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 ■11・28~29岩国行動

  
全国から労働者・市民・学生250名が結集

 岩国米軍基地前で抗議の声をあげる(11月29日)

 ●11・28


 岩国・労働者反戦交流集会

 労働者こそ反戦運動・反貧困運動の中心に



 十一月二十八、岩国現地に全国から労働運動が結集して「〇九岩国・労働者反戦交流集会」(主催/〇九岩国・労働者反戦交流集会実行委員会)がおこなわれた。この集会は、岩国米軍基地強化反対のたたかいを通して、労働者の反戦運動を再生していこうとするもので、今回で三回目になる。

 「私たちは米軍再編を全力で阻止しなければなりません。沖縄・辺野古ではすでにそのたたかいがはじまっています。横須賀―岩国―沖縄、そして韓国、フィリピンの運動を結んで米軍の再編に反対しましょう!」。全港湾大阪支部の大野さんの力強いあいさつで、集会ははじまった。

 岩国側を代表して、愛宕山を守る会代表世話人の岡村寛さんが壇上に立ち、「岩国市民は六十四年間、基地をがまんして受け入れてきました。しかし、この一年で空、陸、海、テーブルの四つの訴訟を起こしました。このたたかいを見て、聞いて、それぞれの地に持って帰って伝えてください」と訴えた。

 続いて、韓国から参加した民主労総主席副委員長のチョン・ウィホンさんが壇上に立ち発言。チョンさんは、「岩国のたたかい、そしてそれが全国のたたかいに結びついていることに感銘を受けました。米軍再編はアジア全体と結びついています。私たちも、韓国でピョンテク基地の拡張と力強くたたかいました」と報告。「現在、世界中で資本は危機を迎えていますが、資本家は労働者への搾取と収奪を強めています。日本と韓国も同じです。労働者が力を合わせてこのような状況を突破していくことが重要です。反基地運動と結びついて労働運動を再建していこうという皆さんの努力は大きな意味があります」と発言した。

 労働者集会実行委員会からの基調では、「岩国・労働者交流反戦集会に結集したわれわれは、現地・岩国で米軍住宅建設反対、爆音訴訟を闘う住民との交流で得た『思い』と『闘う決意』を共有し、自らの課題として、職場・地域・全国に発信するオルガナイザーになろう。/われわれは、様々な課題で闘うアジアの労働者・民衆との連帯を追求しよう」と提起され、参加者の満場の拍手で確認された。

 続いて、各地から参加した交流集会の呼びかけ人からの発言だ。「厚木に必要のないものは岩国にも必要ない。貧困の拡大の中で労働者が戦争に希望を求めるのではなく、平和で豊かな生活をするためにたたかうことが必要です」(東京・大田区職労)、「労働者の団結の必要性を改めて強く感じました」(関西・ユニオンぼちぼち)、「岩国の思いを大阪に持ち帰って連帯運動をつくっていきたい」(大阪全労協)、「基調で提起されたように、ひとりひとりがオルガナイザーになろう」(兵庫・社会労働センター)、「岩国に来て住民に根付いたたたきを感じた。岩国で学んだたたかいを四国へ持ち帰りたい」(徳島全労協)、「協同運輸の暴力的な組合弾圧に対するたたかいへの連帯を」(ユニオン北九州)、「二万千名の参加で、11・8県民大会を大成功させました」(沖縄・官公労共済労)、「米軍再編の本質は日米再編だ」(神奈川県央共闘)。他にも、フロアから多くの労働者が発言し、労働者こそが反戦運動、反貧困運動の中心になるんだという決意が会場にみなぎった。

 集会は最後に、連帯ユニオン山口からの「岩国の基地拡張は岩国住民だけの問題ではない。労働者・民衆の力を総結集させなければならない。今回はそれを大きく成功させることができた。これは日本の労働運動を再生させる第一歩だ」というまとめの発言を受けて終わっていった。



 ●11・29岩国国際集会かちとられる

 ▼第一部 シンポジウム

 岩国、韓国、沖縄、神奈川から報告


 二日目の二十九日午前、岩国国際集会の第一部が「アジア米軍総撤収!米軍再編計画の撤回を!基地強化・愛宕山米軍住宅建設反対」のスローガンのもとシンポジウム形式で開催された。AWCの豊田さんの司会のもとに、パネリストとして地元から田村順玄さん、韓国からはハ・ウンギさんとク・ジュンソさん、神奈川から檜鼻達美さん、沖縄から川野純治さんが提起をおこなった。冒頭に司会が「各地の現状を踏まえて、米軍総撤収の展望を語り、任務を明らかにしていこう」と方向づけをおこない各パネリストの発言が続いた。

