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 ■9・26~27 京都

 AWC第三回総会開かれる

 比、韓、台、インドネシア、米などから代表が参加




AWC第3回総会開かれる(京都)

 九月二十六日、二十七日の両日、京都教育文化センターで、AWC(米日のアジア侵略・支配に反対するアジア・キャンペーン)の第三回総会が開催された。前回の総会から十四年ぶりとなるこの総会には、日本(AWC日本連)、韓国(AWC韓国委員会)、フィリピン(BAYAN=新民族主義者同盟)、中国・台湾(労働人権協会)、インドネシア(JKB=文化活動家ネットワーク)、米国(ANSWER連合)、ASA(アジア太平洋学生青年協会)、および滞日フィリピン人移民組織の代表が参加した。総会が開かれた会場には、百人を越える日本の活動家、労働者・学生・市民がつめかけ、海外代表たちとの討議にも積極的に加わった。今回の総会は、一九九二年のAWC結成以来の十七年におよぶ闘争の足跡をふり返りながら、帝国主義と資本に対するアジア太平洋地域における共同の闘争をいっそう発展させていくために開催された。総会は大きな成功をかちとった。以下、二日間の総会の概略について報告する。



 ●一日目-「AWC国際報告」「各国・地域報告」など


 午前十時すぎ、総会はAWC国際事務局の司会のもとで始まった。冒頭、AWC共同代表の小城修一さんが開会のあいさつを行ない、「各国・各地での必死の闘争を、大きな反撃へと発展させよう」と力強く発言。つづいて、AWC運動の発展に寄与した四人の故人、クリスピン・ベルトランさん(元BAYAN議長・AWC共同議長)、ダン・ビスマノスさん(元BAYAN議長)、斉藤一雄さん(元衆議院議員・日本連共同代表)、前野良さん(政治学者・元日本連顧問)の死を悼んで黙祷が行なわれた。

 黙祷のあと、総会参加者の一人ひとりが自己紹介。その後、まず最初の議題として、国際事務局による「AWC国際報告」が提案された。報告は結成以降のAWC運動の成果と意義を確認し、国際共同闘争のいっそうの強化・飛躍を訴えるものであった。これに対して「労働争議で逮捕された獄中者に激励の手紙を送るなど国際的な相互支援活動を強化しよう」(韓国)、「米軍の駐留は世界の人々から感謝されているとの宣伝が米国内で行なわれているなかで、世界各地で米軍基地反対運動が展開されていることはとても重要」(米国)などの意見が表明された。昼食時、AWC九州・山口の仲間がギターを弾きながらプロテスト・ソングを披露した。

 午後から「各国・地域報告」が始まる。最初に、AWC韓国委員会から「韓国の経済および労働の状況と南北関係」と題した報告が行なわれた。新自由主義経済政策のもとで拡大した貧富の格差は、経済危機と李明博(イ・ミョンバク)政権下でいっそう広がっていること、「労働者民衆の怯えと恐怖が抵抗よりも現実への順応を選択させている」という厳しい状況下で、労働者のねばり強い闘争が継続していることなどが報告された。会場からは南北間の「和解の動き」についての質問などが出された。

 つづいてAWC日本連からの報告である。日本報告では、恐慌下の日本経済の現状を明らかにしつつ、新たに登場した民主党政権の性格などの問題についてふれながら、日本においてAWC日本連がどのような積極的役割を果たしていくべきかについての提起がなされた。討議では、とくに民主党政権をどうみるのかについての意見が多く出された。米国の代表は、オバマ政権の登場についてふれ、オバマ政権と民衆の間の「ハネムーン」はつづいているが、オバマの公約と現実の矛盾が明らかになりつつあるなかで、民衆を組織する条件は拡大していると主張。また韓国からは、民主党のかかげる「東アジア共同体構想」について、「アジアの民衆レベルに存在するさまざまな問題の解決なしに、共同体を主張しても意味がない」と批判の態度を明確にした。

 日本報告につづき、特別報告として沖縄からの報告が行なわれた。沖縄報告は、「沖縄の苦難の歴史」から始まり、「基地の島・沖縄」について述べ、最後に「米軍再編-基地強化・新基地建設阻止を闘う沖縄労働者人民」について提起するという本格的な構成のものであった。

