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 ■2・24 東京

  性暴力被害者に正義を!街頭情宣で訴える





 昨年二月十八日、沖縄市内でフィリピン人女性・ヘーゼルさん(仮名・当時二十二歳)が、在沖陸軍パトリオット・ミサイル部隊所属・特技伍長(当時二十五歳)によってレイプされた事件に対する軍法会議が、先月二十三日から開かれました。この軍法会議開催に合わせて、二十四日情宣活動が取り組まれました。

 被害者のヘーゼルさんは事故に遭った妹の治療費を稼ぐために来沖し、三日目にこの事件に遭いました。彼女は自分がどこにいるのかさえわからない中で、米兵と一緒にいることを余儀なくされ、レイプされたのです。翌朝ホテルのロビーでぐったりしているところを従業員に見つけられ、病院に救急搬送、一週間の入院を要する怪我を負いました。精神的にも深く傷つき、事件後しばらくは外出もままならず、カーテンを開けることさえ出来ない状態だったといいます。それでも、彼女は自らの正義と尊厳を回復するため、沖縄に一人とどまり、闘い続けていたのでした。しかし、那覇地検は五月十六日、強かん罪成立の要件となる暴行や脅迫の有無について嫌疑が不十分であると不起訴処分とし、日米地位協定に基づいて裁判権は日本から米国へと委譲され、今回の軍法会議開催となったのです。

 情宣には、この行動を呼びかけた学生団体AASJA東京のメンバーと共に、地区の女性労働者や現在毎月一回様々な女性問題をテーマに情宣活動に取り組んでいる女性達も参加。雨が降り、大変寒い中だったためビラの受け取りは今一つでしたが、約一時間ほどのビラまきと情宣を行いました。

 軍法会議に先立って出されたAASJAのアピール文を配りながら、参加した人達がかわるがわるマイクを持ち、この事件が日本の司法で裁かれなかったことの不当性や、軍法会議の欺瞞性、繰り返される米兵による事件・事故をなくすために米軍基地の撤去を訴えました。また、性暴力被害者へのバッシングや誹謗中傷のひどさ、それによってもたらされている被害者の分断に対しても批判がなされました。そして、事件後被害の後遺症に苦しみながら沖縄に残り、闘い続けるヘーゼルさんへの引き続きの支援を訴え、軍法会議による事件の幕引きを許さない闘いを継続していこうと呼びかけました。

 結局、今回の軍法会議でも、大方の懸念通り、開廷前に検察側と弁護側で「事前合意」が成立し、命令違反や性的交渉(買春)など他の三つの罪を認める代わりにヘーゼルさんを暴行した罪を取り下げるという、事実上の司法取引が行われ、即日結審となりました。加害米兵に下された処分は禁固六カ月、二等兵への三階級格下げ、給与支給停止、悪品行による除隊というものでした。被害女性の心身に、後々にまで残る深い傷を負わせているにもかかわらず、加害米兵はレイプに関して一切不問とされてしまったのです。

 このことは、今回の軍法会議もまた、被害女性を更に傷つけるだけに過ぎないセカンドレイプの場でしかなかったことを暴露しています。そして、以前から明らかになっている軍法会議というものの性格をいっそう露骨に表しているでしょう。すなわち、軍法会議は、あたかも在日米軍が「規律高い、誠実な米軍」であるかのようなパフォーマンスに過ぎないということです。このことは、他ならぬ被害者本人の証言・訴えを「信憑性がない」などとして取り下げ、暴行そのものをなかったこととして認めず、加害者の罪を規律違反のみに絞って裁いていることからも明白です。軍法会議は、今や在日米軍と米兵を守る役割を果たすためにしか設置されておらず、加害者への公正な裁きや被害者の尊厳の回復など、そもそも期待出来ないのです。本来ならば今回の事件は日本の司法のもとで厳正な裁きが行われるべきです。このような一片の正義もない、欺瞞に満ちた軍法会議を弾劾し、これによる事件の幕引きを許さない闘いを広げていかなければなりません。

 そして、今回の軍法会議の不当な判決によって、私たちは改めて繰り返される米兵による事件・事故をなくすためには米軍の軍法会議にも、日米両政府にも、何ら期待出来ないことを確信しました。このような犠牲を繰り返させないためにも、性暴力被害者の正義と尊厳の回復を求める闘いと、様々な被害をもたらし続ける米軍基地の撤去をこれからも粘り強く訴えていきましょう。米兵による事件・事故の温床でもある日米安保・日米地位協定に反対し、進められる日米の軍事同盟の強化を粉砕する闘いを続けていきましょう。

 
 

 

 

 

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