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   ■8・6 広島

  原爆投下から66年目の夏、反原爆・反原発訴え青空集会

  写真展・署名なども行われる




 原爆投下から六十六年目の八月六日、広島の原爆ドーム前には、例年より多くの人々が集まってきた。本年三月十一日の東北地方太平洋沖地震と福島第一原発の事故により、ヒバクの問題を自らの問題として感じる人が増えたからだと思う。
 午前八時十五分、鐘の音と共に黙祷をする。静けさの中に、鐘の音が響き渡る。改めて、二度と侵略戦争を起こさない、そしてこれ以上核の被害者も出さないと誓った。黙祷の後、「原爆と原発―放射能被害に抗議する―」写真展を始めた。広島市や広島県警の妨害をはねのけて、いつものように「被爆二世の会」の旗を立てて、署名や冷茶の用意もした。署名は、「脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める全国署名(通称「さようなら原発」一千万署名)」だ。多くの家族連れやたくさんの人々が写真展を見ている。写真展には、英文の訳も添えたので、海外の人も熱心に見ている。また、署名をする人もたくさんいた。今年は、青空集会を始める前に、反戦・反原発を闘う多くの人たちが声をかけ、立ち寄って下さった。特に、韓国の被爆二世の代表は、今後も共に闘おうとあいさつもされた。
 午前十時三十分、いよいよ青空集会の開始だ。やまぐち障害者解放センターから、力強く開会が宣言された。約六十名の仲間が青空集会に参加している。続いて、被爆二世の会が、基調を提起した。「福島第一原発の事故で、新たなヒバクシャを生み出していることが無念で悔しくてならない。これまで、私たち被ばく者・二世(三世)は『核と人類は共存できない』と叫んできたが、もっともっと大きな声を上げる必要がある。これは、被爆二世(三世)の責務だ。また、日米両政府はこの機に乗じて、米軍と自衛隊の合同指揮所を作り、朝鮮半島上陸作戦ともいうべき『トモダチ作戦』を行った。これを、徹底弾劾し、我々は日米両帝国主義によるアジア侵略戦争を許さない」と訴えた。その上で、現在も課題として残っている被爆者問題を四つ提起した。それは、第一に、原爆症認定問題に見られる放射能被害が過小評価されていること。とりわけ、内部被曝や残留放射能の影響が無視されていること。第二に、被爆地が極度に狭く限定されていること。そのために、長崎の被爆体験者や黒い雨地域にいた被爆者が被爆者手帳をいまだに取得できていないこと。第三に、在外の被爆者が日本に住む被爆者と同じ被爆者援護法の適用を受けていないこと。とりわけ、被爆者援護法による医療費支給には上限額がないのに、在外被爆者の医療費援助には年間十六万千百円という上限額があるなど、今も国内外で格差が残っていること。最後に、被爆二世(三世)が援護無き差別の状況に戦後六十六年を経た現在も放置されていること。国の施策としてあるのは、年一回の単年度措置の被爆二世健康診断だけで、ガン検診も無く、病気を抱えた被爆二世には一切医療補償が無いこと。在外の被爆二世には、健康診断さえも無いこと。この現実を変えて、在外を含む全ての被爆者・二世(三世)に国家補償に基づく援護を実現していかなければならないし、第五福竜丸のヒバクシャ、原発被曝労働者、JCOの臨界事故のヒバクシャ、福島第一原発の事故のヒバクシャを含んだ新たなヒバクシャ援護法を実現する必要があることを訴えた。そして、最後に右翼―差別排外主義者の台頭を許さず、アジア太平洋戦争でアジアの人々を殺戮した日帝―皇軍の歴史をふたたび繰り返さないために共に闘おうと締めくくった。
 続いて、連帯メッセージをアジア共同行動日本連の方が読み上げた。連帯メッセージは、台湾労働人権協会、国際民衆闘争同盟、アジア太平洋反基地ネットワーク、BAYAN香港支部、国際民衆闘争同盟オーストラリア支部、BAYANから寄せられた。どの国の民衆団体から寄せられたメッセージも、3・11への弔意が示され、日本政府がアジア侵略戦争の被害者に謝罪し補償すること、また核兵器にも原発にも反対し日本の民衆と共に闘う決意が書かれていた。
