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 ■岩国 基地強化に対する住民の闘争が前進

 



 ●3・23 岩国基地周辺住民が爆音訴訟を提訴



 岩国基地周辺住民が国を被告として爆音訴訟を提起した。

 三月二十三日午前九時半、山口地裁岩国支部(岩国市)前庭には訴状提出のために多くの原告たちが集まった。初の岩国爆音訴訟提訴に際し、厚木や横田の爆音訴訟原告団代表も参加している。その数九十三名。津田原告団長、吉川弁護団長や厚木爆音訴訟原告団長・全国基地爆音訴訟原告団連絡会議代表の斉藤さんから簡単なあいさつを受けたのち全員で訴状提出行動を行った。その後裁判所から報告会会場の岩国中央公民館まで約一キロをデモ行進。爆音訴訟であることを演出するための「サイレント・デモ」。「これ以上の爆音はいらない!」「岩国爆音訴訟提訴」と大書した横断幕を先頭にした岩国市民の隊列が、静かではあるがみなぎる迫力を発散して進んだ。

 提訴報告集会においては原告団や爆音訴訟を支援する会メンバーらが口々に提訴の意義を力説。爆音訴訟を支援する会代表の田村順玄岩国市議は「この裁判には全国が注目する米軍再編の艦載機部隊移転差し止めという大きな命題も入っている。政府の岩国市民に対する理不尽な仕打ちに白黒を付けさせる裁判だ。長いたたかいだが一緒にがんばろう」とあいさつ。次いで原告団長の津田さんも「ついに提訴にこぎつけた。長いたたかいだが一致団結して裁判に臨もう」と発言。弁護団長の吉川弁護士は「全国各地の爆音訴訟が積み上げた地平の上に岩国の爆音訴訟がある。この地平を受け継ぎ後退させることなく、一つでも二つでも壁を打ち破ってゆこう」と発言を行った。全国の爆音訴訟原告団を代表して発言に立った厚木の斉藤さんは「爆音のたらい回しは許されない。ついに岩国爆音訴訟が提訴されわれわれも勇気付けられている。互いに知恵を出し合って飛行差し止めをかちとろう」と連帯を表明した。

 今回提訴した内容は①午後八時から翌朝八時半までの飛行とエンジン作動の差し止め、それ以外の時間帯における六十デシベルを超える騒音の差し止め②市街地上空での旋回・急上昇の差し止め③厚木艦載機五十九機と空中給油機十二機の離発着差し止め④過去分の騒音被害に対する損害賠償および訴訟期間中および将来の損害賠償である。特に③の内容はまさに厚木艦載機部隊などの移設そのものを直撃するものである。この点について津田原告団長は「騒音被害の軽減ということで滑走路の沖合移設がなされたにもかかわらず、厚木部隊移設の『受け皿』とされてしまっている。国みずから『騒音は一部地域で増大する』などと平気で語っている。国には環境基本法を達成する義務があるはずだが、そんなものなどお構いなしと言わんばかり。これには異義を申し立てなくてはならない」と明確に語っている。基地被害の軽減どころかその増大を伴う基地の増強に対するたたかいという内容が、今回の岩国爆音訴訟には込められているのだ。

 そして特筆しておくべきなのは、「国の安保政策に対し、他地域に比して従順である」とされてきた岩国において、四百七十六名もの原告団を擁して爆音訴訟が提訴されたことの意味である。旧日本海軍によってもたらされた被害をも含め戦後一貫した基地被害を受けながら実に六十数年にわたって軍事基地との「共存」を強いられてきた岩国市民・住民が、その怒りをついに国に対して解き放ったのである。基地被害の軽減のためだとして行なわれた滑走路沖合移設を逆手にとり、拡張された基地を受け皿に米軍再編計画が進行することに対する岩国市民のたたかいはこうしていま一段の飛躍をみせている。〇六年三月の「岩国住民投票」を起点に開始された「これまで以上の基地強化は許さない」とする岩国市民のたたかいはさらに継続し拡大していることの証左が今回の爆音訴訟提訴なのである。四百七十六名の原告団ということがもつ意味は極めて大きい。

 滑走路沖合移設のための土砂を採取した愛宕山開発用地周辺住民のたたかいも、米軍住宅化反対署名五万人署名の倍化達成という成果を勝ち取っている。公有水面埋立取消訴訟も審理過程で山口県および国のペテンを暴露しながら進められているところだ。昨年十一月岩国国際集会において明らかにされた「海・陸・空のたたかい」が岩国市民の手によって大きく前進している。さらに岩国基地強化反対のたたかいを全国から進めよう。