 次に行なわれたのはフィリピン・BAYANからの報告であった。報告は「①フィリピン経済の傾向と見通し、②VFAの十年-米軍基地の再来と米軍部隊の戦闘への関与」の二つの部分からなるものであった。BAYANの代表は見事なプレゼンテーションの画像を使いながら、フィリピンにおける失業問題、米軍駐留-VFA問題、人権侵害問題、あるいは来年に予定される大統領選挙などについて、分かりやすく説明した。
 一日目の報告の最後として、ASA(アジア太平洋学生青年協会)から特別報告を受けた。ASAは香港に本部を置くアジア規模の学生・青年組織である。ASAの代表は「私は『アイス・ブレイク』から始めます」と断って、参加者と一緒になったパフォーマンスで会場を盛り上げた。ASAの話の内容は、金融危機のもとでアジアの学生・青年はどのような状況に置かれているかについてのものであった。討議においては、アジアで共通して現れている「青年層の政治意識の低下」の根拠は何かという問題や、インターネットは青年に害をあたえているか否かなどの問題について意見交換が行なわれた。



 ●一日目夜-「資本主義に代わる新たな社会への展望」


 第一日目の最後のプログラムとして、この日の夜、AWC日本連の主催でフォーラム「資本主義に代わる新しい社会の展望」が開催された。

 このフォーラムの開催は、次のような情勢認識に基づいている。昨年九月にアメリカを震源とする世界金融恐慌が起こり、世界中に「資本主義の崩壊」を危ぶむ声すらあげられているものの、「資本主義は自動的に崩壊するわけではなく」、「資本主義の側はその危機を深めれば深めるほど、必死になって労働者民衆に矛盾をおしつけ、危機の乗り切りをはかろうと」するのであり、かつての二度にわたる帝国主義間戦争、植民地争奪の侵略戦争のような歴史を繰り返させてはならない、ということ。そして現在の世界金融恐慌によって「世界の労働者・民衆のなかから、資本主義というシステムそのものへの批判の声が」強まり、「資本主義は、もはや歴史的な役割を終えたとい認識がひろがって」いること。

 このような情勢認識を共有しつつ、「労働者民衆のたたかいを、『新しい社会』を建設していく展望と結び付けていくこと」が重要であり、そのための「相互の見識の交流」、あるいは「お互いの闘争の経験から学んでいく」ために、このフォーラムは組織された。
 開催時間には、会場一杯に労働者、学生・青年が結集し熱気があふれていた。このテーマに惹かれ、海外ゲストの発言や内容豊かな討論を楽しみにして待つ雰囲気であった。

 フォーラムは、まず第三回総会に結集した各国・地域の代表から提起を受け、これを受けて参加者全体での討論という流れで進められていった。

 提起を行なったのは、米国、韓国、台湾、フィリピン、インドネシアで、それぞれの国・地域の階級闘争の現状や運動内容により「『新しい社会』への展望」といっても随分幅のある中身が提起された。

 米国の代表は、オバマ大統領の登場から話をはじめ、オバマは「支配階級の操り人形」であり、決して米帝国主義の終りなき戦争を止めさせることはできない、「唯一の解決策は資本主義を終らせること」と提起した。そして社会主義に言及し、それは「米国の人たちだけのものではなく、世界中の人たちのためのものだ」「世界中の富が米国に流れ込んでいるが、これを世界中に返さねばならない」といったことを語った。

 韓国の代表は、戦後の「急速な経済成長」「資本主義の利益と効率性」によって共同体社会は崩壊し、一九九七年のIMF危機を契機に人々は「恐れと貧困にたたきこまれている」と韓国の労働者階級意人民の現状を分析し、「資本主義が社会のなかに内面化している」と指摘した。そして資本主義の内面化ということが、韓国における労働者階級人民の戦闘力を弱めていると述べた。また「韓国では資本主義の代案として社会主義を掲げることは非常に困難」、しかし労働者が最低の状況にたたきこまれていることをふまえて、「反資本主義を具体的に実践していくこと」「もっと急進的な要求を掲げてたたかっていくこと」のなかから展望は切り開かれていくと提起した。
 台湾の代表は、「このテーマについて苦労して考えてきた」と前置きして、社会主義についての歴史的・理念的な考察を行うとともに、共通の敵であるアメリカ帝国主義に対する闘争の重要性を強調した。