 韓国の代表は、最初に基地周辺の状況、住民の生活、基地闘争についての短い映像を示し、岩国基地の状況は自分たちが闘っている韓国のクンサン基地をめぐる状況と同じである、とのべ、要旨次のような報告を行った。クンサン米空軍基地は沖縄カデナに次ぐ戦闘力を誇る基地である。日帝支配下の一九三四年日本軍によって建設され、日帝敗退後、米軍が接収し、韓国軍と共用となり、拡張を続けてきた。この過程で村から農民がたたき出され、住民が減少し、村はゴミ捨て場のようになった。いま「戦略的柔軟性」の名のもとに在韓米軍の強化がはかられ、その任務が今までの「侵略から韓国の安全を守る」というものから、朝鮮半島をこえてアジア太平洋地域全体に拡大して、全世界の紛争に介入しうる、というさらに危険なものになった。実際的には「対北、対ソ連」から「対中国」にシフトしたといえる。このために更なる基地拡張計画が打ち出され、「決まったから出て行け」という農民追い出し攻撃が進んでいる。すでに住民は騒音、高周波の発生、ストレス、などによる健康被害に苦しみ、日常生活・仕事の支障にさらされ続けてきた。また、米軍犯罪の多発や汚水排水放出などの被害、油水などによる地下水の汚染に苦しんできた。長い間これに対し沈黙を強制されてきたが、いま米軍、政府、自治体に対して立ち上がった。若干の成果も勝ち取っているが、しかし、基本的には彼らは無対応である。平和な生活と土地を子孫に受け継いでいくために粘り強く闘っていく。

 続いて、地元の田村順玄さんから次のような基地をめぐる最新の動きの報告があった。米海兵隊の二〇一〇年度計画で岩国基地内に艦載機格納庫や空母艦載機部隊と海兵隊航空部隊司令部の統合施設を建設することが予算化されていることが判明した。そして重大な事実として岩国に新たに航空機中間修理施設(AIMD)を新設する計画も明らかになった。他方で、厚木に存在する修理整備部隊・施設の撤去の話はなく、結局岩国と厚木の両方に航空機整備修理施設を保持することになる。すなわち、これは空母艦載機部隊の岩国移駐ではなく、米軍が厚木も岩国も使用するというまさに米軍の基地機能強化である。米軍再編のお題目としていわれている厚木基地周辺住民の負担軽減にすら反する事態である。このような米軍再編にあくまで反対し、基地強化、住民負担の増加をくいとめよう。

 沖縄の川野さんは、次のように提起した。沖縄ではオバマ来日に抗して11・8を成功させた。これは一日のみの集会でなく昨年の県議選、今年の総選挙の流れを受け継いで成功させたものであり、いまや民衆の運動が事態を動かす力になっている。このなかで、ふざけた話だが沖縄自民党も「政府が年内に結論を出さなければわれわれも県外移設を要求する」などと言い出している状態だ。仲井間知事も推進の立場を修正しているようだが、一緒に訪米し会見に臨んだ神奈川県知事松沢が「辺野古移転しかない」と隣で暴言を吐いたときにすら何も批判しなかった。権力の横暴とたたかう歴史を継承し、「現(役)退(職者)一致」で現地の闘いを堅持し、全国の闘いと固く連携し、アジアの闘いと連帯を強め自信をもって勝利しよう。

 最後に、神奈川から檜鼻さんが次のように呼びかけた。神奈川県央共闘は反基地市民団体、労組などによって二〇〇〇年に結成された。厚木、座間、相模原、横須賀などでの反基地住民運動を取り組んでいる。このかん沖縄、韓国の運動と交流もやってきた。岩国への艦載機移駐は、米軍が強要したものではなく、日本側が(辞任した守屋が)岩国には反対運動がないとみて決めたものだ。再編についての米軍の目的は、かたちはどうであれ「自衛隊も米国の国益のために、米軍と一緒に血を流せ」ということに尽きる。闘えば岩国は勝てる。

 以上の報告のあと質疑討論のなかでは、韓国代表に対して、「共和国からの脅威」の大宣伝のなかでの運動の困難性について質問が出された。これに対して韓国代表は、「以前は多くの民衆やメディアも米軍は国を守るために駐留していると思っていたが、韓国民を犠牲にする事件(二〇〇二年の米軍による二名の女子中学生轢殺事件や一部返還地の土壌汚染の発覚など)によって最近は反米感情が高まっており、民衆の運動が政治を動かす力になるという認識が拡大している」と答えた。