 ●3・24 公有水面埋立取消訴訟第5回審理


 爆音訴訟提訴の翌日、山口地裁(山口市)においては「公有水面埋立承認処分取消訴訟」の第五回審理が行われた。前日の爆音訴訟提訴の興奮さめやらぬ中での審理である。

 このかんの審理過程において被告=山口県は、「訴えの利益不存在」「原告不適格」などの弁を弄し何とか早期結着をはかろうとしているところだ。原告団・弁護団はこれを断じて許さず審理の継続をかちとっている。今回は県が「訴えの利益なし」と主張する理由の一つ、「沖合埋立工事の終了」という点に対しこれを覆す準備書面が提出された。また、県に対して出し渋る証拠書類の提出を重ねて求めるとともに、五名の証人申請を行った。

 毎回の審理で確実に行なわせている原告本人の意見陳述では、今回愛宕山地域住民である原告からの意見陳述が行なわれた。「山口県が過去十数年間にわたり地元に説明した『21世紀型良好な住宅環境創出』が『米軍が管理する地区』となり『巨大な負の遺産』『完全な基地の町』となろうとしている」と県の行為を厳しく弾劾し、「四千人の米兵やその家族のすぐそばで生活することは、学校や子ども達が米兵による犯罪に巻き込まれる危険と隣り合わせとなることになる。地域の氏神が米兵を守る事態には耐えられない」と述べた。そして山口県の公有水面埋立承認とは「健全な県東部の将来を想定せず、安易に国家の方針に追随する判断」と断じたのである。

 裁判終了後、弁護士会館で行なわれた報告集会では、弁護団から「爆音訴訟とこの行政訴訟を車の両輪としてさらに進めてゆこう」という提起がなされた。次回審理は五月十二日午前十一時より。



 ●愛宕山米軍住宅化反対署名、10万3341筆集まる


 昨年十二月より開始された「愛宕山を守る会」「同市民連絡協議会」による、愛宕山米軍住宅化反対五万人署名の集計結果が三月二十六日明らかになった。総数で十万三千三百四十一筆、そのうち岩国市内で集約されたのが五万七百四十七筆、岩国市以外の県内分が二万七千六百五筆、県外分二万四千九百八十九筆となっている。岩国市民の愛宕山米軍住宅反対意思表明が実に五万を超えている。全市民の三分の一に及ぶ数字だ。さらに愛宕山を守る会代表の岡村さんによれば、県外からの署名には各地の米軍基地所在地からの署名が多く寄せられたともいう

 この署名運動は、一方で昨年末から本年年頭にかけて行なわれた山口県都市計画審議会における愛宕山開発事業計画の廃止決定を許さないたたかいと並行して進められた。また、署名運動とあいまって、「米軍住宅はいりません」と大書した黄色いのぼり旗を数百本、愛宕山地域を中心に市内の家々や道路に掲揚する行動も行われている。正味にしてわずか数カ月間の取り組みでこれだけの署名が集まったのは、何よりも愛宕山地域住民の怒りと声が多くの岩国市民の共感を呼んでいることの証左だ。基地大強化反対―米軍住宅反対の声がいっそう明確になってきたことの証左でもある。そしてこれだけの署名を集めたこと自体、全国各地で米軍再編計画に反対している基地周辺住民や心ある人々への一番の励ましでもある。

 政府は「厚木艦載機部隊の岩国移設に伴う米軍住宅の適地調査費」として約二億円もの予算を〇九年度予算案に盛り込んでいる。浜田防衛相自身が「愛宕山を買い取りたい」と明言するなど米軍住宅化への間合いを徐々に詰めようとしている。さらに、愛宕山に米軍住宅を建設しようという国の本音の部分での意向を受ける形で、岩国市内においては「愛宕山開発用地に市民と共用できる米軍施設を作らせよう」なる、米軍住宅および米軍施設誘致運動も開始されているところだ。こうした正真正銘の米軍施設誘致運動自体、米軍住宅化反対署名の大前進に恐怖したがゆえに生起させられた運動に過ぎない。だがしかし、愛宕山米軍住宅反対署名の倍化達成の勝利は決定的である。署名の倍化達成という成果はさらに岩国市民を勇気付け、基地強化反対の声の更なる拡大に転化してゆくことは確実だ。さらにこうしたたたかいが全国の注目と支持をいっそう引き寄せ拡大させることにもつながる。

 署名集約を終えた「愛宕山を守る会」「同市民連絡協議会」は、同日岩国市および山口県に対して署名結果を報告し、次いで十一万数千筆の署名簿本体を四月七日に衆議院内で行なわれる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会 第十二回総会」の席上、防衛大臣あてに提出する運びである。

 一連の岩国市民のたたかいの前進を喜びをもって受け止め、さらに岩国市民、愛宕山地域住民への支援を強化し、愛宕山米軍住宅化反対―岩国基地大強化反対のたたかいを進めてゆこう。



 

 

 

 

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