 フィリピンの代表は、「『新しい社会』への展望」として極めて具体的実践的にフィリピンにおける民族民主的変革の中身について提起した。まずはフィリピンにおける帝国主義の支配を終らせること、「本当の意味での経済発展」「農地の解放」を実現すること、そしてフィリピンにおける革命に勝利することによって帝国主義を弱める、と語った。

 最後にインドネシアの代表は、厳しい弾圧が続いているインドネシアでは、ストレートに帝国主義といった言葉を使ってもうまく伝わらないといった状況のなかで、「私たち自身の歴史を正しくふり返り、私たち自身を知らなければならない」と述べ、困難な状況の中で歴史と文化を掘り起こす作業の地道な継続―民衆の文化運動―を『新しい社会』へとつなぐ取り組みとして提起した。

 以上のような各国・地域の提起を受けて、会場全体での討論に入っていった。時間の制約がある中で、多岐の領域にわたる活発な意見表明、質問が交わされた。
 その一端を紹介すると、プロレタリア国際主義の重要性の提起、朝鮮半島情勢についての質問、あるいは労働組合のたたかい、ソ連共産党―スターリン主義の評価、中南米における社会主義的国家建設などにつての質問・意見が提起された。

 フォーラムで交わされた意見あるいは提起は多岐にわたり、決して簡潔にまとめられるものではないが、国・地域において歴史も運動状況も違うなかにあっても、底流において資本主義の支配に代わる新しい社会への熱意・期待が流れていることが感じられるものであった。



 ●二日目-「各国・地域報告」「情勢と活動方針」など


 前日の各国・地域報告に続き、朝九時三十分から総会論議が再開された。二日目から加わった参加者が自己紹介を行い、総会プログラムに沿って、インドネシア、台湾、米国からの各国・地域報告が行われた。

 インドネシアのJKB(文化活動家ネットワーク)からは、スハルト政権以降も反共団体によって焚書がなされるなどの反動的な状況があり、この中で、9・30事件の真実を明らかにしていく取り組みをしていることが報告された。

 台湾の労働人権協会からは、ウォール街から始まった世界経済危機は台湾経済にも打撃を与えており、本年八月の失業率は6%以上に上昇している中で、この事態に労働者階級の側からの抵抗運動が開始されていることが、まず報告された。そして、「台湾の半導体生産工場TSMCでは大規模な整理解雇事件がおこり、これに対して労働者は争議に立ち上がって勝利している。また、本年のメーデーには一万人以上が結集して街頭デモをたたかっている。一方においては、オバマ政権になっても米帝の台湾に対する位置づけは変わっておらず、『台湾関係法』を基盤にして米・台間の軍事協力関係は続いており、海上軍事訓練が強行されている。この状況に対して、米国との実質的軍事同盟を破棄して、米日帝国主義への依存から抜け出し、両岸(中国と台湾)が協力して地域平和に責任をもつようにすべきだ」などが主張された。

 質疑では、現在の中国の評価をめぐる質問があった。また、沖縄の参加者が、与那国への自衛隊、米軍の上陸の動きと、これに対する住民の反対運動を報告して、台湾報告を補足した。台湾側からは、沖縄サミット反対闘争をともにたたかった意義を再確認し、沖縄・台湾の連帯を強めていくことが提起された。

 米国ANSWERの代表は、経済危機とオバマ民主党政権の成立という二つの要因によって、政治風景が大きく変化したことをまず報告した。オバマ政権に対する期待や幻想が強いなかで、オバマ政権は実際にはアフガニスタンでの侵略を拡大していることを暴露して全国規模の反戦闘争を取り組んでいること、また、イスラエルの植民地的占領に反対し、パレスチナ民衆支持の大衆行動を牽引してきたことが報告された。

