯するものとして開催され、軍事基地の状況を肌身で感じ、その体験を共通の基盤として交流が行われた。はじめに、この〇七年岩国反戦労働者交流集会の意義を確認し、第二回の岩国反戦労働者交流集会を行うことが明らかにされた。そして、①新自由主義政策に対決し、貧困と無権利・抑圧を強制される労働者の怒りと要求をもって、資本と闘う労働組合にするために取り組むこと。②沖縄・岩国・神奈川の反基地運動、とりわけ岩国の人々と連帯し、米軍再編・日米軍事一体化、基地強化に反対する取り組みを強めること。③自衛隊のイラク・インド洋からの撤退を要求し、自衛隊派兵恒久法制定を阻止し、憲法九条改憲を焦点とした日本の戦争国家化を許さないこと。④韓国・ムゴン里での、韓米軍共同使用のための演習場拡張阻止闘争など、米軍のアジアからの総撤収を求めて、アジア各国・地域で闘う民衆との連帯活動を追求すること。以上四点にわたって方針が力強く提起され、参加者全員がこれを拍手で確認した。

 休憩をはさんで、各地の労組からつぎつぎと発言が行われた。全日建運輸連帯関西生コン支部の労働者は、前段の愛宕山フィールドワークと住民交流会を振り返りながら、米軍岩国基地の強化のために、税金が使われようとしていることに対する怒りを明らかにし「労働運動に奮闘しながら反戦運動を取り組む」という決意を表明した。

 地域合同労組からはユニオン北九州が、奴隷労働という状況の外国人研修生問題に取り組んでいることを報告。さらに運輸労働の現場では「規制緩和」により、請負という形態で、輸送トラック運転手の手取りが、手配をおこなう業者にかすめ取られるという、派遣労働者と同様の状況の問題があることを明らかにし、労働者の団結の重要性を訴えた。

 国鉄労働者からは、鉄建公団訴訟原告団が、アメリカのサブプライムローンの破綻後の不況と、派遣労働者への首切りという状況は、新自由主義と密接に関係していると指摘。そして、「岩国市民の闘いに連帯していく」と発言した。

 港湾労働者からは、全日本港湾労働組合関西地方本部大阪支部が、岩国市民との交流会について「いかに多数を獲得し、闘いの勝利をつかむかという総意あふれる気迫を感じた」と感想を述べた。

 自治体労働者からは、国民保護法による戦争動員のなかで自治体労働者にかけられている攻撃の実態が暴露された。そして「不況と言われるなかで、軍事産業だけは潤っている。福祉を切り捨てながら、戦争へ向けた準備が進められている」「貧困と戦争が一体に進行している状況を阻止しよう」と訴えた。

 全国一般労働組合全国協議会は、「トヨタ、キヤノンなどの大企業は生産調整のために、派遣切りを強行している。仕事を失った派遣労働者は三万人を超えていると言われている。企業が『倒産』という状況ではないにもかかわらず、生産調整のために首切りを強行するなど許せない。労働者が団結し今の状況を変えていく闘いに立ち上がろう」と訴えた。

 そして、地元の労働者からの発言では、全国一般全国協山口連帯労組が岩国市民に連帯してきたことを報告。山口市の中学校の教育労働者は、新学習指導要領が道徳を重点にして国家主義に傾斜していることを指摘した。郵政労働者からは郵政ユニオンの労組員が職場での闘いと新たな労組員の加盟を報告した。

 海外ゲストとして参加している韓国の民主労総・統一委員長のファン・スヨンさんは力強く連帯発言をおこなった。

 交流集会の最後に、「戦争と闘うことと、労働運動はそれぞれが別々に闘うことではなく一緒に闘うことだと思う」と、まとめの提起を洛南労組連代表の瀧川順朗さんがおこない交流会は締めくくられた。

 その後、場所を移動し、杯を酌み交わしながらの交流会が行われ、団結が打ち固められた。





 ■11・30岩国国際集会

 住民との交流、各交流会の成功を力にして総結集



 十一月三十日、岩国市福祉会館において、「アジア米軍総撤収! 基地強化―愛宕山への米軍住宅建設反対/岩国国際集会」がアジア共同行動日本連絡会議の主催で開催された。前日は、愛宕山開発跡地でのフィールドワークと住民との交流、岩国反戦労働者交流集会、学生交流会、障害者交流会などが開かれ成功した。前日からの参加者に加え、国際集会には、各地から多くの労働者・学生・市民が参加した。



 ●海外からのメッセージ

 「米軍再編との闘い」


 午前九時半ごろ、司会のあいさつで集会の第一部が開始された。はじめに開会あいさつをアジア共同行動日本連共同代表の白松さんがおこなった。「今回で、岩国国際集会は三回目となります。帝国主義を支えているのは軍事力です。帝国主義による蛮行を許さず、反帝国際連帯―反戦闘争に決起しよう。日本各地で、反米軍闘争は着実に前進しています。闘うアジア人民との連帯をさらに前進させよう」と訴えた。

 つづいて、集会に寄せられた海外からのメッセージが紹介された。アメリカANSWER連合、台湾労働人権協会、フィリピンBAYANのメッセージがそれぞれ代読され、拍手で確認された。

 海外ゲストのあいさつでは、フィリピンと韓国のゲストから発言を受けた。

 まず、フィリピンの在日BAYANのブッチさんが、連帯あいさつをおこなった。「すべての米軍基地が撤去されなければならない。帝国主義をうち倒して、より団結を強めていこう」と発言した。