 最後に、各パネリストからのまとめと決意が表明された。田村さんは、新政権への期待が大きいなかで何かあってもあきらめないで新政権に訴え続けていくこと、また市民の目線で岩国基地強化反対の運動を続けていくことの大切さを訴えた。川野さんは、安保をめぐる日米密約問題を検証しはっきりと決着をつけさせねばならないこと、辺野古のV字型滑走路案は日本側から出したものであり、これを自信をもって粉砕しよう、同時にグアムへの基地のおしつけも許さない、と決意を述べた。檜鼻さんは、米軍再編は自治体、住民被害の問題であるだけでないこと、それは米軍と自衛隊の一体化・稼動を目的としたものであり専守防衛をすら逸脱するものであることに注意を喚起した。そして今後の運動において「当事者性と可視化」を重要なキーワードにして、定例抗議集会・デモなどの形で基地問題・自衛隊強化問題を持続的に市民の目にみえる形でアピールしマスコミなどにも提起していかねばならない、と訴えた。集会は、安保条約五十周年となる来年二〇一〇年にむけて安保条約を根本的に問い直し米軍基地撤去の闘い、戦争する軍隊として海外に出て行く自衛隊との闘いを強化していくことを確認して終了した。



 ▼第二部 集会とデモ

 決議採択し岩国市民の闘いを激励するデモ



 白熱した第一部のシンポジウムを通して、核空母艦載機の移駐を策動する米軍再編と対決する岩国の闘いの重要性を共有し、決意を新たにしたところで、第二部の集会とデモに移っていった。

 第二部では、AWC九州・山口の若い労働者とAWC首都圏幹事が司会を担当し、全国から結集した二百五十名の労働運動の仲間や学生、各地域の反戦運動の活動家から報告や今後の岩国連帯の闘いに向けた決意が力強く表明された。

 集会はまず、反侵略アジア学生共同行動(以下あすじゃと略)による創意あふれる替え歌からはじまり、続いて本集会に寄せられた海外からのビデオメッセージが紹介された。台湾、フィリピン、グアム、アメリカから寄せられたメッセージでは、それぞれアメリカ帝国主義との闘い・反戦運動の課題や報告とともに岩国との連帯が語られた。

 特にグアムからのメッセージは、沖縄同様、今回の米軍再編のなかで、米軍の侵略前線基地として強化が狙われているグアムで、米軍基地の撤去と軍事植民地からの解放を粘り強く闘っている先住民のチャモロの活動家から寄せられており、沖縄・日本に要らない米軍基地はグアムでも要らない、米軍基地はアジア太平洋域地域から総撤収させなければならないということを改めて認識させるものであった。

 集会発言の最初は、牧師として多忙な日曜日にもかかわらず駆けつけた地元岩国の大川さんで、「平和な町を子供たちに残したい、との思いでがんばってきた」「〇八年二月の市長選では敗れたが、岩国はまったく負けていない、岩国市民の意思ははっきりしている」「住民投票で勝利して飛び上って喜んだが、四つの裁判でも飛び上って喜べる日を目指してがんばりたい」と力強く決意を表明した。

 以下順を追って発言者と発言内容を簡単に紹介していく。

 AWC首都圏からは戦争動員、治安訓練そのももの東京都総合防災訓練に反対する取り組みの報告、全日建関西生コン支部からは結成からこれまでの組合の闘いやベトナム反戦のストライキの歴史、全港湾からこれまでの闘いの紹介と来年はもっとたくさんの仲間と参加したいとの決意表明、労活評からは来年の横浜APECとの闘いがそれぞれ提起された。

 この後AWC九州・山口の仲間の歌を挟んで、前日行われた「軍事基地と女性」ワークショップの報告が行われた。AWC京都からは昨年の岩国集会から一年にわたる岩国連帯の取り組みと昨年をはるかに上回る参加者で岩国にやってきたことが報告された。全労協からは鉄建公団訴訟をたたかう仲間が発言し、岩国市民の闘いに学んだことや、正念場を迎えている千四十七名解雇撤回闘争への決意が述べられた。被爆二世の会からは、中国電力が建設を強行している上関原発反対運動の報告、あすじゃからは反戦反安保・反グローバリゼーションの取り組みの報告が行われた。続いて韓国ゲスト三名の紹介と発言があった。韓国の代表からは、「とても多くのことの学んだ。お互いに学びあいながら闘っていきましょう」と米軍基地撤去にむけて共同闘争を推進していくことが表明された。

 発言の最後に、前日行われた労働者交流集会の実行委員会の方が立って、九月に運輸労働者の仲間が過労死した現実を取り上げながら、労働者を取りまく時代の閉塞感を打ち破っていかなければならないこと、全国に岩国の闘いを知らしめ、さらに広げていくこと、「来年もやろうぜ」という熱い決意の表明が行われた。

 集会の最後に「アジア米軍総撤収! 米軍再編計画撤回を! 基地強化―愛宕山米軍住宅建設反対! 岩国国際集会決議」を全体の圧倒的な支持によって採択した。

 集会後、岩国基地までのデモストレーションだ。さまざまなプラカードやのぼり、旗を立てて、岩国市民との連帯と米軍住宅絶対阻止のシュプレヒコールを上げながら基地までをデモした。途中デモ隊に手を振ったり、ともにこぶしを突き上げる市民の姿を何度も目にすることができ、米軍の強化を断固として拒否する岩国の意思を実感することができた。



 

 

 

 

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