 次に、あじあんさんの歌だ。「青い空は」から始まり、新旧の反核・反原発ソングを皆で合唱した。どれも、歌詞が心にしみわたった。周りの人も、原発を無くすために、一緒に口ずさんでいた。
 いよいよ、参加団体からの発言だ。まず、山口大学ユネスコクラブ・県立大学ユネスコクラブから発言を受けた。五月に宮城県の南三陸町と気仙沼市に行き、被災地支援をしたこと、その現実を周りに伝えていること、また、原子力発電所の問題について訴えるため、上関原発反対運動を取り上げた「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映会を行ったことが報告された。
 続いて、戦争・差別・貧困とたたかう学生グループ・あすじゃの発言だ。朝九時出発、原爆ドームから中国電力本社までの、「ノーモアヒバクシャみんなでウォーク」に参加して、ここにやって来たこと。日頃の反原発の取り組みを行いながら、ここに来ていることが報告された。その中で3・11後の福島で何が起きているのかを伝えることが大切だと感じていること。年間許容被爆量が二十ミリシーベルトは高すぎる、子どもには絶対に危ないと訴えた。そして、もう一つ見過ごせないのは、被曝労働の問題。事故が無くても、労働者は被曝するし、防護服は紙で出来ていて、放射線も通すし、被曝しながら働いていることが許せないと訴えた。次に、飛び入りのアメリカの市民から発言があった。アメリカ政府は、加害者でありながら、その自覚が足りない。オバマ大統領は核兵器を根絶してから、物を言うべきだとアメリカ人の責任において核兵器や原発の廃絶の先頭に立つことが訴えられた。被爆二世からは、新聞の調査によると、広島の小学生でさえ原爆投下の正確な時間が答えられない子どもがかなりの数に上ること。被爆二世がもっと声を上げ、被爆体験の継承をしなくてはならないこと。今年、佐賀や熊本などに被爆二世の会が出来たことなどが報告された。
 アジア共同行動日本連からは、3・11の大震災以降、被災地支援をおこなってきたこと、全労協の協力の下に義援金や被災者の生活破壊を阻止する取り組みを続けていることがまず報告された。また、福島第一原発の崩壊と放射線被曝の継続と言う状況の中で、被爆二世の会に連帯して、被爆者解放運動と結合する形で反原発運動を進めていくと訴えられた。その上で、原爆ドーム前に「日の丸」を持った差別排外主義勢力が登場しているが、妨害や介入をはねのけて青空集会を貫徹すること、この排外主義勢力が日本の核武装や在日外国人差別排除を主張しているが、これに対して反戦反核被爆者解放の闘いをより一層強めていくこと、朝鮮学校の無償化を実現する闘いなど在日アジア人民と連帯して、戦後補償の取り組みを強めていくと訴えた。その闘いの中から、排外主義勢力を社会的に解体する闘いに勝利しようと訴えた。
 つづいて、連帯労組・やまぐち、やまぐち障害者解放センターの仲間、SYNの学生、憲法を活かす市民の会・やまぐちの仲間が発言した。その発言の途中、「日の丸」を持った差別排外主義者の部隊が平和公園の中を行進し、青空集会に介入しようとした。私たちはこの挑発にのることなく、あくまでも青空集会の防衛を貫徹し、かれらが立ち去った後も集会を貫徹した。最後に、シュプレヒコールをあげて、核兵器廃絶!全ての原発を廃炉にしよう!全ての米軍基地をアジアから撤去しよう!被爆者・二世(三世)の国家補償を実現しよう!と高らかに宣言した。午後三時まで、「原爆と原発―放射能被害に抗議する―」写真展を行い、多くの人々が見入っていた。百名を超える署名が、その場で集まった。
 私は、八月六日に「日本の核武装」を叫ぶような者が原爆ドームに来ること自体許せない。かれらのような存在を許さないために、今こそ被爆二世・三世や若者たちが反戦・反核・反原発運動に立ち上がらなければならない。皆さん共に闘いましょう!  

                     (被爆二世の会 会員より)


 

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