 つぎに、韓国の民主労総統一委員長のファン・スヨンさんが発言に立った。かつての日本の侵略の歴史から、現在の韓国に駐留する米軍についてふれ「南北分断は日本にも責任がある。米軍は祖国統一を阻む存在であり、叩きだしていかなければならない」と断じた。そして、韓国での米軍犯罪について語り、岩国に来て「米軍犯罪が日本でも起きていることを知った。米軍を総撤収させよう」と訴えた。

 つづいて、「米軍再編とのたたかい」と題して、神奈川、沖縄、そして米兵による性暴力のたたかいを取り組む軍事基地と女性ネットの発言が行われた。

 神奈川から集会に参加した基地撤去をめざす県央共闘会議の檜鼻さんは、現在の米軍再編について「日本全国が沖縄化する状況だ。横須賀へ、原子力空母ジョージ・ワシントンが入港したが、あきらめてはいない。厚木においては第四次爆音訴訟がたたかわれている」と反戦・反基地のたたかいが継続し、広がっていることを明らかにした。

 沖縄からは、一坪反戦地主会北部ブロックからのメッセージが代読された。名護新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止を闘う沖縄現地のたたかいの報告がなされた。

 軍事基地と女性ネットは、昨年十月におこった、広島での米兵による性暴力事件、沖縄での中学生、フィリピン人女性への性暴力事件と、女性に対する被害が後を絶たないことを糾弾。十月十四日には、全国各地で、米兵による性暴力事件を糾弾し、被害者を支援する同時行動を取り組んだことを報告した。

 つぎに、岩国のたたかいを、田村順玄さんが報告した。岩国での爆音訴訟提訴に向けた取り組みや、愛宕山米軍住宅建設反対、公有水面埋め立て承認取り消し請求訴訟と、空と陸と海にわたる三つのたたかいの方針が明らかにされた。そして「明日から岩国市議会が開かれる。市議会で岩国基地の問題を追及していく」と力強い発言をおこなった。

 すべての発言を拍手で確認し、第一部を終え、休憩に入った。



 ●講演「平和的生存権」

 諸団体アピールと決議


 
正午すぎ、第二部が、開始された。はじめに、主催者あいさつをAWC実行委がおこない、小林武さんの講演がおこなわれた。小林さんは、愛知大学大学院法務研究科教授で憲法学を専攻している。〇八年四月十七日名古屋高裁で「自衛隊のイラクでの活動は『武力行使』であり、憲法九条一項に違反する」「憲法に示されている『平和的生存権』は国民の法的・具体的な権利であり裁判規範性を有する場合がある」との判決が出された。小林さんは、この「平和的生存権」研究の第一人者であり、「市民平和訴訟」や「イラク派兵違憲訴訟」にも積極的にかかわっておられる。今回の岩国での講演は、岩国のたたかいをはじめ全国の米軍再編に反対するたたかいにおいて、この「平和的生存権」をどのように活かして行くのかを獲得するために設定された。

 小林さんは、「4・17判決が空自のイラクでの活動を九条一項違反としたのは、はじめて裁判所が政府の行為に対して違憲であるとしたものだ」と歴史的に見ても画期的な判決であることを明らかにした。そして「自衛隊のイラクにおける活動を終了し、撤収することにしたのは、政府の言う『国連決議の期限が切れる』『イラクの治安が安定した』ではなく、真の理由は違憲判決が出されそれが確定したからだろう」と語った。さらに、この判決は「長年にわたる市民と、弁護団の平和のための努力と、全国の人々の力が名古屋に結集した成果だと思う」と語った。そして、「4・17判決」における「平和的生存権」についての判示はこの間の「平和的生存権論を飛躍的に前進させるものだ」として具体的に内容を展開したのちに、この「4・17判決」を活かして岩国でのたたかいの前進を願う、と講演を締めくくった。

 講演後には、会場の参加者から地方自治体と政府のいう専管事項論との関係、日米安保、田母神発言などさまざまな観点から「平和的生存権」についての質問が提起され、有意義な質疑応答がなされた。

 つづいて、集会に参加した諸団体からアピールがおこなわれた。連帯山口労組、国労北見闘争団、反侵略アジア学生共同行動、全国一般全国協、フィリピンと韓国の海外ゲスト、労働者反戦交流集会実行委とそれぞれのたたかいの報告と決意が述べられた。

 地元岩国からのアピールに立った大川清さんは、全国から多くの人々が集まったことに対して「岩国市民は孤立していないということを強く感じ、はげまされた」と発言し、「絶対に米軍住宅を作らせない」と決意を明らかにした。

 つづいて、集会決議を反侵略アジア学生共同行動の山口の学生が読み上げ、参加者全員の拍手で採択された。そして、集会のまとめをアジア共同行動日本連共同代表の鴨居さんが提起し、団結ガンバローで集会はしめくくられた。



 ●岩国市民を激励し

 岩国基地へデモ行進


 いよいよデモ行進だ。岩国市福祉会館前で、隊列を整え参加者それぞれが、ゼッケンやのぼり、横断幕を掲げデモに出発する。「岩国基地強化反対」などのシュプレヒコールを響かせながら岩国市内を意気高く進む。岩国基地に差しかかると、「アメリカは戦争をやめろ!」「米兵の性暴力を許さないぞ!」怒りの声を叩きつけた。そして、近くの公園で岩国集会の勝利を確認し、闘争を終えた。

 

 

 

 

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