 さらに経済危機の深化の中で米国労働者の貧困化が進んでいることが報告された。「多くの労働者が家を失っている。米国では四千六百万人以上の労働者人民が健康保険に加入できない現実がある。ANSWERは反戦闘争と同時に、労働者の雇用、教育、住宅、健康保険など当然の権利を要求するたたかいを取り組んでいる」。

 質疑のなかでは、米国大統領選挙の過程で、労働運動、反戦運動の多くがオバマ支持運動に流れてしまった米国の現状において、ANSWERが反帝闘争を貫いてきたことが明らかにされた。

 昼食後、特別報告として、滞日フィリピン人組織と国際民衆闘争同盟(ILPS)からの報告が行われた。

 滞日フィリピン人組織の代表は、移民労働者としての滞日フィリピン人民の置かれている状態について報告した。とりわけ、フィリピン人女性が、第三世界からの移民労働者として差別されると同時に、ドメスティック・バイオレンスや人身売買などの被害をうけてきた現実を明らかにした。そして、抑圧に抗して権利と利害を守るために、日本のフィリピン人移民自身が組織化を進め、たたかいに立ち上がっていることを報告した。質疑を通して、今日の反帝闘争の重要な領域として、移民労働者のたたかいがあることが確認された。
 ILPSは、新自由主義と「対テロ」戦争に反対する国際的な統一戦線として、四十カ国の代表が参加し、国際総会-国際調整委員会のもとに、十八の課題に取り組んできたことが報告された。

 すべての報告が確認されたあと、休憩の前に、あすじゃ女性部会が緊急アピールを行なった。10・14米軍の集団レイプ事件を忘れない全国行動を取り組むことが呼びかけられた。

 休憩をはさみ、「情勢と活動方針(案)」がAWC国際事務局から提起され、参加者全体で討議が行なわれた。第二回総会から情勢は大きく変転しており、経済、政治、軍事全般の現情勢について認識を一致するための論議がなされた。米帝の一極的世界支配の瓦解というべき状況を確認しつつも、むしろ、その危機のなかで米軍の侵略戦争、世界規模の軍事戦略展開は強まっているという現実を確認した。その情勢認識に立って、①反帝共同闘争、②各国・地域で直面するたたかいへの相互支援・連帯、③AWC運動そのものの発展、というそれぞれの領域における具体的課題を検討し、論議をもとに案文に加筆・修正を行い、今後数年間にわたる活動方針として採択された。

 次に「AWC規約(改定案)」が提起され、各国語に翻訳されている用語のニュアンスまでふくめて厳密な論議がなされた。国際共同闘争組織としてのAWCの総会、調整委員会、国際事務局の体制が確認され、「すべての会員間の平等、合意による決定、相互の独立性の原則」にもとづいてそれらを運営していくことが確認された。

 その後、「米軍再編計画に反対し撤回をかちとろう 岩国基地大強化に反対しよう アジア太平洋地域の米軍総撤収をかちとろう AWC第三回総会決議」と「二〇一〇年横浜APECに反対する国際共同闘争の決議」の二つの決議案が提起された。討議を行い、いくつかの修正がなされた上で、採択された。

 最後に、新規約にもとづき、新たな共同代表と国際事務局長が選出された。そして、小城修一さん(AWC日本連)、ホ・ヨングさん(AWC韓国委員会)、レナート・レイエス・ジュニアさん(フィリピンBAYAN)の三名の共同代表と国際事務局長の就任あいさつをもって、新たな三年間の活動が開始された。

 活動方針案などの討議は予定時間を大きく越えて白熱した論議がなされたが、すべての課題を終了した後は、同じ会場で「ソリダイリティ・ナイト」(連帯の夕べ)が和気あいあいと行なわれた。昨年の洞爺湖サミット反対闘争の映像が上映され、乾杯し飲食しながら語り合った。各国参加者の歌、そして、笹日労のエグレ笹島さんの英語での歌で、会場は大いに盛り上がった。最後は、各国語でインターナショナルを歌って、国際的な団結を確認しあった。


 
 

 

 

 

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